きんえんSwitter

医者の心の目で日々を綴ります

パートナーは非喫煙者

2023年10月16日 | 受動喫煙
日本はずっと「タバコ大国」と言われ続けてきました。
その理由は、(男性の)喫煙率が他の先進国に比べて高く、タバコ代も安かったからです。

タバコは徐々に値上げされ、その他のさまざまなタバコ対策のおかげで、喫煙率はだいぶ減ってきています。

ちなみに厚生労働省の国民健康栄養調査によれば、令和元年(2019年)の日本人男性の喫煙率は27.1%、女性は7.6%で、平成元年(1989年)はそれぞれ55.3%と9.4%でした。

男性の喫煙率を見てみると、世界の先進国にやっと肩が並んだ感じです。

     男性   女性
アメリカ 24.6%  19.1%
イギリス 24.7%  20.0%
カナダ  16.6%  12.0%
フランス 35.6%  301%
ドイツ  33.1%  28.2%
イタリア 27.8%  19.8% 
(数値は2016年WHO推計)

私はこれまで、30歳そこそこで肺腺癌を患い、早逝してしまった女性肺がん患者さんを何人も診て、心を痛めてきました。
彼女たちは喫煙者ではありませんでしたが、みな家庭や職場等で受動喫煙をしていました。

最近の研究では、日本人女性の肺腺癌は、受動喫煙による影響がアメリカに比べて強いということが報告されています。
日本の男性は、タバコを吸わない女性に対して遠慮がなく、女性もそれに対して寛容だということなのでしょうか?

いまだに日本では約3割の方々が職場や飲食店などで受動喫煙をする機会があるようです。

ある時、親しくなった友人から「自分の家族には喫煙者は誰もいない」ということを聞いて、胸をなでおろしたことがありました。
身近な人が吸っているタバコは、受動喫煙のみならず、多様な精神的ストレスをもたらします。
私たちがそういうリスクにさらされなくてすむということに、心から安堵したのです。

差別発言ととらえていただきたくないのですが、パートナーには、できるかぎり、非喫煙者を選んでください。

もちろん、禁煙治療法というものがありますが、すぐに簡単にタバコがやめられるというわけではありません。

肺癌やさまざまな喫煙関連疾患に苦しんでいる多くの方々と、そのご家族を見てきた医師としての実感です。






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車内禁煙に

2023年06月07日 | 受動喫煙

喫煙防止教室では、子供たちから色々と質問を受けます。

タバコ煙がいかに危険かということを勉強した子供たちは、自分が置かれている環境は、はたして大丈夫なのだろうかと、不安になるからです。

「親が車を運転している時にタバコを吸っているのだけれど・・・」


非喫煙者や子供にとって、狭い車内でタバコの煙を吸わされることほど、苦痛なことはありませんし、実際、一酸化炭素に代表される様々な毒ガスを吸いこむことになるので、とてもキケンです。

朝の通勤時には、タバコ片手に運転している人をよく見かけますが、たいていみなさん窓を開けています。
吸っている本人でさえ、窓を閉めきって吸い続けるのは難しいくらい、車内の空気は汚れているのです。


イギリス(イングランド、ウェールズ、スコットランド)では、2015-2016年から自動車内での喫煙が法律で禁止されています。
専門家が調査をしたところ、この法律によって、子供たちの受動喫煙の機会が、大幅に減らせていることがわかりました。

また、低収入・低学歴の親を持つ子供たちは、依然、親の吸うタバコの煙を吸わされ続けているという悲しい現実も浮き彫りになりました。

周囲に喫煙者が多い子供たちは、自分自身も将来喫煙者になる可能性がはるかに高くなることも、他の研究でわかっています。


シートベルト着用義務や、運転中の携帯電話やスマートフォンの使用禁止と同じくらい、自動車内・運転中の喫煙を禁止する法律が日本にも必要だと思います。

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喫煙室設置の飲食店

2023年05月17日 | 受動喫煙
先日訪れた西新宿のドトールコーヒーでは、店内に喫煙室が設けられていました。

2020年に改正施行された健康増進法では、飲食店は原則屋内禁煙と定められました。

しかし「小規模店かつ既存店」では、例外として喫煙室の設置が認められています。
でも、喫煙室設置を選択した飲食店は、デメリットのほうが大きいです。

喫煙室を設置するには、細かい基準があり、当然設置や維持に費用がかかります。

また、完全な分煙というのはありえません
喫煙室に出入りする際に、店内の空気が有害化学物質によって汚染されるからです。
喫煙直後30分間は、吐く息からも有害物質が排出されているからです。

また、従業員が20歳未満の場合、清掃目的であっても、喫煙室には立ち入りができません。

清掃作業目的に喫煙室に入れば、従業員が高度の受動喫煙をすることになり、健康被害をこうむりますし、タバコ臭い場所での仕事を強いられれば、働く意欲が低下するかもしれません。

全面禁煙化しても、利用客は減らないどころか増えるといったことは多くの専門的研究調査で証明されています。
日本人口の85%が非喫煙者であり、たとえ喫煙者であっても、他人のタバコの臭いを不快に思う人もいるからです。







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ホットモーニング

2023年05月15日 | 受動喫煙
先日、所用があって、都内に宿泊しました。

ホテルは素泊まりプラン。
案の定、ホテル内の朝食会場は、外国からの観光客が長蛇の列を作っていました。
多くの人で賑わうビュッフェスタイルの朝食に、感染のリスクを負いつつ、二千円を費やす気にはなりません。

とはいえ、肌寒い週末だったので、コンビニのサンドイッチやおにぎりを狭い部屋で食べるという気分にもなれず。
美味しくて暖かい朝ご飯を求めて、運動がてら、ホテル周辺を歩いてみました。

ところが、西新宿・都庁周辺には、いわゆる商業施設が路面にはほとんど見当たりません。
しばらく歩いてやっと見つけたのは、DOUTORの文字の黒と黄色の看板。

普段からコーヒーは飲みませんし、ドトールコーヒー店はタバコ臭くて暗い喫茶店というイメージしかなかったので、ちょっと迷いました。

でも、大きな交差点に面しており、入り口が開放されていて、店内はスタバのような作りになっており、お客さんはほとんどいない状態だったので、ホットモーニングという大きなメニュー看板に誘われて、恐る恐る入ってみました。

店の奥のほうをのぞくと、喫煙室があったので、煙が届きにくい入り口付近のカウンター席でホットサンドとロイヤルミルクティーをいただきました。


ちょっと調べてみたら、ドトールは、「全席禁煙」「飲食不可の喫煙ブースを設置」「電子タバコのみ喫煙可能な喫煙席を設置」という3つのパターンがあるようです。

2020年4月に健康増進法では、喫煙対策について細かく規定が設けられた形で改正され、ドトールはそれに習って設備投資をしていると思われます。

けれども、受動喫煙を防ぐために有効な分煙方法というものはありません。

全面禁煙化を推進する会社と、喫煙可能な状態を維持しようとする会社の違いはどこにあるのでしょうか?

まあ、ざっくり言ってしまえば、会社のトップのヘルスリテラシーが反映されていると思われます。
















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美味しい鮨店の条件

2022年07月04日 | 受動喫煙
普段よく通る道に、雰囲気のよさそうな小さな鮨店ができ、気になっていました。
外からは暖簾越しに店内の様子がよく見えます。
店はカウンター席のみのようで、ちょっと高級そうです。
ネットでメニューを確認したら、意外やお手ごろ価格だったのでビックリ。

友人に声をかけたら、美味しいお鮨を一緒に食べよう!と快諾。

さっそく店に予約を、という段階になって、彼女から「店の前を通りがかったら、気になる点が・・・」と写真とともにメッセージが入りました。
なんと、店の前に灰皿が置いてあるのでした。
お店はまだ開店時間前です。

私が通った時には気づかなかったので、ひょっとしたら最近になって設置されたのかもしれません。

店の外に灰皿が置いてあるということは、店内は禁煙ということではありますが、店先に灰皿を設置すること自体がマイナスポイント。
ドアの開閉時に煙が店内へ流入しやすいことは、専門研究機関の実験ではっきりと示されています。

また、すくなくとも喫煙後30分間は、呼気の中にタバコの有害物質が含まれているので、近くにいる人はタバコ臭さに不快な思いをしながら受動喫煙もしてしまいます。

店主はそういったことを知らないのかもしれません。
あるいは店主自身が喫煙者である可能性が高いと思われます。

店のオープン当初には灰皿が無くて、あとから設置されたのだとしたら、利用客から要望された可能性もあるでしょう。
タバコ臭い客と隣り合わせになったら、せっかくの会食も台無しになってしまいます。

その店のある通りはデパートに近接しており、普段から人通りが多いのも気になります。
開店前の時間帯にも灰皿が店先に置かれたままであれば、そのうち、一般の喫煙者が集う場所になってしまう危険性もあります。
実際、この店の近くにある立体駐車場では、灰皿が置いてあるため、オフィス帰りの喫煙者のたまり場になってしまっているようです。

というわけで、不安材料の多い店に行くのはやめにして、他に見つけた完全禁煙、灰皿も置いていない小粋な和食店で、安全に楽しく、美味しく、会食をすることができました。

完全禁煙、店先に灰皿設置なし、料理人も非喫煙者といった条件を、店を選ぶポイントにしてみてはいかがでしょうか?


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梅雨明け宣言

2020年08月01日 | 受動喫煙
明けましたね!

今朝、我が家のベランダから眺めた夏空はすがすがしい青!


コロナのせいで家にいる時間が増えて、何か変わったことはありますか?

私はベランダですごす時間が増えました。

室内の大片付けもやりましたが、ついでにベランダもきれいにしたので、居心地がすごくいいんです。

まだまだ寒かった3月の頃から、ベランダの掃除と朝日を浴びながらの簡単なストレッチ体操が朝の日課になりました。

植物も少しづつ増えています。

先日は、花の終わったクチナシに、丸々太った青虫を3匹も発見!
緑の楽園化しつつあることを嗅ぎ付けた蝶がいつのまにかやって来て、卵を産み付けていったんですね・・・


ベランダですごすことを好んでいる人は他にも・・・
そう、喫煙者の方々です。

ご家族に気を使っていらっしゃってのことだとは思うのですが、隣人にとってはなんとも迷惑なベランダ喫煙。
今日も思わずイラッとして、塩ならぬ水を撒きなおしてしまいました。

自分のご家族のみならず、ぜひ他人にも、その思いやりの気持ちを向けていただければと思います。
ベランダでは、毒ガスでなく、きれいな空気を吸いたいですよね、お互いに。


夏になっても終息するどころか、また感染者増加の波に襲われている今日この頃。

自分は病気にかからない、かかっても死なない、自分の家族や友人以外の知らない他人はどうなっても関係ないといった考えでの行動は、あまりにも愚かで、ダサイと思うんですよね。


「コロナをきっかけに、禁煙するよ」という人、全面的に応援します‼





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好機

2020年04月29日 | 受動喫煙
東京で緊急事態宣言が出された週末のことでした。
自宅近くのパチンコ店が改装再オープンされました。

かなりの長い期間、工事業者が出入りしていましたので、パチンコ店以外の施設になるのかな、などと思いながら様子を伺っていました。

そして、4月。
高々と上がる宣伝用バルーンで、パチンコ店のまま新装再オープンしたと知り、「ははーん、さては・・・」と思いました。

入って確かめたわけではありませんが、恐らく、健康増進法改定にあわせて、店内に喫煙室を設置するための工事だったのだと想像できました。

今年の4月から、多くの人が集まる場所では、原則禁煙となりましたが、国は喫煙室の設置を一部認める内容にしています。


禁煙対策研修会などで、県や市町村のタバコ対策担当の方々が、改正内容について説明する場面に居合わせたことが何度かありましたが、この例外措置のほうの説明に何倍もの時間がかかってしまい、法改正の本質であるところの「完全禁煙化」ということが皆さんに伝わらないんじゃないかといつも心配していました(笑)

やはり、その心配は的中しましたね。

喫煙する人はどんどん減ってきているというのに、おそらく、何千万という費用をかけて改装してしまったんですね・・・

あげくに、オープン早々、閉鎖しろと圧力をかけられ・・・

「3密」であるからという理由で営業自粛を強制される結果となってしまったパチンコ店ですが、追い込まれた理由はそれだけではありません。

パチンコ愛好者は喫煙率が比較的高いと広く国民に認知されていることが、大きな世論となり、国を動かしたのだと考えます。

禁煙外来に通院中の患者さんで、お酒をノンだりパチンコに行って再喫煙してしまったという失敗談はよくありますので、私はいつも飲酒の習慣についてやパチンコ愛好家かどうかを最初に聞いて、禁煙治療アドバイスに役立てています。



喫煙防止教室では、子ども達にいつも言ってきました。

国を変えるのは、元首たちが作った法律ではない、私たち国民であると。

完全禁煙のパチンコ店だったら、スーパーマーケットと同様、入店制限をするとか、衛生管理をしっかりすれば、これほどまで槍玉にあげられずにすんだかもしれません。

例外措置などといって、喫煙室を許可することで、タバコ会社のご機嫌とりをしなければ、あるいは、依存症という問題に、もっと早く国としての手厚い対策をしていたら、「ペナルティー」という苦い方法をとらずとも、日本らしく「自粛」という方法でうまくやれて、一生懸命働こうという事業主さんたちの士気を削がずにすんだかもしれません。


ローソンが、灰皿の使用を休止するそうです。

いっそのこと、撤去しちゃってください。
灰皿があるから、吸いたくなっちゃうんです。
依存症って、そういう病気なんです。

ローソンの社長さん、英断を‼









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2020年3月のある日のできごと

2020年04月02日 | 受動喫煙
先月(2020年3月)、自宅近くの空き地に、コンビニが新規オープンしました。
徒歩3分。

ちょうど牛乳とトマトジュースを切らしていたので、人が少ない時間帯をみはからって、出かけることに。

すると・・・

なんと、店の前に「それ(※1)」があるのです。

幸いなことに、「それ」のところで「あれ(※2)」をすっている人はいませんでしたが、「それ」は春の陽光に銀色の鈍い光を放っていました。

私がとても残念な気持ちになったのは言うまでもありません。
そして、すこし不安な気持ちにもなりました。

「牛乳もトマトジュースも、いま絶対飲みたいわけじゃないし···」

結局、店には寄らずに、近所を小1時間ほど散歩しただけで帰ってきてしまいました。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー
注釈;※1)灰皿、※2)タバコ






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健康増進改正法施行・・・のはずなのに

2019年07月01日 | 受動喫煙
腐っている・・・

今朝の下野新聞の記事を読んで、思わずつぶやきました。


健康増進改正法が、本日、一部施行されました。
受動喫煙対策を強化する内容になっています。

これによって、全国の学校や病院、行政機関が原則「敷地内」禁煙となりました。
来年4月からは、飲食店や職場やホテルなどが、原則「屋内」禁煙となる予定です。

(原則という文字がうっとおしいですね・・・)


2年前の調査によれば、小中学校の約9割や、20人以上の入院設備のある病院の約59%では、すでに敷地内禁煙となっていたということですから、今さら騒ぎ立てるようなことではありません。


しかし、行政機関では、そうではないようです。


今回の改正によって、国の11省の本庁舎のうち、敷地内全面禁煙となったのは、文部科学省と国土交通省の2省だけだというのです。

厚生労働省は今後も敷地内に喫煙所を維持するそうです。


法を所管する厚労省がこれでは、もう、腐っているとしか言いようがありませんでしょう?



ではなぜ、こんなことがおこるのでしょうか?


それはずばり、お金でしょう。


タバコ生産・販売関連組織からお金をもらっているお役人は、正義を行えないのです。

しかし、それにしたって・・・・

嗚呼、こんな国に住んでいる自分が悲しいです。

いいえ、受け身な言い方はやめましょう!

そういう人達に国を任せてしまっている自分を、猛烈に恥じています。




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