きんえんSwitter

医者の心の目で日々を綴ります

小学5年生からの質問(喫煙防止教室後)

2024年12月17日 | 先生に質問
Q 人間以外にもタバコは害があるのか?
A もちろんです。毒ガスですから。

Q タバコが毒ガスだとわかった時代は?
A 「子どもには吸わせてはいけないという法りつができたのは、明治時代です。
「タバコは毒ガス」といい始めたのは私です。2000年頃です。受動喫煙をさせないようにしなければいけないと日本の国が言い始めたのは、2003年頃からですが、外国と比べると、タバコについての取り組みは10年くらい遅れています。

Q タバコをすっている人ががまんするのは、どれだけむずかしいですか?
A 人によりますが、がまんができないから、すう人がなかなか減らないのです。禁煙用の薬を使えば、がまんがしやすく、やめられます。

Q タバコをどうしてもやめたくないとか、やめなきゃいけないとわかっていてもやめられない人がいたら、どうしたらいいのですか?
A やめたくないと言っている人は、「どうせやめられない」と思っている人が多いです。やめられない自分のことを、なさけないとか、意志が弱いとか、思ってしまっているので、やめたくないと強がっているのかもしれません。薬を使ってちりょうする禁煙方法があることを知らないかもしれないので、教えてあげましょう。

Q タバコは1回すうとガンになってしまいますか?
A 1回すっただけでは、ガンにはなりません。何年もすいつづけると、ガンになりやすくなります。

Q タバコをすって、ほかにどんな害があるのか?
A 全身にタバコの害はひろがります。なぜなら、タバコのけむりの中の毒は、血液のなかにとけこんで、全身にいきわたるからです。病気のなまえをいいはじめたら、きりがありません。

Q 害のないタバコはありますか?
A ありません。バニラやストロベリーといった甘い香料をまぜた液体をあたためて吸うものも売られていますが、肺の病気になることがわかっています。

Q そもそもなんでタバコなんかがあるの?
A 世の中には必要でないもの、悪いもの、ないほうがよいものがたくさんありますし、これからもそういうものは増えていくでしょう。だから、勉強が必要なのです。

Q だめだと気づいても、なんで売っているの?
A タバコをなくすように、さまざまな国が、さまざまな方法でとりくんでいます。みなさんも自分たちができる方法を考えて、行動してください。

Q なぜタバコに興味をもったのですか?
A 医者になって、「なおらない病気」になって早死にしている人がとても多いことを知って、とてもびっくりしました。そういう人たちは、タバコをすっている人が多かったので、タバコのことをいろいろ勉強しました。そして知らない人たちに教えてあげなければいけないと思うようになりました。

Q 市役所はタバコ禁止命令を出さないのか?
A 市長にきかないとわかりませんね。
頭ごなしに「禁止」をしても、世の中の人は受け入れてくれません。何十年もかけて、さまざまな専門家がタバコについて研究し、その結果を世の中に広め、国にはたらきかけてきた結果、最近になってやっとタバコをすう人が減ってきました。タバコをなくすには、多方面からいろいろと取り組む必要があるので時間がかかるのですが、確実に成果は出てきています。もちろん、「喫煙防止教室」も、タバコのない社会をめざして行っています。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

よくある質問

2024年01月24日 | 先生に質問
小学生相手に喫煙防止教育やがん予防教育を行っていますが、子供たちから質問されるのがとても楽しいです。

ただ、苦手なのが、数字を答えるような質問。
私は数字を覚えるのが、子供の頃から苦手でした。

「タバコを吸って亡くなっている人は、どのくらいいるのですか?」

こういう質問には「数えきれないくらいたくさんいます!具体的に人数を知りたい人は、自分で調べてみてください」というふうに答えています(笑)

また、喫煙率についてもよく聞かれますが、昔に比べるとずいぶん減ってきているということを強調し、「喫煙率」をキーワードにして調べてみるように、と答えています。

昨日は最も喫煙率の高い国について聞かれましたが、先月調べたはずなのに、名前が出てきませんでした。
きっと、覚える気がないんですね・・・

その時書いた返事を以下に転記しておきます。

Q)タバコを一番吸っている国はどこですか?

A)タバコを吸っている人のわりあいを「きつえん率」といいます。
WHO(世界保健機関)が2023年5月に発表している数字をみると、世界で一番きつえん率の高い国は「ナウル共和国」という南太平洋にある小さな国です(男女合わせた平均値は48.9%)。
日本の喫煙率は世界で89位です(20.1%)。
中国25.6%、韓国20.8%、インド27.2%。アメリカ23.0%、ロシア26.8%
タバコを吸う人はだんだんと少なくなっていて、いまでは50%をこえる国はひとつもありません。



  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

こんなしつもんも

2023年12月14日 | 先生に質問
Q 自分ががんにかかったら、まずどんな対策をしますか?

小学生から、こんな質問もありました。

「あなたなら、どうする?」

するどい質問のしかたですね。

私はかつて、がんと診断されたことがあります。

その時の心の葛藤や、どんなことに思いを巡らせ、そうして自分が実際にどう行動したか?

想定していたこととはだいぶ違っていたので、驚きましたね。
最終診断は良性腫瘍でしたが、医師としても、一人の人間としても、良い経験をしたと思っています。

さて、小学生からの質問には、こんな風に答えました。

A まずは信頼ある情報元で、そのがんについて勉強します。わからないことは、専門家に質問もします。そうすると、むやみにこわがらなくてすむからです。ちりょう方法はいくつかあるはずです。専門医師と一緒に相談しながら、自分にとって一番よいと思われる方法を選びます。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

しつもん

2023年12月13日 | 先生に質問
Q がんはどんな病気か?

小学生からの質問状のなかに、しれっと混じっていた。

おいおい、授業を聞いていなかったんかい?!

A 異常細胞の集団です。放っておくと、仲間を増やし、生きるためのエネルギーを勝手に使いまくるので、がんにかかるとエネルギー不足におちいります。また、あちこちに広がっていき、行く先々で好き勝手なふるまいをして、内臓の働きをさまたげます。

・・・まあ、こんな感じかな。

もっと知りたければ、自分で勉強してくれ、な。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

年内のお仕事

2023年12月11日 | 先生に質問
師走になりました。
あっという間に年末ですね。

年内に片づけておきたい仕事が一つ。
喫煙防止教室やがん予防教室後に小学生から送られてきた質問に答えを書いて返信することです。

たしか、授業のときは恥ずかしがって、なかなか質問してこなかったクラス・・・

ところが、授業後にそれぞれがタブレット端末に入力してきたという質問は、なんと70問近くありました。

「よくあるご質問」という冊子を作っておいたほうが効率がいいかなあ・・・などということが頭をよぎりますが、自分の答えをあとで振り返ってみるのも、自分の変化がわかって、楽しかったりもするのです。

12月は師走とはよく言ったものだと、実感している今日この頃です。
この時期を楽しみましょう。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

脱・現実逃避

2022年02月03日 | 先生に質問
今はスマホで簡単に動画が撮れますし、私のような初心者でも、すぐに動画サイトにアップすることも可能な時代です。

今年度リモートで行った喫煙防止・がん予防教室での子ども達との質疑応答の様子をYouTube お医者さんに質問に残しています。

編集らしいことは何もしていませんが、一発本番で子ども達の質問に答えているので、後で見返すと自分の反省材料になります。

また、時代はどんどん変化しているので、授業もバージョンアップしていく必要があり、その検討材料として使おうと考えています。


楽器を演奏するときもそうなのですが、私は自分を客観視するのが苦手でした。

チェロの師匠がかつて、こんなことを言っていました。

「自分の演奏の録音は練習に取り組み始めた初期だけにとどめておいたほうがよい。なぜなら、本番直前に聞くと、ショックが大きすぎて、立ち直れないことがある・・・」

一理あります(笑)

私は師匠に言われるまでもなく、録音・録画反対主義。
どんなに素晴らしい体験も、心の中の記憶が一番!で通してきました。
現実逃避していた部分もあるかもしれません。

でも、物事を改善・発展させるためには、まずは現状分析すること。
これも然りです。
ダイエットもそうです。
鏡でしっかりと自分の贅肉を直視すること、体重計にのること、BMIを計算してみることなどをしなければ、モチベーションはなかなかアップしません。

頭では理解しているつもりでしたが、自分のことで実践するのには、時間が必要でしたね。




  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

N市立S小学校4年生からの質問と答えーその3-

2021年02月19日 | 先生に質問
Q) スーパーなどで見かける「タバコをすう部屋」がありますが、そこじゃない場所は安全なんですか? 

A) 「タバコをすう部屋(きつえん室)」を人が出たり入ったりするときに、タバコのけむりが外にもれるかもしれないので、近づかないでください。
じつは、そういうせまいところでタバコをすっている人たちは、同時に受動きつえんや3次きつえんもすることになり、よけいにきけんなのです。


Q) タバコをすっている人と何メートルくらい離れればだいじょうぶなんですか? 

A) タバコのけむりは広がりやすく、部屋のなかにいれば、いくら離れていてもすわされてしまいます。
家族にタバコをすっている人がいるならば、「自分と一緒にいる時はすわないでほしい」と、きちんとお願いしてください。
また、たとえ、目の前にすっている人がいなくても、タバコくさい部屋にずっといると、3次きつえんしてしまうことも忘れないでください。


Q) こんなに体に悪いのに、なぜ売られているのか?

A) 買う人がいるからです。


MEMO--------------------------------------------------------------------------
タバコを吸っている人からどのくらい離れていれば安心か?という質問をした子は、具体的に何メートルという数字を答えてほしいわけではありません。おそらく、家族にタバコを吸っている人がいるのでしょう。それで、受動喫煙のことが心配になり、こういう質問をしたのだと思います。

実は、親に対して気を使って、タバコをやめてほしい、吸わないでほしいと言えない子供は多いです。たとえ言えたとしても、それですぐに禁煙してくれるとは限りません。教室では「何度言ってもやめてくれないので、あきらめている」という声もよくきかれます。
この授業では、子供たちに「自分の身は自分で守る」ということも学んでもらいたいと思っています。

こういうとき、子供たちの気持ちになるべく寄り添ったフォローがしてあげられるのが、生の授業の良いところなんだよなあ・・・と、少しもどかしい気持ちになっています。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

N市S小4年生からの質問と答えーその2-

2021年02月18日 | 先生に質問
Q) タバコをずっとすっているにもかかわらず、長生きしている人はいるのですか?

A) たまにいますね。
でもそういう人も、いつも「すいたい、すいたい」と思いながら生活しなければいけないので、不自由な気持ちでいると思います。


Q) タバコをやめられる薬はいつから販売しているんですか?

A) ニコチンガムは2001年から、ニコチンパッチは2008年から、ドラッグストアなどで買えるようになりました。そのほかに飲み薬もありますが、お店で売っていない薬なので、禁煙外来のお医者さんにかかる必要があります。


Q) 家族がタバコをすうのをやめてくれない。どうしたらやめてくれるか?

A) まずは、「タバコの本当の話」をおうちの人にもしてあげてください。
それから、なぜやめてもらいたいのか、自分の気持ちをくわしく伝えましょう。
薬を使わずにタバコをやめるのは、とてもたいへんです。
お医者さんにかかったほうが、早く、安く、確実にやめられます。




  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

N市S小4年生からの質問と答えーその1-

2021年02月17日 | 先生に質問
コロナ禍のため、今年度は私が作成して学校に提供した資料を使って、学校の先生方が喫煙防止教室「タバコの本当の話」を行ってくださいました。
いくつかの学校から、授業後の子供たちの感想文が届き、例年通り、真実を知った驚きと感動にあふれた内容だったので、安心しています。

N市立S小学校から子供達の質問が数多く送られてきました。
良い授業が行われたときには、良い質問も発生します。
それをみなで共有し、一緒に考える機会は、学習内容をより深めることとなるので、とても大切だと思っています。

回答するときには、なぜそのような質問をしたのか?本当は何を知りたいのか?など、直接言葉には表されていない、質問の背後に隠れている子供たちの思いや気持ちを考えるようにしています。


Q)タバコに入っている有害物質のことをもっとくわしく知りたい。
Q) タバコのけむりの中に無害物質はありますか?

A) タバコのなかに入っている有害物質は、今わかっているだけでも、およそ270種類あります。
そのなかで特に知っていてほしいものは3つあります。
「ニコチン」、「一酸化炭素」、「タール」です。
これらをあわせて、「タバコの3大毒」といいます。

ニコチンのせいで、タバコをやめにくくなります。
一酸化炭素のせいで、息がきれたり、つかれやすくなったり、よく眠れなくなったりします。
タールは、がんをひきおこします。

タバコのけむりには、4000種類くらいの化学物質が入っていますが、ぜんぶくわしく調べられているわけではありません。
そのなかに、たとえ無害なものが入っていたとしても、タバコのけむりが有害であることに変わりはありません。


Q) タバコのけむりと火事のけむり、どちらも同じですか?

A) 燃えるものによって、けむりの種類は変わります。
一酸化炭素はどちらにもふくまれています。


Q) 害のないタバコはありますか?

A) ありません。


Q) 飲酒と喫煙で亡くなった人って、どれくらいいるのか?

A) たしかに、お酒を飲みすぎたり、タバコを長い間吸い続けたりすると、病気になりやすく、早死にします。けれども、人が病気で死ぬ場合、他にもいろいろな原因が関係することが多いので、かんたんにお酒のせいだとかタバコのせいだとか言うのは、むずかしいです。
厚生労働省の専門家が計算した結果を参考にすると、日本で、タバコが原因で病気になって亡くなったと思われる人は、1年間で20万人くらいです。
( 参考サイト http://www.health-net.or.jp/tobacco/risk/rs410000.html )


Q) 飲酒と喫煙は関係がありますか?

A) タバコも吸って、お酒もふだんからよく飲むという人は、いろいろな病気になりやすくなります。
私は医者として、タバコを吸う人には必ずきっぱりとタバコをやめるように言います。
お酒をよく飲むという人には、のみすぎに注意し、毎年きちんと健康診断を受けるようにと言っています。



  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

開発と排除

2019年05月17日 | 先生に質問
(T-C小4年)

≪質 問≫
タバコは危険なのに、どうして開発し続けるのですか?
こんなに危険なのに、なぜ排除(はいじょ)されないのでしょうか?

≪お返事≫
授業をよく聞いてくれたので、タバコがとても危険なものであることを理解できましたね。
でもざんねんながら、タバコの本当のことを知らずにいる人たちは、世の中にはまだまだたくさんいて、お金もうけのために新しい商品を開発し続けている人たちがいるのもじじつです。
わたしたちがまずやるべきことは、正しいことを知ることです。
そうすれば、かならずタバコをすう人のいない世界がじつげんするとしんじています。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする