きんえんSwitter

医者の心の目で日々を綴ります

カナダ政府のタバコ対策

2023年06月02日 | 広告
私は20年以上前から禁煙治療や喫煙防止教育に携わっています。
カナダ政府(Health Canada)はタバコパッケージの大胆で衝撃的な警告表示や、洗練された反タバコ広告などで、常に世界をリードしていて、私は一目置いてきました。

2003年にヘルシンキで開かれた「タバコか健康か世界会議」(World Conference on Tobacco or Health)では、看護師さん3人と一緒に行った研究を発表したのですが、その時、Health Canadaのブースを見つけ、「あなたたちの行っていることは素晴らしい!私はファンです」と、ブースにいたスタッフに思わず声をかけてしまいました(笑)

世界禁煙週間にあわせて、こんなニュースを見つけました。
タバコ1本1本に警告表示を入れることで、喫煙者の禁煙行動にどれだけ影響を与えられるかはわかりません。
おそらくこれは、タバコ会社にそういった労力や資金をつぎ込ませるというペナルティーを科すという意味合いのほうが大きいのではないかと推察します。

とにかく、喫煙者を減らすためには、あきらめずに次から次へと新しい対策を打ち出して、行動し続けるということが重要なのだと思います。

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ビール広告にふと思う

2022年03月22日 | 広告
「広告」というものに興味があります。

最初は美術的興味からだったと思います。

禁煙や喫煙防止教育の仕事をするようになってからは、興味は広告の戦略的手法へと広がっていきました。

人々の心をとらえる広告には、どのようなテクニックが使われているのか?
その具体的手法を知ることは、とても面白いです。
すると、少し離れた視点から広告を見られるようになるので、ウソや偽りのあるものに、簡単にはだまされづらくなるのではないかとも思います。


最近、ビールのテレビコマーシャルがとても多いなあと感じます。
きちんと統計をとったわけではないので、あくまでも主観ですが・・・

スーパーのお酒売り場の占める面積も、広くなっている気がします。

おそらく、コロナ禍で自宅飲みする人をターゲットにした販売戦略がとられるようになったからなのかもしれません。

私は飲酒の習慣はありませんが、こう毎日毎日、あらゆる手法を駆使した優れたCMを繰り返し見せられますと、「美味しいビールがあるなら飲んでみようかしらん?」なんてことが頭をよぎるようになって、そのことに内心ドキッとしています。

「繰り返し」は、広告効果をあげる基本的手法のひとつです。

辛抱強く繰り返せば、最初は興味がなくても、やがて関心を持つようになる人が出てきます。

また、人には、たとえ間違いやウソであっても、繰り返し見たり聞いたりすることで、信じてしまう傾向があることが知られています(真理の錯誤効果)。

戦時下のプロパガンダに用いられている手法のひとつです。

だまされないために大切なことは、巷の情報をうのみにせず、自分で調べ、学習する姿勢です。

垂れ流しメディアから少し距離を置き、時々頭を冷やすことも忘れずに。





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ネギとタバコ

2019年05月30日 | 広告
世の中に数あるタバコの勘違い話のひとつに、「軽いタバコ」というのがあります。

「ア☓☓スにしてましたが、半年くらいまえから、ほら、何て言うんでしたっけ? ああ、そうそう、プルーム☓☓☓にしました。軽くていいっていうんで・・・」


先日、禁煙外来にいらした方がおっしゃっていました。



タバコ規制枠組み条約のおかげで、マイルドとかライトといった名前をタバコにつけることは禁止されましたが、今また加熱式タバコで、盛んに軽さを売りにして宣伝しているんですね。


タバコの広告は、タバコ会社が自主規制を進めているようにみせて、実は「マナー広告」という形で巧妙に「マナーを守ればOK」と、人々に喫煙の存在価値を認めさせてきました。


最近、加熱式タバコが開発されてからは、今再び、様々な積極的販売促進広告が目立ちます。


「軽いっていうタバコって、どんなタバコだと思っているんですか?」


禁煙外来でも、顧客の市場調査は重要ですから、皆さんに伺います。

「農家でいらっしゃるなら、あれもタバコの葉が使われているのはご存知でしょう?」


「ええ、うちはネギ農家なんで、わかってます。ネギも根元の白いところと先の方の青いところじゃ栄養価が違うんですよ。タバコだって、葉っぱの茎に近い方と先の方とじゃ、成分に違いがあるんじゃないですかね?(笑)」


半分冗談、半分本気の笑い話です。

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タバコ規制枠組み条約とスポンサーシップ

2019年03月26日 | 広告
禁煙の仕事をするようになって、院外で人と会うことが多くなり、名刺を持つようになりました。

大学の教授先生や大病院の院長先生などは例外ですが、医者という職業人は名刺を持っていないという人はめずらしくありません。


初めてネット上の名刺会社で自分の名刺を作ってから、以来ずっと、デザインも10年以上変えないまま、追加注文しています。

可愛いデザインなので、既知の友人にも所望されることがあります(笑)


あるときラジオで、障がい者が描いた絵をデザインに取り込んで名刺を作っている会社があると知って、検索してサイトをのぞいたことがありました。

積極的支援でなくとも、フェアトレードみたいな形で自然に支援ができるならいいなと思い、いったん注文をしましたが、思い直して、作成・支払い前に注文をキャンセルしました。


サイトをよーくみてみたら、その団体を支援する数ある名の知られたスポンサー企業の中に、JTが名を連ねていたからです。



日本も批准しているWHOのタバコ規制枠組み条約(FCTC)というのがあるのをご存知でしょうか?

この条約のなかには、タバコ会社によるスポンサーシップの禁止がしっかりと組み込まれています。(※)


たとえば、自治体運営のなんとか大会とか、ましてや権威ある国体などで、JTがスポンサーになることはもちろんのこと、灰皿の提供を受けたりしたら、それは立派な条約違反にあたります。

大会運営の担当者の方々には絶対知っておいてほしい事項です。


また、タバコ会社から資金提供を受けている会社の商品を買ったり、サービスを受けるということは、タバコ会社の宣伝に加担することになります。

そんな理由で注文をキャンセルしたという次第です。

反旗を振りかざしながらの戦闘的反タバコ運動は、そういうのが好きで得意な人に任せたいですが、こういう静かな反タバコ行動もあるのです。

キャンセルの理由は訊かれませんでしたが、せっかくなら伝えればよかったとちょっと後悔。

あ、でも、自分の個人情報は名刺を見れば明らかなので、ひょっとしたらわざとやったと思われたかも・・・(笑)


FCTCについては、一般の方々はあまりご存知ないようなので、内容についてしっかりと広めていかなければいけないと思っています。

わが国は批准(国家による最終的確認と確定的同意)しているにも関わらず、条約に定められている内容に沿った国内での対策が遅々として進んでいないことに、私たちは疑問を投げかけ、異議を唱えるべきでしょう。



(※)たばこの規制に関する世界保健機関枠組み条約/外務省

https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/who/fctc.html

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タバコ広告

2018年06月04日 | 広告

広告会社の新入社員は、まず、タバコ広告を教材にして、広告学を勉強する・・・

そんな話を、昔どこかで聞いたことがあります。

なるほど、汚い、悪い、迷惑、麻薬といったイメージの商品を人々に売り込むのがタバコ広告ですから、そこには様々なテクニックが駆使されており、広報学を勉強するには良い教材なんですね。



今日、新たなJTの広告を目にしました。

写真は、爽やかな新緑をイメージした背景に、「tomorrow」と言う文字を持っている手がデザインされています。

この手の形は、いま、日本を中心に爆発的にシェアを広げている新型タバコを表しています。

キャッチコピーは「あしたは、研究から生まれる。」




新型タバコについては、あとで詳しく触れることにして、では、なぜこのようにタバコ会社は、新型タバコの開発にそれほどの情熱と時間とお金をかけるのでしょうか?

タバコ会社が薬や食品を売っているのをご存知でしょう?
けれど、まだしばらく、タバコを売るのはやめないでしょう。

なぜならタバコは、いったん顧客獲得すれば、顧客が死ぬまで毎日かかさず買い続けてくれるという、売る側にしてみれば夢のような商品だからです。

だから彼らは一生懸命「研究」し、タバコ離れを防ぎ、また、新たな顧客獲得のために、今でも莫大な投資をしているのです。


買い続ける理由は、賢明な皆さんだったらわかりますね?
ニコチンに強い依存性があるからですね。



くだんの広告をぜひ皆さんも見てみてください。

tomorrowという文字を持っている手が、子どもの手のように見えるのは、私だけでしょうか?









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