先日、ある新聞記事を見て、さまざまな気持ちがわきおこりました。
首相が他の議員からみずからの喫煙について質問され、「減らしている」と発言している・・・といった内容でした。
タバコをやめたいと思っているなら、減らしてはいけません。
減らせば減らすほど、すいたくなるからです。
たいていの喫煙者は、がんばれば本数を半分くらいには減らせます。
本数を減らしても、ふかーく吸いこんだり、きっちり根元まですったりすれば、ニコチン量はどうにか確保できるからです。
けれども、むしろ、本数をへらして一服一服をだいじに吸っているほうが、ニコチンおよび他の270種類ほどの有毒化学成分の血中濃度は高くなることがわかっています。
健康のために本数を減らしているつもりが、ざんねんながら全く逆効果、ということです。
もちろん喫煙の本質は「ニコチン依存症」ですから、がまんするとリバウンドをきたしたり、「やっぱりやめられない・・・」という現実に苛まれることになるのを、言われなくても、すでに喫煙者ご本人はきっとご存じだと思います。
全国版の有名大手新聞社が、いまだに「愛煙家」という誤解を招く言葉を使っていることにもガックリしました。
喫煙者は好きで吸っているわけではありません。
やめられないから、吸い続けているのです。
日本人の喫煙率は、やっと諸外国と肩を並べるまでに減ってきているというのに、国を司っているトップが喫煙者、いえ、ニコチン依存症を治療しないままであることに、タバコ対策の一端を担っている専門家として、まだまだ力足らずであることを自覚させられました。
総理、禁煙治療をすぐに受けてください。