きんえんSwitter

医者の心の目で日々を綴ります

ひみつだったこと

2020年09月10日 | 禁煙治療
今年の夏は、コロナの影響でドラマの撮影もままならず、枠を埋めるために昔放映された懐かしい番組が色々と再放送されていて、楽しんだ方も多いのではないでしょうか。

私の推しは「ビーチボーイズ」(1997年フジテレビ系)。

反町隆史さんと竹野内豊さんのダブル主演のトレンディードラマ。
17歳の広末涼子ちゃんが初々しいです。

もう20年以上も前の製作ですから、反町君と竹野内くんが当然のように喫煙するシーンが毎回みられ、気になります。

好みとしては断然、竹野内派ではあるのですが、昔から彼らはふたりとも私の「タバコを吸っている気になるあの人」のトップ5にリストアップされています。

アラフィフとなった彼らは、今でもタバコをまだ吸い続けているのでしょうか?

実は、ある日の新聞の切抜きを、自分の「タバコ関連記事ファイル」なるものに保存してあります。
今日は、本棚の整理をしていて、偶然その記事をまた目にしました。

2002年4月1日の朝日新聞。
「ひみつ」という題名がついているインタビュー記事です。

NHK大河ドラマ「利家とまつ」で織田信長を演じた反町隆志さんが健診をきっかけにタバコをやめようとしているといった内容が書かれてあります。
「吸いすぎ」と注意されて、禁煙補助薬を使いながら節煙したのだそうです。

うーん残念!
「節煙は禁煙の失敗のもと」なのです。

でも、ひみつを打ち明けていることは、かなり彼のやる気を表しているといえます。
実際に「ゼロはしんどいですね。でも、やりますよ」とおっしゃっていますから。
正しい方法を身につければ、禁煙成功率はかなりアップします。


まっ黒に日焼けしたビーチボーイを演じた彼が、実は泳げないというのには驚きましたが、幅広くアウトドアスポーツを楽しむ方であることが記事には書かれてあります。

奥様はご存知、松嶋菜々子さん。
きっとご家族一緒にアクティブライフを楽しんでいらっしゃるに違いありません。

きれいな空気と幸せをいっぱい吸い込んで、今後もますますのご活躍を期待しています!









イリュージョン

2020年07月11日 | 禁煙治療
たまには、禁煙関連のお話をしましょう。


食事がのどを通らなくなったので病院を受診して、食道がんと診断された患者さんが、禁煙外来に通ってきていました。
 
水も飲めないということで、入院して点滴をしながら、放射線治療開始。
「そんな状況では、もう、タバコ吸ってるどころじゃないでしょう?」と、タバコを吸わない方は思うかもしれませんね。

でも、「こんな状況でも」、吸いたい気持ちがないわけではありません。
依存症という病気の恐ろしいところです。
 
ですから、きちんと依存症について説明して、ニコチンパッチを使っていただきます。
タバコのことなんかにとらわれずに、少しでも気持ちを楽にして、自分をケアし、がん治療に専念していただきたいという思いがあるからです。
 
自己流でがんばってタバコをやめようとすると、やめられないことが多く、リバウンドがきたりもします。
まずは、「喫煙=ニコチン依存症という病気」と認識することが大切です。

それでもわかりにくい場合は、たとえば、「がん」という病気に置き換えてタバコのことを考えると、どうすべきかが理解しやすいかもしれません。
 
もしも「がん」などの病気であると診断されたら、みな「いい医者」を求めて、専門医にかかりますね。
そうすれば、医者はしっかりとエビデンスのある標準的治療を紹介し、個人の状況に合わせて、治療について相談にのってくれるはずです。
必要であれば、つらい症状を緩和する治療も施してくれます。
 
けれど、自己流でどうにか治そうとすると、長い間つらい思いをしなくてはならないし、一時的には良くなったような気がしても、結局よけいに悪化させてしまったり、完治せずに再発したりという状況になりかねません。
 
タバコも同じなんです。

禁煙を病気の治療として、シンプル、素直に受け入れてもらうには、どうしたらいいか?
長年取り組んできた課題です。


 
さて、ニコチンパッチも使い、放射線治療も順調に進んで、一時は胸焼けの症状に悩まされていたようですが、どうにかお粥などの食事がとれるようになった前述の患者さん。
顔色もよく、少しふっくらと健康そうな表情になりました。
ニコチンパッチも予定どおり終了。
 
「胸焼けはなくなったんですけど、でも、まだ少しづつじゃないと食べられないんです」
 
カルテで胃カメラの写真を確認してみると、がんや放射線による炎症はおさまっていて、食道の粘膜はきれいですが、胃の入り口の上あたりが狭いままになっています。
 
「タバコ吸ったら、ご飯をごっくんと食べても、スーッと胃の中に入っていくんじゃないかなと思うんです」
 
依存症の怖さを本当に思い知るのは、こういうときです。
そして、医師がきちんと説明、指導すべきは、まさに今である、とも思うのです。
 

タバコを吸えば、ニコチンのせいで血流が悪くなり、ますます内臓の働きは悪くなります。
そして、せっかくよくなりかけてきた食道の粘膜は、タバコ煙のさまざまな化学物質によって、再び火傷を負ったようにただれてしまうでしょう。
 
日本人のヘルスリテラシーはまだまだ低いなあと実感する日々です。
いいえ、嘆いてばかりではいけません。
 
患者さんは、とにかくつらいのです。
バクバク、ゴックンと、ご飯を食べたいのです。
病気になる前の自分、タバコを気持ちよく吸っていた頃の自分に戻りたいのです。
 
だから、ひょっとしたら、タバコを吸えば・・・といった、誤ったイリュージョン(幻想)を抱いてしまっているのです。



タバコがやめられる魔法の言葉を教えてくださいと、医療者の研修会などで言われることがあります。

でも、長年、禁煙治療に携わってきたいま、思うのです。
魔法はかけることより、解くことのほうが難しいと。



気になるあの人

2020年06月08日 | 禁煙治療

NHK BSプレミアムの「にっぽん縦断こころ旅」という番組をご覧になったことがありますでしょうか?

こころ旅ブログ

俳優の火野正平さんが、全国の視聴者から寄せられた思い出の地を、自転車で巡るという番組です。
火野さんが乗っているのはロードバイクで、かなりな距離を走っているようですが、ピチピチのサイクリストウェアではなく、ゆるゆるな独特のファッションなところが、個人的にはいいなと思っています。
また、手紙を読むときの老眼鏡が素敵なところも要チェックポイントです。

じつは最近、番組を見ていて気になっていることがあります。
火野さん、登り坂がすごくきつそうなのです。

「たすけてー」とか、「はー、しんどい」とか言いながら自転車をこぐ火野さんに、同行している若いスタッフたちが「休みますか?」と声をかける場面がたいていあります。

おいくつなのだろうと調べてみたら、71歳だそうです。
そういう年齢をきけば、登り坂がきついのはあたりまえでしょ?と誰もが思われるでしょう。

でも、私はそういう場面ではいつもきまって「だからタバコやめればいいのに」とテレビに向かって独り言をつぶやいています。

50年も吸ってきたのに、いまさらやめたって・・・と言われそうですね。

たしかに、いまさらやめても、どうにもならないことはあります。
たとえば、これまでに灰となって消えたタバコ代・・・

でも、タバコをやめたあとの「息のしやすさ」は、何歳になってもかなり期待できる禁煙効果のひとつです。

禁煙外来に通院中、「肺って、こんなにも空気が入るんですね!」と感動していた方もいらっしゃいました。
毎日のジョギングで、その効果を実感される方もいらっしゃいます。
ちょっとした駅の階段で、息切れ度合いが変わったことに気づく方もいらっしゃいます。

番組のなかで、お昼御飯休憩のときには必ずタバコを吸っている火野さんの姿を見るにつけ、私はいてもたってもいられない気分になります。

ぜひぜひ火野さんにはタバコをやめていただき、まだまだ元気に全国を走り回っていただきたいです。
もちろん、もしも新型コロナに感染すれば、肺炎が重症化して死んでしまう確率はかなり高いですから、くれぐれも気をつけてほしいことは言うまでもありません。







 


峠越え

2020年06月05日 | 禁煙治療
禁煙していく際、気をつけたい峠がいくつかあります。

さあ、禁煙を始めてみたみなさん、3時間めくらいに来る最初の峠は、無事越えられましたでしょうか?

喫煙で吸収された血中のニコチンは、1時間もすると半減しています。
えっ、そんなに速く?!と驚かれる方が多いのですが、皆さんは実感しているはずです。

そろそろ休憩しようかな···
コーヒーが飲みたくなったな···
なんだか落ち着かないな···
手持ちぶさただなあ···
いつもながらに腹のたつ奴だな···
暇だなあ···

こんなふうにつぶやきながら、喫煙所に行ったり、タバコに手をのばしたりしていませんか?

実はホントのところ、「ニコチンが減ってますよ。補給のお時間ですよー」と脳が信号を出しているのです。


自分は半日くらい吸わなくても大丈夫ですという方も中にはいらっしゃいますよね。
あるいは、休日はほとんど吸いませんという方や、その逆という方も。

そうです!
吸わずにいられるときの自分を分析してみれば、無事に峠越えするためのヒントが見つかるかもしれませんね!










歯と口の健康週間も始まりました

2020年06月04日 | 禁煙治療
世界禁煙週間中です。

やってみましたか?

ただガマンするだけのやめかたは、おすすめしません。
禁煙補助薬を使うのと使わないのとでは、ストレス度合いが全く違います。
楽にやめた方が、禁煙は継続しやすいです。
ガマンが必要、つらい、苦しいダイエット法がうまくいかないのと同じです。

禁煙のつらさは「タバコが吸えないこと」ではありません。
ああ、吸いたい・・・と、「タバコ吸いたさに襲われること」です。
お薬は、その吸いたいきもちを減らしてくれます。

でも、薬を使って成功している人でも、ちょっと注意が必要な「峠」がいくつかあります。
最初の峠は、禁煙開始後の3時間目くらいにやってきます。
この峠はちょっときつめですが、歩き始めたばかりですから、「がんばるぞ」というエネルギーでもって乗り越えましょう。

早寝早起きを心がけてください。
夜更かしは吸いたさを増します。
夕食を食べ終わったらさっさと皿を洗い、歯をいままでよりも念入りに磨きましょう。

今日から「歯と口の健康週間」です。
「虫歯予防デー」というほうがピンとくる方、いらっしゃいますよね?

喫煙は歯周病のリスクを高めます。
小学校で子どもたちのハグキを見せてもらうと、きれいな赤やピンク色でない子がいて、訊くと、家庭内受動喫煙をしている子が多いです。



やってみよう!

2020年05月31日 | 禁煙治療
前代未聞の長い長い春休みが明けようとしています。

5月31日。
最後の日曜日。
夜が明けました。
ベランダのクチナシが開花しました。
今年初めて、カッコウの鳴き声が聞こえています!


今日はどんな一日になるのでしょう?
山積みの宿題が終わっていることが確認できたら、子どもたちにねぎらいの言葉をかけてあげてください。

親のほうも、ねぎらってもらいたいですね。
ご褒美に、家族一緒になにか美味しいものを作って食べましょうか。


もしもまだタバコを吸っているのなら、2020年5月31日を歴史的記念日にしてみませんか?

どんなふうに?

簡単です!

タバコを思いきってゴミ箱に捨ててください。
加熱式タバコを使っているなら、充電器も危険物として思いきって捨ててしまってください。

そしてコップ一杯の水をゆっくりと飲み、ドラッグストアへ行きましょう。
店内に入ったらまず、店員さん(薬剤師さんならベスト)に、「禁煙用のパッチが欲しい」と言ってください。

大小2種類のサイズがあります。
初めて使うなら大きいサイズを勧められます。
買ったらその場でハサミを借りて、すぐに貼ってください。
どこに貼ってもかまいません。

さあ、だまされたと思って、やってみましょう!








孤独ですか?

2020年04月19日 | 禁煙治療
今朝は昨日とはうってかわって、青空日曜日です。

早朝にコンビニへ新聞を買いに行き、そのまま近くの公園を散歩するのが日課になりつつある今日この頃です。

朝日をあびながら、落ちている松ぼっくりをサッカーボールにみたて、ドリブルのまねごとなどしつつ、誰もいない公園でのひとときを楽しみます。

飼い犬いません。
人間のパートナーもいません。

半年前までは持病が悪化して鎮痛剤を常用し、杖歩行していました。

それが、朝早起きして散歩を楽しむようになるなんて···

自分でもちょっとびっくりです。


人との接触を避けなければいけないということにストレスや孤独を感じている方も多いことでしょう。

とくに予定のないふだんの週末···というのとは違いますものね。


目に見えないウィルスが脅威の対象であることや、自粛という形で自由を奪われていること、いつまで続くのか先が見えない状況···
精神的苦痛が大きいです。
震災のときとは少し違います。

しかも、その気持ちをお互い分かち合おうにも、集まるな、くっつくな、しゃべるな、家から出るな、ですものね。


窮地に立たされたときは、発想の転換が役に立つことがあります。


こんな非日常は、言うなれば、人生において貴重な体験をしているととらえることができます。

ですから、たとえば、これまでの自分だったらやろうともしなかったことをやってみる、というのもいいかもしれません。


がんセンターの禁煙外来の案内ページから、当ブログをご覧になってくださっている方へ。

諸般の事情で、ただいま外来をお休みしております。

がんセンターでは、免疫力の低下している患者さんも多く、現況では、従来の形での禁煙外来診療は、患者さんや職員の安全が確保できません。

ですが、当ブログは、吸っている方々のやめたい気持ちや、吸っている人にやめてもらいたいと思っている方々の気持ちに寄り添いながら支援することを基本的姿勢としております。

孤独な時間は人を成長させると思いたいです。
たとえいま孤独を感じているとしても、孤立無援ではないことを願っています。


毎日有煙想

2018年09月12日 | 禁煙治療
「以心伝心」という言葉がありますが、日本人はこの「言わなくてもわかる」というのが好きですね。

特に近しい人との関係においては、信頼・親密の深さの尺度のように扱われているようにも思います。


けれども、あえて言葉にすることが大切な時があります。

たとえば、なかなか理解に苦しむ心情に向かい合わねばならないとき。


そんなときは、苦しみながらでも、どうにかして言葉で表現するように努めてみる。

そうすると、複雑に絡み合った糸の塊がだんだんと解きほぐれ、本質的な部分が見えてきて、理解できない苦しみから解放されるということもあります。




依存症は、心とからだの両方の症状が複雑に絡み合って表現される病気ではないかと思います。

ですから、禁煙治療には、この心の症状の改善のために、言葉という道具を上手に扱うことが重要な鍵になってきます。



以前、中国出身の女性が禁煙外来にいらっしゃったことがあります。

ほとんど日本語が話せず、通訳をしてくれる人もいなくて、私は大げさなジェスチャーと漢字の筆談で彼女とコミュニケーションをはかりました。

もちろん禁煙補助薬も使いました。

3回目くらいの外来で、彼女はつらそうな顔をしながら、「毎日有煙想」と紙に書いてよこしました。



禁煙のつらさは「タバコが吸えないこと」ではなく、「タバコ吸いたさに襲われること」であることは、万国共通なのです。

しかしその吸いたさも、薬を使いながら、日常生活のちょっとした工夫をすることで、だんだんと「吸いたい」から「吸っていたことを思い出す」程度に緩和されていくものなのです。
もちろんその間、周囲の優しい支えとアドバイスがあれば、おおいな手助けにもなります。


そういう話を含めたアドバイスが、つまりカウンセリングが、言葉が通じる相手にならとても効果的なのですが、外国人の彼女には充分理解していただくことができず、結局そのとき彼女は、禁煙しきれませんでした。


苦い思い出です。







イワシのアタマの少し深い話を

2018年08月31日 | 禁煙治療
「どんな方法でも、結局のところタバコは吸いさえしなければよいのだ」と「イワシのアタマ」のところで書きましたが、もう少し説明を付け足しておいたほうがよいかもしれないなと思いました。


タバコ煙には何百種類もの有害な化学物質が含まれています。
ですから、健康でありたいなら、喫煙はしないに限ります。
喫煙をせず、さらに受動喫煙もしなければ、がんを始めとした様々な病気になるリスクは、だんぜん減ります。


ですから、禁煙というのは、まずはとにかくタバコを吸わないでいることを目指します。
あたりまえといえばあたりまえですね。


ところが、専門的立場から少し深い話をすると、これはちょっと違います。

「喫煙者がタバコを吸わないでいること」はイコール「禁煙」ではないのです。


なぜなら・・・

喫煙の本質はニコチン依存症という病気です。
ニコチンの依存性は覚醒剤と同等、あるいはそれ以上ともいわれています。

たとえ禁煙を始めて、タバコを実際には吸っていないとしても、この「吸いたい」という欲求があるうちは、ニコチン依存症という病気が完全に治ったとはいえないのです。

禁煙治療は、「吸わずにいる」だけではなく、「タバコを必要としない自分に戻る」までをゴールに想定します。



ですから、例のイワシのオジサンは「自分にはもうタバコは必要ないのさ!」というステージにあがっていらっしゃるのがわかったので、OKとしたわけです。


それに対して「吸ってません。でも吸いたいです」と言う人はまだまだ心配ですから、しっかりと治療を続けることをお勧めしています。



このように、喫煙を薬物依存症としてとらえることは、とても重要なことなのですが、まだまだ正しく理解されていない気がします。

タバコをただ単に"身体的"健康を害する毒物というとらえ方しかしていないと、「吸いすぎなければいい」という間違った考えをしてしまいがちです。

実は学会などで見聞きしていると、新型タバコについて、「Harm Reduction」などという言葉を用いて「紙巻タバコよりはマシ」と肯定している医師もいるくらいです(その科学的根拠はありません)。


ぜひ、『禁煙は依存症という病の治療である』との認識をお願いします。












イワシのアタマ

2018年08月22日 | 禁煙治療
ニコチンパッチを御守りのようにしている人もいれば、まったくそうでない人もいます。



「イワシのアタマと同じだね!」


禁煙治療半ば、使っているパッチのことをこんな風に言い飛ばした人がいました。

焼いた鰯の頭と柊の枝で作った節分の魔除け飾りがすぐ思い浮かびました。


もちろん、「禁煙したい」という気持ちを持つことは大切ですが、いくら強い意思を持っていても、なかなかやめられないのがタバコ。
だからこそ、禁煙補助薬の使用をお勧めして、実際に使ってもらったわけなのですが・・・


「そもそも禁煙なんてのは、結局は自分の強い意思があればできるものなのさ!」


自信満々に話す患者さんを前にして、私は心の中で「禁煙補助薬の適切な使用と経験豊富な専門医によるカウンセリングのおかげだと思うなあ・・・」とつぶやいていました。

でも患者さんには「禁煙できて、ほんとによかったですわ!」と笑顔で返しました。



医者ってのは人から感謝される仕事だと思われがちですが、実際はそうでもありません。

特に私のように慢性病を担当している内科医たちは、病気を治すというより、病気予防のために正しい生活習慣を指導したり、病状が今より悪くならないように、血圧や血糖をコントロールしたりといったことが主な仕事になります。

ですから、たいてい患者さんはその治療効果をあまり実感できません。

とうぜん、治らない病気を相手にしているわけですから、最期を看取るのも私たちの大事な役割なわけで・・・


そんなことでずっとやってきましたから、感謝されないのには慣れてるんです(笑)


それにここで大事なのは、「タバコを吸わないこと」ですから。
究極的には、どんな方法ででも、タバコを吸わない日々をすごしていただけていればいいんです。



でも、「魔除け」も結局は「御守り」ですね。