TWP これ…、何回目のブログです?

まぁ長続きしないんです。アウトドアと酒とサバゲとカスタムドールとイラスト。「めいんてなんす」再開しますた。

オカルト小噺 「ピンジ」

2011-08-31 00:47:15 | オカルト
【ピンジ】

満州から引き揚げて、新潟に居を構えたおいらの母方のじいちゃんは、犬を飼いはじめた。
終戦後の混乱はいまだに尾をひいていた。
特に日本海に面している新潟辺りでは、他にも大陸から色んな人々が上陸しており、治安は決して良い方ではなかったという。
家族が住んでいた家の近くにも、それらの人達の集落が出来上がっている。
当然、番犬としての役割もあって飼いはじめたのだ。
雑種の仔犬の名前はピンジと命名された。
当時の写真を見せて貰った。誰が付けた名前か、おいらははっきり聞いてない。
伯母さん、お袋、小母さんの三人で可愛がっていたそうだ。引き揚げて来て、恐らくは始めてのペットと言うか、家族の一員が増えたと、みんなで大切に育てた。

何年か経ったある日、ピンジがいなくなった。じいちゃん含めて家族全員で探して廻った。
だが、見つからなかった。
数日して、もう見つからないのかと諦めかけていた、ある日。

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お袋達三人の姉妹が歩いていると、畦道の向こうに、誰のものか判らないスコップが転がっているのを、小母さんが見つけた。
その先に何か載っているのが見えたという。
小母さんは小走りに、何か確かめに行った。

ギャーーーーー!
という小母さんの声が聞こえた。
ピンジーーーー!
スコップの先に載っていたのは、犬の頭。
間違いなくピンジだった。
小母さんが取り落としたスコップから転がり落ちたその首は、きゃんと一言、哀しそうに鳴いたという。
三姉妹は泣きながら、そのスコップでピンジの頭を埋めた。

あいつらは犬を喰う。
人のウチの飼い犬でも平気で盗んで喰う。
じいちゃんは、そういうこともあって、今でもあの国の連中を許さないのだ…と、
後年、お袋から聞いたことがある。

-終-

M14 SOCOM/RIS

2011-08-29 23:17:52 | サバゲ


米軍での制式名は"United States Rifle, 7.62 mm, M14,"

第二次世界大戦・朝鮮戦争で使われたM1ガーランドの改良型として開発され、ベトナム戦争に投入されたが、重い、長い、高温多湿のベトナムではウッドのストックが腐るなどの理由により、より軽量で口径の小さいM16に取って変わられた。しかし、7.62mmということで有効射程が長く、長距離射撃に向くため、海兵隊や特殊部隊を中心に狙撃銃などとしてこれを使い続ける部隊もある。狙撃兵などの特殊兵科、さらには各紛争地で活躍する民間軍事会社(PMC)のオペレーターなど、プロ嗜好の強い銃であることでも有名である。

長いM14の短縮バージョンがSOCOMと呼ばれるセミオートのみの民間型。wikiによれば「元の銃は上記の通り長く取り回しにくいが、7.62mm弾の威力を至近距離で使用するため、銃身を切りつめ取り回しやすくして限定条件下での使用に特化した、特殊用途向けをイメージしてごく最近になって追加されたモデルである。SOCOMと呼ばれる特殊部隊であたかも使用、運用されていることを連想させる名称であり、メーカーの営業戦略上の命名であることを強く感じさせる。」とあり、部隊としてのSOCOM御用達ではない様だ。

写真はバレルを短くして銃口をZMハイダーに換装したモデル。フロントにはRISとバイポッドアダプタを装備してある。
○イのトイガンとしては素直な弾道、セミオート時のトリガーのキレ、命中精度など1・2を争う出来。

これはいい銃です。


The Pacific

2011-08-28 16:41:24 | 日記
ようやくTSUTAYAに入ったので、一気に観た。

全体の構成はバンド・オブ・ブラザーズと同じ。ペリリュー戦はまんまプライベート・ライアンのオマハ・ビーチ。
お得意の至近弾受けて「耳がキーン」描写もあります。15分で終わらずにあれが延々続く感覚は良いね。流石1億5000万$かけただけある。
しかし、トムハンクス先生は、もうこんな感じの社会派しかプロデュースしないのかな?

夜襲が得意な日本軍を相手するので、夜戦描写が全体に多い。どこかで観たと思ったら、ボトムズ・クメン編の「アッセンブルEX-10」中の夜間戦闘シーンに近い感じがしまそ。

日本兵がみんな筋骨隆々でマッチョ過ぎ。消耗戦の果てで、あれは無いでしょう。
一式戦車強すぎ。シャーマン前面装甲薄すぎ。

沖縄戦でのダイナマイト母さんもやりすぎでしたね。

金歯ハンターのスナフ伍長がいい味出してました。ああいうキャラは安心して観れます。

あと、ベッドシーン多すぎ。子供と観れないじゃん。

CA870 カスタム

2011-08-27 07:38:39 | サバゲ


○善が昔から発売しているレミントンM870の金型をベースにしたエアコッキングショットガンです。
同社にはAPS-2という精密射撃用のライフルシリーズがありますが、「その機関部にショットガンの皮を被せた」と考えた方が解りやすい。

つまり、銃としての構造はショットガンではなく、ライフルです。バレル下のショットシェルチューブは空で、本来のシェルの排莢口に40発ボックスマガジンを突っ込むというトンデモな外観。
気になる方には、下に長く出ない短めのマガジンが別売されています。
機関部がAPS-2なので、トリガーフィーリングは非常に良好。スパッとシアが落ちます。また内部構造が単純で弄りやすく、銃本体の価格もそれほどお高くない。ちょっとした改造でスナイピングレベルまで持っていけます。

写真は固定ホップのソウドオフを可変にし、アングスのアッパーレイル+G&Pのテレスコストックを装着したもの。
ホップの効きが今ひとつなので、今度パッキンを換えてみる予定。

Beretta M92F

2011-08-27 00:44:33 | サバゲ


イタリアのピエトロ・ベレッタ社が生産・販売している自動拳銃。15+1発装弾。
アメリカ軍のガバメントに継ぐ正式拳銃(米国形式M9)の座を射止めてから、一気に人気が沸騰しました。
香港ノアールのチョウ・ユンファも愛用してます。
実銃は9mmパラベラム弾仕様。ベガスでこの改良型のバーテックを撃ったことがありますが、適度なリコイルとコントローラブルなグリップで、十分にこなれた感じです(リコイルショックは10mm仕様のガバには敵いませんでしたが)。

写真は○イガスブロのM9。ステンレス製のショートアウターに換装したもの。
マガジンキャッチボタン・スライドストップは別物に換えてあります。グリップはアメリカで買った本場ホーグのラバグリ。若干スライドが重く、夏場以外では使えません。

○イのガスブロの中でも最も古いタイプなので、今ではいろいろと不満な点も散見しますが、安定して撃てて、命中精度も高いことを当時にも具現化した○イは流石というところ。

オカルト小噺 「紅月の鬼」

2011-08-24 19:51:09 | オカルト

【紅月の鬼】

今はもう亡くなってしまったばあちゃんの話。

終戦後、中国から内地に引き上げて来て、新潟に居を構えた母方の祖父母だ。
じいちゃんはなんとか仕事に復帰し、家族はようやく何もないところから人並みの暮らしで再出発ができようとしていた当時のこと。
じいちゃんの帰りはいつも遅かった。

夕暮れ、お袋の妹(おいらにとっては小母さん)が熱を出して寝込んでた。たぶん風邪をこじらせたらしい。
なかなか熱が下がらず、苦しい息で布団のなか喘いでいる。

風通しを良くしようと、それぞれ東・南・北に向いた障子窓をすこしづつ開けておいたという。
東向きの障子窓の隙間からは、昇りはじめた紅黒い満月が大きく顔を覗かせていた。
月明かりを受けた赤暗い部屋のなかで、ばあちゃん、伯母さん、お袋は三人揃って小母さんの看病をしてた。

障子窓から、風がひゅうと吹き込んできたのに気づいた伯母さんが、それを閉めようと東向きの障子に手をかけたとき、外に何かを見た。

なんだろ?

向こうの畦道から、提灯の明かりが近付いてくる。
紅い月明かりの逆光で、誰だかは判らない。
目を凝らすと、何かをずるずると引きずっていることに気づいた。


「お母さん!お父さんが帰ってきたよ!」
小母さんの氷嚢を変えながら、ばあちゃんがいう。
「お父さんはそっちの道からは帰ってこないよ」

「じゃあ、あれはだれ?」
提灯の明かりは、次第に近づいてくる。そしてその速度が速くなってきた。
こちらに走って来ているのだ。
ずるずるずる!ずるずるずる!ずるずるずる!引きずる音も大きくなる。

お袋も、この音に反応して不安そうに叫んだ。
「お父さんは、出る時、こんな音のする荷物持っていかなかったよ!」

おばあちゃんはとっさに、障子窓に飛びつき、横で動けないでいる伯母さんに叫んだ。
「●子(伯母さんの名前)!早くそれを閉めなさい!」
ぴしゃり… 言われるまま障子を閉めた、その途端、

バァアアン!

すごい音がして、閉めたばかりの障子戸が大きく歪んだ。障子紙が吹き飛んだ。
まだ身体の小さかった伯母さんは、後ろにのけぞって尻もちをついてしまった。

ゴロ…ゴロゴロ…ゴリゴリゴリ!
次いで、漆喰の外壁を削り取るような音が、向って右手の壁の向こう側を、南へと移動し始めた。

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その先には南向きの別の障子窓がある。
今度はばあちゃんが、転がるようにその窓にとりついて、しっかりと身体で抑え込んだ。
ゴリゴリという音はそこを通り過ぎ、西側に回り込んでくる。
その先はもう一つの部屋に続く、西向きの引き戸だった。

「○○(お袋の名前)!そっちの戸をしっかり閉めなさい!」
必死に戸を押さえつけるお袋のすぐ向こうを、ゴリゴリが通り過ぎる。
その先には北向きの窓があった。

「お母さん!」
「●子!北向きの窓を閉めなさい!」

伯母さんは泣きながら北向きの窓を抑え込んだ。
間一髪、その向こうをゴリゴリが通り過ぎた。

ゴリゴリは、とうとう家の周りを一周して、北の窓から再び、東向きの最初の障子窓にやって来ようとしている。
だが、三方を三人で守っているため、窓を守れる人はもういない。

部屋の真ん中では、小母さんの喘ぎがひどくなってきた。

障子紙も破れてる。
その向こうに、血のように紅い、大きい満月がこちらを向いていた。
表面のあばたが、意地悪そうに笑っているように見えたという。

「お母さん!」
「それを見るんじゃない!」
それぞれに南・西・北を守っていた三人は、しかし東向きの破れた障子窓から目をそらすことができなかった。

障子紙が破れたその格子の向こうに、金棒を振り上げた影がこちらを見ていた。

赤い鬼だった。

3人はそのまま気絶した。


朝、目を覚ますと、3人は真ん中に小母さんを置いたまま、3方向の窓や戸を掴んだまま倒れていたという。
おじいちゃんが朝方に帰ってきたとき、自分の家の壁に横向きに何かを擦ったような深い傷がついていて、びっくりしたそうだ。
それ以降、おじいちゃんはなるべく早めに仕事を切り上げて帰ってくるようになった。

幸いなことに、小母さんの風邪は、そのまま次第に完治したそうだ。

-終-

SIG P228

2011-08-24 00:34:06 | サバゲ


スイスの企業シグホールディング(SIG Holding )及びその傘下企業グループ。同社の設立当初の社名はSchweizerische Industrie-Gesellshaft(独)であり、その略称としてSIGが使用されていたが、2001年に現在の社名に改称した。
1853年に鉄道の客車製造業として創業。その後、業務拡大により機械製造、武器製造も手がけたが、2000年に包装機械事業への集中を決定し、関連外の事業の大半を売却。現在は銃器を作っている訳ではなさそう。

P228は、P226を小型軽量化したモデルとして1989年にリリース。
このP228は小型軽量化に伴いP226よりも安価になった。それに加え装弾数が13発+1発と多めな事から、アメリカ軍では「M11」の名称で制式採用されている他、イギリス軍でも長年使用されたハイパワーに代わって採用され、国土安全保障省 (DHS) 、FBI、DEA、アメリカ空軍特別捜査室(OSI)と言った捜査機関でも使用されており、
ジャック・バウアーやスカリーが使用。
また、その他フランス国家憲兵隊の特殊部隊であるGIGN、ドイツの特殊部隊であるドイツ地方警察特別出動コマンド、イスラエル陸軍、日本警察の特殊部隊(SAT) 、海上保安庁特殊警備隊 (SST)、千葉県警等の「スカイ/エアマーシャル」 のハンドガンとしても正式に採用され、P226との競争で勝利したベレッタM92に対するリベンジを果たした。
実銃は9mmパラベラム弾仕様。
(もろもろwikiより引用)

ついさっき○イのP226E2を思わずポチッてしまいました。
たまらなく好きな銃。
ガタイのでかい226よりも228がイイネ!





M4 DIABLO

2011-08-23 00:05:58 | サバゲ


メタフレM4の第二弾。
アイダホ州に本拠地を置く米政府認可の銃器メーカーPrimaryWeaponsSystem社の7.0インチM16・AR15シリーズ・アッパーアッセンブリーへの最終回答がPWS DIABLO。

実銃のM4では極端にバレルを切り詰めると命中精度が著しく低下し 反動の増加によりコントロールが困難になる為、それを解消する為の商品が 数多く開発されていますが、そのなかでも高い評価を受けているのが 同社のDIABLOシリーズ。短くても命中精度を高める為に特徴的なフラッシュハイダーが設計されています。

7インチ銃身の場合、作動システムに作動源となる発射ガスを十分に送り込むブースターとしての役割を持ち、また、このコンペンセンターは、反動軽減、銃口からの発射炎やガスを前方へと飛ばし、CQBの際に横にいるオペレーターに障害にならないようなデザイン。

以上、いろいろなサイトからの受け売りでした。
確かにフラッシュハイダーの形は他に無い、骨っぽい感じ。
アングルグリップで前を少し隠してる。

SS9000

2011-08-19 22:22:50 | サバゲ


名銃SS9000。
バレル・チャンバー・シリンダ・フレームすべて換装してあるので、元々の部品はマガジンのみ。
一時期凶悪スプリング入れていましたが、今では大人しいものです。

ブレブラの可変ホップ組み込みたいが、カートレスチャンバ対応なので、もう部品が…。

SⅡSのTXR買うか?

GLOCK 26C

2011-08-17 22:52:38 | サバゲ


Glock17のコンパクトバージョンの19、更にコンパクトにして26。
それをセミ/フルセレクティブファイアにしてc。

実銃には無いモデルです(流石にね)。
フレームをプレミアグリーンに換装。スライドはry。
これといった理由はないけど、可哀想に、あんまり使ってやってないね。

AK74U クリンコフ

2011-08-16 12:39:07 | サバゲ


今は無きビンラディン氏が、傍らに大事そうに抱えていたので有名になりましたね。
もともとロシアの空挺師団用にコンパクトにした、AK74の派生型です。

PMCや特殊部隊用に、ゴチャゴチャ付けるのが好きなおいらですが、こればっかりはどノーマル。
ウッドのハンドガードに換えた以外は、オープンサイトですね。

軽くて良いが、セミオート時のトリガーの遠さが玉にキズ。アールもきつくて指が痛くなります。
アウトドア戦でこれ一丁で「ウラー!」と叫びながら玉砕するのがよくあるパターンでおシャレ。

PATRIOT Pistol

2011-08-15 19:02:53 | サバゲ


実銃はピストルとは言うけど、れっきとした5.56mmライフル弾を撃てるM16の派生。
PDIのコンバージョンキットと、余っていたM4のメカボ+上下フレームでサックリ完成。
電動が使えるレギュレーションのインドアでは、ショットガン・PDWと並んで良く使う。

バッテリスペースの関係で後ろのバッファチューブが実銃より太いのが…。
配線前側にしてPECでも付けようか。

AK47 PMC/KREBS カスタム

2011-08-15 09:54:40 | サバゲ


お中華CYMAの電動ライフル。
割と素直な弾道で、よく当たる方。バレルショート化+クレーンストック化の後、セレクタをPMC用の切りかきに換えて、マグウェルプレート追加。AIMコンプ載せた感じ。

KREBS純正のトップレールが欲しいところ。HUMMERさん、安売りしないかな?

オカルト小噺 「カクシュ」

2011-08-14 14:10:31 | オカルト


【カクシュ】

友人が以前、日本酒の酒蔵に見学に行ったとき、そこの杜氏さんが教えてくれたという話。
見学の後、旅館で宴会をし、そのまま二次会に入って、部屋で呑み続けるのが普通の流れだという。いつもは杜氏さんは一次会でお帰りになってしまうのが常だった。
あの仕事は朝早いから。
だが、今回出席された、そのかなりお歳を召した杜氏さんは帰られない。
聞くと、今年の仕込みも終わり、これで引退を考えているので、明日は休みを取ったとのこと。杜氏さんと夜更けまで酒が飲めるなんて中々出来ることではない。
仲間は皆めちゃくちゃ喜んだという。
酔った勢いか、「ココにゃー、恐ろしい酒がある」と、杜氏さんが口を滑らせた。
皆即座に食いついた。

その酒蔵はT県にあり、純米吟醸としては、結構な石高を出しているところだが、そこの蔵の奥の古蔵には、見るのも呑むのも禁止された、禁断の酒があると言うのだ。
「カクシュ」と杜氏さんは呼んでいた。
杜氏さんいわく、自分も飲んだ事はない。しかし若い頃、箱の封印を解いてその酒瓶を見た事があるという。

杜氏さんの言ったことを要約すると以下の如し。
口の広い、白い陶器製のカメに入り、同じ陶器製の蓋がはまっていた。
それは大きな骨壷の様にも見えて、気味が悪かった。
凡字のようなものが書かれた細い帯で、何重にも厳重に封印されていた。
かなり古いもののようだった
振るとジャボジャボンと音がした。ゴツっという音も時折する。
蓋を開けると、何か骨のようなものが漬けられていた。
原酒のような、かなり高いアルコール濃度の酒のようだった。
匂いを少し嗅いでみると、気が遠くなった。
何かヤバい気がして、口をつけることが、どうしても出来なかった。

「そこまでしながら、どうして呑まなかったのですか?」と聞くと、畏れ多くて呑めたものでは無かったという。
杜氏さんはその後、当時の杜氏長に、めちゃくちゃ怒られたそうだ。
もう少し匂いを嗅いでいたら、呪いと毒で本当に死んでいたぞと怒鳴られた。
長は、若い杜氏さんに泣きながら説教したそうだ。

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「なんだったんですか?結局?」皆は興味深深。
「変な動物の骨と角を漬けてあった」と、杜氏さんは答えた。

以下はその杜氏さんが杜氏長から内々で教えて貰った、その骨と角の話。
聞いた後、全て忘れろと言われたという。

1800年代。当時T県の山奥の村では飢饉に喘いでいた。時は天保の大飢饉の頃。
平地では食えるものは全て採り尽くしたあと、食用になるものを求めて、ある樵が山中をさ迷っていたとき、山道の向こうから、牛と猿の合いの子のような動物がこちらにトコトコ歩いてきているのを見た。

樵は思った。
丸々と太ったその動物を仕留めて持って帰れば、村全体が暫くは凌げる。
それともウチの家族だけで独り占めしようか。肉を塩漬けにすれば数ヶ月は持つだろう。
どうやって連れて帰ろうか?ここで殺すか?俺に卸せるのか?
樵の思案を読んだように、その動物は言葉を喋ったという。

「俺を喰っても美味くはないぞ」
「おまえの村に残っている小豆を、少し喰わせてくれたら、おまえの村を救ってやる」と。
樵は考えあぐねた挙句、取り敢えず村まで連れて行くことにした。自分独りでは、この言葉を話す動物は手に負えないと思ったから。
そいつは、お気楽な感じで素直にトコトコついて来たそうだ。

既に小豆など、とうの昔に食い尽くし、もう何人も食いぶちを間引いていた村人は、樵の話などに耳を貸さず、早速にこの動物を殺して卸そうと殺到した。
十数人がかりで打ち据えた。
でも、その動物は鎚や鍬で頭を何回叩かれても死ななかったという。
腹を裂かれ、体をバラバラにされながら、その動物はずっと静かに呪いの言葉を唱えていたそうだ。
結局、その動物の肉を喰った村人は、じきにその全員が血と自分の臓物を吐いて死んだ。
その肉にありつけなかった女子供や、力の弱い村人だけが逆に生き残ったのだと。

その後、その動物の屍骸はどうなったか?
杜氏長の話はここまでだったという。

何故、忘れなければならない話を俺にしたのかと杜氏さんが問うと、アレを見た者はその謂れを知る必要があるからだ。と杜氏長は言った。

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酒蔵というものは、本来年貢として徴収されてしまうはずの米の、少しずつの上澄みを小作から集め、酒にして売り、その金を小作に還元することが出来た数少ない庄屋さんが前身の場合が多い。村人にとっては当時の現金収入は、何物にも変え難い。

それが本当の意味での「庄屋さま」だ。
故に、そういった酒蔵や醤油蔵は、今でもその地域の盟主であることがが多いのだと。
この酒蔵も例に洩れず、現在は政界財界に口が聞く、その道では知られた存在だという。

ワシはもう辞める。もう、あのカクシュがあるこの蔵に来ることは無い。
アレがあの古蔵にあることは、今の若当主も知らないかも知れない。
この話もあんたたちには関係がない。忘れてくれ。
あんたたちが騒いだところで、何の影響も及ぼすことは無いし、出来ない。
まあ、そもそもあんたたちはアレを見ていないからな。及ぼされる事は無い。
そう杜氏は哄ったという。

酒には呑む以外にも、幾つか用途がある。ひとつは消毒、もうひとつは漬けた状態にしての保存だ。昔は首級も実見に持って行く際には酒樽に漬けていた。

杜氏さんはオジジにこう言われたそうだ。
あのカクシュは呑むモノじゃない。あの骨と角を末永く保存するために、清く酒漬けにしてあるのだと。

いつか誰かが、何かの目的のために、それを使うことがあるかもしれないから。

-終-