若手研究者を育てられない日本の研究界!?
理化学研究所の小保方晴子ユニットリーダーが2014年1月、ネイチャー誌に万能性を持つSTAP細胞に関する論文を発表し、内外に大きく注目された。この発見は、従来細胞は元には戻らないという固定観念に対し、細胞を元に戻し、その後多様な機能に発達させられるというものである。いわば細胞を初期化するもので、生物科学界において天動説から地動説に転換するという画期的な発見である。小保方氏は30歳で一躍時の人となり、将来のノーベル賞候補ともされていた。
ところが、その論文中に使用されていた画像につき、一部修正が施されていたことと、他の画像が取り違えられていたことが指摘された。理化学研究所側は、急遽調査委員会を組織し、これらの点については、‘改ざん’、‘捏造’があったと公表し、また第三者を含めたSTAP細胞作成検証を行うことを明らかにした。そもそも、‘改ざん’とは他人が作成したものを、許可なく修正し、使用することであって、本人が作成する資料の一部を修正して使用することは‘改ざん’、には当たらない。但し、修正点は明示すべきであろう。
これに対し、小保方氏は同研究所に不服申し立てをし、4月9日、記者会見も行った。同氏はSTAP細胞が存在することを明言した。調査委員会側は、検証上重要な‘研究ノート’は2冊しか無いとしていたが、小保方氏は記者会見で調査委に提出したのは2冊であり、他にもあるとした。要するに調査委は、十分な聞き取りも行わず、‘研究ノートは2冊しか無い’として虚偽の報告をし、ずさんな研究との印象を与えた。同調査委の考え方からすると、同調査委の報告は信用できないということになる。要するに、結論ありきの調査ではなかったのか。
他方、同研究所のSTAP細胞作成検証チームには、著者の1であった同研究所の丹生プロジェクトリーダーが入っている。丹生氏は、記者会見で、小保方論文は取り下げ、‘更地にして作成検証を行う’とした。小保方論文の著者の一人であり、同研究所の研究テーマの上司であり、論文内容に共同責任がある。第一発見者の小保方氏の論文を取り下げ、STAP細胞を作れば、正式な発見者は理化学研究所となり、成果を同研究所が取り上げるということになる。理化学研究所の対応は、若い研究者を育てるということではないのか。
一部の専門家等が、この論文から‘誰でもSTAP細胞が作れるべきである’としているが、違和感がある。学説としては、「細胞に一定のストレスを加えると、万能性を有する細胞に転換する」こと、即ち一定の方法で細胞を初期化すること出来ることが示されていればよく、STAP細胞の「製造方法」まで記載されている必要は必ずしもない。「製造方法」が示されていれば、世界中の国で特許が取れてしまう。
研究論文に間違いがあることは決して望ましいことではないが、間違いが見つかったら訂正すれば良い。何故小保方氏を含め著者や指導官が集まり、点検の上、ネイチャー誌に訂正を申し入れなかったのか。間違いは誰にでもある。ましてや若手の研究者であり、それは本人も認めていることであり、論文の作成につき未熟な点はある。しかし論文の書き方という技術的なことに拘泥し、研究成果自体を否定する事があってはならない。
こんなことをしていたら、STAP細胞の成果は他の国にもっていかれる恐れがあり、また小保方氏自身も海外に研究の場を移さざるを得なくなる可能性もある。小保方氏は、早急にSTAP細胞のつくり方や“レシピー”などについて特許を取得すべきであろう。
日本人は、ブランド至上主義、地位や知名度に弱いと言われているが、無名の若い研究者や人材を育成するという重要性を忘れてはならない。(2014.04.10.)(All Rights Reserved.)
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