電気料金値上げは生産・消費モデルの転換を促す!―グリーン経済応援寄稿― (その1)
東京電力は福島原発の事故により、供給力不足を火力発電等で補うことになるが、事故処理費用や燃料代等を勘案し、工場やオフィスなど大口需要者に対し電気料金を4月から平均で17%引き上げる方針を明らかにしている。家庭向けについては夏頃より8-10%程度の値上げを検討している。
これに対し業界筋やマスコミは生産コストが増加し、価格への転嫁による消費や輸出に影響すると共に、円高と相俟って工場の海外移転を加速するなどとして懸念が表明されている。一方日本各地にある原子力発電所(福島第一原発を除き50基)の操業については安全面での確認と改善が求められており、電力の安定供給が日本産業の発展の上で大きな課題になっており、それへの対応が必要になっている。
1、東京電力の自主再建を支持する
東京電力は、政府機関である原子力賠償支援機構と共に、原発事故の賠償問題と電力の安定供給を見据えた「総合事業計画」を3月末を目途に策定中である。基本的に東電は支援機構を通じて1兆円規模の公的資本の注入、従って事実上の国有化を受け入れると共に、主要金融機関よりの1兆円規模の融資を受ける一方、リストラの他、電気料金の値上げや安全確認を前提として福島以外の原発の再稼動などで2014年3月期に赤字を克服することを目指すことになりそうだ。
電気料金値上げへの懸念は当然であり、何らかの配慮が必要である。しかし東電自体、福島原発事故により周辺住民に与えた損害賠償を抱え、原子炉の管理・処理という長期の負担を負いながらの再建である上、そもそも東電も自然災害の被害者でもあるので、再建過程における一定の値上げは容認し、早期の再建を促さざるを得ないのではなかろうか。
他方、中小企業などへの影響を考えると値上げ幅については更なる簡素化、コスト削減などの企業努力により縮小することが望まれる。政府資金を更に投入して値上げを回避するとの考え方もあるようだが、結果的には一般納税者への負担となるので、受益者負担の原則に従って利用者が負担することが望ましい。消費者負担が市場経済のルールである。また東電への資金供給についても、政府又は政府機関による株式保有による資金注入よりも、むしろ無利子に近い融資の形にして極力自主再建を図らせる方が望ましい。そうすれば東電としても一層のコスト削減に努めざるを得なくなろう。
同時に、電力の生産、供給が東電などの独占状態になっていることが料金を引上げることに繋がるので、日本の今後の電力供給の多様化、安定化のためにも規制を撤廃し新規参入を図ることが不可欠であろう。
また利用者側とすれば、料金引き上げに対応して節電等が必要になっている。
2、節電努力により電気料金の節約は可能 (その2)
3、適量生産・適量消費モデルへの転換は日本経済再生の切り札となる (その3)
(2012.01.25.)(All Rights Reserved.)(不許無断引用)
東京電力は福島原発の事故により、供給力不足を火力発電等で補うことになるが、事故処理費用や燃料代等を勘案し、工場やオフィスなど大口需要者に対し電気料金を4月から平均で17%引き上げる方針を明らかにしている。家庭向けについては夏頃より8-10%程度の値上げを検討している。
これに対し業界筋やマスコミは生産コストが増加し、価格への転嫁による消費や輸出に影響すると共に、円高と相俟って工場の海外移転を加速するなどとして懸念が表明されている。一方日本各地にある原子力発電所(福島第一原発を除き50基)の操業については安全面での確認と改善が求められており、電力の安定供給が日本産業の発展の上で大きな課題になっており、それへの対応が必要になっている。
1、東京電力の自主再建を支持する
東京電力は、政府機関である原子力賠償支援機構と共に、原発事故の賠償問題と電力の安定供給を見据えた「総合事業計画」を3月末を目途に策定中である。基本的に東電は支援機構を通じて1兆円規模の公的資本の注入、従って事実上の国有化を受け入れると共に、主要金融機関よりの1兆円規模の融資を受ける一方、リストラの他、電気料金の値上げや安全確認を前提として福島以外の原発の再稼動などで2014年3月期に赤字を克服することを目指すことになりそうだ。
電気料金値上げへの懸念は当然であり、何らかの配慮が必要である。しかし東電自体、福島原発事故により周辺住民に与えた損害賠償を抱え、原子炉の管理・処理という長期の負担を負いながらの再建である上、そもそも東電も自然災害の被害者でもあるので、再建過程における一定の値上げは容認し、早期の再建を促さざるを得ないのではなかろうか。
他方、中小企業などへの影響を考えると値上げ幅については更なる簡素化、コスト削減などの企業努力により縮小することが望まれる。政府資金を更に投入して値上げを回避するとの考え方もあるようだが、結果的には一般納税者への負担となるので、受益者負担の原則に従って利用者が負担することが望ましい。消費者負担が市場経済のルールである。また東電への資金供給についても、政府又は政府機関による株式保有による資金注入よりも、むしろ無利子に近い融資の形にして極力自主再建を図らせる方が望ましい。そうすれば東電としても一層のコスト削減に努めざるを得なくなろう。
同時に、電力の生産、供給が東電などの独占状態になっていることが料金を引上げることに繋がるので、日本の今後の電力供給の多様化、安定化のためにも規制を撤廃し新規参入を図ることが不可欠であろう。
また利用者側とすれば、料金引き上げに対応して節電等が必要になっている。
2、節電努力により電気料金の節約は可能 (その2)
3、適量生産・適量消費モデルへの転換は日本経済再生の切り札となる (その3)
(2012.01.25.)(All Rights Reserved.)(不許無断引用)