内外政策評論 TheOpinion on Global & Domestic Issues

このブログは、広い視野から内外諸問題を分析し、提言を試みます。
Policy Essayist

北朝鮮は米韓共同軍事演習への対抗措置を画策か!?  (総合編)再掲

2023-03-31 | Weblog

北朝鮮は米韓共同軍事演習への対抗措置を画策か!?  (総合編)再掲

 北朝鮮は、昨年12月、金正恩体制への反逆行為として張成沢国防副委員長を処刑するなど、その関係者、親族を粛清し、その後の動向が注目されていた。その中で1月16日、北朝鮮国防委員会は、南北朝鮮間に良好な環境を作り出すためとして、旧正月が始まる1月30日以前に相互に批判し挑発し合うことを止め、軍事的な行為を中止するよう提案すると共に、米韓両国の共同軍事演習の中止を訴えた。

 更に1月24日、北朝鮮国防委は、国防委委員長でもある金正恩第一書記の特別な指示として、祖国統一の新たな段階を開くため上記の提案に言及しつつ韓国当局ほか関係方面に宛てた公開書簡を公表した。

 韓国政府はこれを誠意あるものではないとして拒否したが、北朝鮮は池在中国大使が記者会見を行い、この提案は真摯なものであり支持するよう訴えた。中国当局からもプレッシャーが掛けられていることが伺える。

 その後北朝鮮は、韓国との南北離散家族再開事業を実施(2月20日から6日間)した他、日朝間においても、日朝赤十字会談(3月19日)や日朝政府間協議(3月30日、31日)を行うなど、融和姿勢を示す一方、短、中距離のミサイルの日本海向け発射などの示威行為を行い、硬軟両用の姿勢を示しており、その真意が注目されている。

 1、米韓合同軍事演習への反発をあらわにする北朝鮮の狙い

 このような北朝鮮側の米韓共同軍事演習の中止提案に対し、北朝鮮側が張成沢国防副委員長他の血の粛清後国際的に孤立化していることを受けての融和策、或いは経済的困難を回避するための和解姿勢など、ステレオタイプのコメントが多く聞かれた。

無論そのような狙いがあることは否定するものではない。しかし上記の2度に渡る提案を読み進めると、具体的には次の2点を要求している。

(1)  南北間に良好な環境を作り出すため、当面、米韓合同軍事演習(フオール・イーグル、及びキー・リゾルブ)を中止すること。

(2)  北朝鮮としては‘朝鮮半島の非核化’を共通の目標と考えるが、朝鮮半島に‘第3国の核’を持ち込まないこと。北朝鮮の核は米国の核の抑止のためであり、自衛のためにほかならない。

 この要求から分かるように、北朝鮮の当面の狙いは2月下旬から実施されている米韓合同軍事演習の中止である。提案が北朝鮮の軍事委員会の名でなされていることも、軍事的な思惑からであることを物語っている。そもそももし北朝鮮側が、真に韓国側との融和を希望するのであれば、公式ルートを通じ静かに接触し、韓国側が対話に応じた時点で公表するであろう。

 米韓合同軍事演習は、長年に亘り実施されているもので、韓国内及びその周辺で行われる大規模な演習であるが、北朝鮮側はその都度最大級の批判を繰り返して来ている。国内的にも、TVや労働党機関紙その他で米国、及び韓国による北朝鮮侵略の準備であり、北朝鮮はそのような攻撃があれば南を焦土とするなどとして、過剰とも思える反応を行っている。2013年においても同様だ。

 2、北朝鮮の融和姿勢は本当か

 このような中にあって北朝鮮は、2月20日から6日間、南北離散家族再開事業を3年ぶりに実施した。また日朝間においても、3月19日、瀋陽において日本人遺骨収集等に関する日朝赤十字会談を行い、また2012年11月以降中断していた日朝政府間協議を3月30日、31日に北京で行うと共に、横田めぐみさんの両親と孫に当たるヘギョンさんとの面会をモンゴルで実現するなど、融和姿勢を示している。

 これらの動きから、北朝鮮は、国内での食糧不足や経済困難、中国との関係の後退などから、韓国や日本との関係改善を狙っていると言われている。特に日本については、日朝交渉を通じる拉致被害者問題の進展や制裁措置の部分的な緩和による交流の促進などが期待されていると言われている。

 しかし日朝政府間協議は、‘真摯で率直な協議’が行われ、協議の継続で合意したものの、再開時期にも合意していない。政府間関係で‘真摯で率直な協議’との表現は、それぞれの立場、問題点を言い合うことを意味しており、それぞれの思惑で進展を期待しつつも、基本的に一致点がなかったことを意味している。政府間協議後の4月1日、北朝鮮側の代表宋氏は記者の質問に対し、朝鮮総連本部の入札による売却決定を許可したことに対し、‘この問題の解決なくして、日本との関係進展は必要ない’とのコメントを日本語で行っている。北朝鮮側の当面の関心が朝鮮総連本部の建物にあったことが明らかだ。既に落札され承認されているので、売却自体は実施されることになろうが、賃貸への便宜や代替地の提供などを求めて来る可能性がある。朝総連は、かねてより北朝鮮の日本での大使館或いは代表部としての機能を果たしていたとされているが、日朝両国には正式な外交関係はないので、朝総連のこのような機能、活動は認められるべきではない。朝総連のあり方等は、平和条約交渉の過程で協議されるべきであろう。

一方、国連人権理事会が設置した北朝鮮人権調査委員会は、2月に報告書を公表し、北朝鮮の拉致を含む人権侵害行為に対し「人道に対する罪」として非難すると共に、安全保障理事会に対し、国際的な刑事司法の枠組みで北朝鮮指導者の責任追及を検討するよう促した。そして人権理事会は3月28日、北朝鮮の人権侵害を非難する決議を採択した。このように北朝鮮の人権侵害、人道違反に関しては、2013年12月の粛清を含め国際世論の批判が強まっていることから、国際世論を和らげるための融和姿勢が必要だったとも言える。また北朝鮮は、国連専門機関から毎年のように受けている食料などの人道支援を確保するためにも融和姿勢を示す必要がある。もっとも、一方で経済制裁を行いながら、北朝鮮への食料などの人道支援を実施することには、矛盾があり、実施するにしても、実際に貧困層の人々の口に届くような確実且つモニターシステムを確立することが不可欠と言えよう。

 3、北朝鮮の真の狙いは核、ミサイル開発の促進?!

 今回の北朝鮮側の一連の米韓合同軍事演習の中止要求が韓国側により拒否され、米韓合同軍事演習が行われたため、北朝鮮側は、米韓による戦争準備が行われているなどとして非難を強め、自国防衛の一環と称して長距離ロケットや核兵器の開発、実験を加速する可能性が強い。既に北朝鮮側は、日本海に向け短距離ミサイルの発射(2月27日)、そして中距離ミサイル・ノドンの発射(3月26日)を実施すると共に、黄海に向けロケット砲の発射(3月31日)を行っている。また、長距離ロケットの発射台を設置し始めており、ウラン濃縮も再開されているなどと伝えられているので、北朝鮮は、今後の重要日程に合わせてミサイル、核実験を強行する恐れが強い。

 南北間の環境改善に向けての北朝鮮の提案は、強硬姿勢を合理化するための国際世論向けのジェスチュアーと見られる。北朝鮮が今回中距離ミサイルの発射を行ったことに関し、国連安保理は2013年1月の安保理制裁決議に反するとして非難したことに対し、北朝鮮はこれに抗議した上、‘新たな形の核実験を行うことも排除されない’との外務省声明を発表している。

 確かに南北朝鮮は未だに“休戦状態”であるので、軍事的には合同軍事演習は必要であろう。しかし北朝鮮側の極端な反応が予想されるのにも拘らず、何故朝鮮半島周辺で毎年のように大規模な軍事演習を行うのか。北朝鮮側も、軍事演習自体を否定はしていない。米国内か朝鮮半島から遥か離れたところで行うように促している。北朝鮮の核及びミサイルの開発実験問題については、1990年代中頃より各種の努力がなされているが、朝鮮半島周辺における大規模な米韓合同軍事演習は、北朝鮮側に核、ミサイル開発加速への口実を与え、既成事実を重ねさせ、事態を悪化させて来ているのではないだろうかろうか。

 それだけでなく、1953年7月に締結された南北間休戦協定以来60年を越える休戦状態が継続し、和平が成立しない限り北朝鮮の先軍政治が継続するので、毎年行われる米韓の合同軍事演習は、北朝鮮に先軍政治を継続する格好な口実を与える結果ともなっている。

 軍事的観点だけでなく、総合的な判断が求められよう。

(2014.04.10.)

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首都東京、生かされていない東日本大震災の教訓! (再掲)

2023-03-31 | Weblog

首都東京、生かされていない東日本大震災の教訓! (再掲)

 2021年3月11日、東日本大地震・津波災害から10年を迎えた。東京電力福島原発事故への対応を含め、政府関連予算は2020年度までの10年間で約38兆円にのぼり、また日本各地からの応援や寄付等を受け、地元の人々により懸命に復興活動がなされた結果、地区差があるものの、復興はかなりの進展を見せている。地元の方々や支援活動をされた各方面の方々のご苦労に心から感謝し、称えたい。またこの災害により、命を失った方15,899人、行方不明者2,528人となっており、心からのご冥福と行方不明者が1日も早く家族の元に返ることをお祈りしたい。

 復興は進んでいるものの、10年経っても42,685人が避難者にのぼり、当時の巨大地震と津波、そして福島原発の炉心メルトダウンなどの状況を振り返ると、改めてその被害の甚大さを痛感する。

 政府の関連行事やメデイアの報道は、どうしても追悼と被災地の復興活動の継続に焦点が当てられる。しかし大震災は、東日本だけでなく、関東でも首都直下地震や東海、近畿、四国地方では南海トラフ地震による被害が今後30年前後に発生する可能性が高いと伝えられている。日本列島を巻き込む大災害は、その他火山の噴火や異常気象による大洪水などの恐れがあるので、東日本の復興継続と共に、その他の地域、特に諸機能が集中し、人口密度の高い首都東京の震災への備えがこれで良いのかに注目しなくてはならない。

 1、教訓が未だ活かされていない首都東京

 東京を中心とする首都圏については、東日本大地震の教訓を受けて、道路・歩道の渋滞、帰宅難民などへの対策として、一時避難所や備蓄、耐震補強のほか、緊急対応のための道路規制、ハザード・マップの作成など、一定の対応が行われている。しかしこれらの措置は、多くの努力を要しているものの、東日本大地震規模の巨大災害にはほとんど無力とも予想される。

 東京には、1,300万の人々が生活し、近隣から数百万の人々が東京に往来している。また日本経済の中枢部門をはじめ、学校、文化・スポーツなど多くの民間機能が集中している。更に、国会、裁判所の中枢機能に加え、緊急時には東京都などと共にその対応に当たるべき全ての中央官庁が集中している。また国民統合の象徴として皇居があり、その安全を確保しなくてはならない。

 大災害が発生した際には、行政はこれら全ての安全を確保するために膨大な救援、救出活動を集中的、同時並行的にしなくてはならない。シュミレーションなどするまでもなく、とても手が回らないと予想される。何かを守り、何かを座視するしかない。相手は、「経験したことがない大災害」であるので、旧来の常識や既成概念では対応し切れないことを、福島原発事故を含む東日本大災害から学ぶべきであろう。

 政府による『東京一極集中解消』2020年目標は断念された。ある意味で東日本大地震の教訓の風化の象徴とも言えないだろうか。

 2、政府委員会が大規模災害に警鐘

 2014年、政府の地震調査委員会は首都直下地震が「今後30年で70%」との予測を公表している。その後この予測は繰り返し述べられる毎に発生確率は高くなっており、首都直下地震はもはや過去のものや遠い将来のものではなく、今生活している国民の生涯において起こりうる現実となっていることを示している。

 首都圏を中心としたマグニチュード7相当以上の過去の地震は、1703年の「元禄関東地震」(M8.28)と1923年の「関東大震災(大正関東地震)」(M7.9)を挟んで次のように発生している。

1703年12月   「元禄関東地震」(M8.28)

1855年11月 安政江戸地震         (M6.9)

1894年 6月 明治東京地震         (M7.0)

同年10月   東京湾付近の地震   (M6.7)

1895年 1 月茨城県南部の地震  (M7.2)

1921年12月茨城県南部の地震  (M7.0)

1922年4月浦賀水道付近の地震(M6.8)

1923年9月  「関東大震災」   (M7.9)

  関東地方は、東西に太平洋プレートとユーラシア・プレート、これを挟んで南北に北米大陸プレートとフィリピン海プレートがあり、元禄関東地震と関東大震災はフィリピン海プレートの境目の相模トラフで発生した大地震とされている。首都圏に関係する地震、津波の誘因としては、この他に東日本大震災に関係する日本海溝や東海地方から四国沖に伸びる南海トラフなどがある。

 関東、東海地方については火山爆発も注意を要する。

 3、政府組織・制度においてシンボリックな抜本的措置が必要

 民間組織・団体や東京都及び市区町村において、それぞれ対策を検討し備えることは不可欠であろう。それは誰のためでも無い、自分達や家族、関係者の安全、安寧のためだ。

 しかし東日本大震災レベルの直下地震等が首都圏で発生し、大型津波が発生すると、1995年1月の阪神・淡路地震を上回る被害、混乱が起こるものと予想されている。2011年3月の東日本大地震の際にも首都圏で震度6を超える揺れを経験したが、道路は車道、歩道共に渋滞し、公共交通は止まり、電話・携帯による通信は繋がらず、多数の帰宅難民が発生し、その状況は翌朝まで続いた。電気、ガス、水道などのライフラインが被害を受けていれば被害は更に拡大し、回復には更に時間を要することになる。

 最大の問題はライフラインの確保であるが、大災害に対応し、司令塔となるべき中央官庁の機能をどの程度確保出来るかである。物理的被害は予想もつかないが、災害が深夜や早朝、祝祭日に発生した場合、必要な人的資源の確保は困難で時間を要することになっても仕方が無いであろう。‘経験したことがない大災害’に遭遇し、‘経験したことがない混乱等’が起こったとしても、自然のなせること、誰も責めることは出来ない。それぞれの立場で被害に備え、耐え、命を守る努力が求められるであろう。それも相当期間に及ぶ可能性がある。

 (1)そうなると危険の分散を図ることが最も効果的となる。政府はこれまで幾度となく、東京一極集中を避けるため、中央省庁や大学の地方移転を試みてきたが、部分的な専門部局の分散に留まり、一極集中解消にはほど遠い。

 米国の他、ブラジルや豪州などのように、政治・行政機能を密集地域から切り離し、新たに政治・行政都市を造ることも考えられるが、日本にはそれにふさわしい安全な地域を確保することは難しそうだ。しかし1つの有効な選択肢ではある。

 もう1つの選択肢としては、日本独特の国民統合の象徴機能である皇居を宮内庁と共に京都など近畿地方に戻すことであろうか。天皇の象徴機能については憲法に明記され定着しており、皇居を移転しても機能自体に何ら影響しない一方、ご公務については憲法上国会の召集など10項目に限定されているので、移転は相対的に容易と見られる。更に、京都等に戻ることは歴史的に理解されやすく、また地方に新たな息吹をもたらし、地方活性化にも繋がる可能性がある。

 憲法上公務とされる10の業務については、現在では交通・運輸、通信が飛躍的に便利になっており、国会召集時など限られた折りに東京に行幸されることは可能であろう。宿泊が必要な場合には、年数回しか使用されていない迎賓館(赤坂離宮)に所要の宿泊施設をご用意するなど、対応は可能のようだ。また外国使節(各国大使等)の接受等については、京都の御所にて行うこととすれば、京都や近畿地方の歴史や文化等を外国使節に紹介する機会ともなろう。

 また考えたくはないが、もし将来首都圏がミサイル等で攻撃されると、政治・行政機能と象徴機能が同時に被害を受ける恐れがあるので、これを分離しておくことが安全保障上も意味があろう。

 無論どの選択肢にしても、現状を変更することには困難があろう。しかし、政府地震調査委員会が東京直下地震など経験したことがない大災害が現実に起こりうると考えているのであれば、これまでのような対応では不十分と見られるので、これまで実施されたこともないような措置を本気で検討、実施する必要があるのではないだろうか。

 (2)江戸城趾の活用方法については、城趾内の「江戸の自然」の保護を図りつつ、可能な範囲で復元を行い、歴史観光施設として整備し、また一部を国民の憩いの場として開放すると共に、大災害時や緊急時の避難場所となるよう整備するなどが考えられよう。特に江戸城趾には四方に門があるので、災害時、緊急時には門を開放し、四方から城趾内に避難が出来る。また緊急車両が災害時、緊急時に通行できるよう、城趾内の通路等を整備しておけば、渋滞が予想される一般道を通らずに迅速に移動できるなど、災害時、緊急時への活用も期待できる。(2021.3.31. All Rights Reserved.)

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国民1人1人の命を大切にし、安全な国造りを目指そう (再掲)

2023-03-31 | Weblog

国民1人1人の命を大切にし、安全な国造りを目指そう (再掲)

  2022年7月8日の安倍晋三議員(元首相)への銃撃事件は、日本だけでなく国外にも銃規制が厳格で安全と見られていた日本で起こった惨事として大きな衝撃を与えた。

  人の尊厳を傷つけ、命を奪うような行為は決して許されない。

  1、警備強化、規制・制限強化で終わらせてはならない

このような暴力行為は決して許されるべきではない。 現在要人警護の強化の強化が検討されているが、党派を超えて公正、安全な活動の確保を念願する。 他方、昨今身勝手な理由で生徒や幼児を含む一般国民が殺傷事件に巻き込まれ、多くの尊い命が失われているのも事実である。 人を殺める行為はそれが誰であれ許されるものでなく、国民1人1人の安全への取り組みが不可欠である。

  その対応として規制・罰則の強化や警備の強化などで終わらせることなく、時間は掛るが、家庭、義務教育課程、専門学校・大学、各組織・団体レベルにおいて、心の問題として人の尊厳を傷つけ、ましてや命を奪うような行為は決して許されないとの意識の向上を図ることが必要と見られる。

今回のような事件が起こると、ともすると警備の強化の他、街頭演説の規制や道路規制などで終わってしまう可能性がある。 例えば駐停車禁止や駐輪禁止についても、駐停車禁止等の区域が急速に拡大することに加え、規制対象に「放置」という新たな概念を加わり、数分でも車や自転車を離れると「放置違反」となる。 車にしても自転車にしても、目的地で止めておかなければ用をたすことが出来ず、駐停車や短時間車や自転車を離れなければならない需要があるにも拘わらず、至便で料金の安い駐車場や駐輪場、例えば短時間であれば無料で置ける場所は提供されておらず、規制・規制が増え続け、自由な生活空間が年々狭められ、市民生活はどんどん窮屈で閉塞感を増し、 行政になっているように見える。 以前公衆トイレや町中の公園等に多数の禁止事項が貼り出されていたが、最近は少し改善したものの、未だに10項目以上の禁止事項を貼り出している施設、公園なども少なくない。 都内の幹線道路等には禁止事項をはじめとする看板、パネルが増え続けている。 一向に減る様子もなく、「事件発生=規制強化」という行政姿勢が定着しているように映る。 学校も同様で、校則が40、50にも及ぶのは普通になっているようだ。 覚えようもなく、自主性も削がれる。

多分今回も選挙活動中の街頭利用に規制・制限が加えられ窮屈で閉塞感を増すのではないかと危惧される。 規制・制限により一定の目的は達成できるものの、必要な活動が自由に出来なくなり、至便性や自由な行動を犠牲にすることになる。 それで終わるのではなく、必要とされる目的、活動が達成できる代替の場所や施設を提供しなくては適正な行政を行っていることにはならない。 規制・禁止等を行う場合、同時に必要な救済、対応策を提供するという意識が警察を含む行政に不可欠になっているようだ。 「事件発生=規制強化+代替措置の提供」という新しい社会方程式にして行くことが不可欠だ。 それにより社会経済的効率は改善し、市民の閉塞感やストレスが癒えることが期待される。 それが出来ないと、規制が増えれば増えるだけ、違反者も増え続けるけることになる。

歩道を含む道路の管理については、県道、国道などにより所管する官庁(警察、国土交通省)や自治体(都道府県、市町村区等)が異なり煩雑のようだ。 しかし高速道路等を除き、自治体に出来るだけ多くの管理、改善の役割を持たせることが望ましい。 都市を走る幹線道路沿いは、至便性から住宅やコンビニ、スーパー、病院等の施設、商店が増え、「通過のための道路」が「生活道路」に性格を変えているところが多い。 警察行政がその変化に気付いておらず、従来通りの対応に終始しているように映る。 今回のコロナウイルス対策では、地方自治体が大活躍し、市民に近い行政活動として評価される。 都市の市街を走る道路はもはや「通過のための道路」ではないので、信号の敷設を含め、市民生活に近い地方自治体に業務、管理を移管することが望ましい。

規制・禁止等の強化は一定期間必要とすることはあろう。 他方、そのような規則、法律が増えれば増えるほど、違反者も増え、取り締まり強化がされる一方、そのような規制・制限等は何時か破られ事件となり、更なる規則強化という悪循環が繰り返されるので、規制を強化をすれば良いということでもない。 国民のニーズに応える措置も不可欠のようだ。 「事件発生=規制強化+代替措置の提供」という新たな社会経済方程式の実践が望まれる。

 


  2、教育課程を通じたマナーや倫理教育、人間関係と社会教育の充実が必要

  (1)ブッダの不殺生・非暴力の教えは今や刑法となっている

紀元前5世紀頃、ヒマラヤ南麓(現在のネパール ルンビニ郡)で生まれたブッダ(漢字の仏陀は、サンスクリット語を音写したもの)はシャキア部族王国のシッダールタ王子としてカピラ城で育ったが、病・老・死で苦しむ城外の人々を目の前にして、悟りを求めて29才で城を出て、南方のブッダガヤ(現在のインド ビハール州)で悟りを開いた。 シッダールタ王子は悟りを開いてブッダ(サンスクリット語の悟りを開いた者・賢者の意)となり、人類平等の思想に立脚し、生きていなければ悟もないことをまず悟り、生きることを前提として人類共通の課題である病・老・死への向き合い方を説き、不殺生・非暴力等を唱えた。

ブッダは、自らそれを実践した。 ブッダは、コーサラ国のヴイルダカ王が王子の頃シャキアの村人に侮辱されたことを恨み、シャキア王国を攻撃するとの知らせを受け、進軍する路沿いに座り、ヴイルダカ王の進軍を何度も止めようとした。 王は一旦引き返すが、再三に亘り進軍を繰り返し、遂にシャキア部族王国を殲滅した。 ブッダは一人身を挺して進軍を阻み、その間多くの人々に避難する時間を与えと見られる。 他方ヴイルダカ王は凱旋後、火災に巻き込まれ苦痛の中で命を失い、地獄に落ち、そこであらゆる形の苦痛を受け続けているとされている。 その200年以上後に、アショカ王はインド地域の統一を果たしたが、その過程で隣国との「カリンガの戦い」で大量殺戮したことから、ビルダカ王のような末路、殺戮の報いを恐れ、平和と不殺生を誓い、ブッダ教に帰依すると共に、ブッダの教えの普及に努めた。 東の中国方面だけでなく、西はギリシャ、エジプト等まで伝わっている。

紀元前10世紀頃よりイラン高原周辺からインド亜大陸へアーリアンの諸部族が長期にわたり大量 に流入し、土着のドラビダ族等との支配を巡る激しい抗争と融合を経て、16大国時代という相対的な安定期の中でブッダは誕生した。 しかし16大国が割拠しており、支配を巡る潜在的な対立が存在する一方、各部族の域内では人口融合が進展したと見られる。

そのような激動の時代を経て16大国が割拠する時代に不殺生・非暴力を唱えたことは、先駆的ではあるが非現実的と捉えられても仕方ないが、不殺生、非暴力の教えは、弟子が受け継ぎ、その後部族の掟となり、人類の基本的な倫理規範となり、また国家組織が発展するにつれ、秩序維持のための刑法等へと制度化して来た。 しかしこれがひとたび法制化すると、法律、制度で禁じられ刑罰を受けるから人は殺めてはならないとの他律的、受け身的な姿勢となり勝ちで、自らの心の問題、倫理観は薄れる。 そうなると刑罰を受けても良いと考える人や刑務所に入りたいと望む者には、自らの心や倫理観による抑止が薄れ、犯罪に走り易くなるのではないだろうか。

時間が掛るが今行うべきことは、上記でも触れた通り、子供の頃から大学等までの教育課程において、それぞれの年代に応じて基本的な倫理・思想、人間関係や社会性の開発、マナー教育を充実させることではなかろうか。 大学等への進学制度の一環として大学入学共通テスト制度が導入されたことは、機会の公平を確保する上で効果がある一方、義務教育課程や高等学校がいわば共通テストで良い成績を取るために予備校化し、人間として、社会人として必要な基本的なマナーや相互の尊重と心の豊かさ、そして他人の尊厳を傷つけ、 命を奪うような行為は決して許されないというような精神面や基本的倫理の学習の余裕を失わせているのではないだろうか。

この点は、家庭が核家族化し、或いは共働き等で親などとの接触が少なくなって来ているので、これを教育の場や課外活動等で補う必要がより強くなっているようにも思われる。 もう一つの問題は、長期の経済停滞、コロナ禍の下で、成人の仕事の機会、活動の場所が狭まっており、その確保の必要性である。 好ましい仕事も活動の場もなく、長期に実家や一人暮らしで社会から引きこもっている層が多くなっているように見える。 最近、登校拒否生へのきめ細かい対応が出来てきたが、それらの学生に円滑な進学や就職が出来るようにすると共に、成人の引きこもり者への就職、活動の場の照会、斡旋・提供に加え、何でも相談できるソシアル・サービスの充実も必要であろう。 それぞれ個人の問題と言えばそうなのであるが、社会が多様で豊かになる一方、生きがいを見つけられず悩んでいる人たちが何でも躊躇無く相談できる場がもっと身近にあって良いのではないか。 その場で答えを出せなくても良い。 市民生活に近い区や市町村レベルで、本庁だけでなく支所や関係施設にも窓口を設け、夜間もメール等でアクセス出来るシステムが望ましい。

  事件が起きれば取り締まりを強化することになるが、社会から様々な理由で引きこもっている人々を社会に復帰させることによる犯罪の防止と家族・社会に与えている社会的コスト削減となるなど、効果は遙かに大きいので、そのようなソシアル・サービスを拡大することを優先すべきであろう。

 


 3、戦後の新興宗教団体の監査と誰でも何処でも相談できる場が必要

また今回の事件の背景にあった新興宗教団体による問題については、信条、信仰の自由に立脚しつつ、信者への寄付金要請や帰宅・外出などの事実上の拘束などについては、少なくても一定の基準や報告義務を設ける必要がありそうだ。 また「合同結婚式」については、当日まで相手知らない場合も多々あり、韓国人に日本国籍を取得するだめの事実上の偽装結婚や暗示、群集心理を利用した半強制的な結婚など、いわば「心の拉致」、「精神的拉致」とも言えるケースが多数存在し、人権侵害と見られる場合もあるので、これを防ぐための措置を検討する必要がありそうだ。 また第2世代以降への対応については、表面上は家庭内の問題となるので難しい側面があるが、何らかの救済措置が必要と思われる。

特に宗教は、人々の心の安らぎや拠り所等を与えるものであるので、その目的に反し、信仰の力を装って、個人に経済的その他の過度の負担を課し、或いは人権を侵害するような非社会的活動をすることは、決して許されてはならない。 このような行為や活動を霊感商法の禁止に加え、精神的強要罪或いは宗教詐欺罪などの罪として刑法に規定することが望ましい。

また統一家庭連合(旧統一教会)と政治家との関係については、特定議員による関連団体票の割り当てや、同団体票を得て今回当選した参議院議員との関係などが指摘されている。 宗教団体を支持母体とする政党には公明党があり、それが与党の一角を形成しているので、他の宗教団体も政党との関係を強めたい、基盤を拡大する傾向にある一方、旧オウム真理教のように殺傷事件を起こす場合には取り締まれるが、そうでもないと規制することはなかなか難しいところがある。 しかし宗教団体やその関連団体の票を特定候補に割り当てるなどの行為は、個人の自由な選択を阻害するものであるので、公職選挙法などで禁止が検討されても良いのではなかろうか。

 宗教法人は認可を受け、税金優遇措置などを受けているので、戦後、現行憲法の下で認可、承認を受けた一定規模以上の宗教団体については、その活動が届けられている目的や活動に適合しているかなど、信者からの聞き取りを含めて、定期的に監査することが必要のように思える。

 

更に、旧統一教会が戦後日本で行ってきた日本国民の精神的支配と政界との関係拡大の構図は、日本国民の安寧な生活を精神的、経済的に破壊し国家安全保障を損なうものであることが明らかになって来たので、外国の宗教団体及びその関連団体の日本支部組織については、認可、承認において厳格に審査すると共に、 政治活動を禁止する方向で検討する必要がありそうだ。

(2022.7.25. 同7.29.一部補足)

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Ukraine in between two camps with different values, Russia and NATO

2023-03-31 | Weblog

Ukraine in between two camps with different values, Russia and NATO

 Russian President V. Putin declared the annexation of 4 Provinces in Ukraine, namely Donetsk, Luhansk (the full areas), and Kherson and Zaporizhzhia (in full or the areas held by its troops), after signing the Annexation agreements with four pro-Russian Provincial leaders on 30th September, 2022, and the agreements were ratified by the Russian Federal Assembly in early October.

 Three days earlier, the referendums on joining Russia were carried out in the four provinces and approved with over 90% majority except for Kherson which marked 80% level approval.

 President V. Zelenskyy of Ukraine quickly denounced the referendums carried out in four Provinces as invalid and illegal, and also the Russian move to annex them based on the results such referendums.

  In response, Ukraine formally requested an accelerated accession to NATO on 30th September,2022.

 The U.N. General Assembly adopted Resolution condemning Russian Annexation of four eastern Ukraine regions under the title of “Territorial integrity of Ukraine: defending the principles of the Charter of the United Nations” on 12th October, with 143 countries in favor, 5 countries against (Belarus, North Korea, Nicaragua, Russian Federation, Syria). 35 countries abstained.

 Ukrainian President Zelenskyy repeatedly expressed his pledge to retake all of the Ukrainian territory held by Russia, while expressing his intention not to negotiate with Russian President Putin in person.

 This indicates that the war is likely to drag on into the winter.

  1. A need to cope with another War, Covid19 and worldwide Inflation

  Against the backdrop of the regional war in Ukraine, the World has been fighting against three-year long Covid19 and a high inflation as many industrialized countries now seek an exit from the inflated economy temporally sustained by the massive government spendings and lending. On top of it, the United States and other NATO countries initiated wide-ranging sanctions against Russia, which are adversely affecting the World economy, resulting in acute energy shortage and rapid price-hike and other restrictions on business transactions with Russia. As the war in Ukraine is dragging into the winter, many European people, not to mention Ukrainians themselves will suffer from coldness caused by the energy shortage, in particular natural gas and oil while fighting against Covid19 and flu. It is feared tens of thousands people might die during the freezing winter. The death toll might be more than the total death toll in Ukraine. Unfortunately, the corona virus pandemic seems to recure again in many parts of the World.

 While the Russian invasion in Ukraine should be strongly condemned and Russia should bear the consequences, it is indispensable to avoid such fatal hardship in Europe and elsewhere in the World because of severe shortage of energy and food. The NATO initiated sanctions against Russia does more harm to Europe and the World now. Even during the Cold War era, NATO initiated to set up the Coordinating Committee for Multilateral Export Controls(COCOM )in 1949 until 1994 restricting trade with the Soviet Union only on weapons and other sensitive goods. Japan and Australia joined the regime. It was replaced in July,1996, by the Wassenaar Arrangement on Export Controls for Conventional Arms and Dual-Use Goods and Technologies with 42 participating states including many former Warsaw Pact countries. It is designed to promote transparency and greater responsibility in transferring conventional arms and dual-use goods and technologies to non-member countries.

 Now the wide-ranging sanctions including the restriction on SWIFT, which facilitates quick financial transactions among financial institutions throughout the World, affects Europe and the entire World as side effects.  The Sanctions against Russia should be limited to weapons and sensitive goods. The Wassenaar Agreement should be expanded largely such as the scope of products to be applied ranging from relevant weapons, dual use goods and technologies to IT related goods, communication tools, outer-space goods, rare metals, and related intellectual properties, and so on. Such an expanded Agreement may be also applicable to China and North Korea.

 Against the background of the war in Ukraine, the World now needs to cope with the 3-year long Pandemic and steep inflation as a backlash of massive government spendings and lending operations to sustain economic slowdown elsewhere in the World, while supporting Ukraine with weapons and others. People in the World, especially in Europe and Japan, feel an acute shortage of gasoline, natural gas and wheat as well as job opportunities due to 3-year long economic stagnation, and are suffering from a steep price hike in daily necessities with persistent constraints and restrictions on daily activities. The prolonging war in Ukraine has been added to the above global war since February,2022, thus aggravating the economic and social activities in most parts of the World. Already the pandemic alone took over 6.6 million lives in the World, which is far more than the death toll in Ukraine. And if the sanctions including the SWIFT restrictions are maintained into the winter as the war in Ukraine prolongs, it is feared that tens of thousands, or millions lives in Europe may die from freezing cold weather because of electricity shortage.

 We should put more emphasis on the global war against Covid19 and severe inflation which affect adversely the daily life in the entire World, while providing Ukraine weapons and other human supports.

 

  1. Territorial issue and Peace settlement in Ukraine

 There is no justification for the Russian invasion in Ukraine. At the same time, we should give fair evaluation of the historical and geopolitical background of Ukraine and Russia.

 (1)    Historically, Ukraine used to be one of the core members of the Soviet Union after Russia. After the fall of the Soviet Union, Ukraine belonged to CIS (Commonwealth of Independent States), and kept distance from Russia after 2014 as the democracy movements advanced there and it is leaning toward EU and NATO, especially in the central and western provinces. However, Russian-speaking people and influence remain there, in particular, in the eastern provinces. Russia still has a big stake there although nuclear weapons were taken away.

 (2)    Geopolitically, Ukraine is situated in between Russia and expanded EU and NATO. NATO is composed of 30 countries now including most of the former Warsaw Pact countries. Now Sweden and Finland, which has been keeping neutrality, are in the process of joining NATO. In a sense, it is situated in between two camps with different basic values, namely in between democracy and authoritarian regime.  The Warsaw Pact Organization was disbanded after the collapse of the Soviet Union and the democratization of most of East European countries. While the East- West Cold War was over, NATO not only continues to exist but also expands eastward from 16 member countries to 30 countries assimilating most of the former Warsaw Pact countries. That has been causing a security concern on the part of Russia, especially in the mind of President Putin backed by nationalist philosophers and nostalgy for the Soviet empire.

  As a whole, for Ukraine, it is a matter of security and existence, and for Russia, it is a matter of security and rivalry with NATO and EU over basic values and governing system. Geographically, both Ukraine and Russia cannot move from that setting. NATO as well as Ukraine and Russia should respect each other such a geographical and historical setting.

 (3) The Minsk Truce Agreement of 2014 between Ukraine and Russia expired on 21st January,2022, failing to solve an autonomous issue of two self-proclaimed rebel republics of Donetsk and Luhansk which had been denying the Kyiv’s control. And Russia recognized the independence of the two self-proclaimed republics of Donetsk and Luhansk. After the Russian invasion in Ukraine in February,2022, and the subsequent war in east and south-east regions in Ukraine, the Kremlin-backed so-called ‘Referendums’ on joining Russia were carried out in four provinces, namely southern Kherson region and part of Zaporizhzhia in addition to adjacent eastern Donetsk and Luhansk in September ,2022. Three days after the approval in the referendums in all four provinces with over 90% approval votes except for below 90% in Kherson, on 30th September,2022, those four provincial leaders signed respective Treaties with Russian President Putin to join Russia. Ukrainian President V. Zelenskyy repeatedly expressed the unacceptance of such referendums and his intention to recover all the Ukrainian territories held by Russia. It is also denied by NATO countries. It is questionable especially in the case of Kherson and Zaporizhzhia whether they have legitimate authority to sign any treaty with Russia, while Donetsk and Luhansk, which maintained a certain degree of independence from central Ukraine since 2014, may have had such power as an Independent Republic.

 

 3.Exert more Wisdom than Weapons for Ukraine

 During the eight-year long Truce Agreement, it was designed to settle the autonomy issue of the two eastern provinces. But such efforts failed, and President Zelensky, instead, openly expressed his intention to become a member of NATO. 

 For Russian, the constant east-bound expansion of NATO has been seen as a threat. President V. Putin expressed his view at a press conference in April,2008, on the occasion of the NATO summit that “any attempt to expand NATO to the Russian borders would be seen as a direct threat”. At that time, NATO had already expanded its membership from 16 to 26 after the Soviet Union, therefore the East-West Cold War, was over. Now it is embracing 30 countries with the U.S. military bases and the THAAD missiles in Romania.

  (1) No justification for the Russian aggression in Ukraine

  Russian invasion in Ukraine cannot be tolerated and should be condemned.

 Every sovereign country has the right to defend itself against any aggression.

 In support of such Ukraine’s efforts to defend itself, many NATO member countries including the U.S. and others have been sending weapons after weapons together with other civil support upon request from Ukraine.

 Such a support is necessary. But we should exert more wisdom than weapons. Wisdom to stop the armed conflicts and the bloodshed. And wisdom to realize a peaceful settlement in Ukraine. Further military support, in particular, sophisticated longer-range missiles and other weapons from the NATO countries to Ukraine seems to lower a threshold for a war in Europe, or, at the worst, a nuclear war in Europe. Also a wide-ranging sanctions against Russia would adversely affect the World economy sooner or later like a boomerang.

 (2)    Needed recognition of the Co-Existence in the face of the differences in basic values and governing systems in the World

 At a time of apparent differences in basic values and governing systems in the World seen in such cases as the Russian invasion in Ukraine and the trade issue with China, we need a practical philosophy governing the World now.

 There are basically 3 alternatives. Namely, 1) defeat the opponent, completely, if possible, 2) accept the domination by the opponent, or 3) co-existence with different values and governing systems.

 The first two alternatives will not be accepted by the other side. The World is divided in these two cases, and a fear of a war lingers. If the World is to be one globe, therefore, Co-Exis tence seems to be the only realistic alternative.

 Democracy is based on human equality, acceptance of diverse values and belief, and pluralism. And given the present nation-to-nation relations which are based on the territorial sovereignty with its own basic values and governing systems, Co-Existence is the realistic philosophy governing the present international relations, if a democratic method is to be applied in handling international affairs as well.

 And sometime in the future, the World of Co-Prosperity may be realized.

 By such a time, and if the differences between countries or groups of countries in basic values and governing systems continue to damage or erode national interests and national security of one country (or group of countries), each country or a group of countries may have to set some regulations on relevant fields such as trade, entry permit, financial transactions and intellectual properties to fill such a gap, while trying to maintain freer exchanges among countries and a globalization movement. In trade, for example, it is indispensable to equalize the level of freeness between some domestic market economy and the internationally recognized free market economy to retain a fair trade and competition. It is a process to realize a free and fair trade between non-free market economies and freer market economies. (2023.1.4.)

Ambassador(Ret.)

Global Policy Group

Mitsuaki KOJIMA

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リニアモーターカー(リニア新幹線)、越すに越されぬ大井川! ― 大井川陸上トンネル化を提案する ―

2023-03-29 | Weblog

リニアモーターカー(リニア新幹線)、越すに越されぬ大井川!

      ― 大井川陸上トンネル化を提案する ―

 超伝導リニアモーターを利用したリニア中央新幹線は当初東京―名古屋間の2027年開業を目指して建設が開始された。東京―名古屋間40分の夢の超特急だ。

 しかし大井川の地下に通すトンネルが水の流れに影響し、静岡県の下流への水資源を枯渇させ、流域の農業や生態系等の環境に大きな影響が出るのではないかと懸念され、同県知事が着工を了承していない。各種の環境影響調査、協議等が行われているものの、大井川トンネルの着工が出来ないままとなっている。2029年以降の開業についても見通せず、総事業費は約10.5兆円に増加するとされている。正に、越すに越されぬ大井川だ。

 大井川の下にトンネルを通すことにより流れ出す大量の水を川に戻すなどの案が検討されている。しかしそれには莫大な費用と時間が掛る上、それにより下流での従来の水量が確保出来るかは明らかでない。更に将来予想出来ない豪雨に見舞われた場合、水還流設備は対応出来るのか、またトンネル自体が絶え得るかが懸念される。悪化する気候変動の中で自然の力を見くびることは出来ない。

 そこで大井川の工区だけ陸上トンネル(大井川空中トンネル仮称)とすることを提案したい。恐らく景観の問題等で反対はあるだろうが、景観になじむデザインにするなどにより解決出来るだろう。例えば、トンネルの一部を硬質ガラスでリニア新幹線の通過を可視化すれば、撮り鉄ファンにとっては格好のスポットとなろう。乗客も一瞬の外の景色にほっとするだろう。トンネルの上部に遊歩道を築いて観光化することも考えられる。本件は経済社会問題として検討されるべきであろう。

 大井川工区の陸上トンネル化を行い、リニア新幹線の早期開業を期待したい。

(2023.1.9.) (Copy Rights Reserved.)

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国際司法裁判所のロヒンギャ虐待への対応を評価 (その2 ) ―国際難民問題に一石を投じる―

2023-03-29 | Weblog

    国際司法裁判所のロヒンギャ虐待への対応を評価 (その2 )
     ―国際難民問題に一石を投じる―
 ミャンマーのバングラデシュ国境付近に居住するイスラム系少数民族ロヒンギャの抑圧問題について、国際司法裁判所(ICJ、本部オランダ)は1月23日、少数民族ロヒンギャに対するミャンマー軍による集団虐殺(ジェノサイド)が存在したとして、ミャンマー政府に対し、「迫害を防ぐあらゆる手段を講じる」よう指示する仮保全措置命令を出した。
この問題は、ガンビア政府がイスラム諸国で構成されるイスラム協力機構を代表してICJに提訴したものだ。国際司法裁判所は「ロヒンギャは依然として危険にさらされている状況にある」と認定し、ミャンマー政府に対し、「対策」の実施状況を4ヶ月以内に報告するよう命じた。

 1、難民排出国・源泉国の責任が問われ、改善措置が求められた意義は大きい (その1で掲載)

 2、今後難民問題解決には排出国・源泉国の責任と負担の明確化が不可欠 
 国連傘下の専門機関である難民高等弁務官事務所が対象としている内戦や迫害、地域紛争から逃れた難民や避難民は、2018年、世界中で約7,080万人に達している。このうち、国内避難民が4,130万人であるが、国外に避難した難民が2,590万人、庇護申請者が350万人となっている。戦後、内戦や武力紛争、政治的迫害、地域紛争などが世界各地で発生している一方、難民排出の根源となっているこれら紛争等が長期化し、解決のめどが立たないケースが多いことから、避難民・難民の数はこの20年間で2倍を超え、激増している。難民キャンプが長期に維持されるとキャンプ内で自然増が起こり、規模の問題だけではなく、子供の教育やキャンプ内での閉鎖された将来という人権上の問題も生ずる。
 因みに難民全体の3分の2以上の67%が、シリア(670万人)、アフガニスタン(270万人)、南スーダン(230万人)、ミャンマー(110万人)、ソマリア(90万人)などの発展途上国で発生しており、その内難民申請で許可され第3国定住となったのは902,400人に過ぎない。難民排出国が途上国に集中しているため、世界の難民の84%が途上国で受け入れているが、先進国も全体16%を受け入れている。
 多くの場合、難民等は難民キャンプに収容され不自由な生活を強いられるため、シェルターや食料、衣料、薬品などの必需品は主に難民高等弁務官事務所が支援しており、年間予算額は約80億ドル(2018年、8,800億円規模)にも及び、これらは日本を含む国連加盟国による拠出金(各国の税金)や寄付金等で賄われている。更に、長期に亘る中東紛争の根源となっているパレスチナ難民を含めると、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA) の年間予算7.5億ドル(2018年、825億円規模)、その他世界食糧計画(WFO)による食糧支援などの国連機関によるによる支援を加えると、年間1兆円内外の支援を続けていることになる。
 難民の根源である武力紛争や内戦、地域紛争を解決して行かなければ、難民問題は解決せず、コストは増加し、これを各国の税金で支えて行かなくてはならない。人道上仕方がない面があるが、このようなことを何時までも長期間続ければ、難民総数は膨らみ、世界の負担が増え続ける一方であり、また難民の環境に置かれている人々にとっても自由な生活は奪われ、長期化は不幸であろう。
 難民の根源である内戦や紛争を解決する努力を優先すべきだ。その上でも、難民の源泉国、排出国に費用分担や国連の保護下に置く区域の提供などを義務付けると共に、国内抗争や地域紛争の平和的解決を強く求めるべきであろう。それを怠る場合は、人道援助を除く、国連や2国間の援助の削減を行うと共に、大量虐殺(ジェノサイド)や迫害等については近隣国や域内組織、或いは国連が国際司法裁判所に提訴し、関係国に公正な措置を求めるなどすべきであろう。用分担や国連の保護下に置く区域の提供などを義務付けると共に、国内抗争や地域紛争の平和的解決を強く求めるべきであろう。それを怠る場合は、人道援助を除く、国連や2国間の援助の削減を行うと共に、大量虐殺(ジェノサイド)や迫害等については近隣国や域内組織、或いは国連が国際司法裁判所に提訴し、関係国に公正な措置を求めるなどすべきであろう。

 現在の状況は、難民の源泉国、排出国のフリーライドとなっており、これがまた抗争や紛争の早期解決へのインセンテイブを失わせているのではないか。

(2020.2.17.)

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国際司法裁判所のロヒンギャ虐待への対応を評価 (その1) ―国際難民問題に一石を投じる―

2023-03-29 | Weblog

国際司法裁判所のロヒンギャ虐待への対応を評価 (その1)
―国際難民問題に一石を投じる―
 ミャンマーのバングラデシュ国境付近に居住するイスラム系少数民族ロヒンギャの抑圧問題について、国際司法裁判所(ICJ、本部オランダ)は1月23日、少数民族ロヒンギャに対するミャンマー軍による集団虐殺(ジェノサイド)が存在したとして、ミャンマー政府に対し、「迫害を防ぐあらゆる手段を講じる」よう指示する仮保全措置命令を出した。
この問題は、ガンビア政府がイスラム諸国で構成されるイスラム協力機構を代表してICJに提訴したものだ。国際司法裁判所は「ロヒンギャは依然として危険にさらされている状況にある」と認定し、ミャンマー政府に対し、「対策」の実施状況を4ヶ月以内に報告するよう命じた。
 1、難民排出国・源泉国の責任が問われ、改善措置が求められた意義は大きい
 ミャンマー政府はこの決定を不服としており、また「ジェノサイド条約」に基づき禁止されている特定集団の抹殺行為、ジェノサイドの有無をめぐるICJの最終的な判決までには数年掛かるとも見られており、今後も紆余曲折が予想される。しかし国際司法裁判所が、仮保全措置命令としても、ロヒンギャ迫害、難民流出の源泉であるミャンマー政府の責任を認め、状況改善のためあらゆる措置をとることを命じた意義は大きく、難民問題解決に向けて一石を投じたと言えよう。
 なおロヒンギャは、もともとバングラデシュ地域等にいたイスラム系少数民族で、ブッダ教徒が支配的なミャンマーの国境付近に住みついたもので、国籍も認めたれず、厳しい生活を強いられていた。特に2016、17年にロヒンギャ系武装集団がミャンマー治安施設を襲撃したのを契機に、ミャンマーの治安部隊が村落への掃討作戦が活発化し、70万人以上が隣国バングラデシュに逃げるなど、難民が増加した。2019年9月、国連人権理事会の調査団は多数の住民が殺害されたり村が焼かれたりした旨報告している。

 2、今後難民問題解決には排出国・源泉国の責任と負担の明確化が不可欠 (その2に掲載)
(2020.2.17.)

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国民1人1人の命を大切にし、安全な国造りを目指そう (再掲)

2023-03-29 | Weblog

国民1人1人の命を大切にし、安全な国造りを目指そう (再掲)

  2022年7月8日の安倍晋三議員(元首相)への銃撃事件は、日本だけでなく国外にも銃規制が厳格で安全と見られていた日本で起こった惨事として大きな衝撃を与えた。

  人の尊厳を傷つけ、命を奪うような行為は決して許されない。

  1、警備強化、規制・制限強化で終わらせてはならない

このような暴力行為は決して許されるべきではない。 現在要人警護の強化の強化が検討されているが、党派を超えて公正、安全な活動の確保を念願する。 他方、昨今身勝手な理由で生徒や幼児を含む一般国民が殺傷事件に巻き込まれ、多くの尊い命が失われているのも事実である。 人を殺める行為はそれが誰であれ許されるものでなく、国民1人1人の安全への取り組みが不可欠である。

  その対応として規制・罰則の強化や警備の強化などで終わらせることなく、時間は掛るが、家庭、義務教育課程、専門学校・大学、各組織・団体レベルにおいて、心の問題として人の尊厳を傷つけ、ましてや命を奪うような行為は決して許されないとの意識の向上を図ることが必要と見られる。

今回のような事件が起こると、ともすると警備の強化の他、街頭演説の規制や道路規制などで終わってしまう可能性がある。 例えば駐停車禁止や駐輪禁止についても、駐停車禁止等の区域が急速に拡大することに加え、規制対象に「放置」という新たな概念を加わり、数分でも車や自転車を離れると「放置違反」となる。 車にしても自転車にしても、目的地で止めておかなければ用をたすことが出来ず、駐停車や短時間車や自転車を離れなければならない需要があるにも拘わらず、至便で料金の安い駐車場や駐輪場、例えば短時間であれば無料で置ける場所は提供されておらず、規制・規制が増え続け、自由な生活空間が年々狭められ、市民生活はどんどん窮屈で閉塞感を増し、 行政になっているように見える。 以前公衆トイレや町中の公園等に多数の禁止事項が貼り出されていたが、最近は少し改善したものの、未だに10項目以上の禁止事項を貼り出している施設、公園なども少なくない。 都内の幹線道路等には禁止事項をはじめとする看板、パネルが増え続けている。 一向に減る様子もなく、「事件発生=規制強化」という行政姿勢が定着しているように映る。 学校も同様で、校則が40、50にも及ぶのは普通になっているようだ。 覚えようもなく、自主性も削がれる。

多分今回も選挙活動中の街頭利用に規制・制限が加えられ窮屈で閉塞感を増すのではないかと危惧される。 規制・制限により一定の目的は達成できるものの、必要な活動が自由に出来なくなり、至便性や自由な行動を犠牲にすることになる。 それで終わるのではなく、必要とされる目的、活動が達成できる代替の場所や施設を提供しなくては適正な行政を行っていることにはならない。 規制・禁止等を行う場合、同時に必要な救済、対応策を提供するという意識が警察を含む行政に不可欠になっているようだ。 「事件発生=規制強化+代替措置の提供」という新しい社会方程式にして行くことが不可欠だ。 それにより社会経済的効率は改善し、市民の閉塞感やストレスが癒えることが期待される。 それが出来ないと、規制が増えれば増えるだけ、違反者も増え続けるけることになる。

歩道を含む道路の管理については、県道、国道などにより所管する官庁(警察、国土交通省)や自治体(都道府県、市町村区等)が異なり煩雑のようだ。 しかし高速道路等を除き、自治体に出来るだけ多くの管理、改善の役割を持たせることが望ましい。 都市を走る幹線道路沿いは、至便性から住宅やコンビニ、スーパー、病院等の施設、商店が増え、「通過のための道路」が「生活道路」に性格を変えているところが多い。 警察行政がその変化に気付いておらず、従来通りの対応に終始しているように映る。 今回のコロナウイルス対策では、地方自治体が大活躍し、市民に近い行政活動として評価される。 都市の市街を走る道路はもはや「通過のための道路」ではないので、信号の敷設を含め、市民生活に近い地方自治体に業務、管理を移管することが望ましい。

規制・禁止等の強化は一定期間必要とすることはあろう。 他方、そのような規則、法律が増えれば増えるほど、違反者も増え、取り締まり強化がされる一方、そのような規制・制限等は何時か破られ事件となり、更なる規則強化という悪循環が繰り返されるので、規制を強化をすれば良いということでもない。 国民のニーズに応える措置も不可欠のようだ。 「事件発生=規制強化+代替措置の提供」という新たな社会経済方程式の実践が望まれる。

 


  2、教育課程を通じたマナーや倫理教育、人間関係と社会教育の充実が必要

  (1)ブッダの不殺生・非暴力の教えは今や刑法となっている

紀元前5世紀頃、ヒマラヤ南麓(現在のネパール ルンビニ郡)で生まれたブッダ(漢字の仏陀は、サンスクリット語を音写したもの)はシャキア部族王国のシッダールタ王子としてカピラ城で育ったが、病・老・死で苦しむ城外の人々を目の前にして、悟りを求めて29才で城を出て、南方のブッダガヤ(現在のインド ビハール州)で悟りを開いた。 シッダールタ王子は悟りを開いてブッダ(サンスクリット語の悟りを開いた者・賢者の意)となり、人類平等の思想に立脚し、生きていなければ悟もないことをまず悟り、生きることを前提として人類共通の課題である病・老・死への向き合い方を説き、不殺生・非暴力等を唱えた。

ブッダは、自らそれを実践した。 ブッダは、コーサラ国のヴイルダカ王が王子の頃シャキアの村人に侮辱されたことを恨み、シャキア王国を攻撃するとの知らせを受け、進軍する路沿いに座り、ヴイルダカ王の進軍を何度も止めようとした。 王は一旦引き返すが、再三に亘り進軍を繰り返し、遂にシャキア部族王国を殲滅した。 ブッダは一人身を挺して進軍を阻み、その間多くの人々に避難する時間を与えと見られる。 他方ヴイルダカ王は凱旋後、火災に巻き込まれ苦痛の中で命を失い、地獄に落ち、そこであらゆる形の苦痛を受け続けているとされている。 その200年以上後に、アショカ王はインド地域の統一を果たしたが、その過程で隣国との「カリンガの戦い」で大量殺戮したことから、ビルダカ王のような末路、殺戮の報いを恐れ、平和と不殺生を誓い、ブッダ教に帰依すると共に、ブッダの教えの普及に努めた。 東の中国方面だけでなく、西はギリシャ、エジプト等まで伝わっている。

紀元前10世紀頃よりイラン高原周辺からインド亜大陸へアーリアンの諸部族が長期にわたり大量 に流入し、土着のドラビダ族等との支配を巡る激しい抗争と融合を経て、16大国時代という相対的な安定期の中でブッダは誕生した。 しかし16大国が割拠しており、支配を巡る潜在的な対立が存在する一方、各部族の域内では人口融合が進展したと見られる。

そのような激動の時代を経て16大国が割拠する時代に不殺生・非暴力を唱えたことは、先駆的ではあるが非現実的と捉えられても仕方ないが、不殺生、非暴力の教えは、弟子が受け継ぎ、その後部族の掟となり、人類の基本的な倫理規範となり、また国家組織が発展するにつれ、秩序維持のための刑法等へと制度化して来た。 しかしこれがひとたび法制化すると、法律、制度で禁じられ刑罰を受けるから人は殺めてはならないとの他律的、受け身的な姿勢となり勝ちで、自らの心の問題、倫理観は薄れる。 そうなると刑罰を受けても良いと考える人や刑務所に入りたいと望む者には、自らの心や倫理観による抑止が薄れ、犯罪に走り易くなるのではないだろうか。

時間が掛るが今行うべきことは、上記でも触れた通り、子供の頃から大学等までの教育課程において、それぞれの年代に応じて基本的な倫理・思想、人間関係や社会性の開発、マナー教育を充実させることではなかろうか。 大学等への進学制度の一環として大学入学共通テスト制度が導入されたことは、機会の公平を確保する上で効果がある一方、義務教育課程や高等学校がいわば共通テストで良い成績を取るために予備校化し、人間として、社会人として必要な基本的なマナーや相互の尊重と心の豊かさ、そして他人の尊厳を傷つけ、 命を奪うような行為は決して許されないというような精神面や基本的倫理の学習の余裕を失わせているのではないだろうか。

この点は、家庭が核家族化し、或いは共働き等で親などとの接触が少なくなって来ているので、これを教育の場や課外活動等で補う必要がより強くなっているようにも思われる。 もう一つの問題は、長期の経済停滞、コロナ禍の下で、成人の仕事の機会、活動の場所が狭まっており、その確保の必要性である。 好ましい仕事も活動の場もなく、長期に実家や一人暮らしで社会から引きこもっている層が多くなっているように見える。 最近、登校拒否生へのきめ細かい対応が出来てきたが、それらの学生に円滑な進学や就職が出来るようにすると共に、成人の引きこもり者への就職、活動の場の照会、斡旋・提供に加え、何でも相談できるソシアル・サービスの充実も必要であろう。 それぞれ個人の問題と言えばそうなのであるが、社会が多様で豊かになる一方、生きがいを見つけられず悩んでいる人たちが何でも躊躇無く相談できる場がもっと身近にあって良いのではないか。 その場で答えを出せなくても良い。 市民生活に近い区や市町村レベルで、本庁だけでなく支所や関係施設にも窓口を設け、夜間もメール等でアクセス出来るシステムが望ましい。

  事件が起きれば取り締まりを強化することになるが、社会から様々な理由で引きこもっている人々を社会に復帰させることによる犯罪の防止と家族・社会に与えている社会的コスト削減となるなど、効果は遙かに大きいので、そのようなソシアル・サービスを拡大することを優先すべきであろう。

 


 3、戦後の新興宗教団体の監査と誰でも何処でも相談できる場が必要

また今回の事件の背景にあった新興宗教団体による問題については、信条、信仰の自由に立脚しつつ、信者への寄付金要請や帰宅・外出などの事実上の拘束などについては、少なくても一定の基準や報告義務を設ける必要がありそうだ。 また「合同結婚式」については、当日まで相手知らない場合も多々あり、韓国人に日本国籍を取得するだめの事実上の偽装結婚や暗示、群集心理を利用した半強制的な結婚など、いわば「心の拉致」、「精神的拉致」とも言えるケースが多数存在し、人権侵害と見られる場合もあるので、これを防ぐための措置を検討する必要がありそうだ。 また第2世代以降への対応については、表面上は家庭内の問題となるので難しい側面があるが、何らかの救済措置が必要と思われる。

特に宗教は、人々の心の安らぎや拠り所等を与えるものであるので、その目的に反し、信仰の力を装って、個人に経済的その他の過度の負担を課し、或いは人権を侵害するような非社会的活動をすることは、決して許されてはならない。 このような行為や活動を霊感商法の禁止に加え、精神的強要罪或いは宗教詐欺罪などの罪として刑法に規定することが望ましい。

また統一家庭連合(旧統一教会)と政治家との関係については、特定議員による関連団体票の割り当てや、同団体票を得て今回当選した参議院議員との関係などが指摘されている。 宗教団体を支持母体とする政党には公明党があり、それが与党の一角を形成しているので、他の宗教団体も政党との関係を強めたい、基盤を拡大する傾向にある一方、旧オウム真理教のように殺傷事件を起こす場合には取り締まれるが、そうでもないと規制することはなかなか難しいところがある。 しかし宗教団体やその関連団体の票を特定候補に割り当てるなどの行為は、個人の自由な選択を阻害するものであるので、公職選挙法などで禁止が検討されても良いのではなかろうか。

 宗教法人は認可を受け、税金優遇措置などを受けているので、戦後、現行憲法の下で認可、承認を受けた一定規模以上の宗教団体については、その活動が届けられている目的や活動に適合しているかなど、信者からの聞き取りを含めて、定期的に監査することが必要のように思える。

 

更に、旧統一教会が戦後日本で行ってきた日本国民の精神的支配と政界との関係拡大の構図は、日本国民の安寧な生活を精神的、経済的に破壊し国家安全保障を損なうものであることが明らかになって来たので、外国の宗教団体及びその関連団体の日本支部組織については、認可、承認において厳格に審査すると共に、 政治活動を禁止する方向で検討する必要がありそうだ。

(2022.7.25. 同7.29.一部補足)

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Ukraine in between two camps with different values, Russia and NATO

2023-03-29 | Weblog

Ukraine in between two camps with different values, Russia and NATO

 Russian President V. Putin declared the annexation of 4 Provinces in Ukraine, namely Donetsk, Luhansk (the full areas), and Kherson and Zaporizhzhia (in full or the areas held by its troops), after signing the Annexation agreements with four pro-Russian Provincial leaders on 30th September, 2022, and the agreements were ratified by the Russian Federal Assembly in early October.

 Three days earlier, the referendums on joining Russia were carried out in the four provinces and approved with over 90% majority except for Kherson which marked 80% level approval.

 President V. Zelenskyy of Ukraine quickly denounced the referendums carried out in four Provinces as invalid and illegal, and also the Russian move to annex them based on the results such referendums.

  In response, Ukraine formally requested an accelerated accession to NATO on 30th September,2022.

 The U.N. General Assembly adopted Resolution condemning Russian Annexation of four eastern Ukraine regions under the title of “Territorial integrity of Ukraine: defending the principles of the Charter of the United Nations” on 12th October, with 143 countries in favor, 5 countries against (Belarus, North Korea, Nicaragua, Russian Federation, Syria). 35 countries abstained.

 Ukrainian President Zelenskyy repeatedly expressed his pledge to retake all of the Ukrainian territory held by Russia, while expressing his intention not to negotiate with Russian President Putin in person.

 This indicates that the war is likely to drag on into the winter.

  1. A need to cope with another War, Covid19 and worldwide Inflation

  Against the backdrop of the regional war in Ukraine, the World has been fighting against three-year long Covid19 and a high inflation as many industrialized countries now seek an exit from the inflated economy temporally sustained by the massive government spendings and lending. On top of it, the United States and other NATO countries initiated wide-ranging sanctions against Russia, which are adversely affecting the World economy, resulting in acute energy shortage and rapid price-hike and other restrictions on business transactions with Russia. As the war in Ukraine is dragging into the winter, many European people, not to mention Ukrainians themselves will suffer from coldness caused by the energy shortage, in particular natural gas and oil while fighting against Covid19 and flu. It is feared tens of thousands people might die during the freezing winter. The death toll might be more than the total death toll in Ukraine. Unfortunately, the corona virus pandemic seems to recure again in many parts of the World.

 While the Russian invasion in Ukraine should be strongly condemned and Russia should bear the consequences, it is indispensable to avoid such fatal hardship in Europe and elsewhere in the World because of severe shortage of energy and food. The NATO initiated sanctions against Russia does more harm to Europe and the World now. Even during the Cold War era, NATO initiated to set up the Coordinating Committee for Multilateral Export Controls(COCOM )in 1949 until 1994 restricting trade with the Soviet Union only on weapons and other sensitive goods. Japan and Australia joined the regime. It was replaced in July,1996, by the Wassenaar Arrangement on Export Controls for Conventional Arms and Dual-Use Goods and Technologies with 42 participating states including many former Warsaw Pact countries. It is designed to promote transparency and greater responsibility in transferring conventional arms and dual-use goods and technologies to non-member countries.

 Now the wide-ranging sanctions including the restriction on SWIFT, which facilitates quick financial transactions among financial institutions throughout the World, affects Europe and the entire World as side effects.  The Sanctions against Russia should be limited to weapons and sensitive goods. The Wassenaar Agreement should be expanded largely such as the scope of products to be applied ranging from relevant weapons, dual use goods and technologies to IT related goods, communication tools, outer-space goods, rare metals, and related intellectual properties, and so on. Such an expanded Agreement may be also applicable to China and North Korea.

 Against the background of the war in Ukraine, the World now needs to cope with the 3-year long Pandemic and steep inflation as a backlash of massive government spendings and lending operations to sustain economic slowdown elsewhere in the World, while supporting Ukraine with weapons and others. People in the World, especially in Europe and Japan, feel an acute shortage of gasoline, natural gas and wheat as well as job opportunities due to 3-year long economic stagnation, and are suffering from a steep price hike in daily necessities with persistent constraints and restrictions on daily activities. The prolonging war in Ukraine has been added to the above global war since February,2022, thus aggravating the economic and social activities in most parts of the World. Already the pandemic alone took over 6.6 million lives in the World, which is far more than the death toll in Ukraine. And if the sanctions including the SWIFT restrictions are maintained into the winter as the war in Ukraine prolongs, it is feared that tens of thousands, or millions lives in Europe may die from freezing cold weather because of electricity shortage.

 We should put more emphasis on the global war against Covid19 and severe inflation which affect adversely the daily life in the entire World, while providing Ukraine weapons and other human supports.

 

  1. Territorial issue and Peace settlement in Ukraine

 There is no justification for the Russian invasion in Ukraine. At the same time, we should give fair evaluation of the historical and geopolitical background of Ukraine and Russia.

 (1)    Historically, Ukraine used to be one of the core members of the Soviet Union after Russia. After the fall of the Soviet Union, Ukraine belonged to CIS (Commonwealth of Independent States), and kept distance from Russia after 2014 as the democracy movements advanced there and it is leaning toward EU and NATO, especially in the central and western provinces. However, Russian-speaking people and influence remain there, in particular, in the eastern provinces. Russia still has a big stake there although nuclear weapons were taken away.

 (2)    Geopolitically, Ukraine is situated in between Russia and expanded EU and NATO. NATO is composed of 30 countries now including most of the former Warsaw Pact countries. Now Sweden and Finland, which has been keeping neutrality, are in the process of joining NATO. In a sense, it is situated in between two camps with different basic values, namely in between democracy and authoritarian regime.  The Warsaw Pact Organization was disbanded after the collapse of the Soviet Union and the democratization of most of East European countries. While the East- West Cold War was over, NATO not only continues to exist but also expands eastward from 16 member countries to 30 countries assimilating most of the former Warsaw Pact countries. That has been causing a security concern on the part of Russia, especially in the mind of President Putin backed by nationalist philosophers and nostalgy for the Soviet empire.

  As a whole, for Ukraine, it is a matter of security and existence, and for Russia, it is a matter of security and rivalry with NATO and EU over basic values and governing system. Geographically, both Ukraine and Russia cannot move from that setting. NATO as well as Ukraine and Russia should respect each other such a geographical and historical setting.

 (3) The Minsk Truce Agreement of 2014 between Ukraine and Russia expired on 21st January,2022, failing to solve an autonomous issue of two self-proclaimed rebel republics of Donetsk and Luhansk which had been denying the Kyiv’s control. And Russia recognized the independence of the two self-proclaimed republics of Donetsk and Luhansk. After the Russian invasion in Ukraine in February,2022, and the subsequent war in east and south-east regions in Ukraine, the Kremlin-backed so-called ‘Referendums’ on joining Russia were carried out in four provinces, namely southern Kherson region and part of Zaporizhzhia in addition to adjacent eastern Donetsk and Luhansk in September ,2022. Three days after the approval in the referendums in all four provinces with over 90% approval votes except for below 90% in Kherson, on 30th September,2022, those four provincial leaders signed respective Treaties with Russian President Putin to join Russia. Ukrainian President V. Zelenskyy repeatedly expressed the unacceptance of such referendums and his intention to recover all the Ukrainian territories held by Russia. It is also denied by NATO countries. It is questionable especially in the case of Kherson and Zaporizhzhia whether they have legitimate authority to sign any treaty with Russia, while Donetsk and Luhansk, which maintained a certain degree of independence from central Ukraine since 2014, may have had such power as an Independent Republic.

 

 3.Exert more Wisdom than Weapons for Ukraine

 During the eight-year long Truce Agreement, it was designed to settle the autonomy issue of the two eastern provinces. But such efforts failed, and President Zelensky, instead, openly expressed his intention to become a member of NATO. 

 For Russian, the constant east-bound expansion of NATO has been seen as a threat. President V. Putin expressed his view at a press conference in April,2008, on the occasion of the NATO summit that “any attempt to expand NATO to the Russian borders would be seen as a direct threat”. At that time, NATO had already expanded its membership from 16 to 26 after the Soviet Union, therefore the East-West Cold War, was over. Now it is embracing 30 countries with the U.S. military bases and the THAAD missiles in Romania.

  (1) No justification for the Russian aggression in Ukraine

  Russian invasion in Ukraine cannot be tolerated and should be condemned.

 Every sovereign country has the right to defend itself against any aggression.

 In support of such Ukraine’s efforts to defend itself, many NATO member countries including the U.S. and others have been sending weapons after weapons together with other civil support upon request from Ukraine.

 Such a support is necessary. But we should exert more wisdom than weapons. Wisdom to stop the armed conflicts and the bloodshed. And wisdom to realize a peaceful settlement in Ukraine. Further military support, in particular, sophisticated longer-range missiles and other weapons from the NATO countries to Ukraine seems to lower a threshold for a war in Europe, or, at the worst, a nuclear war in Europe. Also a wide-ranging sanctions against Russia would adversely affect the World economy sooner or later like a boomerang.

 (2)    Needed recognition of the Co-Existence in the face of the differences in basic values and governing systems in the World

 At a time of apparent differences in basic values and governing systems in the World seen in such cases as the Russian invasion in Ukraine and the trade issue with China, we need a practical philosophy governing the World now.

 There are basically 3 alternatives. Namely, 1) defeat the opponent, completely, if possible, 2) accept the domination by the opponent, or 3) co-existence with different values and governing systems.

 The first two alternatives will not be accepted by the other side. The World is divided in these two cases, and a fear of a war lingers. If the World is to be one globe, therefore, Co-Exis tence seems to be the only realistic alternative.

 Democracy is based on human equality, acceptance of diverse values and belief, and pluralism. And given the present nation-to-nation relations which are based on the territorial sovereignty with its own basic values and governing systems, Co-Existence is the realistic philosophy governing the present international relations, if a democratic method is to be applied in handling international affairs as well.

 And sometime in the future, the World of Co-Prosperity may be realized.

 By such a time, and if the differences between countries or groups of countries in basic values and governing systems continue to damage or erode national interests and national security of one country (or group of countries), each country or a group of countries may have to set some regulations on relevant fields such as trade, entry permit, financial transactions and intellectual properties to fill such a gap, while trying to maintain freer exchanges among countries and a globalization movement. In trade, for example, it is indispensable to equalize the level of freeness between some domestic market economy and the internationally recognized free market economy to retain a fair trade and competition. It is a process to realize a free and fair trade between non-free market economies and freer market economies. (2023.1.4.)

Ambassador(Ret.)

Global Policy Group

Mitsuaki KOJIMA

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Ukraine in between two camps with different values, Russia and NATO

2023-03-28 | Weblog

Ukraine in between two camps with different values, Russia and NATO

 Russian President V. Putin declared the annexation of 4 Provinces in Ukraine, namely Donetsk, Luhansk (the full areas), and Kherson and Zaporizhzhia (in full or the areas held by its troops), after signing the Annexation agreements with four pro-Russian Provincial leaders on 30th September, 2022, and the agreements were ratified by the Russian Federal Assembly in early October.

 Three days earlier, the referendums on joining Russia were carried out in the four provinces and approved with over 90% majority except for Kherson which marked 80% level approval.

 President V. Zelenskyy of Ukraine quickly denounced the referendums carried out in four Provinces as invalid and illegal, and also the Russian move to annex them based on the results such referendums.

  In response, Ukraine formally requested an accelerated accession to NATO on 30th September,2022.

 The U.N. General Assembly adopted Resolution condemning Russian Annexation of four eastern Ukraine regions under the title of “Territorial integrity of Ukraine: defending the principles of the Charter of the United Nations” on 12th October, with 143 countries in favor, 5 countries against (Belarus, North Korea, Nicaragua, Russian Federation, Syria). 35 countries abstained.

 Ukrainian President Zelenskyy repeatedly expressed his pledge to retake all of the Ukrainian territory held by Russia, while expressing his intention not to negotiate with Russian President Putin in person.

 This indicates that the war is likely to drag on into the winter.

  1. A need to cope with another War, Covid19 and worldwide Inflation

  Against the backdrop of the regional war in Ukraine, the World has been fighting against three-year long Covid19 and a high inflation as many industrialized countries now seek an exit from the inflated economy temporally sustained by the massive government spendings and lending. On top of it, the United States and other NATO countries initiated wide-ranging sanctions against Russia, which are adversely affecting the World economy, resulting in acute energy shortage and rapid price-hike and other restrictions on business transactions with Russia. As the war in Ukraine is dragging into the winter, many European people, not to mention Ukrainians themselves will suffer from coldness caused by the energy shortage, in particular natural gas and oil while fighting against Covid19 and flu. It is feared tens of thousands people might die during the freezing winter. The death toll might be more than the total death toll in Ukraine. Unfortunately, the corona virus pandemic seems to recure again in many parts of the World.

 While the Russian invasion in Ukraine should be strongly condemned and Russia should bear the consequences, it is indispensable to avoid such fatal hardship in Europe and elsewhere in the World because of severe shortage of energy and food. The NATO initiated sanctions against Russia does more harm to Europe and the World now. Even during the Cold War era, NATO initiated to set up the Coordinating Committee for Multilateral Export Controls(COCOM )in 1949 until 1994 restricting trade with the Soviet Union only on weapons and other sensitive goods. Japan and Australia joined the regime. It was replaced in July,1996, by the Wassenaar Arrangement on Export Controls for Conventional Arms and Dual-Use Goods and Technologies with 42 participating states including many former Warsaw Pact countries. It is designed to promote transparency and greater responsibility in transferring conventional arms and dual-use goods and technologies to non-member countries.

 Now the wide-ranging sanctions including the restriction on SWIFT, which facilitates quick financial transactions among financial institutions throughout the World, affects Europe and the entire World as side effects.  The Sanctions against Russia should be limited to weapons and sensitive goods. The Wassenaar Agreement should be expanded largely such as the scope of products to be applied ranging from relevant weapons, dual use goods and technologies to IT related goods, communication tools, outer-space goods, rare metals, and related intellectual properties, and so on. Such an expanded Agreement may be also applicable to China and North Korea.

 Against the background of the war in Ukraine, the World now needs to cope with the 3-year long Pandemic and steep inflation as a backlash of massive government spendings and lending operations to sustain economic slowdown elsewhere in the World, while supporting Ukraine with weapons and others. People in the World, especially in Europe and Japan, feel an acute shortage of gasoline, natural gas and wheat as well as job opportunities due to 3-year long economic stagnation, and are suffering from a steep price hike in daily necessities with persistent constraints and restrictions on daily activities. The prolonging war in Ukraine has been added to the above global war since February,2022, thus aggravating the economic and social activities in most parts of the World. Already the pandemic alone took over 6.6 million lives in the World, which is far more than the death toll in Ukraine. And if the sanctions including the SWIFT restrictions are maintained into the winter as the war in Ukraine prolongs, it is feared that tens of thousands, or millions lives in Europe may die from freezing cold weather because of electricity shortage.

 We should put more emphasis on the global war against Covid19 and severe inflation which affect adversely the daily life in the entire World, while providing Ukraine weapons and other human supports.

 

  1. Territorial issue and Peace settlement in Ukraine

 There is no justification for the Russian invasion in Ukraine. At the same time, we should give fair evaluation of the historical and geopolitical background of Ukraine and Russia.

 (1)    Historically, Ukraine used to be one of the core members of the Soviet Union after Russia. After the fall of the Soviet Union, Ukraine belonged to CIS (Commonwealth of Independent States), and kept distance from Russia after 2014 as the democracy movements advanced there and it is leaning toward EU and NATO, especially in the central and western provinces. However, Russian-speaking people and influence remain there, in particular, in the eastern provinces. Russia still has a big stake there although nuclear weapons were taken away.

 (2)    Geopolitically, Ukraine is situated in between Russia and expanded EU and NATO. NATO is composed of 30 countries now including most of the former Warsaw Pact countries. Now Sweden and Finland, which has been keeping neutrality, are in the process of joining NATO. In a sense, it is situated in between two camps with different basic values, namely in between democracy and authoritarian regime.  The Warsaw Pact Organization was disbanded after the collapse of the Soviet Union and the democratization of most of East European countries. While the East- West Cold War was over, NATO not only continues to exist but also expands eastward from 16 member countries to 30 countries assimilating most of the former Warsaw Pact countries. That has been causing a security concern on the part of Russia, especially in the mind of President Putin backed by nationalist philosophers and nostalgy for the Soviet empire.

  As a whole, for Ukraine, it is a matter of security and existence, and for Russia, it is a matter of security and rivalry with NATO and EU over basic values and governing system. Geographically, both Ukraine and Russia cannot move from that setting. NATO as well as Ukraine and Russia should respect each other such a geographical and historical setting.

 (3) The Minsk Truce Agreement of 2014 between Ukraine and Russia expired on 21st January,2022, failing to solve an autonomous issue of two self-proclaimed rebel republics of Donetsk and Luhansk which had been denying the Kyiv’s control. And Russia recognized the independence of the two self-proclaimed republics of Donetsk and Luhansk. After the Russian invasion in Ukraine in February,2022, and the subsequent war in east and south-east regions in Ukraine, the Kremlin-backed so-called ‘Referendums’ on joining Russia were carried out in four provinces, namely southern Kherson region and part of Zaporizhzhia in addition to adjacent eastern Donetsk and Luhansk in September ,2022. Three days after the approval in the referendums in all four provinces with over 90% approval votes except for below 90% in Kherson, on 30th September,2022, those four provincial leaders signed respective Treaties with Russian President Putin to join Russia. Ukrainian President V. Zelenskyy repeatedly expressed the unacceptance of such referendums and his intention to recover all the Ukrainian territories held by Russia. It is also denied by NATO countries. It is questionable especially in the case of Kherson and Zaporizhzhia whether they have legitimate authority to sign any treaty with Russia, while Donetsk and Luhansk, which maintained a certain degree of independence from central Ukraine since 2014, may have had such power as an Independent Republic.

 

 3.Exert more Wisdom than Weapons for Ukraine

 During the eight-year long Truce Agreement, it was designed to settle the autonomy issue of the two eastern provinces. But such efforts failed, and President Zelensky, instead, openly expressed his intention to become a member of NATO. 

 For Russian, the constant east-bound expansion of NATO has been seen as a threat. President V. Putin expressed his view at a press conference in April,2008, on the occasion of the NATO summit that “any attempt to expand NATO to the Russian borders would be seen as a direct threat”. At that time, NATO had already expanded its membership from 16 to 26 after the Soviet Union, therefore the East-West Cold War, was over. Now it is embracing 30 countries with the U.S. military bases and the THAAD missiles in Romania.

  (1) No justification for the Russian aggression in Ukraine

  Russian invasion in Ukraine cannot be tolerated and should be condemned.

 Every sovereign country has the right to defend itself against any aggression.

 In support of such Ukraine’s efforts to defend itself, many NATO member countries including the U.S. and others have been sending weapons after weapons together with other civil support upon request from Ukraine.

 Such a support is necessary. But we should exert more wisdom than weapons. Wisdom to stop the armed conflicts and the bloodshed. And wisdom to realize a peaceful settlement in Ukraine. Further military support, in particular, sophisticated longer-range missiles and other weapons from the NATO countries to Ukraine seems to lower a threshold for a war in Europe, or, at the worst, a nuclear war in Europe. Also a wide-ranging sanctions against Russia would adversely affect the World economy sooner or later like a boomerang.

 (2)    Needed recognition of the Co-Existence in the face of the differences in basic values and governing systems in the World

 At a time of apparent differences in basic values and governing systems in the World seen in such cases as the Russian invasion in Ukraine and the trade issue with China, we need a practical philosophy governing the World now.

 There are basically 3 alternatives. Namely, 1) defeat the opponent, completely, if possible, 2) accept the domination by the opponent, or 3) co-existence with different values and governing systems.

 The first two alternatives will not be accepted by the other side. The World is divided in these two cases, and a fear of a war lingers. If the World is to be one globe, therefore, Co-Exis tence seems to be the only realistic alternative.

 Democracy is based on human equality, acceptance of diverse values and belief, and pluralism. And given the present nation-to-nation relations which are based on the territorial sovereignty with its own basic values and governing systems, Co-Existence is the realistic philosophy governing the present international relations, if a democratic method is to be applied in handling international affairs as well.

 And sometime in the future, the World of Co-Prosperity may be realized.

 By such a time, and if the differences between countries or groups of countries in basic values and governing systems continue to damage or erode national interests and national security of one country (or group of countries), each country or a group of countries may have to set some regulations on relevant fields such as trade, entry permit, financial transactions and intellectual properties to fill such a gap, while trying to maintain freer exchanges among countries and a globalization movement. In trade, for example, it is indispensable to equalize the level of freeness between some domestic market economy and the internationally recognized free market economy to retain a fair trade and competition. It is a process to realize a free and fair trade between non-free market economies and freer market economies. (2023.1.4.)

Ambassador(Ret.)

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Mitsuaki KOJIMA

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施策に活かされるべき統計数値ー再掲

2023-03-27 | Weblog

 施策に活かされるべき統計数値ー再掲

 総務省は、2013年2月19日、2012年の労働力調査の結果を発表し、就労者(役員を除く)の内、アルバイトや派遣、契約社員などの「非正規労働者」の割合が平均で35.2%(1,813万人)と3年連続で過去最高値を更新したと発表した。景気の回復や退職年齢の引き上げなどにより男子の比率は約20%と若干回復したものの、女子の比率は55%弱とやや悪化し、女性労働者にしわ寄せされた形となっている。 
また同省は、契約社員や派遣社員など期間が定められた期間雇用は全就労者の約26%(1,410万人)としており、期間雇用が予想以上に一般化していることが明らかになっている。そして全就労者の10%程度がパートやアルバイトなどなるが、生活スタイルの多様化は良いとしても、雇用や生活の安定性からすると課題は多い。
被雇用者に占める非正規の職員・従業員の割合は 2014年には37.4%に達し、若干の上下動はあるものの、その後も37%台の高水準にある。
雇用労働者の3人に1人以上が「非正規労働者」であり、例外的な雇用形態ではなくなっている。今後若干景気が回復しても景気の不安定性を勘案するとこの状態はかなり長期に継続すると予想される。従って「非正規労働者」の問題は、かなり長期に亘って日本の雇用関係の一角を形成することになる。日本の雇用慣行においては、基本的に新卒採用を出発点とした終身雇用制がなお一般的であるため、中間的な本採用は少数であることを考慮すると、ほとんどの「非正規労働者」が生涯「非正規労働者」として過ごす可能性が高いこと、及び「正規労働者」との比較で賃金はもとより、健康保険、年金などの社会福祉などの労働条件において格差が常態化する可能性があるため、「非正規労働者」の定年年齢後の年金や医療などの社会福祉費が社会福祉予算を圧迫する可能性がある。
このように雇用労働者の3人に1人以上の人達が常態化する一方、非正規就労者は、自由な生活スタイルが可能となる一方、相対的に不安定な雇用、生活環境に置かれる可能性があるので、少子高齢化時代と低位安定成長を前提とした今後の日本社会を再構築していく上で、「非正規労働者」に区分されている就労者への諸制度の整備や基本的な雇用制度のあり方が重要な課題となっていると言えよう。
 その上、環太平洋経済連携(TPP)やEU等との経済連携により物・サービスの自由化が進み、労働力交流や対日投資も増加する中で、日本の労働生産性は先進工業国中最下位の状態が続いており、今後外国企業や外国人就業者に市場機会を奪われ、日本の産業が停滞して行くことが財界自身により危惧され始めている。日本の終身雇用制とそれに付随する新卒至上主義や定年制という雇用制度は、戦後の産業保護と円安為替レートにも支えられ、産業の安定的発展には寄与してきたものの、労働生産性は低迷しており、複雑多岐に亘る規制、規則、通達や労働慣行などによる労働生産性抑制要因と共に、「非正規就労者」が全体の平均賃金レベルを下げる結果を招いているのではないかとみられる。国際的競争がますます熾烈になると予想される今日、深刻な課題となっている。
1、望まれる職種・技能・技術を基準とした職階制雇用形態の普及
3人に1人以上もの就労者が「非正規雇用」になっている現在、「正規雇用」
に対し「非正規」と呼称することは多くの就労者を差別化することになり、労働市場を「正規」と「非正規」に2分することは好ましくない。これらの就労者はいずれも日本経済にとって不可欠な人材であるので、安定した労働形態として制度を整え、「正規」「不正規」の区別を無くし、労働市場に適正に位置付けて行く必要があろう。
 その解決策の1つが職種・技能・技術を基準とした職能制雇用形態への転換、普及である。
(1)閉鎖性の強い現在の「正規雇用」形態
現在日本の「正規雇用」は、多くの場合新卒者採用を原則として定年まで同じ企業、組織で就労する終身雇用の形態となっており中間採用は多くはない。
 終身雇用は、企業経営側にとっては、組織、従って経営陣への忠誠心を維持し易く、組織の安定性を確保し易いと言えよう。また中小企業など、創業家を中心とする家族経営においては家族主義的な組織管理を行い易いメリットがある。雇用されている側も定年まで定職に就けるという安定性を享受できる。しかし家族主義的な雇用形態は、新規の人材を外部から導入することを阻み、内外の経済環境やグローバルに拡大、激化する競争関係に迅速、的確に対応できず、競争力を失うなどのデメリットも多い。雇用されている側も、組織内で希望の職種や仕事に就けるのはわずかである。その上景気の後退期には人員整理が困難であるため、迅速な対応が出来ず、企業の存続を脅かすことにもなる。
 職種によっては新卒採用に拘泥する必要はなく、必要な職種、技能を補充するために中間採用を機動的に活用する方が急速に変化する内外市場へのダイナミックな対応が可能となろう。
(2)職種・技能を基準とした職能制雇用形態への転換、普及が不可欠
 職種・技能を基準とした職階制雇用においては、新卒か否かや年齢にとらわれず、職種ごとの技能や経験年数により採用することになるので、採用した人材が即戦力となる。新卒採用者を除き、研修費やリードタイムでの諸経費の節約にもなる。一方就労者側も一定期間の就労の後、より良い労働環境を求めて企業や地域を変更することが出来るので、双方にとって弾力的な雇用形態となる。「正規」「非正規」の区別も不要となる。欧米諸国で広く採用されている。
 現在就労者の35%以上を占める「非正規就労者」にとっては、たまたま学校卒業時期に不況であったため「非正規雇用」となり、日本の終身雇用制の下では今後長期にその状態が続くことになると予想される。これらの人達にチャンスを与え、より多くの人が安定した職が得られるように雇用形態を多様化、弾力化すると共に、正規の雇用形態とすることが望ましい。これは、ほとんどの就労者が健康保険や年金などの社会保険の恩恵を受けられる体制にする上でも重要である。呼称も「正規雇用」「非正規雇用」とすることは適当でなく、「一般職」「職能技術職」とすれば足りることであろう。
 無論、どのような雇用形態とするかは企業の経営管理方針、選択によるが、職種・技能を基準とした職能制雇用形態の普及により、「正規」「非正規」の区別をなくし、「一般職」と「職能技術職」に移行させることが望ましい。
(3)定年制は各種の弊害を生んでいる
正規雇用形態は、多くの場合、入口の新卒者採用と共に出口である定年制とセットになっており、その上で年功序列の体系となっているので、年齢が決定的な要因になっている。しかし長寿化により、退職後余命が顕著に長くなっており、退職後の過ごし方が大きな問題になると共に、年金財源を圧迫する主要因にもなっている。
平均寿命は、日本の戦後復興が本格化し始め、諸制度が整備し始めた1960年で男性65.3歳、女性で70.2 歳であったが、2010年には男性79.6 歳、女性86.4歳と顕著に伸びている。1960年代の定年年齢を55歳とすると、定年後余命は10年程度となる。2010年には定年が60歳として、定年後余命は19.6年と2倍に伸びており、女性についてはもっと長くなっている。従って現在、定年後の過ごし方と年金財源の不足が社会問題となるのは当然と言えよう。最大の問題は、経験や技能・技術を持ち、働く意欲がある者を、寿命が延びているにも拘らず、年齢により一律に労働市場から排除してしまう上、年金への依存を高めることであろう。長寿化を前提とすると、定年後の期間が従来よりも著しく長くなっているので、現在では「定年制度」は事実上の‘年限解雇’の制度となっているとも言える。
このような状況に対応し、現在年金支給年齢を65歳とし、その穴埋めとして60歳定年の延長や再雇用、或いは定年の撤廃が選択肢として検討されており、当面の対策としてはして良いのであるが、寿命はさらに伸びる可能性があり、定年制を維持する限りイタチごっことなり、抜本的な対策とはならない。顕著な寿命の伸長に対し、雇用制度や諸慣行、社会保障制度などへの対応が追いついていないと言えよう。基本的に年齢に過度に執着しない雇用モデルが必要になっていると言えよう。
「正規就労者」もいずれは定年となるが、職能職階制を導入すれば、一定年齢以降についても、働く意欲があり健康であれば、自らが選択する職種、技能で組織に留まることが出来るようにすることが可能となろう。定年制を維持すれば、寿命が延びたことにより定年年齢となっても働けるが職のない人口が多くなる一方、年金支給年齢を65歳に引き上げても年金給付期間は以前よりも長期間となるため、年金の財源を圧迫し続けることになる。恣意的に定められている定年が各種の社会的な障害となっていると言えよう。
女性の社会進出の促進にしても、いろいろな問題が議論されているが、終身雇用の下での年功序列的な等級制度が続く限り、現実問題としてはなかなか進まないと見られている。多くの場合、出産や子育などで、一定期間年功序列のエスカレーターから外れてしまうからだ。女性の社会進出の促進のためにも、職種・技能に基づく職階制への転換が望まれる。
 2、国家公務員等の人事制度の改善が不可欠 (その2に掲載)
(1)幻に終わった「国家公務員の職階制に関する法律」
(2)国民に開かれた公務員制度を可能にする「職階制」
(2020.1.7.)(All Rights Reserved.)

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アジア・大洋州地域包括的経済連携(RCEP)、中国への対応が鍵!

2023-03-27 | Weblog

アジア・大洋州地域包括的経済連携(RCEP)、中国への対応が鍵!

 <はじめに>アジア・大洋州地域包括的経済連携(RCEP)協定は、2020年11月にインドを除く15か国で署名され、2021年中に豪州、NZ含め10か国の国内(批准)手続きが完了することになったため、2022年1月に発効、日本はじめ中国、韓国を含むアジア・大洋州地域の10か国でRCEPが発足する。

 アジア・大洋州地域の自由な貿易、投資等を促進するものとして歓迎される。しかし、これに中国が入っている。中国が、2001年12月、多国間の貿易自由

化を目指す世界貿易機関(WTO)に加盟して以来、中国が飛躍的に成長し、い

わば中国の一人勝ちの様相を呈している。中国は、WTOに加盟する世界の全て

の国・地域において自由市場や投資活動等の自由の恩恵をほとんど制約無く享

受している。しかしWTO加盟諸国は、「社会主義自由市場」の下で中央統制が

行われている中国国内においては、経済・社会活動、表現の自由などが厳しく制

限されており、自由市場の恩恵は著しく制約され、中国の中と外で経済活動の自

由度において不平等が生じている。中国市場の外と中で経済活動の自由度の平

準化が求められる一方、中国の国内市場の制約・規制のレベルに応じ、他の加盟

国において中国の経済活動への規制や課徴金を課すことを可能にすることが必

要となって来ている。

 そのような観点から、本稿を再掲する。

 2011年11月にASEAN諸国の提唱により協議が始まったアジア地域包括的経済連携(RCEP)は、2019年11月4日、バンコクで開催され首脳会議において、インドを除く15カ国が2020年中の協定署名に向けた手続きを進めることで合意し、2020年11月15日、オンライン形式で首脳会合において、インドを除く15か国(ASEAN10カ国、日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド)がRCEP協定に署名した。

 アジア地域包括的経済連携(RCEP)は、ASEAN10カ国に加え、日本、韓国中国、インドとオーストラリア、ニュージランドの16カ国を対象として関税の自由化、サービス分野における規制緩和や投資障壁の撤廃を目的として協議が行われて来た。しかしインドは、中国の市場アクセスへの懸念につき対応されておらず、自国の農業・酪農、消費部門が影響を受けるとして参加を見送った。インドのモディ首相は、今回のRCEP合意について、関税の違いや貿易赤字、非関税障壁など、「インド国民の利益に照らし合わせ、肯定的な答えは得られなかった」との考えと伝えられている。

 中国、インドを含むRCEPが実現すれば、世界の人口の約半分に当たる34億人、世界のGDPの約3割の20兆ドル、世界の貿易総額の約3割10兆ドルを占めるメガ地域経済圏となる。

インドを除く15カ国は、インドの参加を期待しつつも、2020年中の15カ国での発足を模索しているが、基本的に次の問題が内在しており、慎重な対応が求められる。

 1、「社会主義市場経済」を標榜する中国との差は埋められるか

 中国は「社会主義市場経済」を標榜しており、自由主義市場経済と異なり、基本的に中央統制経済を維持している。従って石油ガス、銀行その他の戦略性や公共性のある多数の基幹産業が政府(国務院)か共産党管理下の「国有企業」であり、補助金を含め政府や党からの実質的な支援を受けている。政府や党が100%株式を所有する中央企業などのように、その下に中央企業が持ち株会社として管理監督する子会社が多数存在する。従って表面上‘株式会社’となっていても国が保有或いは統制している企業体が存在する。

 このように国家や共産党に補助金や直接管理で保護されている企業や産業が存在し、国内産業は保護、規制しつつ、海外市場や海外投資については自由貿易、多国間主義を求めるのは、衡平を著しく失する。このような企業、産業からの輸出については、輸入国側、投資受け入れ国が、輸出国側の補助金等の保護の度合いにより相応の関税を課す事を含め、一定の防護措置をとることを認めるべきであろう。そうでなければフェアーな競争とは言えない。スポーツに例えれば、筋肉増強剤を使用している選手と競争しているようなものだ。

 この観点からすると、米国による中国に対する関税措置や貿易交渉姿勢は‘保護主義’などではなく、公正な要請と言えよう。

 1990年代に入り急速に経済成長した中国は、2001年12月、世界貿易機関(WTO)に加入した。当時のおおよその見方は、13億人の巨大市場である中国貿易が自由化され、世界市場が拡大する一方、中国経済自体も国際経済秩序に組み込まれ、市場経済化を加速させるものと期待された。

その期待の一部は達成されたが、WTOへの加入により最も利益を得たのが中国であり、いわば独り勝ちの状況となっている。

 中国は、WTO加入に際し金融の自由化、諸法制の整備などの是正が求められ、若干の改善は見られている。しかし中国は、体制上『社会主義市場経済』を標榜しそれを堅持しているので、先進工業諸国が採用している‘自由主義経済’や‘市場経済’とは異なり、上記の通り、国営基幹産業を含め、基本的に国家統制経済であり、国家の統制や国家補助、国家管理が強い。また実体上、元の為替レートや株価への統制や管理も行われ得る体制となっている。中国は、米国の通商交渉姿勢について、国際会議や記者会見等において、‘米国は保護主義的であり、自由貿易を支持する’などとしているが、国内で中央統制経済を維持しつつ、世界では自由貿易とは身勝手と言える。ASEAN諸国も、当面は中国経済の恩恵を受けているが、RCEPが発足すると国内産業が圧迫され、不利益の方が際立つ可能性がある。現在、世界貿易機関(WTO)の改革が検討されているが、国家補助を受けている企業や産業が世界市場に参入する場合の条件、外国為替や株式市場への直接的国家介入の節度、技術や特許など知的財産の国際的保護などが課題と言えよう。

 中国は、国民総生産(GDP)において、既に米国に次ぐ世界第2位の経済大国となり、成長率が低下したと言っても年率6~7%の成長を維持し、2019年の世界経済成長率3.2%(OECD予測)の倍以上の成長率が予想されている。しかし中国は、国内で中央統制経済を維持する一方、世界での自由貿易を主張している。第2次世界戦争後の世界経済は、米国の経済力を軸とするものであり、70年代後半以降多極化の動きが見られるものの、基本的には米国経済が牽引力となって来た。しかしこのままでは、『社会主義市場経済』を採用している中国が、相対的に高い成長率を維持し続け、世界第1の経済大国となり、世界経済の中心となる可能性が高い。米国を中心とする国際経済秩序に、異質の経済体制を採る中国が加わり、単純化すれば、中国と米国という2つの経済圏による秩序に変容することになろう。

 トランプ政権はその変化を認識し、経済分野のみならず、‘安全保障と外交政策’上の脅威ともなるとして、目に見える短期的な利益を模索しつつも、中・長期の国際経済秩序を見据えて中国に対応し始めていると言えよう。日本を含め世界は、この流れを見逃してはならない。

 アジア地域の自由貿易地域となろうとしているRCEPを発足させるためには、本来であれば社会主義市場経済という特異な体制をとっている中国に対する参加条件を検討することが不可欠のようだ。中国を国際社会につなぎ止めて置くことは必要だが、WTOの過ちを繰り返してはならない。

 2、インド不参加のRCEPは‘閉ざされた地域グループ’を生む

インドのモディ首相は、RCEP合意について、関税の相違や貿易赤字、非関税障壁などへの対応において「肯定的な答えは得られなかった」とし、合意出来ないとの姿勢である。特に、中国の安価な製品のほか、オーストラリアやニュージランドからの安価な農産品などが国内産業を圧迫することを懸念している。

 中国への懸念は、補助金を含む産業保護という中央統制経済から発生することであるので、体制上の変化が無い限り、インドはRCEPに参加することはないであろう。RCEPがインド抜きで発足すると‘排他的な地域グループ’を生むこととなるので好ましくない。

 他方インドの参加を促すためには、中国の補助金その他の産業保護の状況に応じて関税や投資規制等と設けることを認めることとするか、それとも中国が自由主義市場経済への転換を図るかあろう。それ無くしてRCEPを発足させることは時期尚早と言えよう。(2019/12/23、2021/11/5冒頭補足)

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リニアモーターカー(リニア新幹線)、越すに越されぬ大井川! ― 大井川陸上トンネル化を提案する ―

2023-03-27 | Weblog

リニアモーターカー(リニア新幹線)、越すに越されぬ大井川!

      ― 大井川陸上トンネル化を提案する ―

 超伝導リニアモーターを利用したリニア中央新幹線は当初東京―名古屋間の2027年開業を目指して建設が開始された。東京―名古屋間40分の夢の超特急だ。

 しかし大井川の地下に通すトンネルが水の流れに影響し、静岡県の下流への水資源を枯渇させ、流域の農業や生態系等の環境に大きな影響が出るのではないかと懸念され、同県知事が着工を了承していない。各種の環境影響調査、協議等が行われているものの、大井川トンネルの着工が出来ないままとなっている。2029年以降の開業についても見通せず、総事業費は約10.5兆円に増加するとされている。正に、越すに越されぬ大井川だ。

 大井川の下にトンネルを通すことにより流れ出す大量の水を川に戻すなどの案が検討されている。しかしそれには莫大な費用と時間が掛る上、それにより下流での従来の水量が確保出来るかは明らかでない。更に将来予想出来ない豪雨に見舞われた場合、水還流設備は対応出来るのか、またトンネル自体が絶え得るかが懸念される。悪化する気候変動の中で自然の力を見くびることは出来ない。

 そこで大井川の工区だけ陸上トンネル(大井川空中トンネル仮称)とすることを提案したい。恐らく景観の問題等で反対はあるだろうが、景観になじむデザインにするなどにより解決出来るだろう。例えば、トンネルの一部を硬質ガラスでリニア新幹線の通過を可視化すれば、撮り鉄ファンにとっては格好のスポットとなろう。乗客も一瞬の外の景色にほっとするだろう。トンネルの上部に遊歩道を築いて観光化することも考えられる。本件は経済社会問題として検討されるべきであろう。

 大井川工区の陸上トンネル化を行い、リニア新幹線の早期開業を期待したい。

(2023.1.9.)

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北朝鮮は米韓共同軍事演習への対抗措置を画策か!?  (総合編)再掲

2023-03-27 | Weblog

北朝鮮は米韓共同軍事演習への対抗措置を画策か!?  (総合編)再掲

 北朝鮮は、昨年12月、金正恩体制への反逆行為として張成沢国防副委員長を処刑するなど、その関係者、親族を粛清し、その後の動向が注目されていた。その中で1月16日、北朝鮮国防委員会は、南北朝鮮間に良好な環境を作り出すためとして、旧正月が始まる1月30日以前に相互に批判し挑発し合うことを止め、軍事的な行為を中止するよう提案すると共に、米韓両国の共同軍事演習の中止を訴えた。

 更に1月24日、北朝鮮国防委は、国防委委員長でもある金正恩第一書記の特別な指示として、祖国統一の新たな段階を開くため上記の提案に言及しつつ韓国当局ほか関係方面に宛てた公開書簡を公表した。

 韓国政府はこれを誠意あるものではないとして拒否したが、北朝鮮は池在中国大使が記者会見を行い、この提案は真摯なものであり支持するよう訴えた。中国当局からもプレッシャーが掛けられていることが伺える。

 その後北朝鮮は、韓国との南北離散家族再開事業を実施(2月20日から6日間)した他、日朝間においても、日朝赤十字会談(3月19日)や日朝政府間協議(3月30日、31日)を行うなど、融和姿勢を示す一方、短、中距離のミサイルの日本海向け発射などの示威行為を行い、硬軟両用の姿勢を示しており、その真意が注目されている。

 1、米韓合同軍事演習への反発をあらわにする北朝鮮の狙い

 このような北朝鮮側の米韓共同軍事演習の中止提案に対し、北朝鮮側が張成沢国防副委員長他の血の粛清後国際的に孤立化していることを受けての融和策、或いは経済的困難を回避するための和解姿勢など、ステレオタイプのコメントが多く聞かれた。

無論そのような狙いがあることは否定するものではない。しかし上記の2度に渡る提案を読み進めると、具体的には次の2点を要求している。

(1)  南北間に良好な環境を作り出すため、当面、米韓合同軍事演習(フオール・イーグル、及びキー・リゾルブ)を中止すること。

(2)  北朝鮮としては‘朝鮮半島の非核化’を共通の目標と考えるが、朝鮮半島に‘第3国の核’を持ち込まないこと。北朝鮮の核は米国の核の抑止のためであり、自衛のためにほかならない。

 この要求から分かるように、北朝鮮の当面の狙いは2月下旬から実施されている米韓合同軍事演習の中止である。提案が北朝鮮の軍事委員会の名でなされていることも、軍事的な思惑からであることを物語っている。そもそももし北朝鮮側が、真に韓国側との融和を希望するのであれば、公式ルートを通じ静かに接触し、韓国側が対話に応じた時点で公表するであろう。

 米韓合同軍事演習は、長年に亘り実施されているもので、韓国内及びその周辺で行われる大規模な演習であるが、北朝鮮側はその都度最大級の批判を繰り返して来ている。国内的にも、TVや労働党機関紙その他で米国、及び韓国による北朝鮮侵略の準備であり、北朝鮮はそのような攻撃があれば南を焦土とするなどとして、過剰とも思える反応を行っている。2013年においても同様だ。

 2、北朝鮮の融和姿勢は本当か

 このような中にあって北朝鮮は、2月20日から6日間、南北離散家族再開事業を3年ぶりに実施した。また日朝間においても、3月19日、瀋陽において日本人遺骨収集等に関する日朝赤十字会談を行い、また2012年11月以降中断していた日朝政府間協議を3月30日、31日に北京で行うと共に、横田めぐみさんの両親と孫に当たるヘギョンさんとの面会をモンゴルで実現するなど、融和姿勢を示している。

 これらの動きから、北朝鮮は、国内での食糧不足や経済困難、中国との関係の後退などから、韓国や日本との関係改善を狙っていると言われている。特に日本については、日朝交渉を通じる拉致被害者問題の進展や制裁措置の部分的な緩和による交流の促進などが期待されていると言われている。

 しかし日朝政府間協議は、‘真摯で率直な協議’が行われ、協議の継続で合意したものの、再開時期にも合意していない。政府間関係で‘真摯で率直な協議’との表現は、それぞれの立場、問題点を言い合うことを意味しており、それぞれの思惑で進展を期待しつつも、基本的に一致点がなかったことを意味している。政府間協議後の4月1日、北朝鮮側の代表宋氏は記者の質問に対し、朝鮮総連本部の入札による売却決定を許可したことに対し、‘この問題の解決なくして、日本との関係進展は必要ない’とのコメントを日本語で行っている。北朝鮮側の当面の関心が朝鮮総連本部の建物にあったことが明らかだ。既に落札され承認されているので、売却自体は実施されることになろうが、賃貸への便宜や代替地の提供などを求めて来る可能性がある。朝総連は、かねてより北朝鮮の日本での大使館或いは代表部としての機能を果たしていたとされているが、日朝両国には正式な外交関係はないので、朝総連のこのような機能、活動は認められるべきではない。朝総連のあり方等は、平和条約交渉の過程で協議されるべきであろう。

一方、国連人権理事会が設置した北朝鮮人権調査委員会は、2月に報告書を公表し、北朝鮮の拉致を含む人権侵害行為に対し「人道に対する罪」として非難すると共に、安全保障理事会に対し、国際的な刑事司法の枠組みで北朝鮮指導者の責任追及を検討するよう促した。そして人権理事会は3月28日、北朝鮮の人権侵害を非難する決議を採択した。このように北朝鮮の人権侵害、人道違反に関しては、2013年12月の粛清を含め国際世論の批判が強まっていることから、国際世論を和らげるための融和姿勢が必要だったとも言える。また北朝鮮は、国連専門機関から毎年のように受けている食料などの人道支援を確保するためにも融和姿勢を示す必要がある。もっとも、一方で経済制裁を行いながら、北朝鮮への食料などの人道支援を実施することには、矛盾があり、実施するにしても、実際に貧困層の人々の口に届くような確実且つモニターシステムを確立することが不可欠と言えよう。

 3、北朝鮮の真の狙いは核、ミサイル開発の促進?!

 今回の北朝鮮側の一連の米韓合同軍事演習の中止要求が韓国側により拒否され、米韓合同軍事演習が行われたため、北朝鮮側は、米韓による戦争準備が行われているなどとして非難を強め、自国防衛の一環と称して長距離ロケットや核兵器の開発、実験を加速する可能性が強い。既に北朝鮮側は、日本海に向け短距離ミサイルの発射(2月27日)、そして中距離ミサイル・ノドンの発射(3月26日)を実施すると共に、黄海に向けロケット砲の発射(3月31日)を行っている。また、長距離ロケットの発射台を設置し始めており、ウラン濃縮も再開されているなどと伝えられているので、北朝鮮は、今後の重要日程に合わせてミサイル、核実験を強行する恐れが強い。

 南北間の環境改善に向けての北朝鮮の提案は、強硬姿勢を合理化するための国際世論向けのジェスチュアーと見られる。北朝鮮が今回中距離ミサイルの発射を行ったことに関し、国連安保理は2013年1月の安保理制裁決議に反するとして非難したことに対し、北朝鮮はこれに抗議した上、‘新たな形の核実験を行うことも排除されない’との外務省声明を発表している。

 確かに南北朝鮮は未だに“休戦状態”であるので、軍事的には合同軍事演習は必要であろう。しかし北朝鮮側の極端な反応が予想されるのにも拘らず、何故朝鮮半島周辺で毎年のように大規模な軍事演習を行うのか。北朝鮮側も、軍事演習自体を否定はしていない。米国内か朝鮮半島から遥か離れたところで行うように促している。北朝鮮の核及びミサイルの開発実験問題については、1990年代中頃より各種の努力がなされているが、朝鮮半島周辺における大規模な米韓合同軍事演習は、北朝鮮側に核、ミサイル開発加速への口実を与え、既成事実を重ねさせ、事態を悪化させて来ているのではないだろうかろうか。

 それだけでなく、1953年7月に締結された南北間休戦協定以来60年を越える休戦状態が継続し、和平が成立しない限り北朝鮮の先軍政治が継続するので、毎年行われる米韓の合同軍事演習は、北朝鮮に先軍政治を継続する格好な口実を与える結果ともなっている。

 軍事的観点だけでなく、総合的な判断が求められよう。

(2014.04.10.)

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アジア・大洋州地域包括的経済連携(RCEP)、中国への対応が鍵!

2023-03-25 | Weblog

アジア・大洋州地域包括的経済連携(RCEP)、中国への対応が鍵!

 <はじめに>アジア・大洋州地域包括的経済連携(RCEP)協定は、2020年11月にインドを除く15か国で署名され、2021年中に豪州、NZ含め10か国の国内(批准)手続きが完了することになったため、2022年1月に発効、日本はじめ中国、韓国を含むアジア・大洋州地域の10か国でRCEPが発足する。

 アジア・大洋州地域の自由な貿易、投資等を促進するものとして歓迎される。しかし、これに中国が入っている。中国が、2001年12月、多国間の貿易自由

化を目指す世界貿易機関(WTO)に加盟して以来、中国が飛躍的に成長し、い

わば中国の一人勝ちの様相を呈している。中国は、WTOに加盟する世界の全て

の国・地域において自由市場や投資活動等の自由の恩恵をほとんど制約無く享

受している。しかしWTO加盟諸国は、「社会主義自由市場」の下で中央統制が

行われている中国国内においては、経済・社会活動、表現の自由などが厳しく制

限されており、自由市場の恩恵は著しく制約され、中国の中と外で経済活動の自

由度において不平等が生じている。中国市場の外と中で経済活動の自由度の平

準化が求められる一方、中国の国内市場の制約・規制のレベルに応じ、他の加盟

国において中国の経済活動への規制や課徴金を課すことを可能にすることが必

要となって来ている。

 そのような観点から、本稿を再掲する。

 2011年11月にASEAN諸国の提唱により協議が始まったアジア地域包括的経済連携(RCEP)は、2019年11月4日、バンコクで開催され首脳会議において、インドを除く15カ国が2020年中の協定署名に向けた手続きを進めることで合意し、2020年11月15日、オンライン形式で首脳会合において、インドを除く15か国(ASEAN10カ国、日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド)がRCEP協定に署名した。

 アジア地域包括的経済連携(RCEP)は、ASEAN10カ国に加え、日本、韓国中国、インドとオーストラリア、ニュージランドの16カ国を対象として関税の自由化、サービス分野における規制緩和や投資障壁の撤廃を目的として協議が行われて来た。しかしインドは、中国の市場アクセスへの懸念につき対応されておらず、自国の農業・酪農、消費部門が影響を受けるとして参加を見送った。インドのモディ首相は、今回のRCEP合意について、関税の違いや貿易赤字、非関税障壁など、「インド国民の利益に照らし合わせ、肯定的な答えは得られなかった」との考えと伝えられている。

 中国、インドを含むRCEPが実現すれば、世界の人口の約半分に当たる34億人、世界のGDPの約3割の20兆ドル、世界の貿易総額の約3割10兆ドルを占めるメガ地域経済圏となる。

インドを除く15カ国は、インドの参加を期待しつつも、2020年中の15カ国での発足を模索しているが、基本的に次の問題が内在しており、慎重な対応が求められる。

 1、「社会主義市場経済」を標榜する中国との差は埋められるか

 中国は「社会主義市場経済」を標榜しており、自由主義市場経済と異なり、基本的に中央統制経済を維持している。従って石油ガス、銀行その他の戦略性や公共性のある多数の基幹産業が政府(国務院)か共産党管理下の「国有企業」であり、補助金を含め政府や党からの実質的な支援を受けている。政府や党が100%株式を所有する中央企業などのように、その下に中央企業が持ち株会社として管理監督する子会社が多数存在する。従って表面上‘株式会社’となっていても国が保有或いは統制している企業体が存在する。

 このように国家や共産党に補助金や直接管理で保護されている企業や産業が存在し、国内産業は保護、規制しつつ、海外市場や海外投資については自由貿易、多国間主義を求めるのは、衡平を著しく失する。このような企業、産業からの輸出については、輸入国側、投資受け入れ国が、輸出国側の補助金等の保護の度合いにより相応の関税を課す事を含め、一定の防護措置をとることを認めるべきであろう。そうでなければフェアーな競争とは言えない。スポーツに例えれば、筋肉増強剤を使用している選手と競争しているようなものだ。

 この観点からすると、米国による中国に対する関税措置や貿易交渉姿勢は‘保護主義’などではなく、公正な要請と言えよう。

 1990年代に入り急速に経済成長した中国は、2001年12月、世界貿易機関(WTO)に加入した。当時のおおよその見方は、13億人の巨大市場である中国貿易が自由化され、世界市場が拡大する一方、中国経済自体も国際経済秩序に組み込まれ、市場経済化を加速させるものと期待された。

その期待の一部は達成されたが、WTOへの加入により最も利益を得たのが中国であり、いわば独り勝ちの状況となっている。

 中国は、WTO加入に際し金融の自由化、諸法制の整備などの是正が求められ、若干の改善は見られている。しかし中国は、体制上『社会主義市場経済』を標榜しそれを堅持しているので、先進工業諸国が採用している‘自由主義経済’や‘市場経済’とは異なり、上記の通り、国営基幹産業を含め、基本的に国家統制経済であり、国家の統制や国家補助、国家管理が強い。また実体上、元の為替レートや株価への統制や管理も行われ得る体制となっている。中国は、米国の通商交渉姿勢について、国際会議や記者会見等において、‘米国は保護主義的であり、自由貿易を支持する’などとしているが、国内で中央統制経済を維持しつつ、世界では自由貿易とは身勝手と言える。ASEAN諸国も、当面は中国経済の恩恵を受けているが、RCEPが発足すると国内産業が圧迫され、不利益の方が際立つ可能性がある。現在、世界貿易機関(WTO)の改革が検討されているが、国家補助を受けている企業や産業が世界市場に参入する場合の条件、外国為替や株式市場への直接的国家介入の節度、技術や特許など知的財産の国際的保護などが課題と言えよう。

 中国は、国民総生産(GDP)において、既に米国に次ぐ世界第2位の経済大国となり、成長率が低下したと言っても年率6~7%の成長を維持し、2019年の世界経済成長率3.2%(OECD予測)の倍以上の成長率が予想されている。しかし中国は、国内で中央統制経済を維持する一方、世界での自由貿易を主張している。第2次世界戦争後の世界経済は、米国の経済力を軸とするものであり、70年代後半以降多極化の動きが見られるものの、基本的には米国経済が牽引力となって来た。しかしこのままでは、『社会主義市場経済』を採用している中国が、相対的に高い成長率を維持し続け、世界第1の経済大国となり、世界経済の中心となる可能性が高い。米国を中心とする国際経済秩序に、異質の経済体制を採る中国が加わり、単純化すれば、中国と米国という2つの経済圏による秩序に変容することになろう。

 トランプ政権はその変化を認識し、経済分野のみならず、‘安全保障と外交政策’上の脅威ともなるとして、目に見える短期的な利益を模索しつつも、中・長期の国際経済秩序を見据えて中国に対応し始めていると言えよう。日本を含め世界は、この流れを見逃してはならない。

 アジア地域の自由貿易地域となろうとしているRCEPを発足させるためには、本来であれば社会主義市場経済という特異な体制をとっている中国に対する参加条件を検討することが不可欠のようだ。中国を国際社会につなぎ止めて置くことは必要だが、WTOの過ちを繰り返してはならない。

 2、インド不参加のRCEPは‘閉ざされた地域グループ’を生む

インドのモディ首相は、RCEP合意について、関税の相違や貿易赤字、非関税障壁などへの対応において「肯定的な答えは得られなかった」とし、合意出来ないとの姿勢である。特に、中国の安価な製品のほか、オーストラリアやニュージランドからの安価な農産品などが国内産業を圧迫することを懸念している。

 中国への懸念は、補助金を含む産業保護という中央統制経済から発生することであるので、体制上の変化が無い限り、インドはRCEPに参加することはないであろう。RCEPがインド抜きで発足すると‘排他的な地域グループ’を生むこととなるので好ましくない。

 他方インドの参加を促すためには、中国の補助金その他の産業保護の状況に応じて関税や投資規制等と設けることを認めることとするか、それとも中国が自由主義市場経済への転換を図るかあろう。それ無くしてRCEPを発足させることは時期尚早と言えよう。(2019/12/23、2021/11/5冒頭補足)

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