内外政策評論 TheOpinion on Global & Domestic Issues

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Policy Essayist

シリーズ ブッダ誕生の聖地を読む (その4ー1 )  

2012-12-20 | Weblog

シリーズ ブッダ誕生の聖地を読む (その4ー1 )  
 大晦日の零時に近づくと日本各地のお寺で除夜の鐘が鳴り、それぞれに煩悩を払って新年を迎える。日本には奈良や京都はもとより、2011年6月にUNESCOの世界文化遺産として登録された岩手県平泉町の中尊寺など、多くの仏教建築、文化財が世界遺産となっており、神社などと並んで日本文化の一部となっており、日常生活にも浸透している。国勢調査においても、信仰の程度は別として仏教の系統が9,600万人、総人口の約74%にものぼる。
 ところが仏教の基礎を築いたブッダ(通称お釈迦様)の誕生地やシャキア王国の王子として育った城都カピラバスツなど、その歴史的、社会的な背景については一般には余り知られていない。確かにこれまでブッダの誕生地は「北インド」と習った人が多く、未だに多くの教科書にはそのように記載されている。更に城都カピラバスツ(通称カピラ城)については、今日でもネパール説とインド説があり、国際的にも決着していない。2,500年以上前の伝承上、宗教上の人物であるので、今更どちらでもよいような話ではあるが、日本文化や慣習、思想に関係が深いので、宗教、信仰とは別に、知識としてブッダ誕生の歴史的、社会的な背景やルーツを知ることは日本の文化や思想をよりよく知る上で必要なのであろう。
 それ以上に、日本が国際社会に主体的に発信して行くためには、文化的、思想的な芯や基本的な価値観を明らかにしなくては国際社会の信頼を得られないどころか、耳を傾けてむらえない。
 1、飛鳥時代の朝廷に受け入れられた仏教 (その1に掲載)
 2、ブッダの生誕地ルンビニ           (その2に掲載)

 3、2つのカピラバスツ城の謎

 ところが城都カピラバスツの所在地については、ネパール説とインド説があり、いまだに未決着であり、またシャキア王国が何故滅亡したのかなどを含め謎が多い。経典など仏教研究は進んでいるが、日本はもとより世界でも、ブッダが青年期まで過ごした王宮の所在地など、そのルーツや歴史的な背景については正しく理解されていないことが多い。ブッダ教徒が多数を占めるスリランカのある僧侶が、城都カピラバスツの所在地については、2つの仏典にそれぞれ別の場所が記されているので、カピラバスツは2箇所にあったのではないかと話している。仏典は宗教、信仰の基礎であるので、信者にとってはそういうことなのであろう。しかし2つの仏典は、同時に非常に重要なことを伝えている。仏典にはそれぞれ異なる場所が記されているが、それぞれ一つの場所が記されているということであり、カピラバスツは2箇所にあったとは記されてはいないことだ。また西暦5世紀及び7世紀に中国僧の法顕と玄奘がこれらの地を訪問し、それぞれ仏国記(通称法顕伝)及び大唐西域記を残しているが、それぞれ1箇所のカピラバスツを訪問しており、カピラバスツは2箇所にあったとは一切記されていない。それでは城都カピラバスツは何処にあったのか。それを明らかにするのが、歴史や科学の役割なのであろう。

 (1)ネパールのテイラウラコット村にあるカピラバスツ城址 (その3-1に掲載)

 (2)インドのピプラワとガンワリアのカピラバスツ       (その3-2に掲載)

 

  4、ブッダ誕生の聖地から読めること
 (1)根底にバラモンの思想と先代ブッダの存在―浮かび上がる古代ブッダ文化の存在 (その4-1)

 ブッダは、シャキア族の王子であり、バラモン教の教育を受けたと伝えられている。他方、この地域には悟りを開いた者がブッダとして崇められる風習があり、複数の先代ブッダの存在が遺跡として残っている。従って、この地域に古代ブッダ文化とも言える一定水準の文化、社会があったことを意味する。そのような文化、社会があったからこそ今日のブッダ思想が生まれ得たのであろう。
 (2)王子の地位を捨て悟りの道を決断した基本思想 (その4-2)
 (3)ボードガヤで悟りを開き、「ブッダ」として80歳まで教えを説く (その4-3)
 (4)不殺生、非暴力の思想 (その4-4)
 (5)ヨーロッパ、アジアを大陸横断的に見た思想の流れ (その4-5)
                                        (2012.11.08)(Copy Rights Reserved.)


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