十
火曜日に利用者の話し相手をすることから仕事を始めた奈々子だったが、しばらくしてふれあい園の喫茶コーナーを任されることになった。喫茶コーナーはこの施設の授産事業だ。コーヒーや紅茶を喫茶コーナーで出す一方で、メンバーたちがここで作ったクッキーやアップルパイを販売している。
喫茶コーナーの担当者は健二の妻、宏子だ。宏子がメンバーたちのクッキー作りを監督し、アップルパイを手掛ける。宏子の作るアップルパイはとてもおいしく、ここの名物だ。遠くから買いに来る人もいる。一度地域の雑誌に紹介されたこともある逸品だ。奈々子も一度食べたことがあったが、確かにおいしかった。
喫茶コーナーに入る初日、奈々子は宏子から仕事を教わった。奈々子は飲食店での仕事はまったく初めてだった。
「私が厨房の掃除をしてコーヒー用のお湯を沸かすから、奈々子さんは喫茶スペースをほうきで掃いてくださらない?」
「そうそう。じゃ、次はモップで床を拭いて・・・」
宏子の指示が次々飛ぶ。いずれも的確な指示だ。奈々子も指示に合わせて頑張る。
「BGM、今だけポップスでいいわよね。本当はジャズがいい、って中川さんうるさいんだけど、準備中だから。」
と、宏子は有線のチャンネルを変えた。
「私もそうして欲しいと思ってました。」
奈々子もそれに同調した。それを見て宏子はにっこりした。
「さあ、あとはコーヒーののぼりを入口に立てて、表の看板を営業中に変えたら開店よ。」
火曜日に利用者の話し相手をすることから仕事を始めた奈々子だったが、しばらくしてふれあい園の喫茶コーナーを任されることになった。喫茶コーナーはこの施設の授産事業だ。コーヒーや紅茶を喫茶コーナーで出す一方で、メンバーたちがここで作ったクッキーやアップルパイを販売している。
喫茶コーナーの担当者は健二の妻、宏子だ。宏子がメンバーたちのクッキー作りを監督し、アップルパイを手掛ける。宏子の作るアップルパイはとてもおいしく、ここの名物だ。遠くから買いに来る人もいる。一度地域の雑誌に紹介されたこともある逸品だ。奈々子も一度食べたことがあったが、確かにおいしかった。
喫茶コーナーに入る初日、奈々子は宏子から仕事を教わった。奈々子は飲食店での仕事はまったく初めてだった。
「私が厨房の掃除をしてコーヒー用のお湯を沸かすから、奈々子さんは喫茶スペースをほうきで掃いてくださらない?」
「そうそう。じゃ、次はモップで床を拭いて・・・」
宏子の指示が次々飛ぶ。いずれも的確な指示だ。奈々子も指示に合わせて頑張る。
「BGM、今だけポップスでいいわよね。本当はジャズがいい、って中川さんうるさいんだけど、準備中だから。」
と、宏子は有線のチャンネルを変えた。
「私もそうして欲しいと思ってました。」
奈々子もそれに同調した。それを見て宏子はにっこりした。
「さあ、あとはコーヒーののぼりを入口に立てて、表の看板を営業中に変えたら開店よ。」