「ちまちま」のゲーム日記。

現在は、シャープX1と、レトロPC&ゲームの記事が中心です。

PC-6001mkIIを修理する-その1

2018年06月17日 19時33分00秒 | レトロゲーム

本日のデレコテスト用機体はPC-6001mk2です。

PC-6001の時に、野球狂の安いソフトをGETしたのですが、そのままでは動かず
PC6001用のROM/RAMカートリッジはそれなりの値段するし、
ノーマルメモリーで動く、値段が頃合いの市販6001用ソフトが中々出てこない所に
ボロいmkIIが安く出てたので購入してみました。


●PC-6001mkIIの初期点検

開封の儀からの大掃除中。状態は、まぁそれなりです。カドに擦り傷が少々。
  
  
キーボードに緑色のデロッっとしたものが付いてたので、外して綺麗に掃除しました。
それほど焼けてないので、掃除だけで十分綺麗になりそうです。

○分解手順
を追加しておこう。特別分解自体は難しくないのですが、何も考えずにバラしてしまうと
RAM/ROMのスロットの所が取り付ける時に悩むかもしれません。

・本体裏のネジ6本外します。(内1本は背面にあるので忘れない様に)


・カバーにスピーカーが付いているので配線に注意しながら右側にカバーを外します。


・ココからは人によって変わると思いますが、自分は銅板をキーボードに付けたまま外すので
キーボードじゃない方(本体側)のネジ2本を外します。
  

・キーボードをズラシてコネクタを2本抜き、キーボードを取り外します。


・電源ユニットの土台ネジ3本外して、ボードのコネクタを外し、電源コードの所を上手く交わして取り外します。
  

・背面のスーパーインポーズコネクタ(ネジ2本)を外しておきます。


・RFビデオユニットのネジ3本外して、コネクタを外してユニットを取り外します。


・ROM/RAMカートリッジスロット部分の組み付けが慣れるまで面倒なので、外す時に構造を良く理解しておくと良いでしょう。
ネジとコネクタを外しておいて。上蓋を起こす様に取り外します。(コネクタはマイクロスイッチのなので、後からでもOK)

スロットの蓋を押さえるバネが飛び出しますが、取り付ける時に押さえるだけなので覚えておきましょう。
マイクロスイッチも乗っかているだけなので、向きを覚えておいて取り外します。

・メインボードのネジ5本+背面プリンタとフロッピーコネクタの基板側のネジ4本外して

基板の手前側を持ち上げて、中央の金属ステーをかわして取り外します。

以上が分解手順。


電源内部の埃が凄かったので、念の為基盤洗浄だけしておきました。
キーボードの緑汚れは、電源スイッチの何かとろけた様な緑の可能性?


電源ユニットの電解コンデンサの頭が少し膨れていますが、このタイプは上のプラが熱で変形しているだけの事も多く
押さえるとベコベコするので、液漏れ爆発寸前の物とはちょっと違う場合が多いと思います。
どの道、電解コンデンサは全て交換予定です。

メインボードはそれほど酷くも無かったので表面のみブラシで掃除しました。
いつもの青タンタルを測ってみたところ、短絡はしてなさそう?意外とそのまま使えるのかも。と浅はかな期待。

取りあえず軽く点検と掃除が終わったので動作テスト。
RFとコンポジットのアプコンを使います。


おぉ、起動したっ!しかし何かおか~しい...

  
左端にゴミが....

モードを選んでBASICを起動しても左の1列目の表示がおかしいです。
  
本来の表示が出なくて別の文字が表示されてる感じ。機能的には一応動いている様ですが...

となると、何処が悪いの?w
画面全体が乱れるとかなら何となく分からないでもないですが1列だけって....

表示系のRAM周りとかだったらナムーですねorz
何処かに目に見える不良がないか、チェックしてみましょう。
まぁ、このままでも動作テストぐらいなら使えそうではありますが、気になって仕方がない。
各部分の、基盤洗浄を試みます。


●PC-6001mkIIの修理-その1、「表示回路の修理」

表示がおかしいと言う事で、RFビデオコンバータを掃除してみました。
洗浄後に再度テストしてみようと思ったら、コンポジットが何故か映りません。
取りあえずRFでテスト。ん~変わらず表示されません。
表示関係の信号が正常に流れてないんだとは思うのですが、回路図も無いしな~。

でもなぜコンポジが映らないの?
と蓋を開けて調べていると、何かが転がってきた....
 
どうやら電解コンデンサ漏れの隣の抵抗が完全に侵食されていて掃除した時にもげた様ですorz

腐食などで抵抗の色味が分かりません...青緑茶(か黒)の抵抗だと思うのですが。
横の電解コンデンサが犯人なので、どの道交換は必要です。

~~ ちょっとパーツの仕入れ待ち ~~

画面全体が乱れている訳では無い事から、1列目が乱れる問題点は信号が出来上がった後ではなくて
表示の信号を作る時か送る時に問題が生じてる可能性があるのではないでしょうか。

特別な知識も機器も無い自分がこの故障個所を見つけるのは難儀しそうですねorz

取りあえず電解コンデンサと抵抗の部品が揃ったので交換してみましょう。

腐食してしまった抵抗が分かりませんでした。
辛うじて読めるかな?程度で大体68Ω、65Ω、75Ωって感じでしょうか。
65Ωは売ってなかったので、取りあえず68Ωと75Ωを買ってきました。
悩んでいる時にふと思い出す。
映像信号で度々出てくる75Ω。そう終端抵抗でよく見かける数値です。
「青緑茶」に見えたのですが、紫が薄くなって青に、黒が薄くなって茶色になった可能性が高そうです。
つまり「紫緑黒」の可能性。

よし、75ΩΩΩ<ナ、ナンダッテーに決定w

電解コンデンサ、巻き込みパーツ劣化を生み出す、諸悪の根源です。
 
RFビデオコンバータのコンデンサがかなり来てますね~。

メインボードの電解コンデンサは4本だけ。
多くはタンタルコンデンサですが、ショートモードで故障している物は無かったので今回は保留。
ただし初代のPC-6001でも壊れていた電源周りのタンタルだけテスト用に交換しておこう。
テストでタンタルは勿体ないので、アルミ電解コンデンサで耐圧50Vの電解コンデンサを確保

一応、「パスコンって何?タンタルからアルミに置き換えて大丈夫?」と先生に聞いておきましょう。

「バイパスコンデンサ」の略です。こちらのサイトが分かりやすいですね。
その他のページも見て回った結果、アルミ電解コンデンサでも動くけど、問題が出る可能性もある。って事なんでしょうね...
結局もう、替えてみるしかないw

取りあえず、電源に近い場所のタンタルコンデンサを、アルミ電解コンデンサに置き換えてみました


電源部分も買い忘れで足りなかったコンデンサ1個だけ残して交換完了。
ささっと組み直して完成です。

まずはRFから表示テスト。
おぉう!表示された!!しかも1行目のバグ表示も直っとる!?
 
電解コンデンサかタンタルコンデンサがダメになって、ノイズか何かが乗ってたのかもしれませんね。

しかし、そのまま暫く放置していると、例の1行目がチラチラとし始めますたorz
ん~最初は綺麗に映ってたのになぁ...なんなんだろう....



●PC-6001mkIIの故障探求-その1、「表示の一列目がおかしい原因を探る」

ひょっとして、タンタルコンデンサの劣化とかあるんでしょうか?
最初からダメって訳じゃなかったので、
「ある程度電気が流れたら」、「電気が流れて温もったら」の、どちらかが表示が乱れる要因な気がするんですよね。
表示がダメになった後に再起動してみても変わらず。

取り合えず1日寝かせてみました。

翌日は正常に戻ってるし...
これは回路が放電された為か、冷却された為のどちらかって事でよろしいでしょうか?
暫く放置して温度を上げてみましょう。生憎、冬場の為に現在の気温は20℃しかありませんorz

動作環境は、トップカバーを外した状態。

接触不良などの不具合だとパーツを直接叩いて点検出来るので、オープン状態の方が都合が良いのです。

そして、30分程離席して戻ってみると...

やっぱりかorz

次は、このまま一旦冷却してみましょう。
RFコンポジットユニットあたりにファンを置いてみると、少しづつ見えるようになってきた様な気が?
 

そして、電源を入れたままファンを回して冷却したまま10分ほど離席して戻ってみると

ビンゴ!!完全に正常表示に戻っていました。

どうやら、パーツの劣化ににより温度が上がる事で特性値か何かが変わってしってノイズが発生してしまうのか、
温度が上がってノイズを取りきれなくなるのか、って感じでしょうか?
ん~この症状は初めて遭遇するパターンなので、どのパーツが悪いのか全く検討が付きません。

表示のされ方が安定しないって事でノイズっぽいのは間違いなさそうだしコンデンサ関係な気がするのですが
素人にはそれ以上の特定が出来ません。


あまり良い状態とは言えませんが、確認し易い様にバラバラの状態で
症状を再現させてみましょう。
 
放置する事数分....早速きやがりました。
 
さて、ここからどうやって特定するか...


ファンによる送風だと全体的に冷やされて特定できません。
なので氷を直接当て...イヤイヤ、流石にマズイでしょうw
水分を落とさないように冷やすにはどうすれば?

本当は良くないのだろうけど、指で軽くICを触ってみると、このICが異様に熱いような?CPU回りでしょうか?
「D8049C 529」と「D780C-1」です。
試しに一度冷やしてみようと「D8049C 529」の方に、シリコングリスを少量塗ってヒートシンクを付けてみました。

変わらずw

「こうなったら、直接送風だ!!」

ドライヤーの冷風モードでICを冷やしてみると、徐々に表示が正常に戻っていきます。
「しかし結構時間かかるな...」
  

試しに色々な所に当ててみると、どうやら別の場所で急激に良くなったり悪くなったりする場所を発見。
CPU回りより、こちらの方が怪しい気がします。
色々風向を調整しながら確認するも、かなり大雑把な位置しか特定出来ず....しかし、大体の位置はつかめました。
 
この一角が凄く怪しい。メインボードの左下辺りです。

最終奥義を使うしかないか...

その名も「」!!

orz

流石に直接はマズイので、ヒートシンクをキンキンに冷やして当ててみる事にします。

保冷剤の上にヒートシンクの図。

サッと水分を落としてICに乗っけてみる!!

乗っけてみる!!

乗っけてみる!!

乗っけてみる!!

え?どれも変わらず?w

他のパーツも試してみていると、どうもグランドラインに繋がっている海賊王もとい
パーツを冷やして行くと、表示が元に戻っていく様な気がします。
特に、写真のフレーム付近の太いアースパターンですね。

試しに、全く違う場所をドライヤーで温めてみると、あっと言う間に元の乱れた画像に戻ってしまいます。

グランドラインに問題がありそうと言う事で、やはり疑うべきはパスコンと言われるバイパスコンデンサでしょうか?

そこで、冷やしたり温めたりしながらパスコンを一つづつ触ってみると、
明らかに表示に変化が現れるものが見つかりました!!

C3で16V2.2μFの青いタンタルコンデンサです。
ん~2.2μのコンデンサは買ってないなorz

最初、指で押さえると正常に戻る事から、ハンダクラックかと思ったのですが
木の棒などで押さえても全く無反応なんですよね。

つまり、自分の指がアースとなって、回路のノイズを逃がしているって事なのかな?w
車のラジオとか、アンテナを手で触ると自分がアンテナになるのかアースになるのか
音声がクリアになる事ってありましたよね。(最近は引っ張り出すアンテナもあまり見かけませんが)

まぁ、大体の原因は特定出来た訳だし、ちょっと勉強しながら考えてみようと思います。


●PC-6001mkIIの故障探求-その2、「温度による表示の乱れを調べる」

温度変化によりノイズが乗る上、特定の部分に触れると症状が改善される事から、コンデンサだと思うのですが、うむぅ~。

まずは、もう一度コンデンサのおさらい。
周波数特性が良くて熱に強い「セラミックコンデンサ」
極性はあるけど大容量な「電解コンデンサ」
温度による容量変化が小さく精度の高い「フィルムコンデンサ」

今回は、起動時は正常時間経過と共に不具合が発生する
消去法で行くと「回路の温度」で精度が一番変わりやすい「電解コンデンサ」に問題があると思うのです。

回路内の電解コンデンサには、アルミ電解コンデンサとタンタルコンデンサがありアルミ電解コンデンサは全て交換済。
このアルミ電解コンデンサを交換する前は、起動時から表示が乱れていました。
交換後は時間の経過と共に変化する様になりました。

「やっぱり、タンタルコンデンサぐらいしか原因が思いつかねぇ!!」

さて、タンタルコンデンサ1個40円ぐらいで、
ノイズ取りに使われているであろう小容量のものは7個、つまり280円ぐらい。「なら替えてしまおう!」
アルミ電解コンデンサに替えようとも思ったのですが、特性値はやはりタンタルの方が良い様なので同じものに交換する事にしました。

よ~し、レッツ!タンタル交換!!

交換前         交換後
 

念の為、他のコンデンサ(セラミックコンデンサ等)も仕入れているのですが、取りあえずこれだけで動作テストしてみましょう。
当然?ですが最初は問題ありません。

30分後

冬場なので、まだまだ安心は出来ません。

40分後

ガーン!!やっぱりまだ直ってなかったorz
写真では分かり難いですが、大分とチラつきが出てきました。

50分後
 
写真で撮ってもハッキリわかるぐらいになってきました。もうここまで来たら同じです。

1時間半経過

完全に元の状態です....

うむむぅ~。分解して再点検。
「どこかなぁ~?」と色々触っていると、やっぱりこのタンタル辺りが怪しいんですよね。

ここを冷やすと早く正常にもどります。パーツに触れると変化があります。
特に、一番左のタンタルが反応し易いです。

もう一カ所は、電源ラインのタンタルをノーマルに置き換えた所。

一番右のコンデンサだけ反応します。やっぱりタンタルじゃないとダメなのかすら?
しかし、他の所を温めても同じ症状になるし、部品自体が悪いとも考えにくい。

困った時は...

「助けて!ググル先生!!」

「熱」に反応する「ノイズ」で尋ねてみると、そのままズバリの「熱雑音」と言うノイズがあるらしい。
詳しく調べてみると、全ての部品には一定の抵抗があるので電気が流れれば必ず発生するノイズの様です。
ちょっと「温度の熱」とは意味が違った様です。

しかし素人判断では「熱による特性値の変化によってノイズを取れなくなっている」としか考えにくく、
特定の場所や部品だけで起こっている訳でも無いので「交換できるだけパスコンを交換してみる」ぐらいしか思いつきません。
なので、普通のセラミックコンデンサから全交換してみようと思います。


大体主要部分は終わりました。
あとは3端子のノイズフィルタとか大き目のは、そのままです。

交換は終わったのですが、ちょっと気温低過ぎで検証にならないw
13℃って...

流石に2時間ほど放置しても全く変化なく通常運転です。
直ってるのか外気が冷えてるからなのか分からないw
試しにケースの上から満遍なくドライヤーで温めてみても問題なし。

「直接基盤を温めたらどうだろう?」
これで乱れが無ければ100%ミッションコンプリートです。

流石に直接当てると一瞬でダメだったorz


しかし今までと違う所は、ドライヤーを止めると比較的短時間で元の状態に戻ると言う事。
「これは外気温が低いから」という可能性も否定出来ませんが、明らかに回復が早い。

ん~。色々考えているのですが「パスコンはノイズだけでなく”熱”を逃がす役割も担っている」と言う事は無いでしょうか?
先ほど勉強した「熱雑音」ですが、回路を通過する度に温度が上がりノイズが発生するのは確かで、それをパスコンを通してアースに放熱する。
アースはフレーム等に繋がっている事がホトンドで、それらがヒートシンクの役割を果たしている可能性があるのではないか?という素人考えです。

あまりその辺りの回路設計的なワザ?の情報が引っ掛からないんですよねぇ。
数多く見られたページでなければ見つけ難いのはググル先生の弱点でもあります。

「ひょっとしたらソフト走らせたら案外分からないのかも?」と思い、実際にゲームを起動してみる事にしました。


つづく

「PC-6001mkIIを修理する-その2」へ



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