試乗のいきさつ
ミドルクラスのインライン4バイクを探していたときに、ホンダからCBR650Rが発売されていることを知った。GSX-S750を試乗する少し前のこと。カワサキのZX-6Rに636ccモデルがあるのは知っていたが、ハンドルの低さからくるスパルタンなライディングポジションのため「もう乗れんな」と悲しみを感じていた。そのZX-6Rよりチョッピリ大きめの649ccエンジンを擁するホンダのインライン4、気にならない訳はなかった。幸いな事に近所のホンダドリームにCBR650Rの試乗車がスタンバイしていた。
ドリームでの試乗
ドリームの試乗は2回した。1回目の試乗。交差点程度の右左折では全くサスが沈まない。試乗後に確認するとリアサスペンションのプリロードが最強になっておった。この試乗では、車体のコンパクトさと軽めのエンジンフィーリングが印象に残った。車体の寸法をカタログスペックで確認するとリッターバイクと大きく変わらない数値だが、実車は一回りは確実にコンパクトさを感じる。カタログ寸法の幅はミラーの距離であり、長さはナンバーステーを含む数値のため、見た目より大きくサイズ表示されるのだろう。2回目の試乗はリアサスを標準であることを確認して試乗した。交差点程度でもちゃんとリアサスが機能し、フロントサスペンションがいい動きをする。あれ?前回とは大違いだ。公道レベルでもっとペースを上げてもちゃんと走りそうな予感がする。フロントサスペンションは適度な初期の沈み込みが感じられこれだけで、ん?いいかもと思った。少々柔らかく感じるので伸びが速い。乗り方を変えたり、フロントブレーキでフロントサスをコントロールしつつ走れば、フロントサスペンションの調整機構が無くても充分カバーできそう。問題はリアサスペンション。コーナリング時にリアが短い間隔で跳ねる、跳ねるとまでいかないがとスライドでもない。一度掴んだ荷重がちょっとづつ抜けていき、抜けるときに(たぶん)路面との摩擦が希薄になっている。言語化しようと頑張ったがよくわからない。
レンタルしてみた
ドリームの試乗の印象が良かったので、ホンダのレンタルバイクでCBR650Rをレンタルすることにした。気になるのは、いつもの峠で楽しめるか。最近は走行距離が150km前後のゆるいツーリングが多くなっているので、その区間を楽しめればいいなという気持ち。まずはライディングポジション。身体が適度に起きていて視界が良い。身体が起きすぎてもいないのでフロントの接地感が良好。身体が起きるより、多少なりともスポーティなポジションが好みなので乗りやすい。試乗で感じた車体のコンパクト感は健在。80年代の400ccのようなポジションと車格に感じた。何より身体が楽だし、適度な前傾でフロントにもいい感じで荷重が乗るのでコーナリングしやすい。身体が起きているから視線も高いため余裕と安全につながる。ステップは自分にはちょいと前な感じで、コーナリング時の踏ん張りが効きにくい。乗り方を変えればいいのだろうけどバックステップが欲しい。膝の曲がり具合は気にならず、細身のメインフレームとタンクで乗りやすい。身体にかかる負担は少なく感じた。これなら、早朝にツーリングの帰宅後も家族サービス出来そう。
エンジンは6千回転まではシルキーな回転で気持ち良い。市街地を車の流れにのってのんびり走るもよし、峠でゆっくりペースの車に塞がれてもこの回転を使えばまったり走れるのでなんだか平和な気持ちで走り続けられる。さらに回して6千回転超えると振動の質が変わる。なんだかどんどん荒々しくなってきた。更に8千回転を越すとさらに荒々しくなる。繊細さから力強さを感じる。この振動はハンドルだけではなく車体全体がガクブルする。これでも前モデルと比較すると振動が抑制されているらしい。こういうものなのかなあ?これまでここまで振れるのは車体に何かしら問題があるのんじゃないのかなという気までしてしまった。プレーキは握力が必要に感じた。良く言えばコントローラブル。初期制動が穏やかで握り込むにつれて効き味が強まるが、強力に効かせるには握力が必要。ガツンと利かせたい場合はフロントブレーキパッドを交換する必要があると感じた。フルブレーキを多用する場合はメッシュホースへの換装をしたい。メッシュホースに変えるならストロークアップさせてコントロールを狙うためにラジアルポンプマスターに変えたいが、ラジアルポンプマスターはカウルに当たるためにセミラジアルマスターになるだろう。モノブロックのフロントブレーキキャリパーは必要充分といった感覚。リアサスはコーナリング時に、と、と、と、とと、と跳ねる。ドリームの試乗で感じたことと変わらなかった。標準リアサスだとプリロードしか調整機構が無い。スポーティに遊びたいならリアサスは交換すればより楽しめそう。スポーツバイクなら前後サスペンションの調整機構は欲しいところだけど、価格なりだろう。
なとなど、考えながら走っていたが、いつしか走りに集中して満足できたレンタル体験だった。
気に入ったところ
・ミドルサイズ(650cc)インライン4エンジンの緻密な回転感と排気音
・跨った印象が軽くてコンパクトさを感じるところ
・乗車姿勢がほどよい前傾なところ
・デザイン
不満なところ
・サスペンションの調整機構がリアサスのプリロードだけのところ
・高回転まで回したときの車体の振動
・ステップの位置
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