情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

共謀罪で,読売がいかにも推進派らしい記事を掲載~見過ごすべきではない!

2006-07-03 23:48:40 | 共謀罪
 読売新聞(←クリック)が,国際組織犯罪防止条約を所管する国連薬物犯罪事務所(UNODC、本部・ウィーン)のアントニオ・コスタ事務局長を取材し,4日からの日本訪問を前に,【マフィアや暴力団などの国際的な組織犯罪に対処するための同条約を日本が早期批准するよう訴え】させた。

 さらに,同紙は,コスタ事務局長に【「日本が国際社会の共通の取り組みに積極参加できないことは条約、日本の双方にとってマイナス」と指摘】させ、【条約批准の要件である「共謀罪」創設を柱とした国内法の速やかな整備を求め】させた。

 そして,同紙は,同事務局長に【「条約は共謀罪か(犯罪目的の集団に加わる)参加罪の一方、もしくは両方の採用を義務づけている」とし、犯罪を計画した段階で罪に問う共謀罪の制定が条約批准に必要であるとする立場は、「我々の解釈と一致している」と語】らせた。

 そのうえ,同紙は,【日本はまた、同条約の批准が未達成であることから、同条約に付帯する「人身取引」議定書など関連議定書の批准も宙に浮いたままだ。】と指摘したうえ,同事務局長に【「人身取引被害者の女性が送り込まれる先として、日本は伊独英米と並んで重要な位置を占めている」と説明。加害者摘発が少ない日本の事情にも言及し、議定書に基づく措置が取られていないためだとの見方を示】させた。

 原文の表現は,違うが,結局は,上のように,読売が事務局長に話をさせたというところだろう。読売は,完全に共謀罪推進派として記事を書く腹を決めたようだ。では,読売さん,共謀罪が必要な事例を具体的に挙げてどのように効果があるかを説明できますか?できないでしょう?必要性も裏付けられないのに,条約が求めているから,共謀罪は必要だなどと書いても,まった説得力がない…。

 そこで,なぜ,共謀罪に賛成するのか,という素直な疑問を読売新聞に結集させましょう。


 また,上記読売によると,アントニオ・コスタ事務局長(Mr. Antonio Maria Costa )は、4日から7日まで日本に滞在し、政府関係者らとアジア地域での薬物対策への協力などについても協議する予定だという。何としても,市民の危惧を同事務局長に伝えなければなりません。というのも,アントニオ・コスタ事務局長は,経済学を専門としており,法的思考に慣れていないかもしれず,そういう事務局長には,なぜ,日本の市民が共謀罪を危惧しているのか,ということをよく理解してもらわないといけない。このメールフォーム(←クリック)を使って,意見を発信しましょう。日本語ででも構わないので,どんどん,意見を伝えましょう!!





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インターネットの中立性法案否決~しかし,日本でも検討すべき課題

2006-07-03 06:21:41 | インターネットとメディア
良いかげんに行き抜いていくさんTBをいただいた。米国のネットワークの中立を求める法案に関するものだ(ここ参照←クリック。良いかげん…さんの元記事はこちら←クリック)。【やはり否決となったか。"「発信源」や「到達先」にかかわらず、すべてのインターネットトラフィックがまったく同等に扱われるよう義務づける"というネット中立性についての関連法案だ。】


この問題について,良いかげん…さんは,
【高速道路に例えるとわかりやすい。高速道路を使って輸送する輸送会社がいくつかあるとする。仮にA、B、Cとしよう。ここでいう中立性は、AもBもCも平等に高速道路を使って輸送できるとするものだ。ここまでは当たり前すぎるくらい当たり前だが、ここで問題なのが、この高速道路の持ち主は、実はAなのだ。もし一時的にBとCが大量の輸送を始めたらAのトラックが高速道路に入れなくなってしまう。だから問題となる。それに加えて現在のネットでは、まったく業種の違うDが参入してきている始末なのだ。しかも、そのDは高速道路を占拠するほど大量にトラックを高速道路に送り続ける。これ以上例えるとややこしいが、ABCは輸送代をお客さんからもらっている。それに対して、Dはトラックを走る際にトラックに広告をつけて走るから、無料で輸送してあげている。だからなおのこと、大量にトラックの輸送を獲得できる。そうなると中立性どころではなくなるわけだ。】
と説明している。

しかし,実際には,高速道路以外に,道路がないことが問題ではないでしょうか?つまり,本来,公的機関が造るべき一般道を私企業がつくり,通行税を取っているようなものではないかと思うのです。

インターネットの公共性の議論は,日本でも早めにしておかないと,社会のありようが一企業によって握られてしまうことにもなりかねないのではないかと心配しています。


■■以下,元記事の引用開始■■

ワシントン発--米連邦議会の上院小委員会は米国時間6月28日、「ネットの中立性」に関する厳格な規則を定めた通信法の改正案を賛否同数で否決した。eBayやGoogle、Amazon.comなど、中立性の立法化を2006年の最優先事項として政界に働きかけてきたネット企業にとっては、大きな痛手となる。

 今回の改正案は民主党の支持のもと提出されたが、上院商務委員会での議決は11対11の賛否同数で、可決には至らなかった。同案は、「発信源」や「到達先」にかかわらず、すべてのインターネットトラフィックがまったく同等に扱われるよう義務づけるものだ。改正案の可決には過半数の賛成が必要だった。

 ネット企業は包括的な新規制の必要性を議会に訴えてきたが、今回の議決によりその取り組みはさらに困難になるとみられる。特に、下院が6月8日にネットの中立性に関する法案を269対152の大差で否決した後とあってはなおさらだ。

 商務委員会では、共和党所属の委員たちが、通信法の大幅な改正案にネットの中立性に関する規制を盛り込むこと自体に反発を示した。AT&TやVerizonなどのブロードバンドプロバイダはこうした規制は時期尚早で不必要だと主張しており、共和党の委員の見解はこれを反映したかたちだ。同委員会の委員長を務めるTed Stevens議員(アラスカ州選出、共和党)は、「明らかな必要性はまだ認められていないのに、厳しい規制を強要するものだ」だとして、法案に賛成する議員を強く非難した。

 さらに共和党は、こうした規制条項を加えることで、幅広い内容を含み、1996年以来最大規模の変更となる通信法改正案が、最終的に議会を通過しない可能性もあると警告した。John Ensign上院議員(ネバダ州選出の共和党)は「これは間違いなく、可決の妨げになる毒薬だ」と述べた。

 これに対し、民主党は5月に個別の法案として提出したものを修正して通信法改正案に条項として組み込み、結束して支持してきた。同改正案は、ネットワーク事業者が「インターネットトラフィックの伝送、処理を発信源や到達先、あるいは所有者などによって」差別することを禁じるものだ。同案が可決すれば、たとえば、Verizonが契約を結んで高解像度の映像伝送サービスを提供し、そのトラフィックを自社のネットワーク上で優先的に扱うといったことが防止できる。

■■引用終了■■



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