日本政府も1979年に批准している国際人権規約のうち、自由権規約の第20条には、次のような規定があることをご存じでしたか?
第20条
1 戦争のためのいかなる宣伝も、法律で禁止する。
2 差別、敵意又は暴力の扇動となる国民的、人種的又は宗教的憎悪の唱道は、法律で禁止する。
前田朗・東京造形大学教授がアジア記者クラブ通信に寄せた特別レポートで、このことに触れてあった。
確かに、表現の自由は重要だが、それが戦争の宣伝とみなされる場合に禁止することは個人的には反対しない。そして、禁止する場合は当然、法律をもって行わなければ、その禁止の範囲が広がりすぎてしまう。
たとえば、田母神のように、合理的根拠もなく、「戦争は避けられなかった」などと言いふらすことは、「戦争の宣伝」として、禁止されてもいいのではないか?もちろん、普通の市民の会話まで禁止することは行き過ぎだろうが、一定の権力を持つ地位にある者が、公的な発言において、このような表現をすることは禁止されてもよいように思う。
人権規約20条の2項の方は、差別などに関するものだ。ここは意見が分かれるところだろう。差別的言辞を禁止することが萎縮効果をもたらすという見解もある。
しかし、差別は、人が人を同じ立場にある存在だと思わせないようにするものであり、それは戦争への道を切り開くものとなる。
敵国人は鬼畜だったり、劣等だったりする。そう思いこませないと普通の人であった兵士が普通の人であった他国の兵士を殺せるはずもない。
アジアでの平和を実現するために、国際人権規約20条は重要な役割を果たしうるものではないだろうか。
日本では、戦争についても、差別についても、禁止する法律はまだ定められていない。
しかし、なんと、一度参議院から議員立法で提案されたようだ。ネットで検索すると次のような法律案が見つかった。
第一三回
参第十五号
戦争宣伝等禁止法(案)
(目的)
第一条 この法律は、戦争の放棄を規定する日本国憲法の精神に則り、わが国における戦争の気運又は軍国主義的傾向を生じさせ又は助長するための宣伝及び戦争を行つている外国の軍務に服させるための日本国民の募集等を禁止し、もつてわが国及び国際社会の平和と安全の確保に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「戦争」とは、国際紛争を解決する手段としての戦争、武力による威嚇及び武力の行使をいう。
(罪)
第三条 わが国における戦争の気運又は軍国主義的傾向を生じさせ又は助長する目的をもつて、言論により、印刷物、プラカードその他の文書図画により、演劇、映画その他の興行により、放送による等いかなる手段方法によるかを問わず、不特定又は多数の者に対し、左の各号の一に該当する行為をした者は、十年以下の懲役若しくはしくは禁こ、又は二十万円以下の罰金に処する。
一 わが国に対する他国よりの侵略の脅威又は特定国間の戦争の危機につき、虚偽又は誇大の宣伝をする行為
二 特定の一国が他国に対し戦争を行い又は戦争のため原子兵器その他の大量殺りくの効果をもたらす兵器を使用することが、国際的又は国内的問題の解決策として、正当であり、必要であり、又は避け難いものであることを宣伝し、又は鼓吹する行為
第四条 示威運動その他の集団的行動により、多衆の威力を示し、又は多衆の気勢を挙げて、前条の罪を犯した者は、左の区別に従つて処断する。
一 主謀者は、二年以上の有期の懲役又は禁こに処する。
二 他人を指揮し、又は他人に率先して勢を助けた者は、一年以上十年以下の懲役又は禁こに処する。
三 付和随行した者は、五万円以下の罰金に処する。
第五条 戦争を行つている外国の軍務に服させる目的をもつて、日本国民を募集した者は、十年以下の懲役若しくは禁こ又は二十万円以下の罰金に処する。
2 不特定又は多数の日本国民に対し、前項の軍務に服することを勧誘した者は、五年以下の懲役若しくは禁こ又は十万円以下の罰金に処する。
(併科)
第六条 第三条又は前条の罪を犯した者には、情状により、懲役若しくは禁こ及び罰金を併科することができる。
(未遂)
第七条 第三条、第四条第一号及び第二号並びに第五条第一項の未遂罪は、罰する。
(予備)
第八条 第四条の罪の予備をした者は、五年以下の懲役若しくは禁こ又は十万円以下の罰金に処する。
(日本国民の国外犯)
第九条 この法律は、日本国外においてこの法律に定める罪を犯した日本国民にも、適用する。
(外国人の国外犯)
第十条 この法律は、日本国外において左に掲げる罪を犯した外国人にも、適用する。
一 日本国を当事国とする戦争又は日本国に対する侵略の脅威に係る第三条若しくは第四条の罪又はこれらの罪に係る第七条若しくは第八条の罪
二 第五条の罪又は同条第一項の罪に係る第七条の罪
附 則
この法律は、公布の日から起算して六十日を経過した日から施行する。
【わが国に対する他国よりの侵略の脅威又は特定国間の戦争の危機につき、虚偽又は誇大の宣伝をする行為】を罰する…いいんじゃない?これを世界各国が法律化すれば、戦争の可能性はずいぶん減りそうだ。
民主党さん、どうですか?
【PR】

★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。過去記事はENTRY ARCHIVE・過去の記事,分野別で読むにはCATEGORY・カテゴリからそれぞれ選択して下さい。
また,このブログの趣旨の紹介及びTB&コメントの際のお願いはこちら(←クリック)まで。転載、引用大歓迎です。
第20条
1 戦争のためのいかなる宣伝も、法律で禁止する。
2 差別、敵意又は暴力の扇動となる国民的、人種的又は宗教的憎悪の唱道は、法律で禁止する。
前田朗・東京造形大学教授がアジア記者クラブ通信に寄せた特別レポートで、このことに触れてあった。
確かに、表現の自由は重要だが、それが戦争の宣伝とみなされる場合に禁止することは個人的には反対しない。そして、禁止する場合は当然、法律をもって行わなければ、その禁止の範囲が広がりすぎてしまう。
たとえば、田母神のように、合理的根拠もなく、「戦争は避けられなかった」などと言いふらすことは、「戦争の宣伝」として、禁止されてもいいのではないか?もちろん、普通の市民の会話まで禁止することは行き過ぎだろうが、一定の権力を持つ地位にある者が、公的な発言において、このような表現をすることは禁止されてもよいように思う。
人権規約20条の2項の方は、差別などに関するものだ。ここは意見が分かれるところだろう。差別的言辞を禁止することが萎縮効果をもたらすという見解もある。
しかし、差別は、人が人を同じ立場にある存在だと思わせないようにするものであり、それは戦争への道を切り開くものとなる。
敵国人は鬼畜だったり、劣等だったりする。そう思いこませないと普通の人であった兵士が普通の人であった他国の兵士を殺せるはずもない。
アジアでの平和を実現するために、国際人権規約20条は重要な役割を果たしうるものではないだろうか。
日本では、戦争についても、差別についても、禁止する法律はまだ定められていない。
しかし、なんと、一度参議院から議員立法で提案されたようだ。ネットで検索すると次のような法律案が見つかった。
第一三回
参第十五号
戦争宣伝等禁止法(案)
(目的)
第一条 この法律は、戦争の放棄を規定する日本国憲法の精神に則り、わが国における戦争の気運又は軍国主義的傾向を生じさせ又は助長するための宣伝及び戦争を行つている外国の軍務に服させるための日本国民の募集等を禁止し、もつてわが国及び国際社会の平和と安全の確保に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「戦争」とは、国際紛争を解決する手段としての戦争、武力による威嚇及び武力の行使をいう。
(罪)
第三条 わが国における戦争の気運又は軍国主義的傾向を生じさせ又は助長する目的をもつて、言論により、印刷物、プラカードその他の文書図画により、演劇、映画その他の興行により、放送による等いかなる手段方法によるかを問わず、不特定又は多数の者に対し、左の各号の一に該当する行為をした者は、十年以下の懲役若しくはしくは禁こ、又は二十万円以下の罰金に処する。
一 わが国に対する他国よりの侵略の脅威又は特定国間の戦争の危機につき、虚偽又は誇大の宣伝をする行為
二 特定の一国が他国に対し戦争を行い又は戦争のため原子兵器その他の大量殺りくの効果をもたらす兵器を使用することが、国際的又は国内的問題の解決策として、正当であり、必要であり、又は避け難いものであることを宣伝し、又は鼓吹する行為
第四条 示威運動その他の集団的行動により、多衆の威力を示し、又は多衆の気勢を挙げて、前条の罪を犯した者は、左の区別に従つて処断する。
一 主謀者は、二年以上の有期の懲役又は禁こに処する。
二 他人を指揮し、又は他人に率先して勢を助けた者は、一年以上十年以下の懲役又は禁こに処する。
三 付和随行した者は、五万円以下の罰金に処する。
第五条 戦争を行つている外国の軍務に服させる目的をもつて、日本国民を募集した者は、十年以下の懲役若しくは禁こ又は二十万円以下の罰金に処する。
2 不特定又は多数の日本国民に対し、前項の軍務に服することを勧誘した者は、五年以下の懲役若しくは禁こ又は十万円以下の罰金に処する。
(併科)
第六条 第三条又は前条の罪を犯した者には、情状により、懲役若しくは禁こ及び罰金を併科することができる。
(未遂)
第七条 第三条、第四条第一号及び第二号並びに第五条第一項の未遂罪は、罰する。
(予備)
第八条 第四条の罪の予備をした者は、五年以下の懲役若しくは禁こ又は十万円以下の罰金に処する。
(日本国民の国外犯)
第九条 この法律は、日本国外においてこの法律に定める罪を犯した日本国民にも、適用する。
(外国人の国外犯)
第十条 この法律は、日本国外において左に掲げる罪を犯した外国人にも、適用する。
一 日本国を当事国とする戦争又は日本国に対する侵略の脅威に係る第三条若しくは第四条の罪又はこれらの罪に係る第七条若しくは第八条の罪
二 第五条の罪又は同条第一項の罪に係る第七条の罪
附 則
この法律は、公布の日から起算して六十日を経過した日から施行する。
【わが国に対する他国よりの侵略の脅威又は特定国間の戦争の危機につき、虚偽又は誇大の宣伝をする行為】を罰する…いいんじゃない?これを世界各国が法律化すれば、戦争の可能性はずいぶん減りそうだ。
民主党さん、どうですか?
【PR】

★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。過去記事はENTRY ARCHIVE・過去の記事,分野別で読むにはCATEGORY・カテゴリからそれぞれ選択して下さい。
また,このブログの趣旨の紹介及びTB&コメントの際のお願いはこちら(←クリック)まで。転載、引用大歓迎です。