ほかの先進国では、市民が地上放送や衛星放送、ケーブルテレビの一部の時間帯を利用して自分たちが制作した番組を流すパブリックチャンネルや、ラジオの周波数の一部を利用してそれなりの規模の市民ラジオ局を立ち上げることができる仕組みがある。これに対し、日本では、本当に微弱な電波によるラジオ局以外、放送を市民に利用させるシステムがない。昨日、人権大会のシンポジウムについて議論をしていて、なぜ、そういうシステムの構築に向けて、一部の市民が頑張っているのに、支援が広がらないのか、理由の一つを思いついた。
そもそも、表現の自由というのは、政府が市民の情報発信を妨げることを防ぐという形で保障されるのが普通だ。つまり、ほっておいてくれってことだ。
これに対し、パブリックチャンネルの要求などは、政府に対して、市民があることをなすようにと請求することだ。このように政府に請求をすることは、政府に放っておいてくれということと矛盾する可能性を秘めている。政府が市民の請求を満たすことでほかの市民の「ほっておいてくれ」という意味での自由を侵害することになる可能性があるからだ。
わかりやすいのが政府が自らのダミーにパブリックチャンネルでの枠を与え、政権支持報道をしてしまうような事例だ。これでは、結局、パブリックチャンネルを提供する放送局の表現の自由を侵害していることになる。
ほかの国ではどうか?
そう、思い出してほしい。ほかの国では、電波の割り当てなどの放送行政やインターネットなどの通信行政を政府が行わず、政府から独立した機関(独立行政委員会など)が行っている。したがって、電波を使わせろ、という請求は政府に対するものではないため、そのような請求が「ほっておいてくれ」という意味での自由を侵害するような事態にはならないのだ。
日本で戦後間もなく放送に関する独立行政委員会が設置されたにもかかわらず、吉田茂が日本主権回復と同時にぶっつぶしたことの意味は非常に大きかったわけだ。市民が電波をよこせということすら言い出しにくい状況、そのような請求が広い支持を得にくい状況を生み出したのだ。本当に吉田茂の罪は大きい。
情報通信法案は、皆さんの反対のおかげで、インターネットに関する新しい規制は入れられない方向で進んでいるようだ。また、内容規制についても放送のみにとどまるようだ。
しかし、他方で、情報通信法案は、放送のみならず、インターネットについても、総務省の管轄下におき、放送と同じようにインターネットについても政府のコントロール下に置くという意味では、野蛮な制度を維持するといえよう。
政府から独立した機関が放送通信行政を行い、市民のための放送、市民のためのインターネットを実現することができるようにしたい、そういう考えに賛同される方は、ぜひ、comrightsのウェブサイトを覗いてください。
なお、本日午後6時半から、東京弁護士会で「第52回日弁連人権擁護大会プレシンポジウム 「心と意見の表明の自由はないのか?」が開催される。
http://www.toben.or.jp/news/event/20090612.html
ほっておいてくれる自由すら侵害されている日本の状況を再確認できる場になりそうだ。
個人的には、そのような状況に陥ったのは、ほっておいてくれと言うことを市民が自ら発信できる場を確保すること(パブリックチャンネルや市民放送の電波を獲得すること)ができなかったからだと思う。
冒頭の画像は、OurPlanet-TV(アワプラネットTV)のインタビュー番組から。
http://www.ourplanet-tv.org/video/contact/2009/20090610_20.html
【PR】


★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。過去記事はENTRY ARCHIVE・過去の記事,分野別で読むにはCATEGORY・カテゴリからそれぞれ選択して下さい。
また,このブログの趣旨の紹介及びTB&コメントの際のお願いはこちら(←クリック)まで。なお、多忙につき、試行的に、コメントの反映はしないようにします。コメント内容の名誉毀損性、プライバシー侵害性についての確認をすることが難しいためです。情報提供、提案、誤りの指摘などは、コメント欄を通じて、今後ともよろしくお願いします。転載、引用はこれまでどおり大歓迎です。
そもそも、表現の自由というのは、政府が市民の情報発信を妨げることを防ぐという形で保障されるのが普通だ。つまり、ほっておいてくれってことだ。
これに対し、パブリックチャンネルの要求などは、政府に対して、市民があることをなすようにと請求することだ。このように政府に請求をすることは、政府に放っておいてくれということと矛盾する可能性を秘めている。政府が市民の請求を満たすことでほかの市民の「ほっておいてくれ」という意味での自由を侵害することになる可能性があるからだ。
わかりやすいのが政府が自らのダミーにパブリックチャンネルでの枠を与え、政権支持報道をしてしまうような事例だ。これでは、結局、パブリックチャンネルを提供する放送局の表現の自由を侵害していることになる。
ほかの国ではどうか?
そう、思い出してほしい。ほかの国では、電波の割り当てなどの放送行政やインターネットなどの通信行政を政府が行わず、政府から独立した機関(独立行政委員会など)が行っている。したがって、電波を使わせろ、という請求は政府に対するものではないため、そのような請求が「ほっておいてくれ」という意味での自由を侵害するような事態にはならないのだ。
日本で戦後間もなく放送に関する独立行政委員会が設置されたにもかかわらず、吉田茂が日本主権回復と同時にぶっつぶしたことの意味は非常に大きかったわけだ。市民が電波をよこせということすら言い出しにくい状況、そのような請求が広い支持を得にくい状況を生み出したのだ。本当に吉田茂の罪は大きい。
情報通信法案は、皆さんの反対のおかげで、インターネットに関する新しい規制は入れられない方向で進んでいるようだ。また、内容規制についても放送のみにとどまるようだ。
しかし、他方で、情報通信法案は、放送のみならず、インターネットについても、総務省の管轄下におき、放送と同じようにインターネットについても政府のコントロール下に置くという意味では、野蛮な制度を維持するといえよう。
政府から独立した機関が放送通信行政を行い、市民のための放送、市民のためのインターネットを実現することができるようにしたい、そういう考えに賛同される方は、ぜひ、comrightsのウェブサイトを覗いてください。
なお、本日午後6時半から、東京弁護士会で「第52回日弁連人権擁護大会プレシンポジウム 「心と意見の表明の自由はないのか?」が開催される。
http://www.toben.or.jp/news/event/20090612.html
ほっておいてくれる自由すら侵害されている日本の状況を再確認できる場になりそうだ。
個人的には、そのような状況に陥ったのは、ほっておいてくれと言うことを市民が自ら発信できる場を確保すること(パブリックチャンネルや市民放送の電波を獲得すること)ができなかったからだと思う。
冒頭の画像は、OurPlanet-TV(アワプラネットTV)のインタビュー番組から。
http://www.ourplanet-tv.org/video/contact/2009/20090610_20.html
【PR】


★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。過去記事はENTRY ARCHIVE・過去の記事,分野別で読むにはCATEGORY・カテゴリからそれぞれ選択して下さい。
また,このブログの趣旨の紹介及びTB&コメントの際のお願いはこちら(←クリック)まで。なお、多忙につき、試行的に、コメントの反映はしないようにします。コメント内容の名誉毀損性、プライバシー侵害性についての確認をすることが難しいためです。情報提供、提案、誤りの指摘などは、コメント欄を通じて、今後ともよろしくお願いします。転載、引用はこれまでどおり大歓迎です。