ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

こんなおふろでした。

2010-10-19 08:45:34 | 昔の道具・暮らし
これを見つけたときは、おお、こんなのあったんだーとびっくりしました。
子供のころ、みたことなかったきがするんですが…。高級おもちゃ…だった?
今まで「古いおもちゃ」で「台所セット」は出てきても
「お風呂セット」は見たことありません。迷った結果、ポチッとおしてしまいました。
競り合う人もなく…ははは、すんなり落札できました。
大きさが分かりづらいですね。こんなです。


     


この形のお風呂を覚えておられる方は、昭和30年代に子供だったかた…くらい?
我が家はお風呂がありませんでしたから、ずっと銭湯でした。
当時市営住宅に住んでおり、建て増しなどはできず、規制がいろいろありましたが、
お風呂はあのころ少しずつ「内風呂」が増えてきた時代で、
引っ越すときに現状にもどすということで、許可されました。
といっても、我が家ではなく、お隣のおばちゃんち…。
小学校の高学年からでしたか、いわゆる「もらい風呂」で
我が家にお風呂ができるまで、何年かお世話になりました。

写真のこの部分、ここは本来はカマが直接ですから、触ったら大変ですので、
実際には手の入らない「すのこ」のようなものがはめ込んでありました。
おおざっぱになお絵かきですみません。


          

    
真ん中の煙突は、これでは切れていますが、当然上までのびていて、
この煙突の両脇が「上がり湯」、つまりきれいなお湯です。
これはあきませんが、本当はちゃんと両脇ともフタがあきます。
ここに水を入れておくと、浴槽とは別で沸くわけです。
最後はこれをかぶって上がりました。この煙突がむき出しですからねぇ、
私思いっきりぶつけて、ヤケドしたことがあります。
一人で入っていましたから、よそのおうちで迷惑かけちゃいけないと、
必死で痛いのをこらえて急いで上がり、家に帰って泣きました。
今の500円玉くらい、水ぶくれになって…。あのころからドジだったんだ…。

おもちゃですから、こんな絵がついてます。
「Model Bath Room」…「Ishida toy」とあります。
金属板が打ち付けてあるのかと思ったらシールでした。よく剥がれずにきたものです。


     


こちらは大小の桶と湯桶、昔は銭湯でもみんな「木」でした。
これに風呂イス…でお風呂セットですね。


     
  

周りはタイル貼り…といってもこれはもちろんホンモノではなく、描いたタイルですが、
乾燥したための塗料のヒビがかえっそれらしく見えますね。
お隣のおばちゃんちは、全部「木」でした。
鏡もついてますが、鏡もタイルも、ちょっと新しい住宅用だと思います。


     


シャワーもないし、もちろんボディシャンプーもなし、入浴剤もナシ。
髪は、お湯をたくさん使って迷惑だからと家で洗ってましたね。
この水道も懐かしいです。「水栓・湯栓」なんてありませんで、水だけしたねぇ。


     


台所でもお風呂でも、何時ごろから今のようなハンドル式になったんでしたか…。
水道と言えば「蛇口」、昔はクルクルと回すタイプ。
最近のお子さんは、蛇口のひねり方とかダイヤル電話のかけ方がわからないとか。
ちょうど私たちが過渡期なんですね。

ところで「蛇口」という呼び名、水道の口が蛇の口みたいだから?
それなら「鯉口」の方がぴったりですね。
これについては、子供のころ聞いた事があります。
またこれが父だったのか、じーさまだったのか覚えていないのですが、
「水」をつかさどるのは「龍神様」だから…。
「水蛇(みずち)」と言うのは、龍のこと、まぁ別名とか眷属とかいうんでしょうか。
水神様ですね。だから蛇(龍)の口、なのだそうです。
子供のころは「そーなんだー」だけだったんですが、後年水道関係の冊子だったかで、
明治時代、初めて日本で今のような水道ができたときは、まだ家庭用ではなく
「共同水栓」だったそうで、外国ではそういうものはだいたいライオンの口から水が出ている…。
マーライオンもそうですねぇ。それで日本の水神は龍だから、と
龍のかしらにしたのだそうで。龍の同属「蛇」で蛇口となったと…。
へぇぇ30くらい感心しました。ゆんさまの近くのお宮さんもそうでしたねぇ。

昔の人は、日々の暮らしの中で、いろんなことを「教え」として話したと思います。
水道も、手を洗うのに思いっきりジャージャー出すと「水がもったいない」と叱られたし、
蛇口をしっかり締めないでいると、ぽたぽたがもったいない、だらしないと叱られたし。
私の住んでいたところは新興住宅地でしたが、真ん中にまだたんぼがあって、
道路わきに用水路がありました。コンクリートなどない、ススキやペンペン草の生える土手でした。
買い物のとき、前を行くいい年した大人が、用水路にガムを吐き捨てたり吸殻を捨てたりすると、
母は「こんな狭い用水路でも、水のあるところには水神様がいてはる。
あの人はきっとこの先水に困らはる、バチがあたる。モノ捨てたらあかんで」と言いました。

妖怪モノやオカルト映画ははやっても、イマドキ精霊だの水神様だのと、
本気で信じる人はいないのかもしれませんが、自然に対する畏敬の念は、
なくしてしまわないほうがいいと思います。
それを教えるためにも、親は「水神様、トイレの神様…」と話したのだろうと思うし、
意味はわからなくても、お寺や神社の前を通るときは「まんまんちゃんあん」しいや、と、
教えたんだと思うのです。
昨日も家の角に、コンビニの袋に入った菓子パンの袋がすててありました。
通りの辻にも神様はいてはりまっせ。ここは四ッ辻ではないけれど、
辻や橋は異界とつながる場所…無事におうちへちゃんと帰りたければ…
「ゴミくらいウチまで持って帰らんかいっ!」と…これは単に「俗人のイカリ」ですが…。

お風呂の話から、また飛んでしまいました。
お隣のおばちゃんは「風呂銭なんぞいらないよぉ」と言ってたそうですが、
当時は「薪」、母は時々燃料店からそれを届けてもらったり、
到来モノを届けたりしていました。そういうことで家族のようにつながっていたころは、
うっとおしくもありましたけれど、口ではいえない安心感がありましたねぇ。

小さなおもちゃのお風呂をためつすがめつ眺めていたら、
私がおなかが大きいときになくなったお隣のおばちゃんを思い出しました。
一年の半分以上を着物ですごしていた人でした。
いつもウールのハギレで作った長い前垂れしてましたっけ。
おばちゃんの五目豆、おいしかったなぁ…。




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14 コメント

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かわいいおもちゃですね~ (チーママ。)
2010-10-19 11:46:18
こういうミニチュアのおもちゃは、大人の方がわくわくして、
ついついはまってしまいますね。
毎週お泊りしていた祖母の家が、五右衛門風呂だったので
さらに古~いお風呂ならよく知ってますよ(笑)

自然に対する畏敬の念は、絶対なくしてはならないと思います。
最近、よくクマが出没して、残念なことに射殺されることがありますが
その場合も、ぞんざいに扱ったり、大の字にひっくり返った様子を撮影するのは
ちょっと、どうかと思ってしまいます。
かわいそうという思いよりも、
クマに対する畏敬の念といった方がしっくりきます。

話は変わりますが、
きものばなし、楽しみにしてます!!
返信する
Unknown (とんぼ)
2010-10-19 11:57:07
チーママ。様

私も伯母のところが五右衛門でした。
しかもなんと、伯母が自分で作った!
なんたって床がかしいでいるおふろで、お湯の流れのいいこといいこと。
その後新しく建てたお風呂もタイル張りの
きれいなおふろで、五右衛門でした。
あれも楽しいお風呂ですよね。

私もあのクマの映像はちょっと、と思います。
子供たちが見ることもあるでしょうから、
せめて周りの大人たちが、手を合わせる姿を写すとか。
現地の人にしてみれば、害をなすものだし、
現実に怪我させられたりもしていますから、
それはそれで、やはり大変なことだとは思います。
でもクマだって、楽しみで人を襲うわけではないんですから、
せめて命を奪ったあとは、もう少し
映像には気をつけてほしいと思います。

きものばなし…楽しみにしていただいて、
ありがとうございます。
今頃になって「えらい企画を立ててしまった」
なんて思ってたりして…ガンバリまふぅ~。
返信する
懐かしい (.さえ)
2010-10-19 13:50:28
昭和40年半ばの生まれですが、祖父母の家のお風呂がこんな感じでした。湯船がすごく深くて、祖父にだっこされないと漬かれなかったっけ。すごーく深く見えたのを覚えています。幼稚園くらいになって、一人で入ろうとして淵が細いから足を引っ掛けて入ろうとすると痛かった笑

煙突は実家(借家でした)のお風呂にもありました。しぶきをぱちんとはねさせると、しゅわって蒸発するのが面白かったです。
浴槽はポリでしたがたしかマッチでつけるボイラーが台所の出入り口にあって。
大きくて怖かったな。。。

まんまんちゃんあん は関西の人から聞いたのですが、どういう意味があるのですか?
その人もよくわからないそうで。。。
返信する
Unknown (とんぼ)
2010-10-19 14:18:42
さえ様

確かに子供には深いお風呂ですよね。
今のように、別立てで「湯栓」がありませんでしたから、
洗うに流すに、湯船のお湯を汲んで使ったわけで、
たっぷり湯量がないと、人数入れなかったんですよね。
いつもお隣のお風呂に行くときは、母から
「銭湯みたいにやたらお湯使ったらあかん」と
言い聞かされてましたっけ。

ガスになっても、浴槽の外に点火口があったのは、
私が20才のころ。
そのあと浴槽の中に点火のスイッチがつきましたね。
いまや台所からボタンでポン…。
いやーラクしすぎですわ。

「まんまん」は元々「南無阿弥陀仏」が
なまったもの、転じて「仏様」のこと、
と言われています。
よく「なんまんだぶ」というでしょ。
あれも「南無阿弥陀仏」をずーっと言っていったもの。
仏様のことを「のんのんさん」とか「ののさん」とか
そういう言い方をするところもありますね。
「ちゃん」は「さま」、「あん」というのは、
子供にお辞儀を促すもので、「あん」というと
うなずくでしょ。つまりこっくりすることで
お辞儀をする形になる…ですね。
全部で「仏様にご挨拶」の意味です。
関西では、食事のとき小さい子に
「あんしておあがり」…なんて言ったんです。
子供も手をあわせて「あんっ」と、頭をさげる
わけで。
こういう言葉はなくなってほしくないと思っているのですが…。
返信する
Unknown (陽花)
2010-10-19 14:24:46
うちも昭和40年頃まで五衛門風呂だった
と思います。
母は親の恩は返せても水の恩は返せないと
言って、水をザーザー使うと事あるごとに
もったいないと叱りました。

「まんまんちゃんあん」はそういえば、
神社でもお寺でも、道端のお地蔵さまにも
言っていましたね。
私も詳しい意味も知らず孫にも言っていました。手を合わせてお参りする事を教えていた
のかな・・と思いますが本当はどうなんでしょう。
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Unknown (とんぼ)
2010-10-19 14:32:13
陽花様

伯母のところの古いお風呂は、嫁に行ったら
風呂がないといわれて…。
お隣でもらい風呂だったらしいんです。
それがいやで、伯母自ら「土を盛り」
風呂釜をどこかで調達してきて、
あとは廃物利用で作ったそうです。
ものすごい狭くて、床傾いてて、
戸がしまらなくて…ちょっとないお風呂でした。
日本は水が豊かだといわれていますけれど、
限りはなくても大切にしなくちゃですね。
母もほんっと口うるさかったです。

まんまんちゃんあん、は、仏様のことから、
とりあえず神仏関係全般に「礼」として
「やっとき」と教えたんでしょうね。
こちらではない風習ですから、友達に
何のまじないだと笑われましたよ。
返信する
蛇口について。 (アンチン)
2010-10-19 15:05:48
はじめまして。いつも楽しく拝読しております。中国では蛇口は「水龍頭」って呼んでます。「まんまんちゃんあん」は関西で子供に教える言葉ですが、「いただきます」は世界中でも日本だけですね。自然に対して、かかわった人に感謝の気持ちですよね。日本人ってすばらしい人種だと思っていますし、自分の日本人としてのDNAに感謝したりしています。
返信する
Unknown (ゆん)
2010-10-19 17:51:38
うちは『のんのさん・あん。』でした^^

 婚家では『なんなんする』と言います。『はい、なんなんして来ぉよ。』と教えるようです。

 どちらもやさしくて好きです。幼い子供が おっきな頭をかくっと下げて参る姿の可愛いこと!!


 熊のことですごく複雑な気持ちになってたのですが、この記事を読んでクールダウンしました。ありがとうございました。
 チーママ。さんの、かわいそうではなく、畏敬の念…という言葉に涙が出ました。本当に本当に、山の人はみんなそう思っていて、苦しいんです。

 底板を沈めながら入るお風呂が懐かしいです~~
返信する
Unknown (じゅりあな)
2010-10-19 19:21:08
可愛いおもちゃですね!

私はこの手のお風呂は見たことないのですが、古い家だったので、浴槽のすぐ横にガスのお釜があるタイプでした(浴槽はタイル→後にポリ)
マッチ(後年はチャッカマン)で点火し、沸いたら口火にして保温・・・ってお風呂でした。
当然シャワーはないし、口火にし忘れたら熱湯風呂になるし、最後の人(大抵私)は口火も消さないと朝になってもアツアツのお風呂になっていて親に怒られるし、うっかり煙突触ったら大やけどするし・・・他所に泊まりに行った時の衝撃&感動ったら(^_^;)

『まんまんちゃんあん』ですか・・・初めて聞きました。関西の言い方なんでしょうね。
私は『なんなん』でした。
お稲荷さんもお寺さんも神社も全部『なんなん』。
近所の小さなお社に『なんなん』してたら、見知らぬおばあさんに褒められたことがありましたが、その頃は『なんなん』するのが当たり前だったので、なぜ褒められるのかが理解できませんでした。
親になってみて、褒めたくなる気持ちがやっと理解できたような気がします。
拝むことを教え、当たり前に拝み、それを褒める大人がいて・・・そうして色々な神様に対して敬意を払うのが身に付くのでしょうね。
返信する
記憶が・・・・ (りら)
2010-10-20 00:05:51
実家も私が小さい頃は木のお風呂だったはずなんですけど・・・覚えが無いんです。
私、「早くタイルのお風呂になればいいのに~!」っと、木のお風呂をむしっていたっとよく言われました。
風呂桶むしる幼女・・・・
タイルの五エ衛門式になり、電気給湯のステンになり、お風呂もどんどん変わっていってるんですよねぇ。
今では、自動制御で一日中入れて、お掃除もたまにすれば良いというのもあるんですね。
ビックリ!
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