ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

これでおしまい選挙の話

2007-08-02 17:33:23 | つれづれ
とりあえず「美しいもの」を見て、ココロを落ち着けてください。
鬼しぼちりめん、松に鷹、下の方の笹の中には雀ちゃんが隠れています。
柄から行って男の子…と思ったら、長さを見ると「男・成人用」サイズ。
こんな襦袢、着ていたんですねぇ。


政治のお話しは、今日でおしまいにします。
つれづれのカテゴリーも設けてあるとはいえ、
私は着物について書いていきたいと思っているのです。
それなのに、気になりだしたら止まらない…。
こんなただの着物好きおばさんに、
連日こんなこと書かせる政治家たちって、
サラダ油かけたトコロテンみたいなものです。
箸にも棒にもついでにフォークにも、ひっかかりゃしない。
たとえ引っかかっても、食べたくないシロモノだし…。


歌舞伎に「だんまり」という演じ方があります。
暗闇の中、という想定で、たとえば泥棒と家人などの設定で、
お互いに手探りで探しあい、逃げる捕らえるの動きをする、というもの。
実際は観客席からは全部見えているし、本人たちもお互い見えていますが
そこで「互いに見えてない」お芝居をするわけです。
役者も観客も「これは見えていない」という「お約束」があるわけです。
前方に両手を突き出して「闇」の中を探ると、
相手はちょうどその手の下をすり抜ける、棒を横に薙いで振り回すと
棒のとおるときだけ、相手の首が引っ込み、棒が通り過ぎると
ひょっこり首を上げる…、ゼッタイぶつからないし、必ずうまくすれ違う、
その絶妙なタイミングとスローモーションの動きがおもしろくて、
客は大笑いするわけです。

なんでこんなお話しをするかといいますと、
かの人たちの「事務所が実家になっててどーのこーの」
「水道代がものすごい高級ミネラル・ウォーターになっててどーのこーの」
この一連の事件、このだんまりとよく似てる、とおもうからです。
本人たちはわかってて見えないふりを「演じている」、
客も実際にはお互い見えていること、
それを承知で演じていることがわかっている、
でも表向きは「見えてない」ということがお約束になっている。
ただお芝居と違うのは、見ているほうはだんまりなんか見たくない、
明確にしてほしいわけで、したがって「うまいうまい」と拍手もしないし、
見て楽しみもしない、大向こうから「○○屋!」とかける声は、
歌舞伎のそれとは逆で「なにをやってる、ちゃんと見えてるぞ、
見えなかったことにするな」という怒りの声です。
ところが、演者たちは、国会という舞台では決して扮装を解かないし、
明かりもつけない、ましてや芝居の台本など、あかそうはずもない。
「見えていない」ことになっているんだからそれで通そう、です。

今回「絆創膏大臣」は辞任しましたが、結局例の領収証のはっきりした提示は
ありませんでした。パラパラっと見せて、見せたことになる…と思っている?
だんまり芝居の中で、どこでどうごまかしているのか、
こっちは丸々見え見えなのに、見えないという設定のお芝居なのだから、
そのまま通してしまえばそれで幕が引けると思っている。
いえ「引いてしまえ」なのですね。それを可能にしているのが
みょうちきりんな彼らの中の「規則」です。
「規則にのっとった証拠は出すべきところに出している、
したがって私はわるいことはしていない」亡くなったあの人も阿部さんも
ずっとそういってました。都合のいい「台本」ですね。
そして、沢山の人が「規則じゃなくて、常識からいってそれは通用しない」と
いくら言っても同じ言葉を繰り返しました。

元々、「金と政治」はきってもきれないもの、ではありますが、
それでなくとも黒く染まりやすいお金であればこそ、
白くしておく努力を続けなければならないものです。
国の歴史、と言うものは日々刻々と変化していくものです。
まだこの国が混沌としていたころ、政治家は「先生様」と呼ばれ、
雲の上の人でした。お土産に金包みなんてのも、当たり前だったことでしょう。
実家を事務所ということにしとけばラクでいいよ、
このあたりはこういう名目つけておけば帳簿も通るさ…、
それが長く通用し「慣習」という言葉でヒトくくりにされました。
悪しき慣習ではあっても、それがたいしたことではないといわれる時代も、
それでコトが動いていた時代も、実際にはあったわけです。
でも、もうそういうことは、一掃していかなければならないのです。
そんなことで政治を動かしていい時代ではありません。
もうとっくにそういう時期になっているのです。

たとえば「食品」、私が子供のころには、毒々しい着色料も当たり前に使われ、
賞味期限や製造年月日がなくても、誰も何も言いませんでした。
傷んでいるかどうかは自分の「鼻」だけが頼り…。
時が経って「法の整備」とか「規制の充実」とか、
そういうことで国民の安全を図る、国民を守る、ということを充実させてきた…
その結果、怪しげな着色料や添加物はどんどん排除され、
みつかれば罰せられる、いつ作られたか、いつまで風味が保てるか、
それがわからなければ「買うのやめとこう」と見向きもされなくなる、
私はそのすべてがいいことばかりとはいえないと思っていますが、
それはまた別問題として、ともかく、そういう規制や法律を作ることで、
国民の口に入るものは、より安全を確保されてきたわけです。

では、どうしてそういう「国民を守る」ための大切なことが、未だに
その大舞台「国会の中、議員たちの暮らし」の中にも使われないのでしょう。
一番「ガラス張り」にしなければならないところに、
ゼッタイ中の見えないカーテンをさげ、その中で行われたことや残った証拠は、
芝居の小道具やだんまりの演技として「あやういところで」見せないようにする。
観客はすべてわかっているのに「これは小道具」「これは演技」、
だから「見えても見えないことに」「使ってもつかわないことにできる」と、
そうしてしまったのです。
古い時代よりは進歩していかなければならない部分が、進歩どころか停滞し、
ますますわかりにくい方向にすすんでしまっています。
今回「規則にのっとって」という言葉を何回聞いたでしょう。
その「闇の規則」に阻まれて、あの人がピラピラと見せた領収書のファイルは、
決して「もぎ取られて国民の見えるところで、一枚ずつ検証」されることは
ないのですよね。

赤城氏辞任劇も、ほんっとーにヘタなお芝居の連続でした。
カンジンの「二人の間で何があったか」は闇の中、でも観客(国民)は
みーんな見えてます、知ってます。それでもお互いクチをあわせて、
だんまり舞台を終了しました。しかも、時期ズレズレ。
秋風が立つころになって「怪談」やっているようなものです。


この国をしょって立とうというアナタ、
アナタが作るべき国は「美しい国」ではなく「賢い国」でなければなりません。
ですからその前に、アナタが「賢く」なってください。








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7 コメント

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Unknown (陽花)
2007-08-02 23:03:27
ほんとうにま~ったくその通りで
ございます。子供だって気が付く
へたな芝居はやめて~って言いたいですね。
恥ずかしくないのかしらねえ。
返信する
蓋し名文! (風の森)
2007-08-02 23:30:16
とんぼさん、次の選挙に立ってくださいな~!
知識豊富な人がクイズ番組に出ないのと同じように、
本当に賢い人は政治家になってくれないんですよね・・・。
返信する
私も! (MH)
2007-08-03 02:09:14
とんぼさまに投票したい気持です
ほんとうに的確な表現力の文章(娘の言ですが)に、感服しております。
今日も、気分をスカッとさせていただいて、ありがとうございます

前後しましたが、「美しいもの」男物の襦袢なのですか!
どんな殿方が着られたのでしょうね。
私のなかでは、この襦袢で絵になるのは、役所広司系のイイ男、太宰治とかなんだけど…
返信する
異議ナァ~シ (Tatehiko)
2007-08-03 12:04:20
もっともな主張です。
安倍首相のやることなすこと意味がわかりません。
言行不一致に値するものです。
トカゲの尻尾きりを止めて自らが辞任して欲しいですよね。
返信する
襦袢がこんなにおしゃれだなんて (のんこ)
2007-08-03 12:51:49
キレイですねー。チマタの政治の話題を忘れさせてくれるような美しさ。^^; 賢い政治家が本物になれるかどうかは私ら有権者のバカ度にかかっているといえます。いいかげん中身は空っぽ知名度だけで権力者に利用されているタレント候補が当選するのは終わりにしてほしいです。外国にまでいって反日デモに参加する議員なぞ 落選させないといけません。有権者が賢くならないとこの国は滅びます。
返信する
その通りですよ (穴熊の女房)
2007-08-03 17:34:49
外国だったら とーくに 暴動が起きていますよ。
日本人の国民性も あるのでしょうね。少しも生活がよくなりません。
収入が増えないからでなく 毎日の生活に充実感を
国民が感じるようにしてもらいたいですよ。
返信する
Unknown (とんぼ)
2007-08-04 00:12:51
陽花様
ヘタですよねぇ、最近のつまらないコントなみです。
あそこまでいくと、もう居直りですね。


風の森様
あっはっは、選挙ポスター用にどの着物にするか、
髪形は?トレードマークのとんぼのイラストは?
とやってるうちに選挙おわっちまいそうです。


MH様
ありがとうございます。
お嬢様にもよろしくお伝えください。

ほんとに「見えないところ」なのに
カツコいいですよね。
私の場合は、20年前の高倉健さんか、
20年後のタッキーか???
やっぱり「いいオトコ」に着てほしいですよねぇ。


Tatehiko様
あの執着心はすごいですね。
あれだけ突き上げられても「続投」…。
アルプスで滑落事故にあっても、
あの人だけは助かりそうですわ。


のんこ様
本当に、私たちも「賢く」あらねばなりません。
任せておけない、という気持ちを持って
しっかり見ていかねばなりませんね。


穴熊の女房様
あまりにも「平和ボケ」しているんでしょうね。
そこそこ暮らせるようになってしまって、
危機感も熱ももたなくなりました。
とてもこわいことなんですよね。
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