原作は、福井晴敏さんの大ヒット小説“終戦のローレライ”。
映画化を前提とした、壮大な構想の海洋アクションサスペンス。
嗚咽するほど泣きながら下巻を読んでいた当時が、鮮明に思い出されます。
それほどまでに思い入れのある小説の映画化。
期待と同じだけの不安が募ります。
劇場は、初お目見えのMOVIXさいたま。
さいたま新都心COCOON東館の2階。
大きな声では言いたくありませんが、ここはお奨めです。
いわゆるシネコンなので、全席完全予約。
もちろんネットでの事前予約も可能。
会員になれば(入会費500円のみ)ポイントもつきます。
座席も、他のシネコンと比べてゆったりしています。
紅虎餃子で食べ過ぎたので、ポップコーンは未試食ですけどね。
上映開始。
中盤手前で早くも涙が止まりません。
この先の展開が判っているゆえ、涙も先行気味。
ちきしょう、若さっていいよな>パウラ&折笠
1発目の原爆が投下された直後の日本から、物語は始まります。
2発目の原爆投下を阻止するべく、絹見艦長指揮の下、海原へと繰り出す潜水艦“伊507”。
ドイツ軍から接収されたこの潜水艦には、特殊な索敵装置(つまりレーダー)が備わっている。
かの地の魔女伝説から名付けられた、その名も“ローレライシステム”。
その鍵を握るのは、ひとりの少女だった。
絹見艦長を演じるのは名優・役所広司さん。
原作のイメージとこれほど一致している例を、僕は知りません。
艦長としての威厳、冷徹な決断力、乗組員への思いやり、そして日本という国…自分を育み、亡き妻が愛した国への愛情。
人としての強さ・弱さをすべてを兼ね備えた(スーパーマンという意味ではなく)、まさに海の男の中の男。(“の”の連続とATOKで指摘されても気にするもんか)
役所さんの演技を見るだけでも、お金を払う価値はあります。
準主役を務めた妻夫木聡さんも、期待以上の演技でしたね。
若さゆえの純粋さや愚直さが、演技としてきちんと表現されていました。
愚直な軍人をやらせたらピカイチではないかと思われるのが、柳葉敏郎さん。
ピエール瀧さんも好演でした。
堤真一さんもよかったなぁ。
映画の鍵となる潜水艦“伊507”や“ローレライシステム”のCGもよくできてました。
駆逐艦との海上戦も臨場感抜群。
さすがに原作と比べると、海戦の数は減らされてましたけどね。
あれをまともに描いたら、制作費&上映時間があと10倍はかかっていたでしょう。
詳しく話したいけど話せない終盤。
涙が後から後から込み上げてきます。
この感動を呼び起こすものは、“男の美学”ですね。
“俺がやらなきゃ誰がやる”というやつ。
“ローレライ”は男が泣く映画です、間違いなく。
原作通りだったら号泣するところでしたが、どうやら制作スタッフが勘弁してくれたらしく、穏やかなエンディングに。
こういう映画は、彼女と見ない方がいいかもしれません。
“男のくせになに泣いてるのよ!”と怒られるかも。
まぁ僕は以前に“ゴースト”を見て、彼女にそうやって怒られたわけですが。
なぜこうやって茶化しているかというと、今感想を書いていても泣きそうだから。
原作をまた読み直したくなりました。
2005年を代表する邦画になることは間違いありません。
傑作と断言できます。
“ローレライ”を見て泣いた人と、僕は固い握手を交わしたい。
そして語り合いたい。あのシーンやこのシーンについて。
絶対に映画館で見てほしい映画です。
折笠とパウラが海を見つめるシーンを、泣きながら見ましょう。
“伊507”の浮上シーンを、心の中でガッツポーズを作りながら見ましょう。
映画館を出た後、モーツアルトの子守歌を口ずさむあなたの心が、満足感で満ちあふれていることを祈ります。
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