とゆーわけで、間髪をいれずに『姑獲鳥の夏』(うぶめのなつ)。
MOVIX埼玉で見てきた。10:10の初回。
チケット売り場は大行列。
ほとんどはスターウォーズ目当てと見た。
5番スクリーンは、11あるスクリーンのうちで一番小さい。
厳密に言えば、最小タイ。
(5~7スクリーンが、117席)
京極夏彦の原作は以前に読んだのけれど、内容はだいぶ忘れてた。
とにかくキャスティングが素晴らしい。
中禅寺秋彦(京極堂):堤真一
……いいねぇ。傲慢でもなく謙虚でもない雰囲気が。
関口巽:永瀬正敏
……小太りのイメージだったんだどけどな、関口は。
あと、あまりに気が弱すぎる。
でも悪くはない。及第。
榎木津礼二郎:阿部寛
……言うことなし。「名探偵が来ました!」で身震いした。
榎木津だけの番外編作ってほしい。
木場修太郎:宮迫博之
……旦那って呼ばれる雰囲気は確かにあった。
キャシャーンの時より生き生きしていたように見える。
役柄のせいだとは思うけれど。
久遠寺涼子/梗子(二役):原田知世
……巧いんだか下手なんだかよく判らない演技。
一切合財含めての不思議な空気は、でも悪くないと思った。
久遠寺菊乃:いしだあゆみ
……CMでもお馴染みの絶叫、やっぱり怖い。
女優の凄みを何度も感じさせられた。名演技。
???:京極夏彦
……スタッフロールで、客席にかすかなどよめきが。
なるほど。だからそうなるわけね。
他にもいろんな役者さんが出ておりましたが、とりあえずこのへんで。
監督は実相寺昭雄。
「ウルトラマン撮ってた人だよな」ということしか知らない。
映像は「おどろおどろしい」という形容詞がぴったり。
「妖しい」「胡散臭い」でも可。
幻灯って言葉が頭に浮かんだ。
映画よりも、もっと単純で曖昧なもの。
輪郭が不明瞭で、焦点が合っていない。
原作を読んだ上で観たほうがいいんじゃないかと思う。
さもないと、京極堂というキャラクターが単なる道化にしか見えないよなぁ、きっと。
…それはそれで面白いか。
原作はミステリーだけど、この映画はミステリーじゃない。
提示された謎に対する解答は示されるんだけれども、
それはまぁなんというか、単なる台詞の羅列に過ぎない。
緻密というよりは怪奇。
不可解なものを不可解なままで転がしてる感じ。
面白い映画だったけれど、正直言って大ヒットはしないと思う。
原作にあった乾いたユーモアはあまり感じられなくて、
逆に「妖し」の要素が強すぎる。
京極ファン以外を巻き込むのは難しいんじゃないかな。
いや、京極ファンが全員観るとすれば、数字的には大ヒットになるか。
原作の順でいくなら、2作目は『魍魎の匣』(もうりょうのはこ)か。
映像化できるのかな、あの匣。