ティモコのお客様

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(ヘンに)A型の女

2013年09月28日 18時33分16秒 | ティモコなエッセイ
昨日の朝。
ティモ家の豚ちゃんが、



ってなりました。
いつもに増してくだらないのでおヒマでしたらお付き合いください。

金曜日。
平日の朝のクソ忙しい時間に、私の中に入っているA型の血、名付けてA子が、ダオの制服のカッターシャツの背中にシワを発見し、居ても立ってもいられなくなったのです。



そう。ティモコはA型の女…

普段は「どこがA?!」ってくらいズボラな性格のくせに、なぜか時々、A子が顔を出して、ワタクシを支配するのです。

例えば洗濯物を干す時、ハンガーの位置を均等にしないと気が済まないとか(でも部屋はキタナイ)パッと見た時、色が綺麗にグラデーションになってないとイヤとか(だけど部屋はキタナイ)掃除をしだすと一点だけに集中しすぎてタイムアップとか。(なので部屋がキタナイ)

一応形態安定なシャツなので、洗いっぱなしでもストンと乾き、アイロンの必要もないのですが、どういうわけか背中に二本、ぶっとい縦ジワが。
一旦A子が顔を出すと、どうにもこうにもおさまらず、発見当初はまだ少し時間があったので、
「え~~~
と渋い顔をするダオに、
「すぐアイロンかけちゃうから!すぐだから!」
と説き伏せ脱がせ、二階へ行ってアイロンの電源コードをコンセントにブスッと差し込み、熱くなるまでの時間が勿体無いので、また下に降りて食卓を片付け、洗い場にブチ込み…

「ねえ、まだ~?
「ちょっと待ってね!すぐ!すぐだから!」

そろそろ熱くなった頃か?とまた二階へ駆け上がり、それっ!とアイロンをあてようとしたら全然熱くなってなくて。
もう登校時間なのでヤバイと思いアイロンの温度をマックスまで上げ、また下に降りてボウとパンダを送り出し…

「俺のシャツは?
「はい!今すぐ!本当にすぐ!

またまた二階に駆け上がり…

なのにアイロンは冷たいまま。



なんで?どうして?まさか壊れた?
あとはシャツを着るだけのダオが、玄関からさすがにイライラ声で、
「もう行くから!遅刻するから!シャツ放って!



まずい。
でもA子がどうにも止まらないの。許してくれないの。
「ちょっと待って!ちょっとだけ待って!本当に本当にちょっと…
そのうち熱くなってくるはず、とアイロンを叩いたりこすったりしていたら、とうとうしびれを切らしたダオがダーッと階段を上がってきて、

「もう、いいって!!

と、アイロン台から縦ジワ二本付きの自分のカッターをひったくり、階段をダダダーッと駆け降りて、行ってきますの挨拶もなく玄関ドアをバターン!!と閉めて学校に行ってしまわれました…。



誰もいなくなった家で冷たいアイロン片手にポツンと座るワタシ…。



うわああ~~~ん!
ダオちゃんに嫌われちゃったよ!
この、役立たずのアイロンちゃんめ!!

しかし、悪いのはA子。
TPOをわきまえず、縦ジワに興奮して私を暴走させたA子。
どうしてくれよう。献血してやろうか…とか悶々と考えつつ、よくよくアイロンを確かめましたら…






慌ててコンセントに差し込んだ電源コードは、アイロンではなく近くにあった扇風機のコードでした…。
どうりで熱くならないはずです。
アイロンちゃんに罪はありませんでした。
A子にも(あんまし)ありませんでした。
絵なのでわかりやすくシンプルに画いてますが、この付近にはモノが散乱しており、やっちまったのです。

体内10%弱のA子の血に勝っていたのは、12月くらいまで扇風機とファンヒーターが共存してても平気な、残り90%を占めるティモコ型の血液でした。

反省した私は、本日、例年にない早さで、
扇風機、片付けました。





ついでにお部屋も(多少)片付けました…。
ここまで読んでしまったアナタ、ヨロポチですヨ!
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最期の情景

2013年08月28日 18時20分27秒 | ティモコなエッセイ



ご近所の家のワン太くんは、おとなしい犬だった。
ウチのイヌ子がうるさすぎるので、ちょっぴり羨ましく思っていた。
ワン太くんの飼い主のおじさんは、ワン太くんを散歩させる時、いつもウチの庭の横を通って自宅に帰る。
私が草取りなんかで庭に出ていると、お天気とか、簡単な挨拶を、一言二言交わす間柄。その間中、イヌ子はワン太くんに吠えまくり、ワン太くんはじっと座って、イヌ子をただ見ている。
ある時、おじさんがイヌ子をしみじみと見て、「元気でいいね」と言った。
やばい。やはり吠えすぎか。優等生のワン太くんを育てた飼い主。甘やかし過ぎだと思っただろうか…。
「すみません。うるさくして…。こら、イヌ子!」
私は慌ててイヌ子を叱るマネをした。
おじさんは「いやいや」と、首を振った。

「ワン太くんはおとなしいですよね。いいなぁ」

それは私にとっては他愛のない言葉だった。怒られる前に褒め殺しだっ!という打算もあった。
本心でもあった。
散歩中はいつもダッシュで先に行こうと引っ張りまくるイヌ子に慣れていた私は、おじさんの横をおとなしくゆっくり歩いているワン太くんが、従順そうで羨ましかったから。
ところがおじさんは、寂しそうな顔をして、その場にお座りしているワン太くんを見、相変わらず吠えまくっているイヌ子を見、ふっと、目を細めた。
「ワン太にも、こんな元気な頃、あったけど。もうね、トシなんですよ。あと何回一緒に散歩できるかなぁ…」
おじさんはぺこりと頭を下げて、自宅の方へ歩いて行った。ゆっくりゆっくり歩く、ワン太くんに合わせて。

今年になって、しばらくおじさんとワン太くんを見ていないことに気がついた。
あの日の寂しそうな顔と、優しい目をしたワン太くんを思い出して、もしかしたら…という思いはあった。

夏の初めのある夜、ダオが突然「アイスクリームが食いたい!」と言い出して、たまには息子と二人、夜中の散歩もいっか~なんて、二人で近所のコンビニまで歩いて買いに行った。
その道中におじさんの家があるので、ワン太くんはまだ元気でいるだろうか…と、何気に庭を覗いてみた。
私の足が止まった。
ダオの足も止まった。
真夜中近かったと思う。
真っ暗な庭の隅のガレージに煌々と明かりがついていて、シャッターが上まで開いていたので、中がよく見えてしまったのだけど…。
おじさんが、ガレージの床で力なく横たわっているワン太くんの頭を静かに撫でていた。
その横で、おばさんが椅子に座って、その様子を静かに見守っていた。
遅寝遅起きのウチと違って、老夫婦、二人。よく朝早くから散歩してるのを見かけていたので、いつもならもうとっくに休んでいる時間ではないだろうか…。

コンビニでアイスを買って、二人で食べながら帰った。
おじさんちのガレージは、もう暗くなっていた。

お盆が過ぎ、いつの間にか蝉の鳴き声が虫の声に変わっていた。
雨も降って涼しくなったので、久しぶりに庭の草取りをした。
まだ地面が濡れていたので、イヌ子は外に出さなかった。
一人裏庭でボウボウになった草と戦っていると、
「こんにちは」
と声がした。
ワン太くんのおばさんだった。
しばらく季節の話なんかして…おばさんから、ワン太くんが死んでしまったことを聞かされた。
「…そうですか」
とだけ、答えた。
おじさんは大丈夫だろうか、とか、気になったし、お悔やみの言葉も、励ましの言葉も、頭にあったけど…。
「イヌ子ちゃんは家?」
おばさんは庭をちらりと見て言った。
「はい」
「大事にしてあげてね」
「はい」
おばさんはにっこりとして、頷くように頭を下げた。

おばさんと別れて、草取りも一段落したので家の中に入った。
イヌ子が走ってきて、短いしっぽをブンブン振って、真っ黒な目で私を見上げた。
私はしゃがんで、イヌ子の頭を撫ぜた。
温かで、切ないようなぬくもりが、小さな頭から伝わってきた。







動物は…いえ、人間も、命は儚いものですね。
だからこそ、この大切な一日一日を、後悔しないように生きなきゃいけませんね。
とか思いつつ、後悔ばかりしている、今回ちょっと真面目なティモコでした。
読んでくれてありがとう!
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『親切』って、難しい

2013年07月27日 10時43分11秒 | ティモコなエッセイ


昨日、買い物に行った時、ちょっと嬉しいことがありました。

レジで精算してもらって、袋詰めをしていたら、すぐ近くでチャリン、チャリ~ンと、まさにお金を落とした時のアノ音が…!
なんでお金の音って一発でわかるんでしょうか?
…いや、本題はソコじゃありません。アレはわかるもんです。ハイ。

振り向くと知らないおばあちゃんが、お財布片手にオロオロしています。足もとにはアチコチに散らばった小銭…
一瞬、迷いました。

拾ってあげるべきか、否か。

なぜ迷ったかといいますと、その昔、ちょっとしたトラウマになった出来事があったからです。

あれはまだワタクシが純粋な乙女だった頃…いえ、今も純粋ですが…あ、コレもどうでもいいですね。ハイ。
まあ、とにかく同じようなことがあって、私は何も深く考えずに、ただ近くにいた人がお金を落としたから、拾ってあげようと、自然な気持ちで転がってきた硬貨に手を伸ばしたんです。
そしたら、落とした女の人が大きな声で、

「触らないで!

って叫んだとです…。

びっくりしました。
ショックでした。
思わずビクッとなって、拾わずに手を引っ込めてしまいました。

小銭とはいえ『お金』だから、盗られるとでも思ったの…?

何も悪いことしてないのに、むしろ親切にしようと思ったのに、まるで自分が悪いことでもしたかのような感じで、悲しいような、悔しいような、なんともいえない惨めな気持ちになりました。
周りにも聞こえたんでしょう。
誰も拾おうとはせず、女の人は自分一人でちゃっちゃとお金を拾って、さっさとお店を出て行きました。


こういうことがあると、人間は二通りに分かれるそうな…

めげずにそれからもドンドン他人に親切にできるタイプと、
怖くなって、いちいち考えるようになってしまうタイプと…。

ティモコは後者でした。チキンでした。

電車とかでも、松葉杖をついてるとか、臨月の妊婦さんとか、誰が見てもかなりのご年配とか、いかにもって判断できればさっと席を譲るけど、困るのはイマイチ中途半端な場合…
「もしかして太ってるだけかも…」「意外と若いのかも…」等々…
勇気を出して立ち上がって「どうぞ」と言った時、「結構です」ならまだしも、無視されたりしたら、そのあと、どうしたらいいべ?
また座る?ううう…
そんなこといちいち考えてしまうとは、情けないったらありません。

自分では親切なつもりでも、他人にはお節介だったり、ってなこともあるしね。

『親切』は難しいモンダイです。


でね、昨日、何が嬉しかったかっていうと、つい拾っちゃったんですよね。
おばあちゃんのお金。
だって、足もとに転がってきたんだもん…
一瞬、トラウマがフラッシュバックして迷ったけど、手の方が早かった(笑)
もう、そこらじゅうに散らばってたから、掻き集めてやったわ。(ヤケクソ?)
で、「どーぞ!!」って渡したら…
おばあちゃん、仏様のような優しい笑顔で、

「まあまあ、ご親切に、ありがとう!」

って、言ってくれました…。






これがハンカチとかなら迷わずにすむんだケド
いや、ハンカチと見せかけたおパンツかもしれないし…
結局迷うのでしょうか…

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恐怖のホワイト・エリア

2013年04月20日 23時14分55秒 | ティモコなエッセイ


先日ティモコ、危ない橋を渡ってしまいました。

私は駅まで自転車通勤してるんですが、そんなにギリギリに家を出たつもりはないのに、駅に着いて自転車を置くスペースを探していたら、私が乗る電車のもうすぐ来ちゃうよアナウンスが。

えっ、ちょっ、マジぃ?ナニそんなに急いでんの、いつから特急になったのアンター?

とっとと自転車を置いてダッシュでいかねば間に合いません。
しかしこういう時に限ってどっこも空いてないんです。
無料の自転車置き場、なぜかいつもよりギュウギュウ詰めで、私の自転車を置くスペースが全くもって見つかりません。
超あせっていると、追い立てるように電車の近づくぴるるるるる~って音が。

あっか~~~ん!!!

追い詰められた私の目に映ったのは、とある場所。
一番ホームに近い特等席であるにも関わらず、いつも誰も自転車をとめようとしない恐怖の空間、

その名も『ホワイト・エリア』!!(※ティモコ命名)

私は心の中で私の自転車に「ごめんティモコ号!許してティモコ号!」と叫びながら、ホワイトエリアにティモコ号を置き去りにして、電車に飛び乗ったのでございます…。
(※ギリですが駆け込み乗車はしてませんのでご安心を)



さて、ホワイト・エリアとは?
駅とかに縁のある方なら、もうおわかりかもしれません。
そうです。ポッポちゃんです。
ぽっぽっぽーって首をカクカクさせてヨチヨチ歩いてる、時にはパタパタ短距離を飛ぶ、日本各地で広く見られる、あのぽっちゃりした可愛い鳥。
そうです。ホワイトエリアはいつでもそこだけ真っ白に染まっている、
鳩フン被害エリアなのです。
ごく稀にそこにとまっている自転車を見ることがありますが、とめた人は多分に今朝のティモコと同じ状況だった人でしょう。
そしてその自転車の運命は、みごとに期待を裏切らない、とにかく残念な感じとしか言いようがない感じになっておりました。

ティモコ号の犠牲のもと、無事仕事を終え駅に帰ってきた私は、自転車置き場に行く前に、駅トイレでティッシュを湿らして準備を整えました。
可哀そうなティモコ号、すぐにキレイにしてあげるからね…

そしてホワイトエリアで再会した私たち。
なんとー!
彼女は無傷でした…!!!
ポッポさんたちはお留守だったのでしょうか?
それとも空気を読んでくれたんでしょうか?
乗る前に丹念にチェックしましたが、どっこも白いモノにやられていませんでした。

やれありがたや。
でもすご~くドキドキしたので、もう二度とそこに置く気はありません…。







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白ネギとワタシ

2013年01月24日 23時36分15秒 | ティモコなエッセイ



仕事帰り、ふと思いついてスーパーに立ち寄った。
いつもは一旦家に帰ってから再び車で買い物に出るのだが、白ネギがもう一本ありさえすれば、今晩のおかずは出来る。
明日の朝食もお弁当も、今あるもので賄える。
ようは寒いからもう出たくなかったのだ。

滅多に行かない職場近くのスーパーで、ぶっとい国産白ネギ一本78円をカゴに入れレジに並んだ。
お金を払う段階で私は気付いた。
しまった…エコバックがない…

日本中そうなのかどうなのか知らないが、エコのため、この辺りではビニールの買い物袋は有料だ。
ケチ女ティモコ…いや、エコ女ティモコは勿論エコバックを持参して買い物に行っているが、思いつきで、帰りにどこか寄るつもりで出てきているわけではないので、持っていなかったのだ。

素早くレジ周りをチェックすると『袋一枚5円』と書いた紙が。
5円…
買ったのは白ネギ一本。
もったいない。

私はレシートとお釣りを貰って、ネギを一本素手で持って店を出た。
出た時はなんとも思っていなかったのだが、駅に近づくにつれ、人通りが増すにつれ、私はだんだん恥ずかしくなってきた。
ちょっと…もしかして今私…へんなおばさん?
いや、それよりも、まさにこの恰好は、おたっきーダオの部屋にあるあのフィギュア…
オバン版『はちゅね○く』もどき?!
完全に意識してますバージョン?!!!


このブログでは自分で自分のことを『私はヘンなおばさんです』と堂々と(?)公言しているが、リアルな私はとてもチキンだ。
このおバカな本性を見抜かれないようにするため、なるべくまともな恰好をして、なるべくまともに生活しているフリを装っている。
近所のスーパーであれば、すっぴんで、パジャマに毛が生えたような格好でも平気で行くが、今は仕事帰り。
ちゃんとお化粧をして、コートにスカートにブーツというまっとうな恰好で、片手に白ネギ一本…
余計に浮いている感、マックス。

店に戻って五円のレジ袋を購入しようか。
でももう大分歩いちゃったし。
疲れてるし寒いから早く帰りたい…。
でもこの恰好でホームに立って電車を待つのか…
でも乗っちゃえばまだ帰宅ラッシュ前だし…
あとは自転車だからカゴに入れて帰ればいいし…

…そうだよ。
別に恥ずかしいことじゃない。きちんとお金を払って購入した、国産の立派な白ネギじゃない。
恥ずかしいなんて思ったら、農家の人に失礼だよ!!


そう開き直った私はネギを掴む手にギュッと力をこめ、威風堂々と胸を張って、駅の構内を闊歩し、シャキーンと改札を抜け…
トイレに駆け込んだ。

人は自分が思うほど他の人など気にしてないが、チキンな私にはとても耐え難かったのだ。

せめてタダの備え付けの小さいビニール袋を貰ってくればよかった、と後悔しつつも、ぶっとい白ネギを二つに折って、通勤用鞄(小サイズ)にそのままぎゅぎゅうっと詰め、何食わぬ顔で家に戻って、出して、洗って、料理して…

今、何事もなかったかのように無事家族の腹に収まったが、
お気に入りの鞄からネギ臭が消えません。






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白黒つけたいカフェオ~レ

2012年09月28日 18時17分32秒 | ティモコなエッセイ
本日のお客様

イケてる(メイビー)インド人

最近お店がやたら忙しいので、ババ~トレス・ティモコ、ちょっと疲れています。
他所のお店では、中の人(作る人)と外の人(持ってく人)がしっかり役割分担されてたりするけど、ティモコの所はとってもアバウト。
『手が空いてる人がやる』
ようするに、レジも接客も厨房も、全部やれ、このやろーってことなんです。
そんなに大きいお店じゃないので、まあ仕方がないのです。

で、アイスコーヒー作ってたら「ホット・カフェオレ、ワンで~す」ってオーダーが。
ウチのカフェオレ、カップに半分牛乳注いで、半分コーヒー入れて、レンジでチン。
(アイス・カフェオレならグラスに氷入れて牛乳半分、アイスコーヒー半分、マドラーでグールグル)
パンダ・ピータンでも作れます。

でも他にもオーダー山盛りだったので、うっかり温め過ぎてしまい、あっちっちーに。
オーダーを取ってきたKさんに「ごめん、熱いから気をつけてって、一言添えてもらっていい?」と頼みました。
万が一お客様が、ぐいっと一気にイッてしまったら大変なことになりますからね。
もちろん、お客様は神様ですので、こんなフレンドリーに言ったりはしません。
『こちらのカフェオレは大変熱くなっております』とかなんとか言わなきゃいけません。

するとKさん、カフェオレの乗ったトレーを持ったまま一瞬固まりおもむろにそれを私に押し付けてきたのです。
「やだ。ティモコさん、お願い」
はへ?
「外人さん…
えええ~~~

ご存知のように(?)ティモコは海外行きたい、海外行きた~いって四六時中言ってるくせに、英語も何語も話せません。
そして、Kさんも話せません。
ていうか、ウチのスタッフ、全員話せません。

なのに、この店、結構外国人のお客様がいらっしゃいます。
オフィスビル内なので、取引先の…とかなんとかでしょうか。
当然いつもトレー押し付け合いバトルになります。

しかし、今回は完全に私のミス…
自分でケリをつけねばなりませぬ。

私はカフェオレを運びながら英語で何と言ったらいいのかと考えました。

して、示された席を見たらば…

OH!インド人アルヨ!ナマステ~~~!!

聞いたわけじゃないので違ったかもしれませんが、まあそちら系の方です。
漆黒の髪、褐色の肌に映える白いワイシャツ、センスのいいネクタイ、金ぴかの腕時計。
彼はノートパソコンを広げ、携帯電話で誰かと話しておりました。
いかにもエリー――トなインド人(?)男性です。
しかもなっかなかのイケメンです

私はゴクッと唾を飲み込み、彼に、いや席に近づきました。
インド語って何語?ヒンディー語?タミル語?ベンガル語?
『ナマステ』しか知らないよう

彼は完全に英語ではない言葉で話し続けています。
私はとりあえずパソコンの横にカフェオレをそっと置き、日本語で「お待たせいたしました」と言いました。
彼はちらっとこっちを見て、軽く会釈なされました。
そしてまた目線をパソコン画面に移し、携帯に向かって「~]と言っています。

どうしよう…
この状況で、さらに言葉の壁…

でも、でも、
このカフェオレは恐ろしく熱いの!やけどしちゃうかもなの!!

私はお客様の安全を第一に考え(だったら冷まして持ってけよてか作り直せ…
カフェオレのカップをビシッと指差し、無理やり会話に割り込みました

「べりーはっと!!!」


彼は振り向きました。ついでに周囲のお客様も振り向きました。
インド系ビジネスマンの彼は、にっこりと白い歯を見せて笑い、爽やかにこう返答されました。

「わかりました。気を付けますね。(日本語)」

夫婦円満の恐るべき秘訣

2012年09月10日 01時47分20秒 | ティモコなエッセイ
※  本当~に円満ラブラブな方は、今すぐダーリンの所へ行ってイチャイチャ
なさって下さい。
これから結婚という、結婚生活に夢をお持ちの方は、スルーをおススメします。



土曜の夜…
久しぶりにご近所のママ友連と飲みに行ってきました。
子達が赤ちゃんの頃からのお付き合いなので、互いにある程度家の事情を知っている間柄です。

子持ち主婦仲間が集まれば、宴は大概次の順序で進行します。

1・乾杯
2・その店の批評
3・自分たちの近況
4・お子達の近況
5・互いに褒めちぎり合戦

そしてお酒が回ってくると、

6・いつしか親バカ炸裂トーク(類は友を呼ぶのです!)

そして最終的に、

7・旦那の悪口

です。
配分で申しますと、1~5が10%、6が20%、7が残り70%であります。

ティモコも日頃のうっぷんを晴らすべく、負けじと競り合ってきました
え?この前ラヴレター(とは言えないけど)書いてたじゃないって?
はい。ティモコ夫婦は多分、皆にもよく言われますが、結構仲良しです。

仲良しの秘訣ですか?
まあ、こういう発散の場があることも一つですが、一番の理由は、私がピータンのことを夫だと思っていないことです。

…うわ~公言しちゃったよ
しかも赤文字フォントサイズ5で

新婚の頃ならともかく、20年以上も一緒にいたら、当然互いに相手の嫌な面がどんどん見えてきます。
いい所を思い出せるうちは良いですが、積もり積もると悪い所しか見当たらなくなってしまう…
正直、自分一人では子ども達を育てていく自信がないから、という一点のみで
結婚生活を維持していた時期もありました。

そんな時…
同じ悩みを抱え出した親友のクララが(今回のママ友には含まれていません。結婚前からのお友達)夫にムカつかないための究極の秘訣を思いつき、私にも教えてくれたのです。

「きっと、主人を主人だと思うから、期待して腹が立つんだよね。だから私、
もう
 知らないおじさん だと思うことにした」

クララのご主人は誰が見てもエリートです。クララもティモコの友達にはもったいない才色兼備の良妻賢母で、気品漂う美女です。
そんなクララのお上品な口からこのセリフ…。
ぶったまげたけど、なるほどと思い、私もマネすることにしました。
うちの場合は『知らないパンダ』です。パンダが好きだからそれなら許せる気がしたのです。

さあ、イメージしてみましょう。

おや?玄関のドアが開いて、知らないパンダが入ってきました。
「ただいま」って言ってますパンダが「ただいま」ですよ
それならもう、いや~ん、可愛いしかないじゃないですか
パンダが食卓に座って、ご飯を食べだしました。
うっひょ~なんてキュート
「おかわり」 いいですとも、いいですともたくさん食べね、パンダく~ん

パンダなら、家のことを何もしなくて当然です。
ゴロゴロしてて当たり前なのです。
なのに、このパンダは、ひと月ごとにお給料をうちに運んできて下さるのです
感謝以外の何者でもありません。

まあ、あまり褒められたことではありませんが(姑には死んでも聞かせられません)とりあえず腹が立たなくなりました。
私がイライラする代わりにヘラヘラするようになったので、家の中がだんだん和んできました。
気まぐれでたま~に何かしてくれたりすると、一切期待していない分、以前では考えられないほど嬉しくて、
「うわ~ありがとありがと(パンダなのに、パンダなのに~)」
と喜びまくってたら、自然、彼も優しくなってきたような気がします。
ただ、あまりにも和みすぎたのか、緊張感がまるでなくなり、だらけきってる感じもしますが、3年間、まともに話もしなかった夫婦が、「干してくれたら嬉しいぴょん」にまでなったのだから、そのへんはヨシとして…

人生は色々、ヒトは十人十色。
結果別れてしまっても輝いている友人を、ティモコは何人か知っています。(みんな若く見えるのはなぜ?!)
世の中にはどうにもならないダンナもいるから、そういうヤツはほっとけばいいんです。

でも、もし…
「あれ?もしかしたら私って、まだダンナのこと好きなのかも…」
とほんの少しでも気づいてしまったら、
「顔を見るとムカつくけど、本当は仲良くしたいのかも…」
とほんの少しでも思っているのなら、

旦那=パンダ

結構いい手ですようひひ


元の姿を思い出せなくなっている妻・ティモコ記
















夫へのラヴ・レター

2012年09月08日 00時08分07秒 | ティモコなエッセイ
家事がどうにも苦手なダメ主婦ティモコですが、ひとつだけ、これだけは、と譲れないものがあります。
洗濯です。
開設二か月弱のこのブログに、やたらと洗濯関係の記述が多いのは、年がら年中洗濯物のことばかり気にしているからでしょう。

多少(?)部屋が散らかっていようが、「もう今日はどん兵衛でいいや」と思おうが、お庭がジャングル化しようが、一向に苦になりませんが、洗濯物だけは即刻洗ってしまわないと気が済まないのです。
汚れた衣類を、24時間以上放置するなんて、我慢できないのです。

なぜか?
なぜそんなに嫌なのか。
家族が男ばかりで臭くなるから、というのは当然の理由ですが、もっと、何か、切羽詰まったモノ…
早く洗濯物を片してしまわないと大変なことになる~といった、一種の強迫観念。
過去に何か、とんでもなく嫌な思いをしたのでしょうか。
考えるのも恐ろしい気がするので、忘れているのをいいことに、あえて思い出す気はないですが…

でね、
何の前フリかと申しますと、またワタクシやってしまったんです
洗濯したはいいけど、干す時間ナッシング…

毎朝五時台に起きてるんですよ~
で、洗濯機回して、その間に朝ご飯とお弁当三つ作って、家族起こして、食べさせて、送り出して

そこまではいいんです。
なんだかんだ言ってもちゃんと主婦してるでしょ??

その後がマズいんです。
は~、やれやれ。
と、何もかも終わった気になってしまうんです。

で、寛ぎタイム突入。
お休みの日ならそれでも良いけど、ティモコは仕事に行かねばなりませぬ。
お仕事だけは、無くすわけにはいかんのです。(なぜならどこにも行けなくなる
から

その時々の気分で、ひたすらボーっとしてたり、テレビに見入ってたり、新聞に(テレビ欄と広告のみ)見入ってたり、パソコンいじってみたり…
そんなに沢山時間があるわけでもないので、あっという間に「ぎゃ~~~っ!!!」という時間帯になってしまいます。
すっぴんパジャマで会社に行くわけにもいかないので、必然的に洗濯物干しが後回しになるのです。

ちなみに今朝は、行く予定のない旅行パンフをうっとりと眺めていて「ぎゃ~~~っ!!!」。

さあ、どうする?私。
外はでも明日からは予報。
干すっきゃありません。でも時間はありません。

これはもう、本日遅出のピータン(夫)に泣きつくしかございません。
しかし、前回同じ過ちをした時、あっさりと断られています。
百円では動きません。五百円?千円?もったいない
いえ、まだ寝てるから起こしたら悪い…(本当?)

追い詰められた私は、そこらにあったメモ用紙にダメもとで「洗濯物お願い」と
殴り書きしました。
服に着替えてから、「お願い」の後にマークを書き足しました。
お化粧をしながら、まだ足りない、あれでは無理と考え、さらに上に「色男ピータンへ」と見出しをつけました。
おトイレに行ってから、今度は下に「干してくれたら嬉しいぴょんよろぴこり~ん」と書いてみました。
そして会社へGO

起きた夫がメモを見て「こいつ、やっぱりアホだ…」と思うか、満更でもないのかは神のみぞ知る…

はたして結果は…

干してありました~~~!!

いや~、愛のこもった手紙()は通じるものなんですねえ
皆さんもお試しあれ




さよなら、音姫さま

2012年08月30日 13時08分23秒 | ティモコなエッセイ


  ※男性と上品なマダ~ム及びお食事中の方はご遠慮下さい。



ティモコはいい年をして、ウエイトレスの仕事をしています。
ババートレスと呼びたきゃ呼んでよろしい。
お店はでっかいオフィスビル内にあるので、お客様の大半はビルで働くサラリーマンかOLです。
延々立ちっぱなしの仕事なので、最近左の足の裏に魚の目らしきものができ、
これがまた痛いの痛くないのって…
違う方向に行ってしまいました。魚の目はどうでも良かった…いや、どうでも良くはないです。痛いです。

ところで。
女性の皆さんなら『音姫』をご存知ですよね。
公共の女子トイレに設置されている音消しのアレです。
「用を足してる時の音なんて恥ずかしくって他人に聞かれたくないわ~
というデリケートな女心、もしくは「周囲の方へのエチケット」という気配り心を理解し、二度流しという反エコにストップをかけた、画期的な擬音装置であります。
会社のトイレにもありましたが、取り付けが悪かったのか“音姫落下事件”なる
ものがあり、現在は便座横のせせらぎボタンが活躍中。
近年では流水音のアプリまで出ており、今や日本の女子トイレはこれナシには
語れません。
繊細なティモコも(本当です)ありがたく利用させてもらってますが、反面、いつも疑問に思ってしまうのです。

“これって、本当に必要なモノ?”

食って出す。
生物たるものの自然の摂理です。健康に生きている証です。
老いも若きも男も女も、どんなにカッコつけてても、皆出すもん出してるんです。
じゃなきゃお腹がポンポンになって、しまいにゃパーンとなってしまいます。
“私の体は私のためにきちんと働いてくれている
誇らしく思って当然、恥ずかしがるなんて以ての外ではありませんか

とかなんとか常に考えつつも、繊細すぎるあまり(本当ですってば!)その場に
誰も居なくても擬音ボタンに手を伸ばしてしまうワタクシ…
だって誰か来たらイヤだし…って、これはもうある種の病気です。

こんなことでは、いか~んと思っていたある日、休憩中に洗面所でグルーミングをしていたら、顔見知りの受付嬢○○さんが。
「あ、こんにちは~」と○○さん。「じょ~も~(どーも)」とティモコ。
数名いる受付嬢の中でもひと際美しく、知的な感じの漂う品のいいお嬢さま
です。若い頃のティモコにそっくりです。…はい、ごめんなさい。

私は歯磨き中(接客業ですゆえ)だったので、呑気に鏡に向かってシャコシャコ
していましたら、個室に入って行った○○さんの方からすごい音が。


じょばばばばばばばばばばばばばばばばば~んガラガラジャー!!!

…………   

スッキリした○○さんはドアを軽快に閉め、颯爽とティモコの隣に来て、
「今日も暑いですね~」と極上の笑顔で微笑みながら手を洗い、「お先に~」とハイヒールの音をカッカッと響かせながら去って行きました。

ティモコはつい開けっ放しにしてた口から歯磨き粉を垂れ流しながら、鏡の中のスマートな後姿をボー然と見送ってました。

…かかかっ…カッコイイイ~!!!

カッコ良すぎです
彼女は私が歯を磨いているのを目撃してるワケだから、そうすぐには去らないと分かっていたはず。
承知の上の、音姫(ではないが…)なんかにゃ頼らない潔さです

私の彼女への好感度はみるみるアップしこんな当たり前で当然なことを、いちいち気にかけていた自分がたまらなく恥ずかしくなりました

ついここまで読んでしまった優しくてデリケートな女性の皆さん
今こそ勇気を振り絞る時です
さあ、一緒に叫びましょう

さよなら、音姫さま。
今までありがとう。



…な~んて。未だにデパートとか駅とかのトイレに入ると、真っ先に探してしまうティモコなのでした…











初めての英会話

2012年08月07日 22時12分36秒 | ティモコなエッセイ

ある日突然ティモコは思った。

英語がベラッベラになりたい…

ツアーじゃない旅に出てみたい。
『世界ふれあい街歩き』みたいな、『トラべリックス3』みたいな、『地球バス紀行』みたいな、『世界の車窓から』みたいな、旅がしてみたい。

もちろん英語だけじゃダメだろうけど、日本語オンリーより、通じる度は遥かに高い。

けれど私は、キャンユーヘルプミーの女。(詳しくはこちら)

そこでティモコは決心した。

英会話教室に入ろう!!

どうせなら英国か米国出身の講師がいい。
できればカッコイイ男の先生で~
ジョニー・デップに似てて~
いっそ本人?!
うひひひ…

なトコはないので、妥当に近場で、安くて、お手軽なトコロを見つけ、勢いで入学した。

生徒はオジサン2人とお兄さん1人、おばあさん1人と私。
この少人数で先生はハンガリー生まれ(?)の自称アメリカ人。男。
3か月ごとにイチキュッパという格安さ。(スキだね私も…さすがに服とは0が1個違うけど)

『初めての英会話』というキャッチフレーズだっだし、みんな、のほ~んとした人達だったので、なんとかやってけそう、と通い出したのだが…

げっ、みんな全然喋ってるし!!
先生は日本語喋れないし!!
マジっすか?
初めてのって、どこがっすか?!

唯一仲間になれそうなおばあちゃんに、
「授業の内容がチンプンカンプンで…」
と相談したら、彼女は上品に笑い、
「私も半分くらい、わからないわ~。娘が国際結婚しちゃって、孫は英語しか話さないから、お喋りしたくてきたんだけど、ちょっと難しいわね~」

…半分…ちょっと…で、ございますか。
すみませんでした。仲間に引きずり込もうとして…

結局2度更新して、通算9か月で私は辞めた。

先生をはじめ、知り合ってみると皆いい人たちで、それなりに楽しい9か月だったが、
6万円貢いだ私の初めての英会話教室は、

異様にジェスチャーが上手くなっただけで終わった。



トイレに行きたいのに、なぜか絶対に行けないという夢

2012年08月02日 18時06分32秒 | ティモコなエッセイ
て、見たことありませんか?

あれって、行けちゃったら、ていうか、しちゃったら、大変なことになるみたいなんですけど…。

え?
何をって?

その辺は言葉を濁させて下さい。
だってここはお上品なブログなんですもの。おほほ。


まあ、とにかく、夢の中で、ものすご~くお手洗いに行きたくて、探すんだけど、どれだけ走り回っても見つからない、とか、目の前にあっても先客がいて、なかなか出てきてくれない、とか、入ったはいいけどトイレットペーパーがない、とか、汚すぎてどうにもする気になれない、とか、電気が壊れてて真っ暗、とか、怖~い伝説がある、とか、ヘンな人が住んでた、とか。

これ全部、今まで私が見た夢なんですけど、家族や友人に聞いてみたところ、皆、似たような夢を見たことがあるそうで。

え?
ヘンな住人は私だけじゃないかって?
ええ、その通りですけど。
なんかギスギスに痩せた馬っぽい人だったですけど。
何か?

まあ、それはそれとして、結末はいつも同じなんです。
全ての条件がやっと満たされて、


いざ、というトコロで目が覚める。

そしてリアルトイレに直行です。
我慢して寝てるからそんな夢を見るんでしょうね。

類似夢に『大好物が目の前にあるのになぜか邪魔が入って食べられない』とか『イイ男(ピータンであったことは一度もない)と、あとちょっとでイイトコロ(ってどんな?なんて聞かないでください!だからここはね、お上品な…以下略)』等の様々なパターンがありますが、すんでのトコロで目が覚める。
…我慢して寝てるんでしょうか。

で、何が言いたかったかと申しますと、ついにワタクシ、見てしまったんです!
ケーキを食べてしまった夢。
(ちょっと…残念がらないで下さい。何を期待しちゃったんですか、まったくもう)
しかも完食です。
ちゃんと味も覚えてるんです。
ミッションクリアです!

目覚めた時はとても満ち足りて幸せな気分でしたが、時間が経つにつれ、だんだん怖くなってきたのです。

ついにケーキを食ってしまったということは、もしかして、もしかして、

ティモコがトイレに行けちゃう日も近い…???





ヤブか名医か、ウルフルズ

2012年07月31日 14時13分30秒 | ティモコなエッセイ
風邪をひいて、どうにも早く治したい時、駆け込んでしまう病院がある。

先生一人、看護師さん数人の小さな個人病院だが、先生が 『バンザイ』 で有名なウルフルズのトータス松本に似ているので、ウチではその病院へ行くことを「ちょっとウルフルズに行ってくる」と言っている。

新婚の頃、その辺りに住んでいたのがきっかけだが、現在、そこから車で一時間近くかかる場所に引っ越していても、近所にもっと新しく、立派な病院がいくつもあるのにも関わらず、切羽詰まるとここへ来てしまうのには、もちろん訳がある。

ウルフルズは注射をするのだ。

最近の病院では高熱が出ても「熱が体内の悪い菌を殺してくれるから、無理に下げない方が良い」とし、あまり注射はしない。
私世代の人間だと、子どもの頃病院に連れていかれれば、必ずといっていいほど、おしりにブスッとやられたものだが、そんな時代は過ぎたのだ。

だが、ウルフルズは注射をする。
おしりではなくて上腕だが、診察十秒、胸と背中を聴診器でポポンとやって、お口をあ~んとして、
「風邪だね。一本打っとく?」
と言う。
そして、瞬く間に治してしまう。
神だ。まさに救世主だ。

だがいつ行ってもあまり患者がいないし、遠くなってしまったので、余裕のある時は近くの内科を受診して(普通逆)なるべく自然に、ゆっくりみっちり治すのだが、主婦は忙しいのだ。
パートだってこれ以上休めないのだ。

私はピータンに連れられ、久しぶりにウルフルズの扉を叩いた。
つぶれてないかと心配だったが、まだ健在だった。

待合室には数名。みな常連さんっぽい。
…中毒患者なのか?私もその一人に含まれているのか?

私はその時座っているのもシンドイ状態だったので、早くなんとかしてという思いで、名前が呼ばれると勇んで診察室に入っていった。

一年以上ぶりの松本先生(もちろん本名は違う)は、さらに強烈になっていた。
診察時間わずか五秒。
衣服の上から聴診器をポポンとし、お口の奥をチャッとチェックし、
「う~ん…。注射だね」
と、言った。

注射を打ってもらい、家に帰ってから診療明細書を見たら、病名は“急性咽頭炎及び急性気管支炎”。
たった五秒で見抜くとは、やはり名医なのか。

昨日のことなので、まだ完治はしていないが、多少ラクになった気はする。
以前より治りが遅いのは、私がトシのせいに違いない。
だって、松本先生は隠れ名医だもの。
絶対的救世主だもの。


私とピータンはどうにも早く治したいとき、ウルフルズの門を叩く。

だが、私たちの大切な息子二人を、ここへ連れてきたことは、一度もない。










14年目の貞子

2012年07月24日 00時27分45秒 | ティモコなエッセイ
ティモコの苦手なもの…幽霊

夏といえばホラーだけど、私、怖いのダメなんです。
どのくらいダメかと申しますと、子どもの頃読んでしまったホラー漫画に、主人公がお風呂に入ってたらグロいモノが現れるシーンがあって「キャー!」と叫んだら母親が「どうしたの?!」と台所からすっ飛んでいくんだけど、その時台所の壁にかかっていた時計が夜の9時26分を指していたので、以来いまだに、21時26分にはお風呂に入れない、というくらいダメなんです。

それなのに、ウチの男どもは皆、心霊だの怪奇だのといった番組に目がなく、そんなモノをやっていれば絶対に観るにきまっているので、皆が帰ってくる前に、新聞をソファの下に突っ込んだり、テレビ欄を塗りつぶしたり、他の番組に花丸をつけて注目を逸らしてみたり、とか色々試みているのですが、なぜだか目敏く見つけてはチャンネルを変えてしまうのです。

ウチのキッチンは狭いながらも対面式なので、お皿を洗いながらリビングにあるテレビが観られて大変便利なのですが、こういう時は大変不便です。
画面を観ないように下を向いて洗っていても、オドロオドロしい音が聞こえてきて、観ていないので余計に想像力を掻き立てられ、ますます怖さが増してしまうんです。
時間に余裕がありさえすれば、皿なんか後回しにして、二階へ避難することもできますが、ない時は音が聞こえないように歌うしかありません。
すると「うるさいティモコ!聞こえん!」と、テレビの音量を上げられてしまい、負けじと声を張り上げると、さらに音量がでかくなり、こうなると近所迷惑なので、常識のある私が引き下がります。

息子たちが小さい頃は二人とも怖がりで、アンパンマンの「ゆうれい船をやっつけろ!!」で泣いてたくせに、その頃はピータンが3対1で立場が弱く、録画して夜中にこっそり観ていたのに、今じゃ二人ともピータンの味方で、私だけがのけ者なのです。

ところが…!

私、昨日、とうとう観てしまったんです。リング。
いえ、3Dの映画じゃなくて、昔のヤツ。(3Dなど観た日にはマジ気絶します)
今ひかりTVの見放題でやってて、暇を持て余したボウが見、途中からダオが見、何を熱中して観てるんだろう、と画面をのぞいた私の目に映ったのは、まさに貞子の、あの下目のアップ!!

「ぎあああああああああああああああああああああああああ」

閑静な住宅街、私の常識はいずこへ…?

…ところが、ところが。
なんということでしょう。
さすが有名なだけあって、私は指で半分目を隠したまま、そのうちソファに座りだし、いつの間にか手もどけて、最後まで観てしまったのです!
その上、どうしてそういう展開になったのか、内容が気になって気になって、ボウたちの「え~また観るの~?別のヤツ観たいのに~」という不平も無視して、なんと、もう一度、最初から観てしまったのです!

1998年制作というから、14年前の作品。
皆の間で話題になっても耳を塞いでいたあの頃の私。
まさか14年後に、世間から百歩遅れて魅入るとは、想像すらしませんでした。
人生何が起こるかわかりません。

新分野の扉を叩き、また新たに趣味が増えるかも?とちょっぴりワクワクしましたが、、夜になって案の定、「ううっ…きっと来る?来てしまう?来ちゃってない?」と怖くて眠れず、ピータンを起こしたらド叱られたので、当分やめておきます。

ギャッ!!
また書くのに夢中になって、こんな時間になってしまった!
まだお風呂にも入ってないのに。
…怖いよう



私の小説がボツになった理由

2012年07月22日 01時21分54秒 | ティモコなエッセイ
珍しくお掃除スイッチが入って、ずっと開かずの間になっていた物置を片していたら、昔どこかの新人賞に出して、ボツになって戻ってきた、自作の小説が出てきた。

うわ~、懐かしい…

子どもの頃から作家になるのが夢だったけど、恋をしたり、結婚したり、子どもを産んだり、育てたりしているうちに、飛ぶように月日が過ぎて、何もしないまま今日に至っている。

色の褪せた茶色い封筒を開けたら、分厚い原稿用紙の匂いとともに、夢中で書き殴っていた、あの頃の記憶が蘇ってきて、私は当初の目的をすっかり忘れ、薄暗い物置に座り込んだまま、自分で書いた小説に読み耽った。

私は究極のナルシストだ。
自分では普通だと思っているが、身内に言わせるとバカが付くらしく、『バカナルシスト・ティモコ』を略して『バカスト・ティモコ』と呼ばれている。

だってね~、自分が最高傑作だと思って書いてても、ヒトの評価なんてソコソコなのに、自分自身がつまらないと思うものなんか、他人様が読む気になれます~??

…っていうのが私の持論なもんで、書く時はいつでも全力投球で、その世界に没頭し、陶酔し、面白い話ならイヒイヒ笑いながら、可哀そうな話なら本当に泣きながら書いている。(そういう時は、『うわっ、ティモコ、キショッ!』と呼ばれる)

ただしそれは、ソレを書いている間だけの話で、書き終わって満足し、暫くして改めて冷静な目で見直すと、「…なんじゃこりゃ」と悲しくなるのが現実だ。

ところが、その物置から見つけた小説は、新人賞に出そうと思っただけあってか、こんなに月日が経っていても、我ながら面白いのである!
私は夢中でページを繰った。
そして再び『バカスト・ティモコ』になっていた私は思った。

どうして、コレがボツなの?
なぜに?
なにゆえ?
賞がハイレベルすぎた?
テーマに合ってなかった?
作者の名前の下に‘よろしくお願いします’なんてハートマークを付けたのが媚び媚びだったから?

疑問のまま読み進んでいった私は、とうとう、世にも恐ろしい、決定的な一行を見つけてしまった。

真面目な恋愛ものなんだけど、主人公の女の子が花屋でバイトをしていて、そこへ外人のお客さんが店に入ってくるというシーン。

『…○香は瞬間ドキリとした。こっちをジッと見つめている金色の瞳が、あの日、最後に見た×也に、そっくりだったから。…違う。彼がこんな所にいるはずないじゃない…。○香は拙い英語で話しかけた。“Can you help me?”

…どうしたんでしょう、これ。
打ち間違いでしょうか。
それとも、これが正しい応対だと、自信満々で書いたんでしょうか。

私は物置で座り込んだまま愕然とし、穴があったら入りたいと思った。
真面目な小説ゆえに、いくら英語が苦手という設定であっても、店員がお客に向かってキャンユーヘルプミーって、いったい何を助けてもらいたいというのか。店の売り上げか。

私はそれ以上読むに耐えれず、自作の長編小説を茶封筒に戻した。
審査をして下さった方も、きっと同じ動作をしたに違いない。

『バカスト・ティモコ』は瞬く間に消え失せ、弱気に戻った私は祈った。

どうか、これを読んだ人が、二、三ページで見切りをつけて、ここまで読んでいませんように。
ああ、誰か、

Can you help me?
















ダオの夏休み

2012年07月20日 17時21分11秒 | ティモコなエッセイ
去年の夏は憂鬱だった。
ダオが宿題をやらないのだ。

ボウは七月中に全部宿題を終わらせてしまうような子だったのに、ダオはいつでもマイペースで、自分の気が向くまでは、勉強というものを全くしない。

八月に入っても手を付けている素振りがなく、中旬になっても遊んでばかりいる。
小学生じゃないんだから、と私もうるさく言わなかったが、お盆休みも終わり、さすがに心配になって、ダオを捕まえ私は訊いた。

「ダオ、宿題やったの?」

ダオは、私を見、カレンダーの日付を見、黙って二階に上がっていった。

やれやれ、と安心したのも束の間、
しばらく部屋でゴソゴソしたあげく、下に降りてきたダオは、私に衝撃の一言を発した。

私:「…どうしたの?宿題は?」

ダオ:「ない」

私:「ないって、もう終わったの?それとも出なかったってこと?」

ダオ:「いや、宿題自体が、ない」

開いた口が塞がらないとは、まさにこのような状態か。
つまり彼は一学期の終わり、先生から出された大量の宿題プリントを、教室の机に入れっぱなしのまま存在を忘れ、今の今まで気付かなかったのだ!!

慌てて学校に電話し (もちろん『ちょっと忘れ物を…』としか言ってない。『宿題全部忘れました~!』なんて、ああ…) 教室を開けてもらって、なんとか無事に始業式に間に合わせたが、あれから一年。

私は一学期終業式の今朝、来年は絶対に言わなければ、とあの時固く心に誓った、
「宿題、持って帰ってきてよ」
というセリフを言うのをすっかり忘れ、ダオを送り出してしまった。
部活があるので、まだ彼は帰宅してない。

私は今、ものすごくドキドキしながら、彼を待っている。

いくらなんでも、二度も同じこと、やらないよね?

そう信じる反面、

…明日って教室開いてるっけ?

と、考えてしまう私がいる…。