遠野なんだりかんだりⅡ

遠野の伝承芸能・民俗・歴史を書きたい時に思いついたままに

早池峰岳神楽 大出早池峯神社に舞う

2024-07-26 08:59:02 | 郷土芸能

17,18日の大出早池峯神社宵宮・例大祭話題を今週連続で記していますが、

今回最大の出来事は、何と云っても岳神楽さんが参加されたことではないでしょうか!

 

前日の宵宮でも夜神楽の様子を見に来られ、翌日のこの例大祭の祭列にも参加され、

何だかとても勿体ないことのように感じた私です。

 

9時過ぎには到着し参拝を済ませ、この拝殿での準備をしていた岳神楽さんです。

大迫町からは、荒川高原経由か?、達曽部から馬越峠経由か?と云う

他愛のないことを想像しているこの時の私です。笑

 

最初から天降り(あまくだり)の舞です。

 

ほぼかぶり付きに近い距離で、何だか得した気分です。

花巻では、この距離で観ることは難しいと思います。

 

岳神楽さんを良く知るお客さんたちが、スタートから大声援を送っていたので、

静かな遠野人はびっくりしたと思います。向こうでは普通のことです。

 

この3帖ほどの舞台で、どう舞うのかと観ていましたが、

気にする様子も無かったので、たぶんこの大きさを意識して来られたようです。

 

荒舞でも、全く、無駄のない丁寧な舞

 

本当にこの距離で観られて良かった~!

大迫町の大償神楽さんとこの岳神楽さんの両方をもって早池峰神楽と云い、

国指定無形文化財であり、ユネスコの無形文化財にも登録されていることは

あまりにも有名で、その公演には全国から熱烈なファンが押しかけるほどです。

 

流石に最初から御花が上がり、御礼口上です。

イベントでは無料だと唄いながら、御花入れが舞台にドーンと用意されたりしますが、

それなりの芸能では、さりげなく置かれるので無粋に感じることはありません。

 

二番目 天女の舞

 

上手いとわかっていても、上手いと思ってしまいます。

 

この天女の面、色々な神楽のそれを観ていると舞手の仕草もありますが、

きれいだと思うことも、色っぽいと思うこともあり、

 

ここのは清楚な美しさを感じました。

 

三番目 諷誦(ふうしょう)の舞

 

やってくれますよね~!ここでこんな舞をしますと、事前告知していたら、

相当な人が観に来たのではないでしょうか?市外から。笑

 

この日は、大出早池峰神楽さん、張山しし踊りさん(小倉神楽さん)の他に

市外からの岳神楽のファンの皆さんが、最後まで真剣に見ていました。

 

江戸時代にこの岳から大出が頂いた伝授目録があったと証言された昭和7年の大出の胴取。

その時、見聞した本田安次氏は、所傳は全て岳と同じだと記し、

また岳も大出もその周辺地域の人たちは、どちらも年寄神楽になってしまったと

当時、話ているのを聞いています。

 

それから、おおよそ100年。

 

大出ではその間に、またの火災で神楽道具一切を失い、同じ附馬牛の小倉神楽さんから

道具を借りて鶏舞を演じながら、子供たちにシンガクを教えるところから再スタート。

 

岳神楽さんは江戸時代の飢饉の際には里に下り、神楽巡行をしてつないだと云います。

 

郷土の芸能を100年つなぐ内には様々なことがありますが、

途絶えさせないようにつなぐことの大切さを教えてくれる両神楽です。

 

お見事!

 

そして、会長の下舞

 

舞う以外の時にはとても穏やかな表情も、神楽では目が真剣そのもの。

 

前夜に御祈祷して頂いた方々も、また御祈祷。笑

 

いやあ~!なんだか物凄いものを観てしまった!と云う感想です。笑

どなたかのSNSに岳神楽さんは、大出で舞ったことはあるのか?と云うのがありました。

観た当初は、そんなことは無かっただろうと内心思っていました。

しかし、伝授目録の昭和7年の証言を知ってしまうと、どこで教えられたかによっては、

大出もあり得るだろうと考えるようになりました。

最後に郷土芸能伝承100年の壁、皆さん、のり切りましょう!笑

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする