[2021年7月3日 更新]
今春の都立入試問題の社会。単純な四択問題が減ったことは1か月ほど前にお伝えした。
<過去記事:都立入試社会 マークセンスの得点割合>
今回はその四択問題でも、特に正答率が低かった問題に注目する。
どういう問題だと間違えてしまうのか。その傾向が分かればという考えからだ。
◆最高94%、最低32%
四択問題は単純に確率で考えれば25%だが、それは問題や選択肢を全く見ない場合。まともに問題を見れば「明らかにおかしい選択肢」を除外できる。三択まで絞れれば33%、二択に絞れれば50%まで正解する確率は当たる。
2021年度入試の四択問題とその正答率は以下の通り。
これらは、四択問題を複数正解して得点をもらえるものを除いている。
画像の問1や問2パターンは除いたということだ。
出典:都教育委員会HP
大問1
問1 64.8%
問2 75.1%
問3 88.7%
問4 94.0%
大問4
問3 32.0%
大問5
問1 70.9%
問2 68.0%
大問6
問3 44.7%
◆正答率が94%と最高だったのは大問1の問4
問4 次の条文がある法律の名称は,次のア~エのうちどれか。
〇労働条件は,労働者と使用者が,対等の立場において決定すべきものである。〇使用者は労働者に,休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて,労働させてはならない。ア 男女共同参画社会基本法イ 労働組合法ウ 男女雇用機会均等法エ 労働基準法
参照:都教育委員会HP
まぁ考えるまでもあるまい。
「性別」や「男」「女」という言葉が出てこないから、アとウは消せる。
イと間違えたのが数パーセントいたということだ。
◆正答率が32%と最低だったのは大問4の問3
問3 新たな役割を担う行政機関が設置され,とあるが,次の文章は,帝都復興院総裁を務めることになる後藤新平が,1923年9月6日に,閣議に文書を提出する際に記した決意の一部を分かりやすく書き改めたものである。この決意をした時期の東京の様子について述べているのは,次のア~エのうちではどれか。
〇大変災は突如として帝都を震え上がらせた。〇火災に包まれる帝都を目撃し、自分の任務が極めて重要であることを自覚すると同時に,復興の計画を策定することが急務であることを痛感した。〇第一に救護,第二に復旧,第三に復興の方針を執るべきである。ア 新橋・横浜間に鉄道が開通するなど,欧米の文化が取り入れられ始め,現在の銀座通りに洋風れんが造りの2階建ての建物が建設された。イ 我が国の国際的な地位を高めるために,イギリスと同盟を結び,わが国最初の国立図書館である帝国図書館が上野公園内に建設された。ウ 大日本帝国憲法が制定され,近代的な政治制度が整えられ,東京では,都市の整備が進み,我が国最初のエレベーターを備える凌雲閣が浅草に建設された。エ 東京駅が開業し,都市で働くサラリーマンや工場労働者の人口が大きく伸び,バスの車掌やタイピストなど新しい職業に就く女性が増え,丸の内ビルヂング(丸ビル)が建設された。
参照:都教育委員会HP
長い。
学力中下位の受験生は文が長いだけで諦めるだろう。読んで「何を問われているか」と「何が分かっているか」を分別できないから。
まず、いつのことなのかを把握するのだがこれは「1923年9月6日」と書いてある。昭和元年が1926年なので大正末期だということが分かる。
大正末期の様子を見つければいい。
だがこれは難しい。
アは1872年ころ。鉄道は明治初期に開通している。
明治の文豪、夏目漱石の「坊っちゃん」でも松山で鉄道に乗っている描写があるだろう。鉄道は明治時代からあった。よって×。
イの帝国図書館は1897年設置だが、さすがに知らないだろう。私も知らん。
ポイントは「イギリスと同盟」つまり日英同盟である。これは日露戦争の直前、1902年のこと。これは覚えていて欲しい。
1923年とは20年以上も違うので×。
ウは「大日本帝国憲法制定」で気づくだろう。1889年2月11日発布(≒発表)である。だから×。
浅草の凌雲閣は通称「十二階」、こち亀でも出てたからそれで知った私のような者もいよう。なおこの十二階は1923年の関東大震災で崩壊した。
よって残ったエが正解となる。
東京駅開業は1914年。7年前に記念Suicaが発売されたので覚えてる人もいるかな。
なお記載の丸ビルは、今あるもの(新丸ビル)ではない。
◆明治~大正期が怪しい
中学生を見ていると明治後半から昭和初期、大日本帝国憲法制定から日中戦争くらいまでの流れがあいまいな子が多い。
だがこの時代はよく試験で狙われる。飛鳥時代や古墳時代などとくらべ資料が多いため、色んなパターンの問題が作りやすいからだ。
教科書だけでなく、雑学も知っておくと役に立つことが多い。
スマホゲームするくらいならマンガを読む方が万倍いいぞ。
都立に入る! ツイッター 毎日役立つ情報。ミンナニナイショダヨ
コメントを投稿するにはgooブログのログインが必要です。