
一緒に初任研をしている、お二人の先生が最後の授業研究の準備に取りかかっている。
お二人とも取り扱う場面と課題が同じだ。
スーホははねおきて、かけていきました。
見ると、本当に、白馬はそこにいました。
けれど、その体には、矢が何本もつきささり、あせが、たきのようにながれおちています。
白馬は、ひどいきずをうけながら、走って、走って、走りつづけて、大すきなスーホのところへ帰ってきたのです。
スーホは、はを食いしばりながら、白馬にささっている矢をぬきました。
きず口から は、血がふき出しました。
「白馬、ぼくの白馬、しなないでおくれ。」
この文章から勉強していく。
目当ては「どうして、歯を食いしばりながら矢をぬいたのか。」だ
このときの気持ちが分かる文は
「白馬、ぼくの白馬、しなないでおくれ。」
と、なる。
しかし、どうして歯を食いしばったのかが、はっきりした答えが言葉から見つからない。
歯を食いしばる=(苦痛 無念 悔しさ 怒り)を、我慢する。
だが、何を我慢しているのだろう?
これが、何度考えてもよく分からない。
そこで、少し考え方を変えてみた。
歯を食いしばる原因は、その前にある。
T:歯を食いしばりながら矢を抜いた理由を見つけましょう。
「はをくいしばる」「矢をぬく」の一度に両方の理由を見つけるのは難しいので
まず「矢を抜いた理由」の文を探しましょう。
その次に、その文から「歯を食いしばって矢を抜いた」理由を見つけましょう。
T:まず、スーホが矢を抜いた理由の分かる文を見つけましょう。
こう聞いてみたいと思ったのだ。
歯を食いしばる気持ちはよく分からないが、矢を抜いた理由は分かる。
気持ちと、理由を分けて考えてみようと思う。
歯を食いしばる気持ちは分からないが、矢を抜く理由は分かると考えたのだ。
T:まず、スーホが矢を抜いた理由の分かる文を見つけましょう。
S:①と②は最初から違うね。③と④で迷うね。
S:④だよ。ひどい傷だから、治してあげたいんだよ。
S:③だよ。だって、矢がささっていたから抜いたんだよ。
S:矢をぬいた理由だから、矢が刺さってないと抜かないから③だよ。
T:③の文の中から、歯を食いしばって矢をぬく証拠を見つけましょう。
T:もっと細かくしてみましょう。
S:ただささっているだけでなく、突き刺さっている。
S:突き刺さっているから、ぬかないといけないんだね。
突き刺さる=先の鋭い物を何かに勢いよく当てて、その物の内部に入り込むようにする。
T:突き刺さっている絵は、次のどちらでしょう?
S:②だよね。歯を食いしばらないと抜けないぐらい、深く刺さっている。
S:抜いたら、白馬は痛いだろうね。
S:血が噴き出してしまうね。
S:だって、家来たちは「殺してしまえ。」と命令され、一発で死ぬぐらいの強さの矢を放っているよ。
S:だから、ひどい傷なんだね。
S:普通なら、すぐに死んで走れないぐらいの傷なんだ。
矢尻は、簡単に抜けないような構造になっている。
しかも、しっかり深く刺さっている。
家来たちが「い殺してしまえ。」と命令されてはなった矢なのだ。
だから、力を込めて抜かねばならない。
力を込めるためには、歯を食いしばるだろう。
ちっとやそっとの力では抜けない。
また、抜こうと思えば、傷口がさらに広がってしまう。
おそらく、抜かれる白馬も痛がるだろう。
そういう、傷口を見れば、王様に対した怒りや悔しさもわき起こるだろう。
そうした気持ちも、当然歯を食いしばるに込められていくだろう。
歯を食いしばったときの気持ちがどれかは証拠がない。
しかし、こうした事実が分かれば、事実をもとにその気持ちは子どもたちに自由に考えさせてよいと思う。
歯を食いしばって全ての矢を抜くのには、それなりの時間がかかるだろう。
当然、いろいろな思いが重なってくる。
しかし、全て根底の部分は、「助けたい」の言葉につきるのだと思う。
T:どうしてそんな思いまでして抜くの?そのままにしておけばいいのに?
S:そうでもしないと、もっと早く死んでしまう。
S:兄弟みたいに思っているから、絶対に助けたい。
S:いつまでもいっしょだよって約束したから助けたい。
S:こんなにひどいけがを負わせるなんて、王様はひどい。
S:大好きだから帰ってきたのだから、なんとしてでも助けたいと思った。
T:助けたいと思って抜いた結果、どうだった? 助かったの?
S:血が噴き出した。
S:矢は何本も突き刺さっているから、抜くたびに血が噴き出した。
S:矢は深く刺さっているから、血が体の奥の方から出てくる。
S:このままでは、助からないと思った。
T:その証拠の言葉はあるの?
S:「白馬、ぼくの白馬、しなないでおくれ。」
T:この中でも、スーホの気持ちの一番出ている言葉は?
「白馬/、ぼくの白馬、/しなないでおくれ。」
T:この言葉は、何かお願いしているみたいだね。
S:死なないで。
S:いつまでもいっしょだよって約束したじゃない。死なないでよ。
S:また、もとの一人になっちゃうよ。せっかく兄弟ができたと思っていたのに。
S:ぼくの白馬だから、誰ものもでもないよ。死なないでよ。
T:スーホが歯を食いしばりながら矢をぬいた気持ちを詳しくかこう。
・ こんなにひどいけがを負わせるなんて、ひどい王様だ。
・大好きだから、帰ってきた白馬を死なせるわけにはいかない。
・血が吹き出ても、早くこの矢を全部抜いて手当をしてあげたい。
・だって、ずっといっしょだよと約束した、兄弟だもの。
こんな流れの授業ができそうです。
その際、本時の目標は次のようにしたらどうでしょう?
歯を食いしばりながら矢を抜いた理由を「矢が何本もつきささり。」という言葉を根拠に瀕死の重傷を治すためだと読み取ることを通して、それでも兄弟同様の白馬といつまでもいっしょにいるために助けようとするスーホの気持ちが分かり、ノートにまとめることができる。
41回 | 2014年4月12日 | 土 | 9:00 | 12:00 | 天竜壬生ホール | 第2会議室 |
42回 | 2014年5月10日 | 土 | 9:00 | 12:00 | 天竜壬生ホール | 第2会議室 |
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