民主・自民 賛否両論の党内事情で「消えた」TPP是非
民主、自民両党の衆院選公約は、争点となる環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉参加の是非に関して中途半端な表現に終始している。それぞれの党内に賛否両論が渦巻く事情を抱えているためだ。
「守るだけの対象ではなく、伸ばして育てて成長させていただくべき分野だ」、 野田佳彦首相(民主党代表)は1日、北海道函館市で街頭演説し、農林水産業の振興を訴えたが、肝心のTPP交渉参加については触れなかった。農業への影響からTPP反対論が根強い「北の大地」の事情に配慮したようだが、前日の党首討論では「通商国家の要になる。積極的な戦略で行きたい」と交渉参加に意欲を示していただけに、聴衆から「TPPはどうするんだ」とヤジが飛ぶ一幕もあった。
もともと公約にはTPP交渉参加を明記しようとしていた。だが、党内から「明記すれば北海道は選挙で大敗する」と反発が噴出。結局、「TPP」の3文字を削除し、交渉参加についても「政府が判断」との表現に後退した。
TPPをめぐる事情は自民党も似ている。同党は公約で「聖域なき関税撤廃を前提にする限り、交渉参加に反対」と明記し参加の是非は示していない。農業を守る姿勢を示すことで地方票に期待しているためだ。
一方で、安倍晋三総裁は党首討論で「自民党には交渉力がある。聖域なき関税撤廃の条件を変えることができるかどうか」と指摘。交渉参加の可能性を示すことで、TPPに前向きな経済界をつなぎ留めようという狙いだ。
首相は安倍氏の姿勢を「よく分からない」と批判するが民主、自民両党とも農業や医療関係者の支持を受ける議員や候補者を抱え、参加の是非を明言できずにいる。(坂本一之)
●民主・自民 賛否両論の党内事情で「消えた」TPP是非(産経新聞)
TPP第15回交渉始まる 11カ国参加
(時事通信) 2012年12月03日 08時48分
【シドニー時事】米国やオーストラリア、ニュージーランドなど11カ国による環太平洋連携協定(TPP)の第15回拡大交渉会合が3日、12日までの日程で、ニュージーランドのオークランドで始まった。2013年中の妥結を目指し、交渉進展を図る。
今回の会合には、交渉参加が新たに認められたカナダとメキシコの代表も出席。一方、日本は交渉参加に向けた協議入り方針を1年以上前に打ち出しながらも、正式な交渉参加表明には至っていない。その参加の是非は衆院選の争点の一つにもなっている。
[時事通信社]
○TPP、第15回交渉始まる=加、メキシコも参加
ニュージーランドの政党、TPP即時脱退を主張!
政党の実態は不明であるが、このような意見がニュージランドにあるということである。
DSC demands immediate withdrawal from TPPA negotiationsTags:Australia,Brunei,Canada,Chile,China, Democrats for Social Credit, Foreign Affairs, International Trade,Malaysia,New Zealand,News,Peru,Singapore, Trans Pacific Partnership,USA,Vietnam
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Press Release – Democrats for Social Credit
“If you asked for a cup of coffee and were given something that was 17% coffee and 83% bleach, you wouldn’t be very happy,” says John Ring, Foreign Affairs Spokesperson for New Zealand Democrats for Social Credit.DSC demands immediate withdrawal from TPPA negotiations “If you asked for a cup of coffee and were given something that was 17% coffee and 83% bleach, you wouldn’t be very happy,” says John Ring, Foreign Affairs Spokesperson for New Zealand Democrats for Social Credit. “If the proposed Trans-Pacific Partnership Agreement is adopted, that’s how people will feel.”
The 15th round of negotiations on the Trans-Pacific Partnership Agreement betweenNewZealand,Australia,Malaysia,Vietnam,Singapore,Brunei,Peru,Mexico, theUSA,Canada, andChiletakes place inAucklandon 3 – 12 December.
“It has been promoted as a trade agreement, but it has 29 chapters, only five of which relate to trade,” he said. “We should imitateBraziland refuse to sign things that purport to be trade deals but contain things not relevant to trade.”
“It has also been claimed to be a bulwark against China but would have the opposite effect. In recent decades average incomes in theUSAhave fallen, and the agreement would force its signatories to make similar mistakes.
“Among other things it will enable disputes between foreign companies and the government to be judged by corrupt ad hoc tribunals with part – time judges who are lawyers in other cases. Potentially lawyers could do deals with judges, offering to rule in their favour when roles are reversed.
“There are blatant conflicts of interest. In one case one of the judges was on the board of a company that owned shares in the complainant.
“There are also built in perverse financial incentives for the courts to perform badly.
“The longer a case lasts, the more the lawyers and the judges get paid, so they drag on, and are very expensive. Average legal fees are $US 8 million per case, but can go well above $US30 million, so they are no help to small businesses or most farmers.
“Furthermore, if a lot of companies win cases against governments, companies will be more likely to sue governments as they have a better chance of winning. This would create more business for the law firms that provide the judges and lawyers, so there is an incentive for them to rule in favour of complainants.
“New Zealand should withdraw from the negotiations immediately,” said Mr Ring.
ENDS
(仮訳)
2012年12月 2日 (日)
ニュージーランド社会信用民主党、TPPA交渉からの即時離脱を要求2012年12月2日
報道発表 社会信用民主党
“もしコーヒーを一杯注文して、コーヒーは17%で、漂白剤が83%という代物を出されたら決して嬉しくは無いでしょう”と、ニュージーランド社会信用民主党の外務担当スポークスマンのジョン・リングは語っている。DSCはTPP交渉からの即時離脱を要求している。
“もしコーヒーを一杯注文して、コーヒーは17%で、漂白剤が83%という代物を出されたら、決して嬉しくなど無いでしょう”と、ニュージーランド社会信用民主党の外務担当スポークスマンのジョン・リングは語っている。“もし提案されている環太平洋戦略的経済連携協定が採択されれば、国民はそう感じるはずです。”
ニュージーランド、オーストラリア、マレーシア、ベトナム、シンガポール、ブルネイ、ペルー、メキシコ、アメリカ、カナダとチリの間の環太平洋戦略的経済連携協定の第15回目交渉が、12月3日から12日にかけて、オークランドで行われる。
“通商協定として売り込まれていますが、29章のうち貿易に関連しているのはわずか5章だけです”と彼は言う。“我々もブラジルに習って、通商協定だと主張しながらも、貿易に関係ないことを含んでいるもの等には署名することを拒否すべきです。”
“中国に対する防壁だとも言われていますが逆効果になるでしょう。ここ数十年アメリカの平均所得は低下しており、協定は加盟諸国にも同様な失敗をする ことを強いるでしょう。”
“とりわけ、この協定は、外国企業と政府との間の紛争が、他の裁判では弁護士をしている連中が非常勤裁判官をつとめる腐敗した臨時法廷によって裁判されることを可能にします。役割が逆になった時は、彼らが勝訴の判決をすると言って弁護士連中が裁判官と取引をする可能性があるのです。”
“あからさまな利害の対立があります。ある裁判では、裁判官の一人は原告の株を所有する企業の取締役会のメンバーでした。”
“裁判所に不当な役割を果たさせるような、道義に反する金銭的誘因まで組み込まれているのです。”
“裁判が長引けば長引くほど、弁護士も裁判官達も所得が増えるので、裁判は延々と続き、非常に高くつきます。裁判一件の平均裁判費用は800万ドルですが、3000万ドルを軽く越える可能性もありますから、裁判は小企業や大半の農民には全く役にたちません。”
“しかも、もし多数の企業が裁判で政府に勝てば、勝てる可能性が高いというので、企業が政府を訴える可能性が高まります。これで裁判官や弁護士を供給する法律事務所にとって仕事が増えますから、彼らが大企業勝訴の判決を下す誘因があるわけです。”
“ニュージーランドは交渉から即座に撤退すべきです”とリング氏は語っている。
(1年前オーストラリアで問題になった「秘密主義」)
TPP交渉の問題は・・・秘密主義!
2011年10月23日 Saidani
アメリカ主導のTPP(環太平洋経済連携協定)にまつわる問題の1つは、交渉参加国間の申し合わせにより、何から何まで秘密であることだ。加盟諸国の議員でさえ、どうなっているのか分からないのだ。下記の記事は、この秘密主義を警戒するオーストラリア諸団体の懸念について書かれている。
(2011年)10月19日、ペルー・リマでアメリカ、オーストラリア、他7カ国間によるTPPの第9回交渉会合が始まる。25を超えるオーストラリアの地域団体は、オーストラリア労働組合評議会(ACTU)、7つの全国組合、カトリック教会社会正義協議会、オーストラリア保護基金、公衆衛生協会、年金受給者団体などが含まれているが、政府に協定草案の文面を公表するよう求めている。また、交渉が妥結してから4年間、交渉時の記録文書の閲覧を禁じたと言われる文書も公開するよう要求している。
「公正な貿易と投資のためのオーストラリア・ネットワーク」(AFTINET)で活動するハーヴェイ・パース氏は14日、「こういった交渉によって、2004年の米豪自由貿易協定で激しく議論された問題の多くがまた引き起こされている」と指摘した。
さらに次のように説明した。「アメリカの製薬会社は医薬品にもっと高い価格を付けられるように、知的所有権や医薬品給付制度(オーストラリアの制度)をもっと変えたいと考えている。農業関連企業は、遺伝子組み換え(GE)食品の表示を廃止したいと思っている。メディア企業やサービス企業は、メディアや政府調達におけるローカルコンテンツ規則を緩和したいのだ。こういったことは健康・社会・文化政策であり、民主的な議会手続きを経て決定されるべきことで、貿易交渉で密かに署名して片付けてしまうことではない」
「民主主義の本質は、政府が何をしようとしているのかを知り、議会手続きを通じて政策や法律を議論する国民の権利にある。だがこういった交渉は秘密裏に行われている」
「交渉の秘密保持条項に関する文書自体も公開すべきでない、というのも受け入れられない。だから我々は文書の公開を要求しているのだ」
「TPPの第8回交渉会合はひそかに開催され、現在は草案の文面が議論されている。透明性を高めると交渉を台無しにするという主張を我々は認めない。貿易交渉の文書を公開した前例には、世界貿易機関(WTO)に加盟する153カ国や、模倣品・海賊版拡散防止条約(ACTA)などがある」
「我々はオーストラリア政府に対し、TPP交渉の秘密保持に関する文書の公開と、署名前に国民や議会で議論するため、草案の公開を支持するよう求めている」とパース氏は締めくくった。
(1年前、参加9カ国が輪郭を発表した)
TPPの輸郭
2011年11月12日、TPP参加9か国━オーストラリア、ブルネイ、チリ、マレーシア、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、ベトナム、アメリ力合衆国━の首脳は、TPP参加国聞の貿易と投資を拡大し,イノベーション、経済成長及び開発を促進し、並びに、雇用の創出及び維持を後押しする、野心的で21世紀型のTPPの大まかな輸郭を達成したことを発表した。
協定の大まかな骨格は以下のとおり。
重要な特徴
TPPの大まかな輸郭の合意に関する首脳への報告の中で、貿易担当閣僚は、TPPの5つの特徴を特定した。これらの特徴により、TPPは、世界の経済においてTPP参加国が競争カを高めていくために、グローバルな貿易の新しい基率を設立し,次世代の課題を包含する、画期的で21世紀型の貿易協定となる。
○包括的な市場アクセス: 我々の労働者とビジネスにとっての新しい機会及び我々の消費者にとっての即時の利益を創出するために、関税並びに物品・サービスの貿易及び投資に対するその他の障壁を撤廃する。
○地域全般にまたがる協定: TPP参加国の雇用創出、生活氷準の向上、福社の改善、持続可能な成長を促進するという目標を支緩するために、TPP参加国間の生産とサプライチェーンの発展を促進する。
○分野横断的な貿易課題: TPPに4つの新しい分野横断的な課題を取り込むことでAPEC及び他のフォーラムで行われる作業を発展させる。この4つの課題は、以下の通りである。
一規制制度間の整合性: 参加国間の貿易をより継ぎ目のない効率的なものとすることで、これら国々の間の貿易を促進する。
一競争力及びビジネス円滑化: 地域的な生産とサブライチェーンの発展等を通じて、各TPP参加国経済の国内及び地域の競争力を強化し、地域の経済統合と雇用を促進する。
・中小企業: 中小企業による国際的な取引を促進しつつ、中小企業が貿易協定を理解し、利用するに当たっての困難に取り組む。
・開発: 包括的で強固な市場自由化、貿易と投資を拡大するような規律強化、及びその他の約束(全てのTPP参加国が協定を効果的に履行し利益を完全に享受するためのメカニズムを含む)により、経済開発とガバナンスにとって重要な制度が強化され、これによって各TPP参加国の経済発展上の優先課題が前進する。
○新たな貿易課題: デジタル経済やグリーン・テクノロジーに関連するものを含む革新的な製品及びサービスの貿易及び投資を促進し,TPP地域を通じた競争的なビジネス環境を確保する。
○「生きている」協定: 将来生じる貿易の課題及び新規参加国に伴う協定の拡大から生じる新しい課題に対応するために、協定の適切な更新を可能とする。
範 囲
・協定は、全ての重要な貿易及び貿易関連分野をカバーする「シングル・アンダーテイキング」として交渉が行われている。これまでの自由貿易協定がカバーする課題への従来のアプローチを新しくすることに加え、TPPは新たな貿易課題及び分野横断的な課題を含む。
・協定の条文及び特定の市場アクセスの約束(TPP参加国が相互の物品、サービス、政府調達にそれぞれの市場を開放するための約束)を策定するために、9回の包括的な交渉会合において、20以上の交渉グループが会合を行った。
・また9か国全ては、協定の利益と義務が完全に共有されるように、高い基準を採用することに合意した。また、9か国は、貿易に関する能力の構築、技術支援、及び自由化約束の適切な段階的実施等を通じ、途上国メンバーが直面するセンシティビティ及び特有の課題に適切に対応する必要性に合意した。
・新しくかつ分野横断的な一連の約束により、コストが削滅され、TPPメンバー間のより継ぎ目のない貿易の流れと貿易ネットワークの構築が可能となり、国際貿易への中小企業の参加が促され、経済成長と高い生活水準が促進される。
・交渉チームは、伝統的なFTAの章において分野横断的な課題について新しい約束を提案したのに加え、上記課題に対応するため、独立した別個の約束の合意に向けてかなりの進展を達成した。
条 文 案
交渉グループは事案上全てのグループにおいて統合条文案を作成した。いくつかの分野においては、条文案はほとんど完成しており、他の分野においては、特定の問題についての条文案を仕上げるために更なる作業を必要としている。条文案には、相違点が残っている部分を示すために括弧が付されている。
条文案はTPP参加国間の取引関係のあらゆる面をカバーしている。以下に示すのが現在交渉中の課題と進捗状況の要点である。
○競争:
競争分野の条文案は競争的なビジネス環境を促進し、消費者を保護し、TPP参加国の企業に公平な競争の場を確保する。交渉担当者は条文案について大きな前進をとげた。その条文案には、競争法及び競争当局の設置と維持、競争法の執行における手続的公平性、透明性、消費者保護、私的訴権及び技技術協力に関する約束が含まれている。
○協力及び貿易に関する能力の構簗:
TPP参加国は,交渉期間中及び合意後に、協定を実施し活用するTPP参加国の能力を向上させるため、貿易に関する能カの構築及び他の形態による協力が極めて重要であることで一致している。TPP参加国は,TPP参加国間で追求することに合意した高い水準を途上国が満たすに当たっての持定の二一ズに対応することを支援する上で、能カ構築のための活動が効果的な方策であることを認識する。この精神に基づき、特定の要請に応える形で、いくつかの協力及び能力構築の活動がすでに実施され、途上国がTPPの目標を蓬成することを支援する更なる活動が計画されている。TPP参加国は、TPPの実施後、協力及び能力及び能力構築支媛を効果的に促進するため、需要主導で柔軟な制度上のメカニズムを構築する特定の条文案についても議論している。
○越境サービス:
TPP参加国は、越境サービスの条文案について核となる要素のほとんどについて合意した。この合意は、公共の利益のために政府が規制する権利を維持しつつ、電子的に提供されるサービスや中小企業によるサービスを含む、サービス貿易について公正で開放的な透明性のある市場を確保するための基礎となる。
○税関:
TPPの交渉担当者は、税関に関する条文案の重要な要素、及び予見可能でかつ透明性があり、貿易を迅速化し促進する税関手続を設けることが非常に重要であることについて合意に達した。この合意は、TPP参加国の企業を地域の生産及びサプライチェーンに繋げる上で役立つものである。条文案は、税関当局の関税法令及び規則を厳格に執行する能力を維持する一方で、物品が税関の管理下からできるだけ早く引き取られるようにするものである。更に、TPP参加国は、協定及び他の税関に関する事項が効果的に実施及び運用されるように税関当局間の緊密な協カの重要性に合意した。
○電子商取引:
電子商取引の条文案は、この取引手段を活用している消費者及びビジネスの双方にとっての障害に取り組むことによって、デジタル経済の司'能性を拡大する。デジタル環境の下での関税への取組みに関する条項、電子的な取引における認証及び消費者保護を含め交渉に進展があった。情報の流通及びデジタル製品の扱いについての追加的提案が議論されている。
○環境:
環境に関する意昧のある成果により、この協定は、貿易と環境に関する重要な課題に適切に取り組み、貿易と環境の相互補助を向上させるものとなる。TPP参加国は、環境に関する条文案が、環境保護の強化に資する貿易関連課題について効果的な規定を含むものであるべきという考え方を共有し、また、協定の実施を監督する効果的な制度的枠組と能力構築のための協力枠組について議論している。さらに、参加国は、海洋漁業、その他の環境保全についての課題、生物多様牲、特定外来生物、気候変動、環境物品・サービス等の新たな課題に関する提案についても議論している。
○金.融サービス:
金融機関への投資及び国境を越える金融サービスの貿易に関連する条文案により、透明性、無差別性、新しい金融サービスの公正な扱い、投資保護及びこれらの保護のための効果的な紛争解決救済措置が改善される。これらの約束により、市場開放の機会がつくられ、金駿商品を扱うビジネス界と消費者が恩恵を得ると同時に、金融当局が、金融危機の際を含め、金融市場の統合性と安定を確俣するために行動をとる権利が保護される。
○政府調達:
政府調達章の条文案により、この章の適用対象の調達は、公正、透明かつ無差別な方法で行われるようになる。TPPの交渉担当者は、この章の適用対象である調達の基本的な原則及び手続について合意し、さらに特定の義務を策定している。TPP参加国は、経過的な措置の使用を通じて、途上国の調達市場の開放を促進する必要性を認識しつつ、全ての参加国による同等の調達の対象範囲を目指している。
○知的財産:
TPP参加国は、参加国間における知的財産権に対する効果的でバランスの取れたアプローチを確保するために、既存の「知的所有権の貿易関連の側面に関するWTO協定」(TRIPS協定)上の権利・義務を強化及び発展させることで合意した。商標、地理釣表示、著作権と関連する権利、特許、営業秘密、一定の規制製品の承認に必要なデータ、知的財産の執行、遺伝資源と伝統的知識を含む、多くの形態の知的財産に関する提案が議論されている。
TPP参加国は、「TR1PS協定と公衆衛生に関するドーハ宣言」についての共有された約束を条文案に反映することに合意した。
○投資:
投資に関する条文案により、各TPP参加国の投資家及び投資財産に対しては、その他のTPP参加国における実質的な法的保護が与えられる。それには、無差別、待遇に関する最低基準、収用に関する規則、及び貿易と投資を歪曲する特定措置の履行要求の禁止を確保するための規定に関する現在継続中の交渉が含まれる。投資に関する条文案は、適切なセーフガードの下で、迅速、公正、かつ透明性のある投資家対国家の紛争解決に関する条項を含むものであり、その適用範囲については議論が続いている。投資に関する条文案は、公共の利益のために規制を行うTPP参加国の権利を保護する。
○労働:
TPP参加国は労働章に盛り込むべき要素について議論している。これら要素としては、労働者の権利保護、及び労働に関する相互の関心事項についての協力、強調、対話を確保するためのメカニズムについての約束が含まれる。TPP参加国は、労働者が21世紀に直面している課題に対応する上で、協調することが重要であることで意見が一致している。この協調は、労衝者の福利厚生や雇用可能性を高め、人的資源開発やハイ・パフォーマンスな職場を促進する職場の憤行に関する二国間及び地域釣な協カを通じて行われる。
○法律的事項:
TPP参加国は、紛争解決のための明確で効果的なルールを含め、協定運用に関する規定の交渉で大きく前進し、これら手続に関するいくつかの個別問題について議論している。また、TPP参加国は協定上の義務に対する例外や、法律、規則その他ルールの策定過程の透明性に関する規律についても交渉を進めた。さらに、特定分野における良い統治(good governance)や手続の公正にする提案についても議論している。
○物品市場アクセス:
TPP参加国は、TPP参加国が相互に与える市場アクセスが野心的で、バランスがとれており、透明なものとなるように、すべてのTPP参加国に適用される物品貿易に関する原則と義務を設けることに合意した。物品貿易に関する条文案では、協定参加国がWTO協定上負っている義務を上回る重要な約束を含む参加国間の関税撤廃、及び貿易障壁となりうる非関税措置の撤廃も扱われている。TPP参加国は、輸出入ライセンスや再生品に関する提案も検討している。農産品の輸出競争や食料安全保障に関する規定も議論されている。
○原産地規則:
TPP参加国は、産品がTPP地域で原産されたものであるか否かを決定するための共通の原産地規則の策定を追求することに合会した。また、交渉参加国はTPPの原産地規則を客観性、透明性、予見可能性を備えたものとすることに合意したほか、産品の原産性を申告する上で(TPPの)自由貿易地域内で産出された材料を使用又は「累積」または使用出来るようにするアプローチについても議論している。さらに、TPP参加国は、シンプルで効率的かつ効果的な特恵申告の確認制度に関する提案について議論している。
○SPS(衛生植物検疫):
動植物の健康及び食品安全を強化し、TPP参加国間の貿易を促進するため、9か国はWTO・SPS協定の現行の権利及び義務を強化し、発展させることに合意した。SPSの条文案には科学、透明性、地域主義、協力及び同等性に関する一連の新たな約束が含まれるであろう。加えて、交渉担当者は、輸入検査や確認を含む一連の新たな二国間及び多国間の協力に関する提案を検討することに合意した。
○TBT(貿易の技術的障'害):
TBTの条文案は、WTO・TBT協定の現行の権利及び義務を強化し、発展させるもので、これによりTPP参加国間の貿易が促進され、また、規制当局が健康、安全及び環境を保護し、その他の正当な政策目的を達威することを助けるであろう。TBTの条文案には遵守期間、適合性評価手続き、国際規格、制度的メカニズム及び透明性に関する約束が含まれることとなる。TPP参加国は、また、適合性評価手続に関する規律、'規制に関する協力、貿易円滑化、透明性及びその他の問題や、特定分野を対象とする提案についても議論している。
○電気通信:
電気通信の条文案により、TPP参加国の市場において、電気通信サービス提供者は競争的なアクセスを得るようになり、これによって消費者に利益がもたらされ、TPP参加国の市場のビジネス競争力が強化される。TPP参加国は、相互接続や物理的な設備へのアクセスを通じて電気通信サービス提供者に対し合理的なネットワーク・アクセスを与えることが必要という幅広い合意に加え、規制プロセスの透明性の強化や、不服申立ての権利を確保する広い範圏の規定についてほぼ合意しつつある。さらに、技術の選択や高価な国際携帯ローミング料金への?対応に関する提案も出されている。
○一時的入国:
TPP参加国は一時的入国に関する章の中の一般規定について実質的に合意した。これら一般規定は、一時的入国に関する申請の処理の透明性と効率性を向上させ、また、これまでのTPP参加国当局間の技術協力を更に促進するものである。商用関係者の個別カテゴリーに関する特定の義務については、議論が行われている。
○繊維・衣斜品:
繊維・衣料品に関する市場アクセスに加え、TPP参加国は税関間協力、法執行手続、原産地規則及び特別セーフガードなど、様々な関連規律について議諭を行っている。
○貿易救済:
TPP参加国は、WTO協定上の権利と義務を確認することに合意し、透明性や適正手続き(due process)の分野で既存の権利・義務を発展させた義務等についての新提案の検討も行っている。また、暫定的な地域セーフガード・メカニズムに関する提案も出されている。
関税スケジュール((譲許表)及びその他の市場開放パッケージ
・TPPの関税譲許表は約11.000のタリフラインのすべての物品をカバーする。9か国はTPP共通の原産地規則を作成中であり、これをいかに最も効果的かつシンプルに作成すべきか現在様々な提案を比較検討しているところである。
・サービス及び投資に関するパッケージは、すべてのサービス分野をカバーすることになる。
9カ国が追求する高水準の成果を確保するため、TPP参加国は「ネガティブ・リスト」方式を基礎とする交渉を行っている。これはサービス貿易を包括的にカバーすることを前提としつつも、特定サービス分野の約束に関する特定の例外について交渉することを可能とするものである。
・政府調達分野では、相互のセンシティ
ビティを認識しつつ、TPP参加国相互の政府調達市場へのアクセスを最大にするように、対象範囲の拡大を追求しながら、各国間でパッケ―ジの交渉が行われている。
次のステップ
TPP参加9か国の首脳は、12月の初めに交渉担当者が会合を開き、その際に追加的な交渉会合の日程を調整するよう指示した。 (了)
(参照) TPP協定において慎重な検討を要する事項、外務省の見解
TPP交渉の問題点、交渉の秘密性
TPPは貿易額のわずかな増加が見込まれるが、日本の“開国”によって米国企業が得る利益のほうが圧倒的に多い。野田政権が設けた国家戦略会議に参加した緒方貞子、岩田一政、米倉弘昌、長谷川閑史、連合の古賀伸明や日銀の白川方明総裁は、どれも日本のTPP参加に賛成するグローバル主義者かTPP参加によって個人的に利益を得る立場の人物である。日米の外交交渉では、原子力行政、沖縄の米軍基地移転交渉など秘密のベールに包まれたものがいくつもある。こうした過去の取引は米国には有益であっても、国民の生活に悪影響をもたらした。
TPP協定に参加することによって国内法の改正が求められ改正した場合、ラチエット方式になっているので、制度変更の不備が見つかっても元に戻すことは出来ない。TPPは日本の社会に及ぼす影響がきわめて大きい。
衆議院選挙で当選する政治家、新たに誕生する政権は、米国に媚びるあまり、密かに国家を売り渡してはならない。秘密性の高いTPP交渉にTPP参加賛成の人物だけで臨むと、国民は日本が法的に拘束され、もう抜け出せないという状況になってようやく、TPP協定の中身を知ることになる。交渉参加を決定する前に、国会でTPP交渉の秘密主義の問題、判明しているTPP交渉の実態及び社会にもたらす影響についても十分に議論する必要がある。
日本にとってのメリットがはっきりしていないにもかかわらず、TPPに賛成する議員は、参加に向かってコミットしているその動機は何なのか、それを知りたい。
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