【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

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インボイスの抜け道はありません

2022-11-03 11:45:00 | 消費税
インボイスの抜け道、「インボイスが必要とされる取引」において「インボイスを発行することができない免税事業者」が消費税を受け取る方法はありません。しかし、得意先が次のような特定の状況にある場合には、免税事業者であっても消費税を受け取ることは可能です。なぜならば、「インボイスが不要」だからです。

インボイス制度導入後は、適格請求書発行事業者の登録をした事業者でなければその請求書に消費税額を記載することができません(この請求書をインボイスといいます)。免税事業者も適格請求書発行事業者の登録を受けることができますが、登録をすると免税事業者でなくなってしまいます。

◆得意先が免税事業者(売上が1000万円以下)

得意先の売上が1000万円以下で消費税の免税事業者であれば、制度導入前と同じ様式の請求書(適格請求書発行事業者の登録番号が記載されていない)であっても得意先に不都合は生じません。インボイスは消費税の申告に際しての仕入税額控除の計算に必要であることから、消費税の申告が不要な免税事業者はインボイスを入手する必要はないからです。

しかし、インボイス制度導入後、ほとんどの免税事業者は適格請求書発行事業者の登録をして消費税の申告納税をするようになります(課税事業者になります)。ですから、免税事業者の得意先は激減します。制度導入後も免税事業者のままでいるのは、インボイスを発行する必要がない(顧客が一般個人である)小売店、飲食店、各種教室、美容院などに限定されます。

◆得意先が免税事業者(非課税の事業のみをしている)

得意先が「消費税は非課税」の事業のみをしていることから消費税の免税事業者である場合もインボイスは不要です。その典型は住宅貸付です。

◆得意先が簡易課税を適用している

得意先が消費税の課税事業者であっても、簡易課税を適用して申告をしている場合にはインボイスは不要です。簡易課税においては仕入税額控除をインボイスから計算するのではなく、売上に対する一定割合でみなし計算をするからです。

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★得意先が「免税事業者である」「簡易課税で申告をしている」ことを知ることはできない

自身が「免税事業者である」「簡易課税で申告をしている」ことを取引先に明かす事業者はまずはいないと思います(当然義務はありません)。ですから、インボイス制度導入後は、免税事業者はすべての得意先に対して請求書に消費税を記載しないという方法に統一しなければなりません。

★得意先が無知

ありうるかもしれませんね(笑)。現時点におけるインボイス制度に対する認知度からすれば、来年10月1日になってもインボイスに無知な事業者は相当数いることが考えられます。

しかし、後になってからインボイスを要求されることも考えられますので、得意先がインボイスを要求しないからといっても油断は禁物です。

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