【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
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税込で請求するのでインボイスは不要?

2022-10-15 18:31:00 | 消費税
「税込で請求するのでインボイスは不要」
「だから、適格請求書発行事業者の登録はしない」

このように考える免税事業者がいます。

◆今までも税込でインボイス制度導入後も税込

このような事業者はインボイス制度導入の前後で次のように請求方法が変化します。

制度導入前の請求額・・・110(内消費税10、ただしこれを明らかにしない)
制度導入後・・・100(消費税相当額は請求できない)

◆今までは消費税別でインボイス制度導入後は税込で請求する

制度導入前の請求額・・・100+10(消費税)
制度導入後・・・100(消費税相当額は請求できない)

このようになります。

◆仕入税額控除とは

消費税の課税事業者は、販売の際に受け取った消費税から、仕入や諸経費の支払いに際して支払った消費税を差し引いて税務署に納税しなければなりません。この支払った消費税を差し引くことを仕入税額控除といいます。

インボイス制度導入後はインボイスのない支払いについては仕入税額控除ができなくなります。消費税の免税事業者はインボイスを発行できませんので、課税事業者が免税事業者に対して「消費税相当額」を支払ったとしてもその消費税相当額を仕入税額控除することができなくなります。インボイス制度導入前よりもその消費税相当額の「負担が増える」のです。

制度導入前・・・110(内消費税10、ただしこれは明らかでない)

制度導入前はこれでも10の仕入税額控除ができました。

制度導入後・・・100

仕入税額控除ができませんので支払いを10減額するしかありません。

◆免税事業者は消費税相当額の値引きに応じるしかない

インボイス制度導入後、課税事業者は免税事業者に対して消費税相当額の値引きを要求してきます。免税事業者はこれに応じるしかありません。応じたくない場合には、インボイスが発行できる適格請求書発行事業者の登録をするしかありません。そして、課税事業者になって消費税を納税するしかないのです。

◆インボイス制度は免税事業者を排除することになる

免税事業者が消費税を受け取りながら消費税を納税しないという「益税問題」はわが国の消費税制度の重大な欠陥でした。インボイス制度がこれを是正する契機になるのは事実です。「是正」ですので、免税事業者は被害者意識を持ってはいけません。

「消費税を受け取って納税する」
「消費税は受け取らない」

今、免税事業者は決断を迫られているのです。

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