gallery:橋梁カテゴリでは旅行中に見てきた色々な橋梁を取り上げてみようと思います。
主に鉄道橋がメインですが、人道橋や道路橋も登場するかもしれません
まず最初は北海道上士幌町にある糠平湖のタウシュベツ川橋梁。通称タウシュベツ橋
旧国鉄士幌線で使用されていた橋梁になります。昨年のGWに訪問しました。
現在、橋の近くまで続く林道は許可なく立ち入ることが出来ません。
そこでNPO法人のひがし大雪自然ガイドツアーに申し込んで見学してきました。
水が少ないこの時期は湖の手前で車をとめ、橋の近くまで歩いて向かいます。
無数にある切り株はこの地をダムとして使用するため伐採した木々の名残。
何十年も橋と共に浮き沈みを繰り返してきた存在であります。
橋の袂までやってきました。雪解け水の水溜まりがあったので少しばかり水鏡を
アーチの裏側を見ることが出来るのはこの時期ならではです。
近くで見ると劣化具合がよくわかります。表面のコンクリートは殆ど剥がれていました。
当時のコンクリは粗骨材の割合が多く、鉄筋の強度も弱いことから劣化の進行が早いようです。
国鉄士幌線の開通に際し、タウシュベツ川に架けられたこの橋は1955年(昭和30年)の糠平ダム建設に伴い迂回路が作られ廃区間となります。しかし橋自体は撤去されることなくダムの中に沈むことになりました。
つまり鉄道が現役の頃は山中の川を渡る橋だったので、この拓けた景色の中を車両が走ることはなかった訳です。その士幌線自体も1987年(昭和62年)に廃線になっています。
老朽化を速めているもう一つの原因が繰り返される水没と凍結にあります。
毎年秋から冬にかけて湖の水位が上昇し橋全体が水没します。そして冬場に氷が張った状態で水位が低下すると橋は氷を突き破って姿を出すことになます。このとき表面のコンクリートが削られてしまうのです。
北海道遺産に認定されていますが、ダムの中にあるため保存が難しく自然に朽ちていくのを見届けるしかないそうです。見学したい方は早めに行かれることをお薦めします。
岸上に登り対岸を眺めてみます。橋から続く築堤が士幌線の旧ルートでしょうか
例年だと夏頃には橋まで水が来るそうで、メガネ橋になった姿も見てみたいと思います。
帰りは廃線跡の森を抜けて車に戻りました。
所どころにある流木は何年も前にダムの水が冠水した際に運んできたそうです。
タウシュベツ川橋梁以外にも旧国鉄士幌線コンクリートアーチ橋梁群としていくつかのアーチ橋が残されています。こちらもまた見に行きたいと思います。