エッセイ ルリ
ルリが死んで3年たった。
シーズーという小型の犬種で、15年生きた。
私は最初、犬を飼うのは乗り気ではなかったが、二人の男の子が、時々、大声で怒鳴りあったりする。
殺伐とした空気になるのが気になっていた。
犬でも飼ったら少しは違うかも知れないと思ったが、どんな風に犬と付き合っていいのか漠然としていたので、近くの獣医さんに聞いてみた。
最近シーズー犬が人気で、抱っこしても、関節が割りと丈夫だし、騒がしくないし、おりこうですよと教えてくれた。
シーズ犬というのが分からなかったので、図書館に行き、小型犬の本を何冊か見た。
そこに、もこもこの毛で、目が隠れたシーズーの可愛い写真を見て、心は決まった。
子供達に話すと喜んだ。特に小学生の二男は、「直ぐに迎えに行きたい」とニコニコ顔で催促をした。
ルリが来てから、私達の生活は充実した。
話題の始まりは、大体、「ルリがね」だった。
朝は「ルリ、行ってきます」と誰かが言い、玄関で「ただいま」の声がすると、こんな嬉しい事は無いといわんばかりの姿で迎えて、家族のみんなを喜ばせた。
死ぬ前の年、こたつの端から歩き始めて、突然、ドタンと倒れた。
始めて見る姿にびっくりして抱き上げたが、しばらく固まった後に、フッと目を開けた。
その頃から、確実に老いてきた。
耳は大分前から遠くなってはいたが、よく襖にぶつかった。
「どう~したの」と、ドジをした仕草をからかっていたが、本当は目が見えなくなっていたのだ。
そして、随分我が儘になった。
あんなに楽しみにしていた散歩は嫌、嫌いなものは食べない、抱き上げると迷惑そう、ころころ転がっていた、気のいいルリでは無くなった。
体がきつかったのだろう。
だけど、その世話をする事はちっとも嫌ではなかった。
縁あって家族になった私達に、最後の我が儘をして困らせ、未練を残さないようにとも、今は思えてくる。
課題 【有縁・無縁】 2011・6・24
つつじのつぶやき・・・6年前の作品です。
6月23日が命日、 紫陽花の花が咲く頃になると思い出します。
最期の晩、一緒にささやきあいました。彼の体をさすりながら。私の言葉に最後まで、クークーとかすかな声で答えてくれました。半分体が冷たく硬くなっているのに。一週間泣き暮らしました。でも、5月連休が始まるまで待っていてくれたのです。・・・13年前のこと。
う~ん、コメントを読ませていただき涙がポロリの心境です。
エッセイに登場しましょうよ。
やはり、子どもたちがさびしいだろうと思い、家族になりました。家族が帰って来ると、それはそれは大変な出迎えで感激したものです。
きっと、日中誰もいないところで寂しい思いをしていたに違いありません。
亡くなる 最期の晩、一緒にささやきあいました。彼の体をさすりながら。私の言葉に最後まで、クークーとかすかな声で答えてくれました。半分体が冷たく硬くなっているのに。一週間泣き暮らしました。でも、5月連休が始まるまで待っていてくれたのです。・・・13年前のこと。