エッセイ 落葉 課題 【明るい・暗い】 2011・9・30
つつじのつぶやき・・・ 9月、台風や長雨のニュースに、2011年に書いたエッセイを思い出します。
今も気持ちは変わりません。大事にならないことを祈っています。
台風12号で、和歌山県地方の山が土砂崩れに見舞われた。
河川に堰き止められ水が一度に流れる心配があり、下流では避難する騒ぎになった。
ニュース画面では、大きく山肌をえぐり取られた上に、沢山の木が投げ出されている。
余りはっきりしたことは分からないが、杉かヒノキのように見えるがどうなのだろうか。
手入れはされていたのだろうか。
私はかねがね、こういう林を疑問に思っていた。
と言うのは、里山歩きをしている狭山丘陵などでも、時々無残な杉林に出会うことがある。
密集して植えられた木が倒れ、その下の土がえぐり取られ赤土がむき出しになっている。
枝打ちや間引きされない杉やヒノキなどの常緑樹は、葉も落とさないので保水性がなく、日が差さない林は、暗くてじめじめし、小鳥の声もしない。
だが丘陵は、そんな林はほんの少し。
ほとんどは楢やクヌギの雑木林が、季節の変化を見せて楽しい山道が多い。
芽吹きの初々しさは春を、夏は太陽を遮る深い緑、秋には黄色に染まった木を見上げ、思わず声をかけたくなる木々。
冬になると、葉を落とした林の中は、柔らかい日差しがさし込んで明るい。
木枯らしが吹くような時でも、足元の落ち葉は暖かく、小鳥や小動物、虫たちの寝床にもなるという。
その落ち葉は木々を育み、ドングリなどの木の実が、いきものの食べ物になる。
四季の繰り返しの中で、保水性のある落ち葉は、雨水を地中深く溜める役目をし、きれいな湧水で川を作る。
戦後の木材需要で杉やヒノキが多く植えられたが、最近は輸入木材におされコストの面から放っておかれているという。
もう必要のない杉林などの植林を控えて、自然の森に戻す。
明るい森で、いきものや植物たちと棲み分ける時が来たのだと思う。
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