1946年に当用漢字が制定され、その際、従来の字体が簡略化された漢字もある(簡略化された字体を新字体、簡略化される前の字体を旧字体と呼ぶ)。
1981年、当用漢字を改め常用漢字が制定され、新たに追加されたは当用漢字に準じて字体の簡略化が行われた。
しかし、2010年の常用漢字の改訂では、1981年の時と違って追加された漢字の字体の簡略化を積極的に行わず、旧字体のまま残されたものが少なくない。実際の使用状況を重視したためである。
例えば下記の字。
籠
常用漢字の読み:ロウ、かご、こ-もる
上記の字はもともと略字として「篭」も使われていた(表外字だが慣用的に使われる新字体に準じた字体は「拡張新字体」と呼ばれる)が、常用漢字の字体として「篭」は採用されず「籠」が採用された。
例として「襲」という字があるから「龍」を「竜」に置き換えるとは限らないのだという理屈があげられることもあるが、「襲」は当用漢字にあったが「龍」は当用漢字になく常用漢字で追加され新字体を「竜」とした。それと同時に「瀧」も当用漢字になかったが常用漢字で追加され新字体は「滝」となった。そう考えると「『襲』の例があるから」というのはあまり理由にならないと思う。
「籠」と「篭」を比較して「籠」の方が多く使われているため「籠」を常用漢字の字体として採用したとのこと。確かにそうかもしれない。「籠城」とか「籠もる(こもる)」は「籠」で書かれることが多い。でも「かご」と読む場合は「篭」で書かれているのもよく見る。歌の歌詞でも「篭」という字はよく見る。なので、私に言わせれば「篭」を常用漢字の字体として採用してほしかった。
既存の常用漢字の新字体に準じた略字が5割以上ではなく2割程度でも使われていたらそれを採用した方がよかったんじゃないかと私は思う。
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