ある牧師から

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山谷裁判判決主文及び認定事実

2018年05月31日 | 備忘録

   主   文

1 被告は、原告株式会社クリスチャントゥデイに対し、55万円及びこれに対する平成20年4月29日から支払い済みまで5分の割合による金員を支払え。

2 被告は、原告高柳泉に対し、25万円及びこれに対する同日から支払い済みまで5年の割合による金員を支払え。


3 被告は、原告矢田喬大に対し、15万円及びこれに対する同日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。


4 被告はインターネットで被告が管理するウェブサイト「MAJOR MAK’S DIALY」並びにアカウント名「ct-cult,newcollegiate」及び「dga」に記載された文言のうち、別紙主張整理表の「番号」欄6、8~10,14、17~19、21、23~27、31、32、34、35、37、39、40、43、45、46、49、51、55~57、59~62、66、68、70~75、78、80~82番の各「該当箇所」欄記載のブログにおける各「表現内容」欄に引用された文言(ただし、21番の㋑及び32番の㋐、㋑を除く。)を削除せよ。


5 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。

6 訴訟費用は、これを2分し、その1を被告の負担し、その余を原告らの負担とする。
7 この判決は、第1項、第2項及び第3項に限り、仮に執行することができる。


認定事実

前記前提事実に加え、掲記の証拠及び弁論の全趣旨からすると、次の事実が認められる。

(1)「張在亨が来臨(再臨)のキリストである」との教義は、キリスト教においては異端的な教義である(弁論の全趣旨)。

(2)張在亨の疑惑調査

ア 韓国基督教総連合会(以下「CCK」という。)は、同会の会員である大韓イエス教長老会合同福音総会長の張在亨(同人は、「ダビデ張」、「張在洞」などと称される人物である。以下、同人物については「張在亨」という。)について、統一教会に関係している疑惑があるとして、異端対策委員会を設置し、調査した。

上記調査が開始されたことは、韓国のオンライン新聞である「News N Joy」に掲載され、キリスト教界に知れ渡たることとなった。

日本におけるキリスト教福音派の組織である日本福音同盟(JEA)は、平成16年6月17日、その加盟盟団体に対し、原告会社についての調査結果として、韓国新聞社「韓国基督公報」による次の報告があつた旨を通知し、原告会社による取材を一切受けないことを決定した。

「韓国クリスチャン新聞の常任理事、張在洞牧師は、統一教会の核心メンバーであることが判明。このことについての記事が韓国のオンライン新聞であるNews N Joy(http://www.newsnjoy.co.kr)に出ている.基督公報の取材によれば、海外ネットワークとして日本と中国に力を入れているらしい。張在洞牧師は現在、合同福音教団の総会長ですが、韓国基督教総連合会から異端として調査中である。(クリスチャン新聞提供)」

これを受けて、救世軍は、同月18日、被告を含めた救世軍関係者に対して、「『クリスチャントゥデイ』新間の件」と題するフアックスを送信し、上記日本福音同盟による調査結果を配布した。(乙1、84)

イ 張在亨は、CCKの異端対策委員会に対し、統一教会関連団体で働いていたことがあり、これを深く悔い改めて懺悔する旨記載した「悔い改めの自筆覚書」を提出し、上記異端対策委員会は、 8月12日に全体会議を開き、上記覚書の内容を公開した。

CCKの異端対策委員会は、平成17年9月6日、調査の結果、「張在亨が1997年以降統一教会と関係をもつた形跡はない」旨の声明を発表し、これは日本福音協会のホームページにも掲載された。(甲6、7、乙84)

(3)CCKの異端対策委員会は、平成21年及び平成22年に、張在亨が自らを再臨主(世界の終末の日にキリストとして再びこの世に現れる者のこと。)とする疑惑について、調査及び再調査を行ったところ、「嫌疑なし」の結果となった。CCKは、平成23年、張在亨の統一教会疑惑及び再臨主疑惑について、無嫌疑であり、問題は終結したことを公表した(甲8、17)。

正統派キリスト教徒の最大組織である世界福音同盟(WEA)は、同年、その加盟団体である日本福音同盟に対して、張在亨の疑惑は解消された旨を通知した(甲16、 24)。

なお、 CCKから分裂した韓国教会連合(CCIK)は、張在亨の疑惑の追及を継続している(乙146、 161)。

(4)張在亨の経歴

ア 張在亨は、昭和24年10月30日、大韓民国で出生し、昭和47年から昭和52年1月まで、統一教会の学生組織である原理研究会の新村学舎の責任者として、活動し、昭和50年2月8日には統一教会の合同結婚式に参加していた。

張在亨は、昭和57年3月、統一教会の学生組織である国際基督教学生連合会の事務局長に就任した。

統一教会は、昭和60年頃、成和神学校を設立し、同校を母体として鮮文大学を設立することを計画し、同大学の設立準備委員会を組成したところ、張在亨は同委員会に参加した。

張在亨は、昭和61年9月、成和神学校企画室学生担当に就任し、翌年3月、成和神学校企画室長に就任した。昭和63年9月1日、統一教会の神学校である統一神学校と成和神学校が合併し、平成元年、張在亨は成和神学校学生部長兼教務課長に就任し、同校で神学の教授を担当するようになった。

平成3年3月4日、成和神学校が成和大学に改編されたところ、張在亨は、神学教授として同大学に勤務し、平成5年12月29日、同大学が鮮文大学に改称した後も、平成10年1月まで同大学に勤務していた。(乙10、 97、原告Tp34、38~ 40)

イ 張在亨は、大韓イエス教長老会国際合同総会の総務、大韓イエス教長老会合同福音の総会長、豪州サザンクロス神学校教授などを経て、イエス青年会、アポストロス・キャンパス・ミニストリー(ACM。以下「ACM」という。)を設立し、世界福音同盟(WEA)の北米支部理事を務めている (甲24、 乙79、 87、 106)。張在亨は、アメリカのカルフォルニア州サンフランシスコ市のオリヴェット大学を創立し、その学長に就任していた(乙86)。

(5)各種団体及び人物の関係

ア 大韓イエス教長老会合同福音は、張在亨が韓国において設立した教団であり、張在亨が指導者として総会長を務めている(乙63、 87、106、原告Tp55)。

イ EAPCは、平成4年年、若者への宣教運動を目的として、ACMの後援によって創立された国体であり、アメリカ等に多数の教会を設立している(乙89)。

ウ 東京ソフィア教会は、平成10年1月頃、大韓イエス教長者会合同福音の宣教師であるAが設立し、平成17年1月頃まで存続した教会である(原告Tp21、原告Yp44、46、乙22~ 40、80)。

東京ソフィア教会は、後に、日本キリスト教長老教会に所属することを明示するようになった(乙55~ 60)。

日本キリスト教長老教会は、大韓イエス教長老会合同福音により派遣された宣教師が組成した複数の教会の集まり(教団)であり、平成15年7月頃に日本キリスト教長老教会と称するようになった(乙20~ 60、原告Yp45、46)。Aは、平成15年4月又は5月頃、原告Tを、大韓イエス教長老会合同福音の日本における代表者として日本代表使役者の地位に任命した(原告Tp20~ 22)。
工 日本キリスト教長老教会のホームページには、「青年宣教」として、ACMのホームページヘのリンクが添付されているところ、同ホームベージの画面の下には、「Copyright」として、EAPCの名称が記載されている(乙91、109、110)。

オ 東京ソフィア教会の所在地は、平成15年3月末までは①東京都文京区本郷2丁目26番8号フカナビル3階であり、同年4月以降は、②東京都新宿区山吹町352番22グローサ・ユウ新宿ビル3階であつた。上記①は、原告会社の設立当時の原告Tの住所、株式会社ベレコム(以下「ベレコム」という。)の所在地と同―であり(乙19、 22~ 40、 64)、上記②は、原告会社設立当時の本店所在地と同一であり、原告Tが同ビルの3、4階の賃貸借契約を締結した(乙19、41~ 60、原告Tp1、2)。

原告会社は、設立時(平成15年5月15日)、上記②のビルの4階を本店所在地としていた(原告Tp1、2)が、同年12月頃、東京都渋谷区神泉町18-8SHOTOビル204号に移転し、その後は、東京ソフィア教会が上記②のビルの3、4階を使用していた(乙21、原告Tp3)。

平成19年(2007年)4月10日、韓国クリスチャントゥデイの住所は、原告会社の住所(東京都千代田区西神田2丁目7-6川合ビル3階38号)と同一であつた(乙99~101)。T山谷会談の直前、原告Tの名刺には、原告会社の住所地として韓国クリスチャントゥデイの日本における連絡先が記載されていた(乙101、原告Tp4)。

カ 東京ソフィア教会の電話番号(03-6801-9618)の登録者は、Aであり、その後の東京ソフィア教会の電話番号(03-5206-6743)の登録者は、原告Tである。

 また、ACM、東京ソフィア教会、原告Tの電話番号として使用されていた電話番号(03-5261-8379)の登録者は原告Tである。

キ 原告会社は、設立時に、韓国クリスチャントゥデイ及びクリスチャンポストから資金援助を受けた。また、活動資金がひっ迫した際に、韓国クリスチャントゥデイ及びベレコムから資金援助を受けた。(原告Tp4、30、 31)

ク 張在亨は、平成12年、オリヴェット神学校(Olivet Theological College & Seminary。以下「OTCS」という。)を設立し、同校は、平成16年2月、オリヴェット大学(Olivet University。以下「OUという。)に改編された。張在事は、平成18年7月頃まで、同大学の理事長であり、それ以降は総長の地位にある(乙86)。

OUは、そのホームページにおいて、宗派がEAPCである旨記載している (乙92)。

ケ 原告Tは、UCLA在学中にACMの伝道を受け、OUの前身であるOTCSに入学し、平成15年3月23日に卒業して日本に帰国し、同年4月頃、大韓イエス教長老会合同福音の宣教師であるAから日本代表使役者に任命され、東京ソフィア教会の伝道師として活動していた(乙35~ 43、 86、 63・p3、 7、原告Tp24)。

原告Tは、同年5月17日、大韓イエス教長老会合同福音において、張在亨から牧師の按手を受け、同年秋頃まで東京ソフィア教会の牧師としての活動に従事していた(乙43~ 46、原告Tp20~ 24).

原告Tは、同月15日、原告会社を設立し、代表取締役に就任した。原告Yは、株式会社ベレコムの取締役であり、東京ソフィア教会の第5回賛美礼拝における賛美リーダーであった者で、ACM千葉センター代表者、イエス青年会の会長でもあった。

原告会社の設立当初の住所地は、東京都新宿区山吹町352番22グローサ・ユウ新宿であり、ACMの本部も同所に所在した。

原告会社の記者である I は、東京ソフィア教会の信者であった。

(6) クリスチヤントゥデイは、キリスト教メデイアの世界的ネットワークとして、アメリカ、イギリス、 日本、韓国等の世界各国の主要土地に記者を有し、新間を発行している。原告会社は、上記ネットワークの一部として、 日本において「クリスチヤントゥデイ」という新聞を発行する組織である。(乙107、原告Tp44、45)

(7)聖書講義ノート

ア Kは、東京ソフィア教会の信徒であつた平成14年頃、教会での講義内容を記載したノートを作成した。

上記ノートには、「イエスキリストではなく、来臨のキリスト」(乙114の6)などと記載されており、この記載は、「イエスキリスト」が再臨することを教義とするキリスト教とは異なり、異端的な教義に基づく記載である。被告は、Kの両親がKのアパートで発見したノートの一部として、上記ノートを受領した(以下「本件ノート」という。)。(乙113~ 115の2、160、乙144、153、原告T、被告)

イ Kは、原告会社の記者であり、編集長であつた。

ウ この点、原告らは、本件ノートがKによって作成されたか不明であり、形式的証拠力がない旨主張するが、原告会社が発行したインターネット新聞「クリスチャントゥデイ」において、Kが本件ノートを作成したと名乗り出た旨の記載があること(乙153、 160)に加え、原告会社の記者であるIが作成した匿名のブログ「Sola Gratia」(以下「匿名ブログ」という。)において、被告が問題としているノー卜は所有者がKであることを前提とした記載があること(乙144)、原告Tは、Kと連絡が取れるにもかかわらず、全く本件ノートの作成経緯やその内容についてKに確認していないなどと供述していることにも照らせば、本件ノートそれ自体は、Kの所有物であり、同人が作成したものであると認めることができる。

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2 コメント

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Unknown (><)
2018-05-31 16:58:32
これはクリスチャン新聞・根田氏が、かねてより「事実認定された!」と、「半分勝利」と言い続けている「判決の一部」、つまり「主文」と「事実認定」部分だと思われる。

「事実認定」こそが「被告側」および「根田氏」の「最大の生命線」である。私は、根田氏から直接、耳にタコができるまで「事実認定!事実認定!」としつこく聞いた。

従って、ここまで出されたからには、根田氏は、この「事実認定」がある「にもかかわらず」なぜ被告が「95万円の賠償金」を支払わねばならなかったかを、明瞭に答えて頂くしかないだろう。

ゆがめられ続けた「報道」を「指弾」するために、公開せざるを得ないと「決断」されたブログ主の差し迫った心中を、察して余りある。

今後はこの「主文」と「事実認定」部分をもとに、いかに「歪んだ報道」がされつづけてきたかが、厳しく糾弾されていくことと期待する。
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Unknown (><)
2018-05-31 17:08:58
しかし改めて読むと、当時の裁判所も最低限の資料を駆使して判決を下したのだとわかる。「大韓イエス教長老会合同福音は、張在亨が韓国において設立した教団であり」とあるが、実際には「合同福音」は「もっと歴史は長く」張氏の設立ではない。これは韓国のウェブ・サイトを見れははっきりわかる事実である。そういう制約はありながらも、上記の「主文」を導いた、裁判官の判断は正しかったと、私には思われる。
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