ウクレレとSwing(スヰング)音盤

Sur Le Chemin De Mon Pere...Django (1974) / Babik Reinhardt


8月中はスヰンギン・ギター音盤特集で週刊更新中。

特集二週目の今回はジャンゴ・ラインハルトの実子、バビク・ラインハルトの1974年アルバムで、やはり偉大なる父ジャンゴに捧げた追悼盤である。タイトルは「父ジャンゴへの道」といった意味になるようだ。先に紹介した実弟ジョゼフ(バビクから見ると叔父)のやはり同趣向の音盤と聞き比べるのも一興か。レーベルはフランス・Music For Pleasure 。

バビクは1944年生まれで、所謂ジプシージャズに留まらず、戦後のモダンなスタイルを志向したジャズ・ギタリストで、むしろ本人が一番やりたかったのはフュージョンであったのだろうと思われるが、偉大すぎる父の面影を追う音楽ファンの期待が自由な音楽表現を許さなかった面もあったかもしれない。本作でも父ジャンゴの代表曲を次々と再演して見せているが、普通のアーチトップ型エレクトリック・ギターを駆る自身の演奏スタイルにジプシー・ジャズらしさはあまり無く、むしろモダン・ジャズギター的だ。本盤での編成も一部の曲にバイオリンが入っている以外は、サックスとピアノを加えたモダン・ジャズギターのそれだ。逆説的になるがモダン・ジャズギタリストによるジャンゴ追悼盤としてはこれに勝るものは無いだろう。

A1 Nuages    
A2 Minor Swing
A3 Tears (Comme L'Eau Claire)
A4 Resultat D'Une Union (Written by Babik Reinhardt)
A5 Manoir De Mes Reves

B1 Djangologie
B2 Anouman
B3 Sweet Chorus
B4 Porto Cabello
B5 Theme Mit Mor Mal (Written by Babik Reinhardt)
B6 Swing 42

父ジャンゴの人気曲が目白押しだが、A面、B面に各1曲ずつ忍ばせるように収録されているバビク氏の自作曲(A4,B5)を聴くと、彼が本当にやりたかった音楽はパット・メセニーやジョン・スコフィールドといった50年代生まれ世代ギタリスト達に近い音だったのでは、と想像してみたりする。かといって父のレパートリーもお座なりでなく、バイオリンも加わってのラストB6などほっこりと楽しく良い演奏だ。

Guitar – Babik Reinhardt
Piano – Marc Hemmeler
Saxophone – Alain Dersy
Violin – Roger Berthier
Bass – Alby Cullaz
Drum – Marcel Sabiani

録音  – Studio Eta Gaffinel
プロデュース – Frank Berthal

バビク氏も2001年に心臓発作により57歳の若さで亡くなったが、現在はジャンゴの孫にあたるバビクの子ダヴィドが演奏活動を行っている。


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