前回の日記の続きでございます。
東京国立博物館・平成館で運慶展を観た後、表慶館「フランス人間国宝展」を観ましたのじゃ。
http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1866
混雑した平成館とは打って変わって、貸切状態の静かな館内。
表慶館は建物も好きなのじゃ。
(入口から天井のみ写真撮影可)
フランスにも人間国宝(メートル・ダール)があったとは知らなんだ。
日本の人間国宝にならって、1994年に創設されたのですと。
そんなメートル・ダール13名と注目作家2名、計15名の作品約230点、ガラスケースなしにすぐ近くから観ることができまする。
展示室に足を踏み入れた途端、まず空間デザインの素敵さに「おお~!」と感嘆。
建築家のリナ・ゴットメが手掛けたのだそうな。
写真撮影不可なのがまことに残念じゃ。
構成は以下の8章。
お気に入りや気になった作家も挙げておきまする。
【第1室 陶器】
・ジャン・ジレル《茶碗 Tenmoku(天目)》
暗い室内、ひとつひとつ小さなライトに照らされて、約100点も並ぶ天目茶碗が壮観。
青、紺、緑、紫、茶など色も様々な茶碗、玉虫色に輝いて美しゅうござります。
宇宙のような青の茶碗、こっそりお持ち帰りしたかった・・・
四方の壁には、陶板、陶桶の作品もあり。
【第2室 鼈甲細工、革細工、金銀細工】
・セルジュ・アモルソ(革細工)
《クフ王》と題された、わたくしの故郷エジプトのピラミッドの如きバッグが9点。
どこかで見た事あるような・・・と思うたら、アモルソはエルメスのケリーバッグを手掛けた方じゃった。
【第3室 麦わら象嵌細工、壁紙、真鍮細工】
・ナタナエル・ル・ベール(真鍮細工)
5点のオブジェと3点のテーブル、どれも魅力的。
麦わら象嵌細工のリゾン・ドゥ・コーヌとの共作もあり。
【第4室 傘、扇】
美しい傘と扇の数々、この部屋全部がたいそうツボ。
・ミシェル・ウルトー(傘)
様々な素材とデザインの傘が12点。
てっぺんの形がそのまんま《パゴダ》やら、傘の縁が外側に反り返った《突風》やら、ちっちゃな縦型で傘の役目は全く果たせそうもない《スクリーン》やら、ユニークな形が目白押し。
・シルヴァン・ル・グエン(扇)
こちらも様々な素材とデザインのユニークな扇が25点、両側の壁にずら~り。
日本の折り紙から着想を得た扇もあり。
【第5室 折り布】
ピエトロ・セミネリの、折り紙の技術を応用した折り布にびっくり。
真っ黒い《権力者》は、生きている武将のようじゃ。
【第6室 銅板彫刻、紋章彫刻、エンボス加工(ゴフラージュ)】
・ジェラール・デカン(紋章彫刻)
真鍮にも陶にもガラスにも紋章彫刻。
ちっちゃいちっちゃい動物みっしり、こういうの古代オリエント博物館で観た事ある・・・と思うたら、やはり紀元前4世紀にメソポタミアで誕生した円筒印章に刺激を受けたのですと。
・ ロラン・ノグ(エンボス加工)
《構造と動き》2点は、じっと観てると目がおかしくなる感覚。
3点一組の《雲2》は、湧き上がってゆくような雲が素敵。
【第7室 羽根細工】
ネリー・ソニエの羽根細工が5点。
ガルーダの仮面のような《ドラゴン》は、牙や舌など細部まで羽根みっしり。
小さな丸い覗き穴の如き3点一組《ツグミと鯉、分け与える》は、青いツグミが赤い鯉(金魚に見える)に実を与える様子も可愛い。
《夏の盛り 思いがけない樹木》は、斬新な生け花のよう。
【第8室 ガラス】
最後の部屋には、エマニュエル・バロワの大きなガラス作品が1点。
歩きながら観ると、どんどん変化いたします。
素敵な空間、じっくり堪能いたしました。
ただ、会場に流れるBGMが・・・(以下自主規制)
会期は11月26日まで。
さて、昨日は三井記念美術館と日本橋高島屋でたいそうツボな展覧会を観た他、日本橋と池袋のギャラリーも回ったのですが、長くなりますゆえまた後日。