著者と又吉直樹の対談を見た時、ずばずばとはっきりとものを言う西加奈子、面白い人だと知って直木賞受賞の”サラバ”を読んだ。イラン生まれでエジプトで生活したと言う事にも興味を持った。発達障害の姉を持ち弟の歩の視点から書かれている。帰国子女へのいじめや学校での出来事は実に退屈した。もっとエジプトでの生活、友人ヤコブとの関わりや両親の不仲を追及した方が面白くなったのではと思う。”サラバ”はアラビア語のさよなら、「マッサラーマ」からヤコブと別れる時に使った言葉だそうだがヤコブは”サラバ”を気に入って彼の言う”サラバ”はとても美しく、いろいろな意味を含んでいた。さよならだけでなく「明日も会おう」「元気でな」「約束だぞ」「グッドラック」「ゴッド・ブレスユー」「俺たちは一つだ」など彼とヤコブをつなぐ魔術的な言葉だったと言う。こうした外国での生活にはえもいわれぬ人との交わりがあるのでもっとそれを中心に書けば良かったと思う。さて下巻の行方は?