まったく、夢のようだ。
こうして師走の風に吹かれ、街のノイズに包まれ、いろいろな食べ物の匂いに取り巻かれて歩いていることが、現実のこととはにわかに信じがたい。
そんな感じが、病院からすでに遠く離れているというのに、なんだか時どきふっとそんな感じになって、目を覚ましたら病院のベッドで点滴に繋がれ、絶食の末の夢だったと・・・、胡蝶の夢かマトリクスのアンダーソンくんかと・・・。
過去3回の退院後にはこんな感じにはならなかったのに、なぜ今回こんなに切ない❓
年末だから❓
クリスマスのジングルがどこかから聞こえてくるせい❓
ただ単にひとつ歳をとり、過去最悪に痩せ衰えたから❓
右手で歩行器を握りしめ、左腕をかあちゃんに絡めて、リュックの重さが肩にギュッとのしかかる現実を噛み締め、自宅への道を歩いてゆく。
また昭和の住宅が壊され、建売り住宅はまだ売れ残り、公園の木々はすっかり葉を落とし、カリンの実が風に揺れ、池の水は寒々とさざめいている。
それでも足取りは前回よりはマシで、息は少しあがったけれど、陽が陰り風が少し強くなってきた12月22日午後2時過ぎ、我が家の前に立った。
夢のようだ。
帰ってきた。
31日ぶり、我が家。
小僧が満面の笑みで迎える。
お互い今のところなんとか無事でよかったと抱き合う。
しかし来年早々に、今度はこの男が入院することになる。
親の因果が子に報いた結果、かつてオヤジが受けた処置を受けねばならず、さらにその後また入院して手術になるのだから、とてもじゃないが「良いお年を」なんてこととは我が家は縁遠い。
まあそれでもなんとか親子3人、一緒に年を越せる事は幸い。
階段を1ヶ月ぶりに上がる・・・、上がれない( ̄◇ ̄;)
手すりに手をかけ、それでは足らず片手を階段につき、四つん這いみたいな這々の体で2階へたどり着き、尻もちをつくように座り込んだ。
ヤバイ、ヤバすぎる!!
足が上がらないし力がまるで入らない。
老人だ!(◎_◎;)
慣れだ、慣れるしかない、毎日用もないのに上り下りして、階段エクササイズするしかない‼️
「何が食べたい ?」
かあちゃんからそう聞かれ、
「キャベツの千切り、大盛り」
と応えた。
手の込んだ料理よりも何よりも、ただキャベツの千切りにソースをかけて食べたかった、夢にまで見てしまった。
ソース切れだ、キャベツが食べたい、お好み屋のサガなのか?
それから卵かけご飯、TKG 。
入院前に作っておいた「ニラ醤油」に、ホントは天カスをかけたいけれど脂質セーブして「ぶぶあられ」にしてウマウマちゃんだ👍
満足、幸せ、夢のよう。
腹が満ちたら眠くなってきた。
病院のフロアを歩き回ってもせいぜい2000歩程度だが、退院して帰ってくる間に歩いただけで4000歩を突破するくらいだから疲れているのだ。
横になって目を閉じる。
起きたら、すべては胡蝶の夢かマトリクスのアンダーソンくんになっていたという心配は眠気の中に瞬時に消えた。
昼寝から起きても、一夜明けても、これは夢のようだが夢ではない現実で、病院よりはるかに娑婆は寒く、エアコンをつけしみじみと部屋の中を見回し、12月23日の夜明けの空に伸びをした。
さてこれから何をしよう。
何から始めよう。
何から始めるにせよ、ゆっくり。
一歩一歩、ゆっくり。
リハビリも兼ねてゆっくり、小さな達成感をひとつずつ。
2021年もあと9日。
しばらく前からmogrunpo.comのアドレスが不調で、一時停止していました。
本日復旧したところ大量のメールとともに、有り難いコメントを頂いたことがわかりました。
まだ見ぬ方からの励まし、心遣いに感謝いたします。
気持ちが温かくなります、力になります。
ありがとうございました。
今回の入院でも気持ちが揺れ動き、うろたえ、弱気になり、捨て鉢な気分になり、その気持ちのままに綴ってしまいましたが、多くの方々の見えない応援を感じながらなんとか立ち直り、退院することができました。
今後もまだ不安材料が残ったままですが、少しずつ前に進んでゆくつもりです。
あらためて、本当にありがとうございます。
これからも、時にはおバカに、時には真剣に、ありのままの日々の出来事を綴ってゆく所存ですので、どうぞお付き合いいただければ幸いです。
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