その舌の根の乾かぬうちに、我が家に地デジがやってきた・・・・・・・。
我が家の居間のテレビは、1999年製の由緒正しきSONYトリニトロン29インチブラウン管テレビだった。
もうかれこれ12年も使っていて、リモコンはばあさんと小僧が壊してくれたのでとうになく、ボタンの大きなかんたんリモコンを使用している。
ある晩、いつもの習慣でかあちゃんがテレビの電源を入れると、映像がセピア色になっていた。
チャンネルを変えても、電源をオン・オフしてもそれは直らず、ついに寿命がきたなと悟った。
ばあさんがまだらボケの頭でこう言った。
「テレビが映らなくなるっていうのは本当かい ? 」
「ほんとうです。オカミの命令で、下々の者のテレビはもう必要ないと判断されたのです」
そう答えると、ばあさんは悲しい顔をして、
「そうかい・・・・、戦争中とおなじになるなんだね。じゃあもう、デレビを捨ててしまわないとね・・・・」
つぶやいて、自分のベッドへもぐりこんでしまった。
かあちゃんもヤケのように、
「テレビをやめるのなら、それでもいいわよ !! 」
そう叫んで、そっぽを向いてしまった。
家中でいちばんテレビを見る女が、開き直っている。
「ワンセグのアダプターを買ってください !! オレのMacBookに地デジを入れてくださーい !! 」
小僧がわめきながら、用もないのに階段を登ったり降りたりして、うるさいったらない。
いったいオヤジが何をしたというのだ
家中でいちばんテレビを見ないオヤジに、何の罪があろう。
ばあさんがショートステイに行ってるスキに、プロジェクターの電源を入れ、100インチのスクリーンを下ろし、ひとりで映画に浸ろうと思った。
やがてスクリーンに投影された映像を見て、愕然とした
ところどころドットが抜けて、ノイズが走り、とても視聴に耐えない
プロジェクターまでも、そろそろ寿命なのか
テレビは見れなくても、DVDで映画は見たい
こうなるともう、オヤジと小僧の林檎しか映画を見る手立てはない・・・・・・・
ある朝、新聞の折込広告を見て、魔が差した。
40インチのフルハイビジョン対応のテレビと、ブルーレイレコーダー、22インチのテレビとラックが、お買い得のセットになっていたのを見て、指が勝手に反応してネットにアクセスして、カートに入れるボタンをポチッと押してしまったのだ。
どれもネットにつなげて、「アクトビラ」とか「TSUTAYA online」とかで映画をダウンロードしたりストリーミングできたりする優れもの。
ただ、我が家にはBS・110度のパラボラアンテナはあっても、カッチョ悪いUHFのアンテナはないので、とりあえず機器を接続してもアナログしか見れない、と思っていた。
とっころが !!
同軸ケーブルを繋いでみたら、地デジが映った !!!
我が家とその周辺には電波障害のため、ご近所の高層マンションから共聴のケーブルが引かれていたのだが、それがいつの間にか地デジ化していたのだろう。
まったく問題なく、アンテナ入らずで、快適に地デジの視聴ができてしまった
ここ2、3日、そんなこんだで最新機器のセッティングやら模様替えやらで、大わらわだったのであった。
いや~、地デジってキレイ、快適、ブルーレイってメッチャキレイ、やっぱ女房とデジタル機器は新しいに限りますな、ここだけの話し
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