お好み夜話-Ver2

キマイラの夜

「闇狩り師の新しい本が出たんだけど、買った?」

「Cちゃん」が言った。

新刊が久しぶりに出たのはすでに知っていたが、買ってはいない。

「買ったら読みたい?」

そりゃ、読みたい。

夢枕貘の「闇狩り師 ミスター仙人・九十九乱造」シリーズは、雑誌に連載された時にリアルタイムで読んでいて、文庫の2巻までは買っていたはずたが、その後のシリーズには目を通していなかった。

「ところで、キマイラシリーズも読んでるの?」

と、問うと、それは未読だということで、「闇狩り師」シリーズと「キマイラシリーズ」を交換することとなった。


ところが、自宅の本棚を探してみたら、「キマイラ」シリーズの1巻から7巻と、「闇狩り師」の文庫版2巻がすっぽりと無くなっていた。
おかしい 
現在までに刊行されているものは、すべて蔵書していたはずなのに・・・・

誰かに貸したのか 
引っ越しをした時に思わず処分してしまったのか・・・、有り得ない。


「Cちゃん」は、続き物は映画でもドラマでも、全部そろっていないと見たくなかったり読まなかったりするタチなので、しょうがないから、ノベルズで新装版が出ているので買ってそろえた。

先に「闇狩り師」シリーズを借りてしまったので、
「早くそろえろ 」
と急かされているみたいだったし、どちらにしても全巻そろえたいのはこちらも一緒だったから。


「闇狩り師」と「キマイラ」シリーズを読んだことのある人ならおわかりだろうが、このふたつの物語は、ある部分リンクしている。
登場人物や事件が、互いに関わり合っていたりするのだ。

そして、なかなかエグイ場面が多々ある 

生霊に憑かれたり、呪詛のために、身体に獣毛が生え、顎を有り得ない角度でこじ開け、メリメリと、体内から蒼黒い獣が出てきたりする。


ちょうど時期を同じくして、オヤジの顎が、有り得ないタイミングで外れかけた。

ぐきっ、ぐはっ、
メリメリメリ
・・・・・

凶暴な牙をガチガチ鳴らした、禍々しい獣は出てこなかったけれど、ため息が出た。

闇狩り師・九十九乱造になんとかしてもらうのではなく、「モミモミ先生」にお世話になった。


貸した「キマイラ」シリーズをまたたく間に読み終えた「Cちゃん」に遅れることしばらく、やっと「闇狩り師」シリーズを読み終わって、ふと気づくと、顎が痛くない 

まだ多少違和感は残っているが、ようやく肉や、固いものもなんとか食べられるようになった。

そういえば、霊や犬神に憑かれた男が、
がしゅ、ぶしゅる、と生肉や人に喰らいつくなんて場面もあったな。

このままこれらのシリーズを読み続けていると、さらにオヤジの顎は外れ、獣化が進んで、「キマイラ」が出現してしまうかもしれない。
とりあえず、「Cちゃん」にお借りした本は返そう。

と、言いながら、「Cちゃん」から戻ってきた「キマイラ」シリーズを布団に入って読んでいるのである。


自分では気づかないが、寝言で「ひゅ~~~るぃぃぃぃぃぃぃぃ」などと闇に向かって哭いているのかもしれない・・・・・・・

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