しかも「ラドン」で・・・・・・
熊本・天草へは何度も行っていたが、阿蘇の方へはまだだったから、このあいだレンタカーを借りて行ってきた。
草千里、白川水源、地獄温泉等々、雄大で爽快で、水がきれいで旨くて、温泉は気持ちよかった。
そして阿蘇山・中岳の火口だ。
前日までは火山性有毒ガスの影響で、火口の見学はできなかったそうだが、なんと晴れ男は、くっきり青空の下噴煙すら味方するのだ。
ロープウェイで山頂へ上ると、舗装された遊歩道が続き、爆発でえぐられた岩肌や峨峨たる山の威容が望める。
避難用の待避壕には見覚えがあるが、なんだか昔見た火口と様子が違っているような気がした。
もっとも、“見た”というのは、映画「空の大怪獣ラドン」でのことで、実際の火口を見るのは始めてだが。
そう、阿蘇山といえば「ラドン」です。
吉野家といえば「牛丼」というぐらいに、これはもう常識です
「ラドン」の中では、遊歩道は舗装されておらず、火口の柵もなかったと思う。
観光客は崖っぷちから恐る恐る火口を覗き込む、という時代だったと記憶している。
その中の新婚カップルのかぶっていた帽子が、突風に呷られ火口へ飛ばされてしまう。
それを拾いにいってやるから700円でどうだ、と、名乗りを上げるお調子者がいて、しぶる新婚さんの顔色を見ながら200円まで値下げして、やめろと言う静止を振り切って火口へ下りてゆくのだった。
すると、運悪く甦った「ラドン」に、たった200円のために命を失ってしまうのだ。
このシーンが強烈に頭に残っていて、それを確認したくてしょうがなくなってしまった。
などと思いながら、記念写真を撮る場所を見定めていると、バッチやネックレスなどにその場で名前を入れてくれる店を出しているオジサンが、シャッターを押してくれると言うので、お願いして皆でカメラにおさまった。
当然ながらそのあと“どうですか記念に”という営業トークに逆らえず、姪っ娘の「チーちゃん」にせがまれるまま、600円のバッチを買うことになった。
その道40年の技でトントンバッチに名前を打ち込む阿蘇オジサン。
「オジサン、そんなに長くここで商売やっていたら、ラドンの撮影とかに出くわしたんじゃない ? 」
「んー、あー、そうね、クロサワさんとかも来てね、やっとらしたねぇ」
クロサワ
小僧にもバッチをいかが、というのを断り、店を離れたが、なぜ「ラドン」の話でクロサワなのだ・・・・・
ちょっと考えて、すぐにわかった。
黒澤明監督は、映画「乱」の撮影で阿蘇山にロケをしているのだ。
「ラドン」と「乱」・・・・ド抜きかよ !!
宿に落ち着き、撮った写真をチェックしたら、阿蘇の火口をバックに皆で写っているはずの1枚がない。
うぎゃ、ド抜き親爺にやられた !!
東京へ戻ってからも、「ラドン」のことが頭を離れず、すぐさまTSUTAYAへ行き、怪獣コーナーを探すと、「ゴジラ」も「モスラ」も「ラドン」もあった。
あったのだが、「ラドン」だけが貸出し中なのだ。
なぜ「ラドン」だけが
なんでこのタイミングで「ラドン」だけが貸出し中なのだ。
じつは密かに「ラドン」がブームだったりして、オヤジだけがそれを知らなかったりして・・・・・。
不可解な悔しさに商店街を歩いてゆくと、中古ビデオのショップが店を出していたので、これはひょっとしたらと思い、またしても怪獣コーナーを探すと、「ゴジラ」も「モスラ」も「ラドン」もあった。
あったのだが、「ゴジラ」や「モスラ」は380円とかなのに、
「ラドン」だけが1480円とお高い
う~ぬぬぬぬぬぅ、またしても、またしても、なぜにこのタイミングの悪さ・・・・。
4日間我慢して、再びTSUTAYAへ行って、ついに「ラドン」を借りた。
家に戻ってさっそく観た。
開始10分も観ないうちに、「空の大怪獣ラドン」にはオヤジの気になっているシーンがないことがわかった。
なんと愚かな・・・・・
200円で命を失ってしまう男のシーンは、
「三大怪獣 地球最大の決戦」に収録されていると気がついたのだ。
このDVDなら、とっくに我が家のコレクションになっている。
あ~あ、何やってんだろうね、このオヤジは・・・・・。
1週間かかって、やっと気づくなんて
ちなみに、「空の大怪獣 ラドン」は1956年公開。(どうりで、リアルタイムで観ていないわけだ)
「三大怪獣 地球最大の決戦」は1964年公開。
「乱」は1985年公開だ。
「乱」の監督補佐に、「ゴジラ」「モスラ」そして「ラドン」の監督にして黒澤明の盟友 本多猪四郎 監督がいた。
えー、「バーバーくん」へ。
海外ではラドンのことをロダン (Rodan) と呼ぶのだよ。
なぜかは知らんけど、彫刻家のロダンとは違うのよね。
もし、ロンドンの古い映画館に海外版「ラドン」=「Rodan」のポスターとかロビーカードが埋もれていたら、うまいことやって入手すべし。
銭になるかもね。
以上。
オチのある話でした。
お粗末さま。
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