お好み夜話-Ver2

火点し頃に人恋し

白内障の手術から3ヶ月経って、昨日の小僧と入れ違いのように東大病院へ行ってきた。


診察は午後2時からだったが相変わらず待合室はいっぱい。


さんざん待って呼ばれたのは5時になろうという頃、両目とも異常はないが左目の視力が乱視のため0.6ぐらいしか出ない。


これを何とかしたいなら特殊コンタクトを付けるしかないと言われた。


しかし大昔にハードレンズを付けて痛かったり合わなかった経験があったからと躊躇うと、時代が違いますから、今のは進歩していますよと笑われた。


そりゃそうだ、40年も前のものと比較する方が間違っている。


てなわけで、次回9月の診察の時までに特殊コンタクトは考えておくということで終わった。




ドライアイの目薬を処方されて東大病院を後にしたのは5時半過ぎ、帰宅の人たちが三三五五「無縁坂」を下りてゆく。


「無縁坂」からスカイツリーを望む。


不忍池にも足早に通り過ぎていく会社帰りと思しき人たち、談笑しながらすぎる若者たち、ベンチで語るふたり、灯りを灯すにはまだ明るいが、黄昏時に外にいることはもう何年もなかったから、なんだか切なく人恋しくなってしまった。




何でもなきゃ、フラッとひとりで御徒町の「金魚」に寄って一杯引っ掛けたいが・・・。


誰かに連絡して落ち合って、旧交を温めたいと思いもするが・・・。


いや、まだ、  まだ、はやい・・・。




先日、「akkoちゃん」からお誘いがあったときも、折角だけどとお断りしたのだ。


すごく、ありがたく、とても行きたいのだが、まだダメだ・・・。


腹の中のステントがきれいさっぱり抜けて、もう大丈夫となってからじゃなきゃ・・・。


かつてのように調子こくなんてもはやできるはずもなく、ずっと世間から遠ざかっていたギャップに戸惑う自分がこわいし、またどうかなってしまったらという不安も拭いきれない。




しかし誰かと関わらないことには社会復帰できないのだし、親しくしていた人たちは気をつかって連絡を控えているとも思うし、こちらからアクションをおこさなければと、思うのだが・・・。


嗚呼、臆病になってしまった己れが忌わしい。


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