プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

◇ ダニイル・ハルムス/西岡千晶「ハルムスの小さな船」

2022年07月09日 | ◇読んだ本の感想。
ソ連の作家。(前代)ロシアの作家は有名な人がいくらもいるけど、ソ連の作家。
ソ連の作家って知りませんよなあ。今後も読むことがあることがあるとは思えない。
最初で最後のソ連の作家になるかもしれない。

不条理で売っている詩人らしいから、ひよって、まず絵本を読んでみた。
そしたらこれが良かった。
わたしはこれ、絵がテガラだと思うんだよねー。

正直、ハルムスの文章だけだったら読めなかったと思う。
絵の雰囲気が文章の不条理さをいい具合に丸め込んで、
アーティスティックな本になっていた。紙の種類、インクの種類(深緑)、
手書き風のフォント、全てがよく出来ていて、非常にいい本。
挿絵はもしかしてハルムス本人か?と思ったほどの一体感だった。
実際は日本人の西岡千晶という人。

内容は散文詩と戯曲の混交。戯曲っていっても実際に舞台でかけることは
ないような作品。
しかし戯曲として書かれることで、舞台の絵を想像しながら読む。
それはそれで面白いことでね。戯曲詩というのはパターンとして聞いたことないが、
そういうジャンルがあってもいいかもしれない。

戯曲があるから余計そうなんだろうけど、人名が多用されているのが特徴かな。
日本語で詩を書いて、「鈴木太郎が……をした」とかなさそうな気がするから、
これはロシアの人名の詩情の高さ(あるいは語呂の良さ)なのだろうか。
日本人からすると、ロシアの人名って長くて覚えにくいんですけどね。
外国語だから意味がわからないから余計にね。

図書館で手に入る作品が4作ある。2冊で止めようと思っていたが、
全部読もうかな。

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