プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

< ブラッシュアップライフ >

2023年04月18日 | ドラマ。
なかなか面白く拝見しました。

最初に言おうか最後に言おうかかなり悩んだが、最初に言う。
――正直言って、話の構造的にちょっとまどろっこしかったよねー。
何しろ、何度も何度も生まれ変わって人生をやり直す話だから。
主人公は5回目だっけ?それ以外にも6回目の人や何回目だか忘れたけど
人生何周もしている後輩もいて、同じシーンをやり直すんですよ。

設定的にそれは仕方ないというか、そこを描くドラマだとはいえ、
そしてちゃんと面白く描いているとはいえ、「また生まれ直すのか……」と
徒労感があったのは否めない。それはわたしがものぐさだからだろうか。
また生き直しか、しかも三十数年単位で、と思ったらめんどくさすぎる。

とはいえ、それ以外は大変愉しめました。

バカリズムの脚本はけっこういいのかもねえ。
わたしは「ウェディング・ハイ」という映画に続いて2作目でしかないが、
どちらもなかなか心温まる話だった。
まさか最後はあんな風に終わるとは思わなかったよ。
この流れだったら切なく終わりそうじゃない?


話はよく考えられていて感心したなー。
実は実は、ってのが玉ねぎの皮を剥くように出て来る。
こういうの考えるのが好きなんだろうな、バカリズムは。
似ているわけではないけれど、ジャンルとしては三谷幸喜と同系統。

女子たちの話運びは懐かしい気がした。
昔々はこんな会話をしていたなあ……と思ったよ。
ここまで後を引く喋り方じゃなかったけど。
隙あらば相手を笑わそうとしていた。
「今までの人生の中でこの日が一番楽しかったかもしれない」とか、思ったよ。当時。

7話くらいだったかなー。仲良し3人組から外れちゃって、久々に再会する時、
安藤サクラが浮かべる表情が切なくて胸が締めつけられた。
あんなに仲が良かったのに、2人はそのことを知らない。
あの楽しかった日々を彼女たちは覚えていない。
その切なさをほんの一瞬の表情で(しかもズームアップなどにせずに)映した。
演出と演技の勝利。

また役者の顔ぶれが良かったね。味のある演技をする人ばかりを揃えた。

わたし、安藤サクラ初だったんだよねー。
この作品で、ファンになった!というほどではないけど、いい役者だと思った。
まさに等身大の、身近な人物造型が良かった。

木南晴夏は「勇者ヨシヒコ」で好きになったし、
夏帆は顔のタイプが若干好みではないけど、出ている作品は好きな物が多いし、
野間口徹がちらっと出ているのも嬉しかった。

何より突然江口のり子が登場した時は、なぜか感動して泣きそうになった。
理由は謎。まるで仲良し3人組に再会したような気分になった。

謎といえば浅野忠信がなんで出て来たのかサッパリわからない。
あれ、全然必要な役じゃないですよね?
考えてみれば松坂桃李の起用も無駄に豪華だった。
ちょこちょこ何度も出ていて、そこから発展する何かがあるのかと思っていたが、
特になくて終わってしまった。が、ミスリードだとは感じなかった。

黒木華も、水川あさみも、染谷将太も、実に「ちょうどいい」感じの人を揃えた。
役柄のわりふりも見事。水川あさみが後半、急に重要人物になったのは
あれれ?と思ったが、そうか。着地点がそこか。こういう風に話が終わるのか。
と納得出来た。

まあタイムリープものに付きもののパラドックス部分は変だろうね。
別な人生を選んだら、その時点で全然別な道に入り込むことになり、
それまでの人生で発生したイベントは、その後発生しない可能性が高いと思っている。
別な人生で共通なイベントが多すぎましたよね。
まあそれに腹立たしさは感じないが。設定が甘いなとは感じた。

甘いといえば、40歳近くまでパイロットで、その後市役所とか保育園とかに
再就職も甘いと思った。たとえ資格を取ったとしても、年齢で切られると思う。
40歳の初心者なんて、保育園で雇いたいとは思わないじゃないですか。
これはバカリズム、世間知らず過ぎ。と思わざるを得ない。

友情とノスタルジーのドラマですね。最後は鳩。……鳩で終わるとは思わなかった。
最後のおばあさんたちは何であんな素人さんを起用したのかね?
意味が分からん。まあいいけど。

最近マンガ原作、ラノベ原作のドラマが多いでしょう。
それが必ずしも面白くないものばかりというわけではないけど、少々うんざりする。
ドラマのための脚本が貴重。バカリズムには今後もがんばって欲しいわ。


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