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◇ フェルドウスィー「王の書(シャー・ナーメ) ペルシア英雄叙事詩」

2022年09月15日 | ◇読んだ本の感想。
この本の名前を初めて知ったのは「アルスラーン戦記」。
あの頃は田中芳樹が好きだったなあ。今は嫌いだけど。
売れる小説を生産するシステムを構築し終わった感じが。
ほう、「創竜伝」完結しましたか……。するとは思わなかった。

――なので、「王の書」を読んでいてなつかしい名前がちらほら出て来た。
ギーヴとか。ファランギースとか。タハミーネとか。役柄は全然違うわけだが。


東洋文庫だから覚悟はしていたけど、最初この本を開いた時、
詩文形式だったからうへーと思ったのよ。読めないんじゃないか、これ。
だが実際読んでみたら韻文ではなく、ほとんど散文に近い分かち書き。
むしろ読みやすかったかもしれない。この内容を散文で読むよりは。
とはいえ、まあ多少内容は退屈なんですけどね……

作者がはっきりしていて、1000年前後に成立した作品だというので、
すわ、源氏物語の世界最古の小説の座を脅かすのか?と焦ったが、
小説ではないですからね。そもそもわたしが気づくよりはるか以前に
世界は「シャー・ナーメ」を知っているんだから、今さら脅かすも何もない。

感触としては古事記に近いイメージかな。歴史ではなく伝説ですよね?
「王の書」というタイトルのわりに、各主役は王ではなく王に仕える武将というか
英雄たちだった。ザーム、ロスタム、ソホラープ、スィヤーウシュ。
英雄たちの戦いと、それを彩る美女たちの物語。

ザームとルーダーペの恋物語はきらびやかだし、
ロスタムとソホラープの親子の悲劇は傷ましい。
(最初に名乗れよ!とツッコミをいれたいが)

これは抄訳ですか?抄訳のようですね。5分の1くらいなのかな。
5倍の分量を読む気にはならないので制覇は無理だが、
本作品の訳は美しく、読めたのはこの訳のおかげ。黒柳恒男訳。

ペルシアってほとんど何も知らないよなあ……。
魅力的な時代と空間ではありそうなんだが。
これをとっかかりの一つとして、いつか何かは読んでみたい。



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