プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

◇ 恩田陸「クレオパトラの夢」

2016年02月19日 | ◇読んだ本の感想。
このくらいならわたしは好きかな。恩田陸。
何が“このくらい”かというと、話の詰めこみ具合が。

恩田陸はそれはそれは要素を詰めこむ作家でね。
これで1本書くより、ネタを分けて小説3本くらい書いた方がいいんじゃないかなあと常々思っている。
でも今回はわりと話がシンプル――このどんでんを返しまくる小説をシンプルに感じさせてしまうほど、
他の小説がぎっちりしすぎなんだよ――わたしはこのくらいの密度で書いてくれた方がだいぶ好き。

今回はより一層キャラ小説に寄っていたのも良かったかな。
主人公の恵弥(めぐみと読ませている。女言葉を使うかっこいい男性。)が大変にシンプルで。
まあ例によって前半部は恵弥も怪しいんだけど、最後の最後に恵弥が裏切るということもなかったし。
周りの人物たちは、実は、実はが例によって出てくるが、このくらいなら落ち着いて読める。
面白かった。

それに今回はなんとタイトルが内容を表している!
恩田陸にしては超珍しいことである。しかしクレオパトラがなんであるかは言っちゃダメ。
この作品のレビューでいきなりタイトルで言及しているものがあって、アホかと思った。
まあ、“夢”かというと夢でもないけど……

舞台はH市。
日本三大夜景の一つ、修道女が焼くクッキー、とか完全に函館なのに、H市と書くんだよね、この人。
札幌は札幌と書くのに。不思議。こないだは柳川市もY市と書いてたな。
ファンタジー小説だから、下手に実際の地名を書いて「事実と違う!」と言われることを避けるんだろうな。
わかる気はする。現実と空想はわけておきたいもんね。




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