物語にもならない

へたくそな物語を書く主の部屋

国大トマヤ 国ルヅイ、日

2019-09-30 20:06:30 | 物語
 はるか遠くの大陸での戦いに敗れて、A民族は遠い東の最果ての地にたどり着きました。
そこには既に定住民がいて、彼らを不審そうに見ました。最初こそ警戒した面持ちでしたが、A民族が両腕を上げて無抵抗を示すと、すぐによく分からない言葉で挨拶をしてきました。A民族も自分たちの言葉で挨拶をしました。
A民族の民衆は皆、疲れ果てていました。頭(かしら)が振り返って「ここが最果ての地だ。もう、これ以上大陸はない。」と言うと、皆はうなだれて座り込みました。

A民族は原住民と言葉が通じなかったため、最初はお互いあまりコミュニケーションをとらず暮らしていました。この東の最果てに来てまで争いたくはなかったし、なるべくなら上手くやりたいと考えていたので、下手に話しかけて誤解が生じるのを恐れていたのでした。
しかし、原住民の生活ぶりや謙虚さ、清潔感を見ているうちに、とても親切で真面目な民族だと分かってきたので、ある日A民族の方から声を掛けました。
話しかけられた原住民は、最初は戸惑ってあたりをキョロキョロしましたが、すぐに少しだけA民族の言葉を分かってくれる者が現れました。その人の見た目は、一見原住民と同じですが、A民族と似た言葉をいくつか持っていました。よくよく聞くと、祖先がはるか遠い大陸だということでした。
年月が経ってとても暑くなったころ、他の民族が船でやって来ました。そしてもっと年月が経って、丁度よく暖かくなってきたころ、また、他の民族がやってきました。
A民族は、南側がどうなっているか調査することにしました。すると、南側にも人が住んでいる事が分かりました。自分たちがはるか通り大陸から来た千年前の言い伝えには、南側は気が生い茂り誰も住んでいないことになっていたので、葦原になってヒトが住みついているのには、驚きました。
A民族の調査隊が細かく調べてゆくと、北側には8つの民族が、南側には3つの民族がいることが分かりました。
そこで、A民族は思いました。
また、いつか大陸で起きたように、民族同士の争いが起きないようにしたい。そのためにはどうしたらいいか?と。A民族はせっかく作った国を奪われたり自分たちの言葉を使わないようにされたり、それはそれは大変な目にあってきたからこそそう思ったのです。

早速、それぞれの民族に思い切って声をかけることにしました。そして、11民族の頭を集めることに成功させるのに実に12年かかりました。
12年かかった理由は、まず言葉が通じないことでした。次に村民から民族の頭にたどり着くことと、合わせてもらうのが大変でした。そこで自分たちの宝物である弓矢をプレゼントとして持って行ったら、相手もお返しをくれました。やりとりする中で、ジェスチャーや大地に絵を描いて交流しているうちにようやく簡単な言葉が通じるようになりました。

集めた理由はもちろん、「民族同士が戦いをしない為にはどうしたらいいか」という会議をするためでした。

彼らはまず、”言葉の会議”を開くための統一した言葉を作ることにしました。
最初に、物を目の前に持ってきて、その物の名前を石板にチョーク石で書き合いました。次に挨拶や感情をジェスチャーを交えて書き合いました。蛇がのったくったような文字を書く民族もあれば、記号のような文字、絵のような文字や、粘土に木の棒で溝を作る文字もありました。
そして石板がチョーク石で真っ白になってくると、今度は音を聞き取りました。ある者が、全ての民族に共通する音が「AIUEO」であることを言いました。AとEの中間などもありましたが、紛らわしいから、皆が分かりやすい5つの音に絞るのが良いとのことでした。それを母音とし、皆で子音を考えました。「AIUEO」を横軸にして、縦に子音を書いてゆくといいよ、とある民族が言いました。皆その提案に納得し、どの民族にもとても分かりやすくハッキリ発音できる言葉48文字が出来上がりました。

次に、石板にチョーク石で円を書き、12分割して1つ1つのマスに民族の頭が、”自分の印”を書き記しました。最後の1マスは”今決める”でした。今決めるの時には、A民族の考え付いた”ジャンケンポン”をすることになりました。
そして、言葉を絵にかいたりジェスチャーしたり物を持ってきて、一つずつこの12分割したルーレットでどの民族の言葉で呼ぶかを決めてゆきました。
そして決まったのは、私達=『わ』(のちに個人を指すのを『ワレ、ワイ』などになった)、民=『ヤマト』、尊敬できる人=『ミコト』、水=『みず』、匂い=『ニホヒ』、書く=『カク』、住む=『スム』、空=『アマ』、太陽=『ヒ』などなどです。

そしてやっと、それぞれの民族が争わないようにするにはどうすればいいか、という会議の本題に入った時には、実に16の季節が過ぎていました。

11民族の頭たちは、よくよく話し合ってあるひとつの結論が出ました。それは、「全民族の全民族による全民族のための、とても大切な宝物のようなモノをたった1つだけつくり、それをみんなでずっとお守りする。」というものでした。
早速、行けんを交わしました。

「やはり水だろう。水がいちばん大事だと思う。」
「いや、船だな。船こそいいちばん大事だ。」
「米だろ。米がなくては生きてゆけない。」
「いや、山や川、風と木といった自然ですよ。自然は人間を生かしてくれています。」
「太陽です!絶対に太陽です!」
「いや、星空ですよ。」
「マンモスの骨だと思う。もう絶滅してしまった。だけどあれがなければ我々は存在していなかった。」
「金銀銅だろ。」
「いやいや、だとしたら鉄だろう。鉄を飛び越えて金銀銅はないだろう。」
「しかし、物はいつかなくなってしまうのではないだろうか?」
「うむ。それに水や自然や星空というのは、全世界にあるから『ワ』だけの永遠なる宝物にはなりえない。それにそれらのモノは『ワ』が守るものなんて言ったらおこがましすぎる。『ワ』は自然に守られているのだ。」
「私は、神様だと思うんだけどなぁ。」
「神様とはなんですか?」
「そうだそうだ、神様ってなんなんだ?」
「神様とは、尊いお人のことです。賢くて、いつも『ヤマト』のことを考えてくれている人です。」
「それは、すごい人だ!その人はどこにいるんだ?」
「そうですね・・・・”全民族の”となりますと。」
「そっか、今はいないよな。」
「そうだよ。物じゃなくて動物でもなくて、人がいいんじゃないだろうか?」
「え?なんで?人はいつか死ぬじゃないか。」
「いや、そうとも言えないぞ。人は子を産むからな。」
皆「あっそうか、なるほど」と思いました。
「だけど、誰がなるんだ?この中から選ぶのか?」
「この中ねぇ・・・・」皆お互いを見回し合いましたが、パッとしません。
「男じゃなくて女の方がいいのではないだろうか?」
「確かに女は子を産むから、神々しい。俺たちには絶対にできないからな。」
「だけど、大陸では女は戦わなかった。それどころか、勝った民族の奴隷か妻となってしまったぞ。もしも大陸から追いかけてきた民族が、『ワ』宝みたいな神様みたいな人を妻にとられてしたらどうなる!?」
「ぞっとするなぁ。そのお子を大事にする気にはとてもなれんのう。」
皆は黙ってしまいました。
「じゃあ、こうしよう。最初は女、そして全ヤマトのなかで、いちばん賢い男がその女性と結ばれる。その子を『ワ』の神のような宝としようじゃないか?」
「なるほど!そうしようそうしよう♪」
そして11民族の調査員たちが、その神の産みの親となる優れた女性を探す旅に出ました。その何年か後、11民族の頭か民族一賢くて力があってヤマトのことを考えている人間を候補に出して、その中からその女性に決めてもらいました。

ある民族が『ミコト』のエンブレムをデザインしてくれました。たった今決めたかのように出されましたが、本当はその民族が遠い大陸の国家で使っていたエンブレムで、太陽のような花のようなマークでした。それは、上でも下でもなく中心に、神のようなヤマトの宝があり、民族が結集したという意味も込められていたので、皆とても喜びました。



 月日が経ち、西暦574年、あの女性から生まれた息子の息子の息子のそのまた息子の・・・・・息子が馬小屋で生まれました。その王子は11種族の家庭教師から数学、歴史、社会、理科そして、世が平和であることの尊さ等を学び育ちましたました。よって11の言語を自然に身に着けました。
王子が成長すると政治を任されるようになりました。大陸の国へ大使を派遣し、新しい文字を取り入れました。そして良い所だけを真似し、自国の良いところは残し悪いところを直したりしました。
仏教を取り入れることにより、百済と仲良くなりました。百済からやって来た宮大工に法隆寺を建てさせました。百済の宮大工たちの仕事はそれはそれは素晴らしく、大きな仏像や、今で言うスカイツリーと同じような耐震能力のある5重の塔などを作りました。それまでは大きな柱を土に埋める手法でしたが、固い土台を作ってその上に建物をたてる方法に変わったのです。
外交するにあたり必然的に、国名が必要であること、部下に位が必要であること、どこからどこまでが統一された我が国と言えるのか、などを決めなければならなくなりました。まだそれぞれの民族の細々(こまごま)した国しかなかったので、全民(この最東の地にいる全民族ヤマトたち)の国という意味で『ヤマトの大国』又は『ヤマト大国』と表現してみました。
しかし、勝手に向こう側の文字を当てて、”邪馬台国”(邪悪などに使われる邪が使われた)などと言われてしまったため、今度は私達の国という意味の『わの国』と表現したら、『倭の国』(小さい人の国)と言われてしまいました。
大陸の王はわざと良くない意味をもつ文字をつけてマウンティングしてきたので、対等であることを分かってもらわなくてはならないと思い、大陸の王に宛てた手紙に、自国を「日、イズル国」と表現し、相手国を「日没する国」と表現して、”どちらも対等な立場ですキャッチボールしましょう。”という意味を込めて贈りました。
自国の中では、全民族が和をもって尊ぶ私達の大国という意味で『大和』と書き(やまと)と呼ばせました。そして、外交では「日イズル国」を強調すべく、『日本』と書き(ヤマト)と読ませようとしましたが、大陸からは”ニップン”と呼ばれました。向こうの国の文字で表現したものなので、読みが向こうの読み方になってしまうのは仕方がないと諦めました。
また、向こうの王が『王』ならば、こちらの王のような存在を天から生まれた王なので『天皇』としました。そうすることで、大陸の意味する『王』とは別ものと位置づけ、争いを避けたのでした。


つづく
もちろん、フィクション(想像)です。百田さんの本から学んだことを少々引用させていただきました。



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