筑波大学 名誉教授 柘植 俊一 氏
講演日:平成13年7月14日(土)於て 東工大(大岡山) 百年記念館
[講演要旨]
秀才-受納的な理解の速い、
いわゆる頭の速い人に対して、
反秀才-頭の強い人-を定義し、
その属性について触れる。
実例として、モーツアルトに対してベートーベン、
ランダウに対してアインシュタイン、
勝海舟に対して山岡鉄舟、大鵬に対して柏戸、
などを対比させて、反秀才の特性をまず理解して頂く。
自分の専門分野である航空・宇宙工学の中から
革新的な業績を残した反秀才の実例として、
R.T.ジョーンズの反対象翼のアイディアを紹介し、
この奇妙な将来型超音速輸送機のモデルの試験飛行をビデオで紹介する。
すぐれた半秀才的メンタリティを持つ中小/ベンチャー企業の成功例として、
現在世界中の自動車の7割が用いて居る
オイルシールの開発を独力で行った石井孝雄氏の業績を紹介する。
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【略歴】
昭和29年 東京大学工学部電気工学科卒
昭和34年 東京大学数物系大学院航空学専門過程了 工博
昭和35年 防衛大学校航空工学教室 助教授
昭和44年 NASAエイムス研究所 上級研究員
昭和54年 筑波大学構造工学系教授
平成 7年 定年退官 名誉教授
筑波大学先端学際領域センター(TARA)客員研究員
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研究者が成功する条件 柘植俊一
1) 「自信の蓄積」
2) 「不満の蓄積」
3) 「自分の将来を考える時間の余裕」
(柘植俊一著「反秀才論--NASAの研究生活から」
読売新聞社 (1990-03-12出版)より)
<< コメント >>
製品開発(超音波応用製品・・)の「自信」と追及しきれない「不満」を
「時間」をかけて考え直したときに
** モデルを作成し-> 検討し -> 試作実験 ・・ ** を
正しく基本に忠実に行うことの大切さに気がつき
基礎データ(音圧測定、溶存酸素濃度の測定・・)を採取することで、
可能性が見えてきたように思います
反秀才の方法(柘植俊一)
自分で実験してみた経験から出る、
「反秀才」の神憑かり的な直観力が物を言うのだろう。
日本の反秀才の方法(石井孝雄:日本オイルシールNOK総合技術研究所)
1)本を読むことではなく、実験装置を作ることでもなく、
シールにたずさわったことのある人を求めて
内外を問わず接近し、現場の職人たち
(頭でなく、いわば皮膚感覚でオイルシートを知っている人たち)
の言に耳を傾け、それを収録してまわった。
2)これら多くの真実らしき断片を見据えて、
その奥にある統一的メカニズムを描像することだった。
基本となった考え方
「『要はまじめに働けばよいのだ。
日本人だって煎じつめるとそれだけではないか。
そして環境さえ醸成すれば
どんな人種でも特に貧しい人なら必ず、まじめに働くのだ。』
という彼の発見した法則は普遍的である。
秀才と反秀才の違いは「ロゴス(論理)」と「パトス(情念)」で見極められる。
つまり、秀才に共通するもの「知能」の高さであり、
反秀才に共通するものが「情熱」の大きさである。
毎日一心不乱で研究する研究者など
今の日本でそうお目にかかれるものではない。
たいていは、職場に着けばまずはお茶にし、・・・適当に・・して、後は・・する、
暇があればインターネットで・・。
自分を天才にまで自ら導く「気迫」がない!!
柘植俊一
「本来無一物、初めから独創の素質などあるはずがないので、
一切は自分の修業で創り出すのだ、
という気迫のようなものを基礎研究振興の中心に据える必要がある。
・・・あとは一人でやれ。
これは日本の古来の教育が持っていた
文化という酒倉の黴というものであろうか。」
http://youtu.be/NhqQPhFmfuU
http://youtu.be/cvYwHKjQ8YY