2009年に発表された論文によると、人間の顔面認識能力は30歳前半まで向上し続けるらしい。
具体的には、標準となる顔を記憶したうえでテスト用の顔を閲覧、見慣れない顔を識別しその正誤を問うテスト(詳細はケンブリッジ顔面記憶テストを参照)のスコアと年齢の相関を計ったところ、スコアは10~20歳頃に急に上昇し、31~32歳でピークを迎えるという。その後の衰えは緩やかなものであり、この研究の限りでは16歳の顔面認識能力と65歳のそれはほぼ同等だったという。
また反転させた顔と名前の認識能力テストも同時に行われ、こちらのピークは23~24歳頃がピークであると求めだされた。
なお、今回の研究の範囲内では能力・記憶能力・参加者が抱えるバイアスはテストスコアの要因にはならないという。ただし、今回の研究で行われた実験のうち1つは子供の顔を使ったものであり、顔面識別能力が暴露の連続により向上するという予測が真である場合、ちょうど親世代としてあり得る30代の人々によるスコア向上の可能性は排除できないという。
顔面認識能力は認知能力の一種であり、その認知能力の一種が30歳前半まで伸びたという結果から、従来では20歳がピークとされてきた認知能力は、その一部が20歳を超えてもなお成長することが示唆された。
ーーー私が在学していた小学校には、なかなかにすごい校長先生がいた。
その校長先生は在学する200余名の児童全員の顔と名前を覚えるよう努力する人だった。
そして、その努力は7年ぶりに再会した私の顔と名前をぴたりと当てた。
同級生どころか親戚の名前もなかなか出てこない私とは大違いである。
参考文献
Laura T.Germine,BradleyDuchaine et al. (2009) Where cognitive development and aging meet: Face learning ability peaks after age 30