*この記事は、前ブログに掲載していたものの再UPです。(2015年7月15日)
今の世界では、「地球の愛と平和を守る」という気概のある人はほとんどいません。結局のところ、実際の世界では「悪が勝つ」状況です。
でも、時々は「LOVE&PEACE(愛と平和)」を考える日があってもいいと思います。大抵の人は、愛が溢れる平和な世界に生きていたいですよね、当然ながら。
というわけで買いまちた、『ムーンウォーカー』(1988年・アメリカ)!
*注・・・ネタバレになると思うので、未見で先入観を持ちたくないという方は、ご注意を。
色んなレビューを読むと、多くの人々が〝ハチャメチャ〟と表現していました。何となく観たなら、こういう感想になるのかもしれません。
ですが、マイケル・ジャクソンの〝ライフワーク〟が何だったのかを考えると、この映画に籠められたメッセージは明らかです。
映画は「Man in the mirror」の圧巻のライブ映像で始まりますが、この曲のメッセージ性をそのままストーリーにした感じの内容なのですよね、実際。
♪ 僕は変えるつもりさ
一生に一度のチャンスなんだ
きっといい気持ちになれる
きっと違うはずさ
きっと全てが上手くいく(中略)
ストリートの子供たち
みんなお腹を空かせてるんだ
その光景に目を背ける僕は何者?
子供たちが望んでることを
見て見ぬふりをしているんだ(中略)
鏡に映った男の姿をじっと見る
彼に尋ねるんだ 自分を変えてみないかって
こんなはっきりとしたメッセージはない
この世界をより良い場所にしたいなら
まず自分を見つめよう
そして変わるんだ ♪
『ムーンウォーカー』本編は、このことを表現しているのだと私は思いました。これがマイケルが生涯をかけ、最も伝えたかったことなのだと。
映画は『Man in the mirror』の後、マイケルの幼少時代からの歩み、『Bad』のチャイルド版(これ、ホンモノと比較すると笑える)、『Speed Demon』のSF(ショート・フィルム)、『Leave Me Alone』のSF(コレ好き)と続き、『ムーンウォーカー』本編になります。
『Speed Demon』は明るく爽快な曲ですが、歌詞を見ると何かのメッセージを感じてしまいそうです。
『ムーンウォーカー』本編(というか映画全体)は、単に観ているだけでは、お話が少し分かりにくいです。単純なストーリーではありますが、マイケル・ジャクソンのメッセージを受け取るには、「あらすじ」がないと理解しにくい。(単純に観た場合、〝ちょっとしたファンタジー、しかも奇天烈、でもマイケルは超カッコイイ☆〟と思う人がほとんどのようです)
では、その「あらすじ」を☆ ↓
【今世紀(=20世紀)最大のエンターティナーと呼ばれ、ステージでも華麗なその姿を見せるスーパースター、マイケル・ジャクソン。しかし彼の私生活は、完全に謎のべールで包まれていた。
実は彼は、地球の愛と平和を守るため、愛の守護神コスモから遣わされた「ムーンウォーカー」という名の使者だったのである。
ある日、友人である3人の孤児たちとともにピクニックに出かけたマイケルは、ふとしたことからミスター・ビッグ(ジョー・ペシ)率いる暗黒組織のアジトにもぐり込んでしまう。
そこでマイケルは子どもたちを麻薬漬けにして世界を支配しようとしている彼の企みを知るのだった。
持ち前のコスモパワーで「ムーンウォーカー」に変身した彼は、暗黒組織を叩きつぶし、子どもたちを悪の手から救い出すのだった。】
↑ これって、マイケルが生涯、力を入れていたことでしょ? 彼は、実際の人生においても、こういう生き方をしていたわけですよね。(宇宙から遣わされたとか暗黒組織を叩き潰す云々ではなく、「不幸な子どもたちを放っておかない」ということ)
私も最初は「あらすじ」を知らずに観ていました。なので、3人の子どもたちが夜中に外にいることを不思議に思っていましたが、彼らは「孤児」という設定なのですね。
この子どもたちの内の1人が、ジョン・レノン&オノ・ヨーコの息子☆ショーン・レノンなの。色白で可愛い男の子(当時)ですね☆ (今はカッコイイ大人の男になった。私とそんなに変わらない年齢だよね?。。1975年生まれだって)
ジーク役の黒人の男の子は、上で書いた「チャイルド版Bad」のマイケル役と同じ子ですよ~♪
そして、暗黒組織のボス「Mr.BIG」とやらは、ジョー・ペシが演じています。彼はこの少し後、『ホーム・アローン』で泥棒役になりますが、「冷酷非情度」は『ムーンウォーカー』の方が格段に上です。
ジョー・ペシは、この映画でも〝アカデミー俳優の演技力 〟を存分に発揮しています。(彼が最もセリフが多いはず)
Mr.BIGの「本名」は、「フランキー・リデオ」というのだそうです。この名前、マイケルの当時のマネージャーだったフランク・ディレオ氏と酷似していますが、ディレオはこの映画の製作総指揮をマイケルと共に務めています。Mr.BIGもフランク・ディレオも小柄で、2人には色々共通点がある気がします。(ディレオは元はエピック・レコードの役員だったと聞いた)
マイケル・ファンの間では、ディレオのイメージが良いようですが、私は「何だかなァ」と思っています。(彼のインタビュー映像を見て、「おや??」と思いました) 彼は一見、感じ良く魅力的な人物です。
でも、ディレオはマイケルの晩年、Mr.BIGのように〝THE・悪役〟となり、彼を苦しめたのではないかと思ってしまいます。(フランク・ディレオ氏は2、3年前に亡くなっています)
*2021年6月2日追加
ディレオがマイケルの晩年に、苦しかった彼を助けることができなかったのは事実ですが、この記事の後に見聞きした様々な事柄から想像すると、ディレオ自身はやはり基本的には良い人のようです。
マイケルのために心から尽くしてくれていた人々が、何故か後に彼を裏切ってしまう。これこそが彼の最大の悲劇だと思います。これはマイケルの死後もずっと続いており、私はその度に心が痛くなってしまうのです。 (追加ココマデ)
本編の最初は、マイケルと子どもたちが美しい景色の中で戯れているところから始まります。仲良しワンコが走り去ったのを探しに森の中に入ったマイケルと女の子(ケイティ)は、見るからに怪しげな建物の中に潜り込んでしまい、そこでMr.BIGのイケナイ「計画」を聞いてしまうの。しかも、手に蜘蛛が触れたケイティが悲鳴を上げたため、2人はMr.BIGに見つかってしまいます。
この後、街に戻ったマイケルをMr.BIGは殺そうとするのですが、マイケルは街中を逃げまくります。(余談ですが、この映画の中のマイケルは何かと逃げ回っています。長い足で疾走する彼の美しいこと。。)
さて、『ムーンウォーカー』本編には、『Smooth Criminal』のSFが含まれています。マイケルが白スーツに青いシャツ、白いソフト帽で歌い踊り、すっごくカッコイイです。
映画の舞台は古いヨーロッパの街並みのような石畳の道にレトロな建物で、マイケルのこだわり(好み?)が感じられますが、SFは「CLUB 30's」という名のクラブが舞台なの。お客さまも1930年代風ファッションに身を包み、何となくフィルム・ノワール風な雰囲気もあります。
マイケルって古いギャング映画が好きなのかもね。(私はあまり興味ない。 『お熱いのがお好き』なら観たけどね☆)
この時のマイケルのファッションは彼の象徴になっているようですね。実際、この世のものとは思えないほど超絶にカッコイイです。
スムクリのSFは、本編との関連性はほとんどないようですが、この中にケイティが連れ去られるシーンがあるの。
私が初めてこのSFを見たのは『MICHAEL JACKSON'S VISION』でした。こちらでは曲部分だけが収録されているため、あの場面の意味が不明でした。『ムーンウォーカー』を観て、彼女が何故連れ去られたのかを理解しました。(気分スッキリ♪)
クラブを出たマイケルは、残った男の子2人(ショーン、ジーク)から「ケイティが連れ去られた」と聞き、彼女を助けるためにMr.BIGの元へ乗り込むの。(派手な白スーツのままでね)
で、「お約束どおり」に仮面ライダーの〝ショッカーの皆さん〟みたいな人々に取り囲まれるのでした。
そして、ケイティの髪を鷲掴みにしたMr.BIGが現れ(ヒドイ)、彼女に麻薬を打とうとするの。
↑ この薄暗い中でもクッキリ際立つ白スーツ。。 (〝ショッカー〟が邪魔)
マイケルはそれを阻止しようとしますが、〝ショッカー〟に銃で痛めつけられ(ヒドイ)、その上暴れるケイティに注射を弾き飛ばされたMr.BIGに「スムーズに動けるか」と言われながら蹴られ(ヒドイ)、ケイティは放り出された上に(ヒドイ)「ゴキブリ」と罵られてMr.BIGに背中を踏まれ(ヒドすぎ)、絶対絶命のピンチに。
(マイケルの死後、劇場で公開された『ムーンウォーカー』では、このシーンは一部カットされていたようです。「ファンタジー」にしては容赦ない攻撃だもんね、子どもに対しても)
*2018年4月30日追加
私は当時、ケイティに対する暴力行為がカットされたのだと思っていましたが、カットされていたのはMr.BIGが彼女に麻薬を注射しようとする場面だったようです。今は問題になるのかもね。私は子どもへの暴力行為の方が余程気になったけどなぁ。。(追加ココマデ)
ここで夜空に流れ星がピカーン と輝き、マイケルの「変身」シーンになるの。これが特に女性の皆さまにはドン引きの場面だったと思われます。(ワタクシもでしたわ、ええ )
マイケルはゲームが好きらしいし、これは彼の趣味なのかも。男ってそんな感じでしょ??(実際、この映画はゲームにもなっているそうです)
でもね、冷静に考えると、数十人はいると思われる〝ショッカー風〟の皆さま(しかも銃を構えている)から子どもたちを救うには、アレ(=変身)しかないような気もする。。助さん格さんみたいに悪いヤツをバッタバッタと「素手」でやっつける方があり得ない気がする。。
ハッキリ言って、ホント容赦ない攻撃だったわ。だって「皆殺し」だもの。
というわけで、マイケルは悪いヤツを全滅させ、(「変身」したまま)宇宙に帰ってしまうのでした。
取り残された子どもたちは、マイケルとの別れを悲しんでいました。
彼らをマイケルの実子(プリンス、パリス、ブランケット)と重ね合わせるファンもいますが、ホントにそんな感じで切なくなる。。
でも、『ムーンウォーカー』では〝ダディ〟マイケルは帰ってきます。マイケルに走り寄る子どもたちを見ると、またまた切なくなっちゃいます。
そして、再び「CLUB 30's」の中に入るの。マイケルと子どもたちが奥に向かって進んでいくと、Mr.BIG。。。ではなく、フランク・ディレオが出迎えます。ワンコにも再会するの。
ラストは「世界一のスーパースター☆マイケル・ジャクソン」に戻り、『Come Together』(ビートルズのカバー曲)を熱唱し、エンドロールに。
「メデタシメデタシ♪」と終わるのは、まことに結構なのですが、このラストの歌唱はエロい。
マイケル・ジャクソンは子どもを心から愛し、自宅を「ネバーランド」と名付けて大勢の子どもたちに開放し、自らもゲームや玩具にハマりまくりの人だったようですが、その一方、セクシャルな面を持つ男でもありました。
『DANGEROUS~ザ・ショート・フィルム・コレクション』もこういう傾向がありましたが、映画『ムーンウォーカー』も同様です。
これこそが彼の麗しい魅力(の1つ)なのでしょう☆
コレ。 ↓
『IN THE CLOSET』のSFでも指を舐める場面があったけど、女をメロメロにしてしまいますね。(いや~ん)
私、その場面を見て団扇を落としてたわ。(このスケベ)
この〝二面性〟は、マイケルが如何に「普通のオトコ」なのかを表しています。実に「健康的」な人だわ。。
この指に巻いてる絆創膏、ずっと不思議でしたが、これはファッションなのだそうです。こうしてると、見ている人が手の動きに注目してくれるのだとか。確かに見つめてしまいますけど。
マイケル・ジャクソンは、黒人アーティストとして初めて〝白人女性を本気でメロメロにした男〟なのだそうです。
特にこの映画は彼が29歳の頃で、最も精悍かつセクシーで〝男を感じさせる〟時代なので、ホントに目の保養になります。
彼の最大の魅力である「無邪気な笑顔 」もたくさん見れるし☆
エンドロールで流れるのは、Ladysmith Black Mambazoという黒人グループの『The Moon is Walking』という曲だそうです。
なんとも言えず味わい深いアカペラで、1度聴いただけでも強い印象を残します。他の方々も同じだったようで、検索したらすぐに分かりました。
その後にもう1度スムクリが流れ、映画の色々なシーンが映し出されるの。その映像は微かにぼかしてあります。
ラストはマイケルのウインクなの。
この映画、最初から最後まで、とても凝った映像になっています。さすが〝完璧主義者〟のマイケルの作品だわ☆
ストーリーが子どもっぽい(?)とか言って、スムクリのSFだけ観るのはモッタイナイ。
映画『ムーンウォーカー』の解釈は人それぞれですが、マイケルが事あるごとに伝えようとしていた
「世界を良くしよう。それにはまず、子どもたちから助けよう」
というメッセージだけはシッカリ受け取るべきだと思います。
私がマイケル・ジャクソンに魅かれるのは、彼の素晴らしすぎる曲やパフォーマンス、麗しい容姿だけではなく、まさにこの「美しい人間性」なのだな~~と最近シミジミ感じています。
マイケルって、ケニー・オルテガやライオネル・リッチーが言うように、本当に天使だったのかも。
あらら、またもや長い記事になっちゃいましたね。
ムーンウォーカー 通常版[Blu-ray] | |
クリエーター情報なし | |
ワーナー・ホーム・ビデオ |
*この記事に頂いたコメントを以下に掲載。
「ありがとう! (pecoco)2018-09-01
はじめまして!私はどうやら あなたと同世代のようです。マイケルを愛してやまない普通の主婦です。今回「ムーンウォーカー」について他の方の解釈を検索し、こちらに寄ってみました。過去にアップした記事とのことですが、とってもわかりやすく、同感しかなく、泣きそうになりました。
何か一言伝えたくて、コメントさせていただきました。「ありがとう!!」」
とても嬉しいコメントで、こちらが泣きそうになってしまいました。
ブログ閉鎖の前に個人用に書籍化するのですが、コメントは残せないので、こちらに転載いたしました。ご了承くださいませ。