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青空ーすべてはバランス

恐怖の30秒

いつものように仕事で2tトラックを運転していました。

次の配送先は山に囲まれた谷間にあり、走っている車の数も少なく、人の姿も見かけないような寂しい所。そんな所に間近にせまっていた時の事です。

前方に人が歩いているのが見えました。向こうからこちらに歩いてきます。道の端ではなく、何と車が走るような所を歩いているから、「えっ?」とまずびっくりすると同時にだ!と感じました。

その人の事がまだよく見えないけど、ただ、全身黒いもので覆われているように見えてきたで、「異常」だと感じるようになりました。
さらにその瞬間「怖い」と感じたのです。

こちらは車を運転しているから、どんどん近づいていきます。緊張して全身がかたくなっていたような気がします。焦ってきました。

何か持っています。長い機械のようなものです。大きなつばの広い黒い帽子をかぶっている。顔のまわりには養蜂家がしているようなベールをしているのか?あれは?黒い長い・・・前掛けか?そうだ!魚屋さんがしているビニールの長い前掛けのようなものだ。

それにしても何で道の中央に寄って歩いているんだ?あんな全身真っ黒い服装をして・・・。
やはり異常者か?
もし異常者だとしても、こちらは大きなトラックだし、安全だろう!
でも、最悪こちらに向かって車の前に立ちはだかったらどうする?停車するのか?
でも、停車したら手に持っているもので襲われたらどうする?

あの手の持っているもの・・・チェーンソー?もしそうなら本当に怖いぞ!チェーンソーで襲われたら、こちらには武器もないしどうすることもできない。

車のスピードを上げるか?
待て待て!相手が前に立ちはだかったらどうする?
いくら異常者でも車ではねたら殺人になるだろうなぁ!!!そうだ。そうだよ。
そうか!まだ何もされていない。正当防衛にはならない。

ーーーこんなことを次から次へと考えたーーー

車は前から歩いてきた人とすれ違った。発見してからわずか30秒ほどの出来事でした。手に持っていたのは草刈り機でした。
道の真ん中歩いてんじゃねえよ!!!脅かしよって!

「ふっっっ~~。」喉が渇いた。「長かったぁ!あぁ~よかった!」
思った。人間は何と短い時間の間にたくさんの事を考えることができるのかと。恐怖を感じた時に自分の身を守るための原始からの人間の遺伝子が働く。アドレナリンが出て身構える。この時実感した。

あとで刑法を見た。

刑法
第36条
 1 急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。

 2 防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。

作り話じゃないの?と言われそうだけど、本当に感じたことでした。恐怖感は相手を攻撃するのに十分な理由になる危険性があると体験しました。あの時、私の心の中が偶然乱れていたかもしれませんが。
私の体験が「急迫不正の侵害」とは言えないことは落ち着いた後では納得できます。でももし、自分の運転の仕方で相手が異常に怒り出し車にしがみつき、自分に怒鳴り今にも車の中に入ってきて危害を加えるのではないかと恐怖に陥ったら多分そのまま身動きできなくなるか、あるいは勇気を出して車を発進させて逃げるかもしれないと思います。

法律は、「たとえ実際に危害を受けることになっても、最後のぎりぎりまで相手に向き合って自分で対処しなさい。その時、自分の身を守るのがどうしようもなく不可能だと感じた時にする反撃により相手を傷つけても、それは正当防衛にして不問にしましょう。」ということを定めているのでしょうね。恐怖心だけではダメなのです。

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