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青空ーすべてはバランス

アトピー性皮膚炎の薬ーデュピクセント

今年7月に新薬「コレクチム軟膏」について掲載アトピー性皮膚炎の新薬ーコレクチム軟膏 - 青空ーすべてはバランスしました。その後の様子について病院関係者から聞いたのですが、非常に良い結果が出ているそうです。安心です。

実はコレクチム軟膏の2年前に登場した新薬があります。
デュピクセント
平成30年(2018年)4月18日、抗IL-4受容体αサブ抗体製剤のガイドラインが策定され保険適用されました。「コレクチム軟膏」の一足お先に登場した「抗体製剤(世界初)」です。ともにアトピー治療の救世主的存在です。名前は「デュピクセント」という。この薬も非常に効果があるようですが、大変高価であることが難点となっています。

詳しく調べると、この二つの薬には共通点がある。
新型コロナウイルスと免疫の関係を調べていた時に登場した「T細胞」が関係する。T細胞は細胞表面に発現する抗原の違いにより「CD4陽性ヘルパーT細胞」と「CD8陽性キラーT細胞」分けられる。IL4の存在下にCD4陽性ヘルパーT細胞は樹状細胞による抗原刺激を受けると活性化し「Ⅱ型ヘルパーT細胞」=「Th2」に分化します。
このTh2細胞が炎症している場所へ移動し再度抗原を確認すると、「IL4」「IL5」「IL13」「IL31」(インターロイキンの種類)などのサイトカインを産生するわけです。

ここで大切なことを整理しておきます。
「IL4」と「IL13」は皮膚バリア機能の低下に関与し
「IL5」と「IL31」は炎症を促進します。
アトピー性皮膚炎特有の激しいかゆみ炎症が高まる状態では「IL31」が深くかかわり、これは「EPAS1」というタンパク質がその産生を誘導していることを突き止めている。(2017年1月ネイチャー掲載)
DOCK8という分子を欠損した患者さんが特に重篤なアトピー性皮膚炎を発症する。

「IL4」と「IL13」は、「IL31」のかゆみを発生させる値を引き下げます。つまり、通常の状態ではかゆみを感じないような濃度でも「IL31」のかゆみを敏感に感じさせるように働いています。

デュピクセントはこの「IL4」と「IL13」の両方のシグナル(情報伝達)を阻害する「遺伝子組み換えヒト型モノクローナル抗体」になります。
さらには、Ⅱ型ヘルパーT細胞Th2というリンパ球に分化する過程をも抑制できます。
違う方法で、「コレクチム軟膏」はサイトカイン「IL4」「IL13」「IL31」のいずれのシグナル伝達をも阻害します。その詳細はこちら→アトピー性皮膚炎の新薬ーコレクチム軟膏 - 青空ーすべてはバランス

免疫の暴走のしくみが明らかになったこととアトピー特有のかゆみ物質の特定ができたことにより、アトピー治療はすでに新たな時代に入ったと言える。誤解されてきたステロイド治療についても少しづつ正しく理解されるようになり不幸な時代は終わりつつある。私の長いアトピー追及の旅も終わりに近づきました。

ただし、アトピー性皮膚炎は、現代の環境の様々な要因が絡み合っているから、なかなかのくせものなので、ステロイド軟膏もこれらの新薬も含めて、決められた治療方法(量、回数、期間、塗り方等)を徹底して守り、気長に治療を行う必要があるのです。せっかく良い薬が開発されても治る現代病も治らないことになります。

〇デュピクセント治療薬の投与について
・基本的に今までの治療法で十分な効果が得られない成人アトピー性皮膚炎の方が対象です。

・ちょっとびっくりですが皮下注射です
投与開始日に2本。その後2週間後、4週間後、6週間後、8週間後にそれぞれ1本です。上腕部の外側かへそまわり以外の腹部、太ももの3か所のいずれかに注射します。医師の判断により、自宅で自分で注射することも可能です。簡単に注射できる補助具もあります。
 
・投与中
ステロイド外用薬、タクロリムス外用薬、経口ステロイドは主治医の指示により併用する。保湿外用薬も併用する。

・治療費
69歳以下の3割負担の場合を見てみる。
8週間後までに6本(1本66,356円)注射をする。薬剤費398,136円プラス在宅自己注射指導管理料6,500円合計404,636円。3割負担で121,391円。
高額療養費制度を利用すると・・・
例えば、年収が約370万円までの方は、ひと月の上限額が57,600円となる。
さらに、継続して高額の医療を受ける場合に自己負担上限額が引き下げられますから44,400円となります。

アトピー性皮膚炎については、当ブログのカテゴリー「アトピー性皮膚炎 原因と治療」のブログ記事一覧-青空ーすべてはバランス」をご覧ください。

アトピー性皮膚炎の苦しみから早く抜け出せるようにお祈りしています。

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